心地よい風が吹くまで
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34、彼の心 彼女は知らず
ー入る前にノックをしましょうー
「お先、悪いな東雲。」
豊香は声の主の方を見る
そこにはタオルを首から下げた
切島の姿があった
あれから駅前のドンキに行き
買い物と食事を済ませると
順々に風呂に入り
残るは豊香だけだった
「あぁ、気にすんなって。切島、冷凍庫にアイスあるから好きなの食べて。飲み物は冷蔵庫にあるから。」
コップは食器棚から好きなの使ってと言い
豊香は自室に入り
そして着替えを持って
バスルームへ消えていった
「切島~麦茶取って~。」
キッチンへ行こうとする切島に
ソファーに寝転びながら
テレビを見る上鳴がお願いをする
切島はキッチンに行くと
食器棚からコップを取り出し
麦茶を注ぐと
冷凍庫から出したアイスとともに
リビングへ戻った
「はいよ。・・・上鳴、ちゃんと起きて飲まないとこぼすぞ?」
まるで母親のような言葉に
上鳴は軽く返事をするも
目線はテレビに向けたまま
コップを受け取る
しかしきちんと持てていなかったため
コップは上鳴の手をすり抜け
ソファーに麦茶をこぼしながら床に落ちた
「うわッッ!!やっちまった!!タオルタオル!!」
上鳴はコップを拾い上げ
ソファーと床にこぼれた麦茶を拭こうとした
「だから言っただろ?ほら!」
切島もこぼれた麦茶を見て
自身の首にかかっていたタオルで
急いで拭いた
「あーぁ。何やってんだよ、上鳴。」
リビング横の和室に寝転んでいた瀬呂も
2人の声を聞き起き上がった
「ったく、うるせーよ、モブ共。」
ダイニングで携帯を弄っていた爆豪も
2人の声に携帯から目線を離した
「あー。流石にタオル1枚だとソファーは拭けないな。風呂場にタオルあったよな、俺取ってくる!」
上鳴はソファーから下りると
真っ直ぐバスルームへ向かった
それを見ていた爆豪は
慌ててテーブルの上にあったティッシュ箱を
上鳴目掛けて投げた
「くそモブ、てめぇはティッシュで拭いてろ。タオルは俺が持ってくる。」
爆豪はリビングを抜け
そそくさとバスルームへ向かっていった
「お・・・おう。あいつ・・・意外と良い奴?」
残された3人は爆豪が去ったドアを
ただ見つめていた
「~♪」
豊香は鼻歌交じりで
頭を洗っている
これまで仲良くしてきた子達はいたが
家にまで呼んだことは1度もなかった
別に呼ばなかった訳では無いが
無意識に避けてしまっていたのだと
あとから気づいた
それは決して彼らのことが
嫌いだったということではなく
万が一、敵が来た時のことを
考えてしまったからである
しかし、今日来ているメンバーは別だ
例え敵が来たとしても彼らなら大丈夫
まだ出会って数ヶ月ではあるが彼らは強い
そう確信しているからこそ
今日の誘いにのったのだ
お風呂を上がったら
何をしようか
そんなことを考えていると
ドアを叩く音と
微かに声が聞こえる
何を言っているかは分からないが
何度もドアを叩く音が聞こえる
「誰~?」
豊香は頭に残った泡を流しながら
返事をする
しかし帰ってきた返事は
内容まで聞き取れない
「も~誰だよ。」
気になった豊香は
おもむろにお風呂のドアを開けた
「はい、は「てめぇ!!!いい加減あけ・・・る・・・ッッ」
ドアを開けた瞬間
廊下とお風呂を繋ぐドアが開き
目の前には鬼の形相の爆豪が立っていた
しかし鬼の形相だった爆豪も
目の前にいる豊香と目が合うと
驚いた顔をしたと思ったら
顔面を真っ赤にして
金魚のようにパクパクと口を開いていた
