心地よい風が吹くまで
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36、思い出
ー正体は?ー
「ん・・・あぁ・・・何時だ?」
爆豪は日の光を浴びて目覚めた
目の前には見知らぬ部屋の天井
少し目線を下げると
大きな窓の隙間から朝日が漏れている
爆豪は頭の上に置いてある携帯に手を伸ばし
時刻を確認した
『6:30』
普段であれば
トレーニングをしている時間なのだが
昨日の夜はなかなか寝付けず
気づいたら朝を迎えていたのだ
ふと、違和感を覚えた爆豪は
布団の反対側に目を向けた
そこには寝ているはずの豊香の姿はなく
その代わりかすかな温もりだけが残っている
爆豪はゆっくりと起き上がり
辺りを見回す
これといってごちゃごちゃと
物が置いてあるわけでもなく
あるのは机と椅子
机の上には少しの参考書と筆記用具
そして古臭い帽子が置いてあった
爆豪は布団から出ると
机の上にあった帽子を手に取る
サイズは子供用で
色は深い青がベース
脇には黄色と赤、白の3色のラインが
施されている
そして帽子の内側には
掠れてはいるが
子供の字で文字が書いてあった
『七ーローか⊂十』
爆豪はその文字を見るなり驚愕する
そしてその帽子を掴んだまま
部屋のドアを開けた
ドアを開けると
ふわりとバターの香りとパンの焼ける匂い
そして油のはねる音が聞こえた
爆豪がキッチンへ行くと
そこにはウインナーをつまみ食いしながら
料理をしている豊香の姿があった
「おふっ、ん・・・おはほ。バクゴー早いな。」
豊香は急いで口の中のものを飲み込むと
目の前の爆豪に挨拶をする
爆豪は返事をすることなく
手に持った帽子を前に突き出した
「これ・・・お前のか?」
豊香は目の前に突き出された帽子を見ると
どこか懐かしむような
そして柔らかな微笑みを返した
「いや、俺のじゃないんだけど・・・昔出会った小さなヒーローの帽子なんだ。」
豊香は爆豪から帽子を受け取ると
ゆっくりと撫で、そっと目を閉じ話し始めた
「俺、小さい頃他人の家に預けられてたんだけど、色々あってそこを出なくちゃならなくなって。・・・家にいるのも嫌になって、1人で近くの公園にいたら同い年ぐらいの男の子が来たんだ。」
爆豪は豊香の話を
ただじっと聞いている
「その子は俺の話を横でずっと聞いててくれて・・・俺、そん時本当つらくて、その子の前で大泣きしたんだ。そしたら、この帽子を被せてくれて・・・約束してくれたんだ。」
「約束・・・?」
爆豪はギュッと自身の手を握った
「俺がヒーローになって守ってやる。だから、その時に分かるように持ってろって。その言葉、すげー嬉しかったんだよな。でも、俺は守られる存在だけじゃなくて、守れる存在になりたい。だから、ヒーローになってもう一度その子に会いたいんだ。」
あとで名前聞き忘れたことに気づいて
公園に戻ったんだけど
結局その子には会えなかったんだよな
と苦笑しつつも
どこか嬉しそうな豊香の顔を見て
爆豪は意を決して口を開いた
「その子供だけど・・・お「おはよォォ!!よく眠れたか?」
爆豪の言葉をかき消す大声が聞こえ
清々しい顔の上鳴が
キッチンに入って来た
『ブチッッ』
何かが切れる音
上鳴は何の音かと辺りをキョロキョロするが
豊香は顔を引き攣らせ後ずさりした
「こォォのォォ・・・アホ面ッッ!!」
ドスの効いた低い声
上鳴の目の前には
両手から火花を散らし
目は普段よりももっとつり目で
眉間には深いシワが刻まれている爆豪が
今にも飛びかかろうとしていた
「ちょ!ちょ!ちょォォ!!俺が何したって言うんだ「てめぇのせいだァァー!!!覚悟しろォォ!!!」
「ぎゃー!!やめろォォー!!俺んちを燃やす気かー!!」
「ふぁ~おはッッ・・・!?ど、どうした!!」
「いや~よく寝た。お!朝から元気だな~。」
「切島も瀬呂も見てないで止めてくれー!!」
ブチ切れの爆豪
腰が抜けた上鳴
爆豪を止めようとしている豊香
あたふたする切島
とりあえずテレビをつける瀬呂
なんとか落ち着いた頃には
せっかく作った朝食も冷め
通学時間ギリギリになってしまったことは
