心地よい風が吹くまで
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52、見覚えのあるあの子
ー昔の記憶ー
最終試合終了後
麗日はリカバリーガールの治療を受け
控え室まで戻ってきた
すると控えめなノックが聞こえたあと
緑谷がそっと控え室に入ってきた
「あの・・・麗日さん・・・。」
麗日はグッと拳を固く握ると
いつもの明るい顔で
緑谷に話しかける
「いや~!負けてしまったぁ!残念残念!爆豪君強すぎるよ、本当!」
内心は今すぐにでも泣きたくて
悔しくてどうしようもなかった
しかし緑谷がいる手前
心配をかけたくないのと
弱い自分を見られるのが
恥ずかしい気がして
気丈に振舞ってみせた
「え・・・?あ・・・。麗日さん、怪我は大丈夫?」
予想外の反応に緑谷は驚くも
そこはあえて触れず声をかけた
その言葉に
麗日もニッコリと微笑むと
握りしめていた
麗日の携帯電話が震え始めた
ディスプレイには「父ちゃん」の文字
緑谷がいる手前
もし電話に出てしまったら
きっと我慢していた涙が流れてしまう
麗日はそっと握っていた手を
見つめていた
すると部屋にあるスピーカーから
切島対鉄哲の試合の実況と
切島の勝利を伝える
プレゼントマイクの声が聞こえた
それを聞いた緑谷は
少し緊張気味に部屋をあとにした
「電話・・・さっきごめんな父ちゃん?」
震える携帯を手に取り
ボタンを押して話し始める麗日
電話の向こうから聞こえる父の声に
より一層涙を堪え
気丈に振舞おうとした
しかしそこは高校生と言えどまだ子供
つい本音が漏れてしまう
「勝ち進めばそんだけ・・・色んなタイプへの対応とか見せられんねん・・・。だって・・・私・・・父ちゃん母ちゃん、楽させるって約束したの・・・に・・・。」
ついに零れた大粒の涙
1度流れた涙を止めることは出来ず
ただ嗚咽を漏らしながら
ボロボロと泣き始めた
「お茶子はもう、急がんでも大丈夫やで。・・・そんななるぐらい優しいお茶子は絶対良いヒーローになるって分かっとるから。」
父からの言葉は
麗日の心をさらに熱くさせ
流れる涙を止めることをやめた
そのまま泣き続けること数分
少し気持ちが落ち着いてきた麗日は
父にお礼を言う
そしてこの後の試合を応援したいからと言い
電話を切ろうとする
しかし父は何かを思い出したかのように
電話を切ることを止める
「そうや、お茶子!母ちゃんが言ってたんやけど、お前と同じクラスの、えっと・・・なんて名前やったやろ?・・・なぁ、母ちゃん~!!あの風を使う子、なんて名前やったやろ?」
麗日は父の言葉に
すぐに豊香の事だと分かった
「それ、東雲君やろ?黒髪の少し身長が高めの。どうかしたの?」
麗日は不思議だった
確かに体育祭では
豊香は『個性』を使って
目立つような場面はあった
しかし、それでも緑谷や轟、爆豪に比べると
インパクトはそれほどでもない
ましてや念願の雄英高校での学生生活
親元を離れ一人暮らしとなり
学校生活や日常の出来事などを
電話でたまに話すことはあったが
豊香の話はしたことがない
麗日はいくら考えても
答えにたどり着くことはできなかった
「いや~他人の空似だとは思うんやけど、お茶子、昔おばあちゃん家に1人で行った事あったやろ?そん時、仲良くなった女の子にどことなく似てるな~と思ったんよ!」
まぁ俺も母ちゃんも
直接会った訳では無いから
勘違いかもしれんなと
笑いながら話す父に
麗日は妙に引っ掛かりを覚えた
「なぁ、父ちゃん!その話、詳しく教えて!!」
その後、父から聞いた話は
どこか他人事のようだったが
なんとなく覚えている部分もあった
まるで記憶の一部が
モヤがかかったようである
麗日はその女の子が写っている写真が
