心地よい風が吹くまで
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30、秘密
ーお前は誰だ?ー
豊香が目覚める少し前
『カラカラカラカラ』
病室のドアを開ける音が響き
1人の人物が部屋に入ってきた
『爆豪勝己』である
部屋の真ん中にはベッドがひとつ
そのベッドからは
規則正しい寝息が聞こえている
爆豪は静かにドアを閉め
ベッドの傍へ歩いていく
「まだ寝てやがるのか。・・・早く起きやがれ・・・クソ女野郎ッッ。」
お見舞いの時にかける言葉とは
到底思えないような暴言ではあるが
言葉を発した爆豪の顔は
どこか思い詰めたような表情である
爆豪は手に持っていた袋から
小さな箱を取り出し
テレビ台に置こうとする
「んッッ・・・?」
寝ていたはずの豊香の口から
声が発せられた
爆豪は咄嗟に目に入った扉を開け
中に飛び込む
そこには豊香の制服やバッグが
入っているクローゼットだった
な、なんで俺は隠れてるんだッッ!
くそッッ!!
爆豪は自分の行動に苛立つも
それよりも豊香に対して
どんな顔をして
クローゼットから出たらいいのか
必死に考えるも答えは出てこない
そうこうしているうちに
ドアを開ける音が聞こえた
「よォォォォッッ!ついに起きたか、眠り姫!疲れは取れたかーい!!!」
プレゼントマイクの声である
ますますクローゼットから
出られなくなった爆豪
幸いクローゼットには背の低い収納があり
座ることも可能だ
こうなれば
もうクローゼットの中で耐えるしかない
バレたらその時に考えよう
と爆豪は開き直り
収納に腰掛けた
すると豊香の声と
いつもより真面目なマイクの声が聞こえる
「敵 連合の雑魚は全て捕まえたぜ。ただ、主犯格の死柄木、黒霧については逃げられている。1-Aについては緑谷を除いて殆どは無事だ。緑谷は自身の個性の使いすぎでボロボロなだけだけどな。あと、イレイザーだが・・・」
昨日のUSJ事件の結果を伝えているようだ
すると話の途中で
突如ベッドが軋む音や布団が摺れる音
二人の言い争う声が聞こえた
「は、離してマイク!!消太さんの所に行かないとッッ!!・・・い、嫌だァァ!!はな「いい加減にしろォォッッ!!!!」
乾いた音が部屋の中に響く
暫しの静寂
どこか悲しみのようなものが
感じられるマイクの声が聞こえてきた
「ボロボロのお前を見て、イレイザーは何を思う?・・・豊香が行きたい気持ちはよくわかるが・・・。」
爆豪は違和感を覚える
豊香?
誰のことだ?
今話をしているのは
クソ女野郎とプレゼントマイクのはず
それに呼びはしないが
あいつの名前は東雲 豊のはずだ・・・
「全く・・・お前は強いかもしれないけど、まだ15歳の女の子なんだからよォォ・・・。自分を大切にしろよなァァ。イレイザーも俺もいるんだから、もう少し頼ってこいよォォ。」
更なるマイクの言葉に
爆豪は訳が分からなくなった
女の子?
あいつは男だろ?
本当にクソ女野郎の名前が豊香であるなら
なぜ性別も名前も偽る必要があるんだ?