そしてすぐにこめかみをヒクヒクさせ
目線を下に下げたまま
ズカズカと脱衣所に入り
豊香の頭を押し込み
お風呂のドアを勢いよく閉めた
「入るって何回も言ってんだろくそモブ!!てめぇドア開けてんじゃねえよ!!」
そう言い放つと
爆豪は棚に置いてあったタオルを掴み
足早に脱衣所を出ていった
爆豪に押し込められ
床に座り込んでしまった豊香
頭の中は真っ白だった
いくらお風呂場で湯気があったとはいえ
あの至近距離なら
ドアから身を乗り出した
豊香の体も見えていたはず
何よりもあの爆豪の反応
しかし確証はない
「ど・・・どう・・・しよ・・・う。」
豊香はそのまま床に座ったまま
呆然と扉を見つめていた
「お~東雲、だいぶ長い風呂だったな。・・・顔真っ赤だぞ?」
豊香がお風呂から上がると
ソファーには切島
奥の和室には予め敷いておいた布団の上に
上鳴と瀬呂が大の字になって寝ており
ダイニングには背を向けた爆豪が座っていた
「お・・・あ・・・うん。つい・・・な・・・。」
リビングを抜け
そそくさとキッチンへ行く豊香
冷蔵庫から麦茶を取り出しコップへ注ぐと
そのまま一気飲みをして
さらに麦茶を注ぐと
コップを手に持ってリビングへ向かった
「東雲悪い。さっき麦茶をこぼしちまって・・・。」
切島の隣に座ろうとした豊香に
切島は両手を合わせ謝った
「俺のタオルや爆豪が持ってきたタオルで拭きはしたんだけど、本当にごめん。」
話を聞けば切島と言うよりは
上鳴が全面的に悪かったが
当の本人は気持ちよさそうに寝ている
「あぁ、いいよ。気にすんなって!まぁ、俺が気にすんなって言える立場じゃねぇんだけどな。」
豊香は頭を掻きながら苦笑する
切島は豊香の言葉に
親御さんが買ったのかと聞き返すと
一瞬豊香の顔が曇った
しかしすぐに先程の苦笑いをして
言葉を続けた
「いや、俺、小さい時に両親も親戚もみんな死んじゃってて・・・今は親代わりになってくれる人のおかげで生活してて。このマンションもその人が用意してくれたんだよね。」
ちゃんとヒーローになれたら
恩返ししないといけねぇなと
明るく話す豊香ではあったが
その目には悲しみが見え隠れしていた
「悪ぃ・・・俺、知らなく「気にすんなって!もう過去のことさ!さて!そろそろ寝ようぜ!」
切島の言葉を遮るように
豊香は言葉を被せると
持っていたコップをキッチンへ運んだ
「お、おう。」
勢いに押され
切島もテーブルに残っていたコップを持ち
キッチンへ行く
「おい、クソ。このモブ共と床で寝ろ。」
キッチンから戻るなり
爆豪が上鳴達を指さし
切島に言い放つ
布団は3組
本当は4人で雑魚寝をするはずだったが
先に上鳴と瀬呂が大の字で寝ており
残るスペースは一人分
しかしそれを見た爆豪は
邪魔だと言わんばかりに
彼らと切島を床に追いやろうとしていた
「いやいやいや、そりゃないだろ?せめて2人はそのままで、余ったスペースに爆豪が寝ろよ?俺はソファーで寝るからさ。」
困った顔で切島が打開案を提示するも
納得しない爆豪
「なら俺がソファーで寝るから、爆豪は俺のベッド使えよ?な?それならゆっくり寝れるぜ?俺のベッド広いから。」
豊香も打開案を提示する
するとその言葉を聞いた切島から
思いもよらない案を提示された
「東雲の家なのに、それはダメだろ?なら、爆豪は東雲のベッドで一緒に寝ろよ?お!それいいな!決定!!じゃ、おやすみ!!」
そう言い残すと
切島はそそくさと
2人の寝ている布団に入り寝始めた
「おッてめぇ!勝手に決めてんじゃねぇぞクソが!」
爆豪の必死の抵抗も虚しく
切島の耳に届くことは無かった
残された2人
暫しの無言
寝息だけが聞こえる空間に