1枚だけ残っていると聞き
あとで送ってもらうように頼んでいた
ー昔の記憶ー
最終試合終了後
麗日はリカバリーガールの治療を受け
控え室まで戻ってきた
すると控えめなノックが聞こえたあと
緑谷がそっと控え室に入ってきた
「あの・・・麗日さん・・・。」
麗日はグッと拳を固く握ると
いつもの明るい顔で
緑谷に話しかける
「いや~!負けてしまったぁ!残念残念!爆豪君強すぎるよ、本当!」
内心は今すぐにでも泣きたくて
悔しくてどうしようもなかった
しかし緑谷がいる手前
心配をかけたくないのと
弱い自分を見られるのが
恥ずかしい気がして
気丈に振舞ってみせた
「え・・・?あ・・・。麗日さん、怪我は大丈夫?」
予想外の反応に緑谷は驚くも
そこはあえて触れず声をかけた
その言葉に
麗日もニッコリと微笑むと
握りしめていた
麗日の携帯電話が震え始めた
ディスプレイには「父ちゃん」の文字
緑谷がいる手前
もし電話に出てしまったら
きっと我慢していた涙が流れてしまう
麗日はそっと握っていた手を
見つめていた
すると部屋にあるスピーカーから
切島対鉄哲の試合の実況と
切島の勝利を伝える
プレゼントマイクの声が聞こえた
それを聞いた緑谷は
少し緊張気味に部屋をあとにした
「電話・・・さっきごめんな父ちゃん?」
震える携帯を手に取り
ボタンを押して話し始める麗日
電話の向こうから聞こえる父の声に
より一層涙を堪え
気丈に振舞おうとした
しかしそこは高校生と言えどまだ子供
つい本音が漏れてしまう
「勝ち進めばそんだけ・・・色んなタイプへの対応とか見せられんねん・・・。だって・・・私・・・父ちゃん母ちゃん、楽させるって約束したの・・・に・・・。」
ついに零れた大粒の涙
1度流れた涙を止めることは出来ず
ただ嗚咽を漏らしながら
ボロボロと泣き始めた
「お茶子はもう、急がんでも大丈夫やで。・・・そんななるぐらい優しいお茶子は絶対良いヒーローになるって分かっとるから。」
父からの言葉は
麗日の心をさらに熱くさせ
流れる涙を止めることをやめた
そのまま泣き続けること数分
少し気持ちが落ち着いてきた麗日は
父にお礼を言う
そしてこの後の試合を応援したいからと言い
電話を切ろうとする
しかし父は何かを思い出したかのように
電話を切ることを止める
「そうや、お茶子!母ちゃんが言ってたんやけど、お前と同じクラスの、えっと・・・なんて名前やったやろ?・・・なぁ、母ちゃん~!!あの風を使う子、なんて名前やったやろ?」
麗日は父の言葉に
すぐに豊香の事だと分かった
「それ、東雲君やろ?黒髪の少し身長が高めの。どうかしたの?」
麗日は不思議だった
確かに体育祭では
豊香は『個性』を使って
目立つような場面はあった
しかし、それでも緑谷や轟、爆豪に比べると
インパクトはそれほどでもない
ましてや念願の雄英高校での学生生活
親元を離れ一人暮らしとなり
学校生活や日常の出来事などを
電話でたまに話すことはあったが
豊香の話はしたことがない
麗日はいくら考えても
答えにたどり着くことはできなかった
「いや~他人の空似だとは思うんやけど、お茶子、昔おばあちゃん家に1人で行った事あったやろ?そん時、仲良くなった女の子にどことなく似てるな~と思ったんよ!」
まぁ俺も母ちゃんも
直接会った訳では無いから
勘違いかもしれんなと
笑いながら話す父に
麗日は妙に引っ掛かりを覚えた
「なぁ、父ちゃん!その話、詳しく教えて!!」
その後、父から聞いた話は
どこか他人事のようだったが
なんとなく覚えている部分もあった
まるで記憶の一部が
モヤがかかったようである
麗日はその女の子が写っている写真が
1枚だけ残っていると聞き
あとで送ってもらうように頼んでいた