爆豪は色々な可能性を考えるも
答えにはたどり着けない
困惑している爆豪をよそに
マイクは話を続ける
「あと・・・蛙吹を助けた時、あの『個性』を使ったんだってな・・・。」
マイクから聞こえた『個性』という言葉
そしてその『個性』が原因で
豊香が狙われているという事実
確かに豊香の個性は強力だが
狙われるほどのものでは無いはず
いつの間にか話に夢中になっていたのか
爆豪は手に持っていた箱を落としそうになる
「ッッ!!」
間一髪の所で箱を掴んだため
落とさずに済んだ
「はぁ・・・『ガタッッ』・・・ッッ!?」
爆豪はサーっと血の気が引いた
音のする方を見ると
そこには爆豪のポケットに入っているはずの
携帯が落ちている
箱を取ろうと前のめりになった際
ポケットから落としてしまったようだ
「誰だァァ!!」
マイクの鋭い声に
爆豪は焦った
クローゼットにいることがバレるのも
気まずいが
何よりも豊香の秘密を
盗み聞きしてしまったことが
1番気まずい
聞こえてしまうのではないかと思うぐらい
早く鼓動している爆豪の心臓
少しずつ近づく足音
爆豪は固く目をつぶった
開く気配のない扉
爆豪は恐る恐る目を開ける
そこには先ほどと変わらない
扉の木目が見えた
「東雲(君)(ちゃん)」
扉の向こうから
聞き覚えのある声が聞こえてきた
同時にマイクが退出していったのが分かった
ほっと胸をなでおろす爆豪だったが
3人が来たことで
これ以上の失敗は出来ないと
細心の注意を払った
それからは特に何も起きず
4人の会話が聞こえてくるだけ
何となく申し訳ない気がした爆豪は
あまり会話の内容は聞かないようにして
少しずつ夢の中に入りつつあった
出来れば横になりたいと
思っていた爆豪であったが
蛙吹の言葉に眠気が飛んだ
「そういえば・・・。東雲ちゃん、私、思ったことはなんでも言っちゃうの・・・。私の顔に敵 の手が触れそうになった時、何故か敵 は手を下ろし、ゆっくりと私達から離れていったの。その時の敵 は、自身の行動に驚いていたわ。まるで・・・自分の意思ではない、何かしらの個性で操られているようだったわ。」
爆豪は納得した
先程の豊香とマイクの会話にでてきた
『個性』とはきっとこの事だったと
しかし、そうなると豊香の個性は
複数あることになる
爆豪自身
複数の個性を持つ者を見たことがないため
半信半疑である
しかし、そのあとの豊香の動揺具合が
更に爆豪に確信を持たせる
その後、看護師が入ってきたため
会話は終了となり
車椅子を引く音と
ドアを閉める音が聞こえた
爆豪がそっと扉を開けると
そこには誰もおらず
もぬけの殻になったベッドだけが
残されていた
「あいつは一体、誰なんだ・・・?」
1人残された爆豪はぽつりと呟くと
先程潰してしまった箱を軽く引っ張り
形を整えると机の上に置いた
そしてドアを開け
そそくさと病室をあとにした
ーお前は誰だ?ー
豊香が目覚める少し前
『カラカラカラカラ』
病室のドアを開ける音が響き
1人の人物が部屋に入ってきた
『爆豪勝己』である
部屋の真ん中にはベッドがひとつ
そのベッドからは
規則正しい寝息が聞こえている
爆豪は静かにドアを閉め
ベッドの傍へ歩いていく
「まだ寝てやがるのか。・・・早く起きやがれ・・・クソ女野郎ッッ。」
お見舞いの時にかける言葉とは
到底思えないような暴言ではあるが
言葉を発した爆豪の顔は
どこか思い詰めたような表情である
爆豪は手に持っていた袋から
小さな箱を取り出し
テレビ台に置こうとする
「んッッ・・・?」
寝ていたはずの豊香の口から
声が発せられた
爆豪は咄嗟に目に入った扉を開け
中に飛び込む
そこには豊香の制服やバッグが
入っているクローゼットだった
な、なんで俺は隠れてるんだッッ!
くそッッ!!
爆豪は自分の行動に苛立つも
それよりも豊香に対して
どんな顔をして
クローゼットから出たらいいのか
必死に考えるも答えは出てこない
そうこうしているうちに
ドアを開ける音が聞こえた
「よォォォォッッ!ついに起きたか、眠り姫!疲れは取れたかーい!!!」
プレゼントマイクの声である
ますますクローゼットから
出られなくなった爆豪
幸いクローゼットには背の低い収納があり
座ることも可能だ
こうなれば
もうクローゼットの中で耐えるしかない
バレたらその時に考えよう
と爆豪は開き直り
収納に腰掛けた
すると豊香の声と
いつもより真面目なマイクの声が聞こえる
「
昨日のUSJ事件の結果を伝えているようだ
すると話の途中で
突如ベッドが軋む音や布団が摺れる音
二人の言い争う声が聞こえた
「は、離してマイク!!消太さんの所に行かないとッッ!!・・・い、嫌だァァ!!はな「いい加減にしろォォッッ!!!!」
乾いた音が部屋の中に響く
暫しの静寂
どこか悲しみのようなものが
感じられるマイクの声が聞こえてきた
「ボロボロのお前を見て、イレイザーは何を思う?・・・豊香が行きたい気持ちはよくわかるが・・・。」
爆豪は違和感を覚える
豊香?