豊香の声が通る
「とりあえず・・・寝る?」
爆豪の心 豊香は知らず
ー入る前にノックをしましょうー
「お先、悪いな東雲。」
豊香は声の主の方を見る
そこにはタオルを首から下げた
切島の姿があった
あれから駅前のドンキに行き
買い物と食事を済ませると
順々に風呂に入り
残るは豊香だけだった
「あぁ、気にすんなって。切島、冷凍庫にアイスあるから好きなの食べて。飲み物は冷蔵庫にあるから。」
コップは食器棚から好きなの使ってと言い
豊香は自室に入り
そして着替えを持って
バスルームへ消えていった
「切島~麦茶取って~。」
キッチンへ行こうとする切島に
ソファーに寝転びながら
テレビを見る上鳴がお願いをする
切島はキッチンに行くと
食器棚からコップを取り出し
麦茶を注ぐと
冷凍庫から出したアイスとともに
リビングへ戻った
「はいよ。・・・上鳴、ちゃんと起きて飲まないとこぼすぞ?」
まるで母親のような言葉に
上鳴は軽く返事をするも
目線はテレビに向けたまま
コップを受け取る
しかしきちんと持てていなかったため
コップは上鳴の手をすり抜け
ソファーに麦茶をこぼしながら床に落ちた
「うわッッ!!やっちまった!!タオルタオル!!」
上鳴はコップを拾い上げ
ソファーと床にこぼれた麦茶を拭こうとした
「だから言っただろ?ほら!」
切島もこぼれた麦茶を見て
自身の首にかかっていたタオルで
急いで拭いた
「あーぁ。何やってんだよ、上鳴。」
リビング横の和室に寝転んでいた瀬呂も
2人の声を聞き起き上がった
「ったく、うるせーよ、モブ共。」
ダイニングで携帯を弄っていた爆豪も
2人の声に携帯から目線を離した
「あー。流石にタオル1枚だとソファーは拭けないな。風呂場にタオルあったよな、俺取ってくる!」
上鳴はソファーから下りると
真っ直ぐバスルームへ向かった
それを見ていた爆豪は
慌ててテーブルの上にあったティッシュ箱を
上鳴目掛けて投げた
「くそモブ、てめぇはティッシュで拭いてろ。タオルは俺が持ってくる。」
爆豪はリビングを抜け
そそくさとバスルームへ向かっていった
「お・・・おう。あいつ・・・意外と良い奴?」
残された3人は爆豪が去ったドアを
ただ見つめていた
「~♪」
豊香は鼻歌交じりで
頭を洗っている
これまで仲良くしてきた子達はいたが
家にまで呼んだことは1度もなかった
別に呼ばなかった訳では無いが
無意識に避けてしまっていたのだと
あとから気づいた
それは決して彼らのことが
嫌いだったということではなく
万が一、敵が来た時のことを
考えてしまったからである
しかし、今日来ているメンバーは別だ
例え敵が来たとしても彼らなら大丈夫
まだ出会って数ヶ月ではあるが彼らは強い
そう確信しているからこそ
今日の誘いにのったのだ
お風呂を上がったら
何をしようか
そんなことを考えていると
ドアを叩く音と
微かに声が聞こえる
何を言っているかは分からないが
何度もドアを叩く音が聞こえる
「誰~?」
豊香は頭に残った泡を流しながら
返事をする
しかし帰ってきた返事は
内容まで聞き取れない
「も~誰だよ。」
気になった豊香は
おもむろにお風呂のドアを開けた
「はい、は「てめぇ!!!いい加減あけ・・・る・・・ッッ」
ドアを開けた瞬間
廊下とお風呂を繋ぐドアが開き
目の前には鬼の形相の爆豪が立っていた
しかし鬼の形相だった爆豪も
目の前にいる豊香と目が合うと
驚いた顔をしたと思ったら
顔面を真っ赤にして
金魚のようにパクパクと口を開いていた
そしてすぐにこめかみをヒクヒクさせ
目線を下に下げたまま
ズカズカと脱衣所に入り
豊香の頭を押し込み