言うまででもない
『七ーローか⊂十 (ヒーロー かつき)』
ー正体は?ー
「ん・・・あぁ・・・何時だ?」
爆豪は日の光を浴びて目覚めた
目の前には見知らぬ部屋の天井
少し目線を下げると
大きな窓の隙間から朝日が漏れている
爆豪は頭の上に置いてある携帯に手を伸ばし
時刻を確認した
『6:30』
普段であれば
トレーニングをしている時間なのだが
昨日の夜はなかなか寝付けず
気づいたら朝を迎えていたのだ
ふと、違和感を覚えた爆豪は
布団の反対側に目を向けた
そこには寝ているはずの豊香の姿はなく
その代わりかすかな温もりだけが残っている
爆豪はゆっくりと起き上がり
辺りを見回す
これといってごちゃごちゃと
物が置いてあるわけでもなく
あるのは机と椅子
机の上には少しの参考書と筆記用具
そして古臭い帽子が置いてあった
爆豪は布団から出ると
机の上にあった帽子を手に取る
サイズは子供用で
色は深い青がベース
脇には黄色と赤、白の3色のラインが
施されている
そして帽子の内側には
掠れてはいるが
子供の字で文字が書いてあった
『七ーローか⊂十』
爆豪はその文字を見るなり驚愕する
そしてその帽子を掴んだまま
部屋のドアを開けた
ドアを開けると
ふわりとバターの香りとパンの焼ける匂い
そして油のはねる音が聞こえた
爆豪がキッチンへ行くと
そこにはウインナーをつまみ食いしながら
料理をしている豊香の姿があった
「おふっ、ん・・・おはほ。バクゴー早いな。」
豊香は急いで口の中のものを飲み込むと
目の前の爆豪に挨拶をする
爆豪は返事をすることなく
手に持った帽子を前に突き出した
「これ・・・お前のか?」
豊香は目の前に突き出された帽子を見ると
どこか懐かしむような
そして柔らかな微笑みを返した
「いや、俺のじゃないんだけど・・・昔出会った小さなヒーローの帽子なんだ。」
豊香は爆豪から帽子を受け取ると
ゆっくりと撫で、そっと目を閉じ話し始めた
「俺、小さい頃他人の家に預けられてたんだけど、色々あってそこを出なくちゃならなくなって。・・・家にいるのも嫌になって、1人で近くの公園にいたら同い年ぐらいの男の子が来たんだ。」
爆豪は豊香の話を
ただじっと聞いている
「その子は俺の話を横でずっと聞いててくれて・・・俺、そん時本当つらくて、その子の前で大泣きしたんだ。そしたら、この帽子を被せてくれて・・・約束してくれたんだ。」
「約束・・・?」
爆豪はギュッと自身の手を握った
「俺がヒーローになって守ってやる。だから、その時に分かるように持ってろって。その言葉、すげー嬉しかったんだよな。でも、俺は守られる存在だけじゃなくて、守れる存在になりたい。だから、ヒーローになってもう一度その子に会いたいんだ。」
あとで名前聞き忘れたことに気づいて
公園に戻ったんだけど
結局その子には会えなかったんだよな
と苦笑しつつも
どこか嬉しそうな豊香の顔を見て
爆豪は意を決して口を開いた
「その子供だけど・・・お「おはよォォ!!よく眠れたか?」
爆豪の言葉をかき消す大声が聞こえ
清々しい顔の上鳴が
キッチンに入って来た
『ブチッッ』
何かが切れる音
上鳴は何の音かと辺りをキョロキョロするが
豊香は顔を引き攣らせ後ずさりした
「こォォのォォ・・・アホ面ッッ!!」
ドスの効いた低い声
上鳴の目の前には
両手から火花を散らし
目は普段よりももっとつり目で
眉間には深いシワが刻まれている爆豪が
今にも飛びかかろうとしていた
「ちょ!ちょ!ちょォォ!!俺が何したって言うんだ「てめぇのせいだァァー!!!覚悟しろォォ!!!」
「ぎゃー!!やめろォォー!!俺んちを燃やす気かー!!」
「ふぁ~おはッッ・・・!?ど、どうした!!」
「いや~よく寝た。お!朝から元気だな~。」
「切島も瀬呂も見てないで止めてくれー!!」
ブチ切れの爆豪
腰が抜けた上鳴
爆豪を止めようとしている豊香
あたふたする切島
とりあえずテレビをつける瀬呂
なんとか落ち着いた頃には
せっかく作った朝食も冷め
通学時間ギリギリになってしまったことは
言うまででもない
『七ーローか⊂十 (ヒーロー かつき)』