誰のことだ?
今話をしているのは
クソ女野郎とプレゼントマイクのはず
それに呼びはしないが
あいつの名前は東雲 豊のはずだ・・・
「全く・・・お前は強いかもしれないけど、まだ15歳の女の子なんだからよォォ・・・。自分を大切にしろよなァァ。イレイザーも俺もいるんだから、もう少し頼ってこいよォォ。」
更なるマイクの言葉に
爆豪は訳が分からなくなった
女の子?
あいつは男だろ?
本当にクソ女野郎の名前が豊香であるなら
なぜ性別も名前も偽る必要があるんだ?
爆豪は色々な可能性を考えるも
答えにはたどり着けない
困惑している爆豪をよそに
マイクは話を続ける
「あと・・・蛙吹を助けた時、あの『個性』を使ったんだってな・・・。」
マイクから聞こえた『個性』という言葉
そしてその『個性』が原因で
豊香が狙われているという事実
確かに豊香の個性は強力だが
狙われるほどのものでは無いはず
いつの間にか話に夢中になっていたのか
爆豪は手に持っていた箱を落としそうになる
「ッッ!!」
間一髪の所で箱を掴んだため
落とさずに済んだ
「はぁ・・・『ガタッッ』・・・ッッ!?」
爆豪はサーっと血の気が引いた
音のする方を見ると
そこには爆豪のポケットに入っているはずの
携帯が落ちている
箱を取ろうと前のめりになった際
ポケットから落としてしまったようだ
「誰だァァ!!」
マイクの鋭い声に
爆豪は焦った
クローゼットにいることがバレるのも
気まずいが
何よりも豊香の秘密を
盗み聞きしてしまったことが
1番気まずい
聞こえてしまうのではないかと思うぐらい
早く鼓動している爆豪の心臓
少しずつ近づく足音
爆豪は固く目をつぶった
開く気配のない扉
爆豪は恐る恐る目を開ける
そこには先ほどと変わらない
扉の木目が見えた
「東雲(君)(ちゃん)」
扉の向こうから
聞き覚えのある声が聞こえてきた
同時にマイクが退出していったのが分かった
ほっと胸をなでおろす爆豪だったが
3人が来たことで
これ以上の失敗は出来ないと
細心の注意を払った
それからは特に何も起きず
4人の会話が聞こえてくるだけ
何となく申し訳ない気がした爆豪は
あまり会話の内容は聞かないようにして
少しずつ夢の中に入りつつあった
出来れば横になりたいと
思っていた爆豪であったが
蛙吹の言葉に眠気が飛んだ
「そういえば・・・。東雲ちゃん、私、思ったことはなんでも言っちゃうの・・・。私の顔に
爆豪は納得した
先程の豊香とマイクの会話にでてきた
『個性』とはきっとこの事だったと
しかし、そうなると豊香の個性は
複数あることになる
爆豪自身
複数の個性を持つ者を見たことがないため
半信半疑である
しかし、そのあとの豊香の動揺具合が
更に爆豪に確信を持たせる
その後、看護師が入ってきたため
会話は終了となり
車椅子を引く音と
ドアを閉める音が聞こえた
爆豪がそっと扉を開けると
そこには誰もおらず
もぬけの殻になったベッドだけが
残されていた
「あいつは一体、誰なんだ・・・?」
1人残された爆豪はぽつりと呟くと
先程潰してしまった箱を軽く引っ張り
形を整えると机の上に置いた
そしてドアを開け
そそくさと病室をあとにした