お風呂のドアを勢いよく閉めた
「入るって何回も言ってんだろくそモブ!!てめぇドア開けてんじゃねえよ!!」
そう言い放つと
爆豪は棚に置いてあったタオルを掴み
足早に脱衣所を出ていった
爆豪に押し込められ
床に座り込んでしまった豊香
頭の中は真っ白だった
いくらお風呂場で湯気があったとはいえ
あの至近距離なら
ドアから身を乗り出した
豊香の体も見えていたはず
何よりもあの爆豪の反応
しかし確証はない
「ど・・・どう・・・しよ・・・う。」
豊香はそのまま床に座ったまま
呆然と扉を見つめていた
「お~東雲、だいぶ長い風呂だったな。・・・顔真っ赤だぞ?」
豊香がお風呂から上がると
ソファーには切島
奥の和室には予め敷いておいた布団の上に
上鳴と瀬呂が大の字になって寝ており
ダイニングには背を向けた爆豪が座っていた
「お・・・あ・・・うん。つい・・・な・・・。」
リビングを抜け
そそくさとキッチンへ行く豊香
冷蔵庫から麦茶を取り出しコップへ注ぐと
そのまま一気飲みをして
さらに麦茶を注ぐと
コップを手に持ってリビングへ向かった
「東雲悪い。さっき麦茶をこぼしちまって・・・。」
切島の隣に座ろうとした豊香に
切島は両手を合わせ謝った
「俺のタオルや爆豪が持ってきたタオルで拭きはしたんだけど、本当にごめん。」
話を聞けば切島と言うよりは
上鳴が全面的に悪かったが
当の本人は気持ちよさそうに寝ている
「あぁ、いいよ。気にすんなって!まぁ、俺が気にすんなって言える立場じゃねぇんだけどな。」
豊香は頭を掻きながら苦笑する
切島は豊香の言葉に
親御さんが買ったのかと聞き返すと
一瞬豊香の顔が曇った
しかしすぐに先程の苦笑いをして
言葉を続けた
「いや、俺、小さい時に両親も親戚もみんな死んじゃってて・・・今は親代わりになってくれる人のおかげで生活してて。このマンションもその人が用意してくれたんだよね。」
ちゃんとヒーローになれたら
恩返ししないといけねぇなと
明るく話す豊香ではあったが
その目には悲しみが見え隠れしていた
「悪ぃ・・・俺、知らなく「気にすんなって!もう過去のことさ!さて!そろそろ寝ようぜ!」
切島の言葉を遮るように
豊香は言葉を被せると
持っていたコップをキッチンへ運んだ
「お、おう。」
勢いに押され
切島もテーブルに残っていたコップを持ち
キッチンへ行く
「おい、クソ。このモブ共と床で寝ろ。」
キッチンから戻るなり
爆豪が上鳴達を指さし
切島に言い放つ
布団は3組
本当は4人で雑魚寝をするはずだったが
先に上鳴と瀬呂が大の字で寝ており
残るスペースは一人分
しかしそれを見た爆豪は
邪魔だと言わんばかりに
彼らと切島を床に追いやろうとしていた
「いやいやいや、そりゃないだろ?せめて2人はそのままで、余ったスペースに爆豪が寝ろよ?俺はソファーで寝るからさ。」
困った顔で切島が打開案を提示するも
納得しない爆豪
「なら俺がソファーで寝るから、爆豪は俺のベッド使えよ?な?それならゆっくり寝れるぜ?俺のベッド広いから。」
豊香も打開案を提示する
するとその言葉を聞いた切島から
思いもよらない案を提示された
「東雲の家なのに、それはダメだろ?なら、爆豪は東雲のベッドで一緒に寝ろよ?お!それいいな!決定!!じゃ、おやすみ!!」
そう言い残すと
切島はそそくさと
2人の寝ている布団に入り寝始めた
「おッてめぇ!勝手に決めてんじゃねぇぞクソが!」
爆豪の必死の抵抗も虚しく
切島の耳に届くことは無かった
残された2人
暫しの無言
寝息だけが聞こえる空間に
豊香の声が通る
「とりあえず・・・寝る?」
爆豪の心 豊香は知らず