心地よい風が吹くまで
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29、正体
ーもしかしてー
豊香はマイクの言葉で
バツが悪くなった
「はぁぁ・・・まぁ今回は緊急事態だったから、そこまでイレイザーも怒ってはないが・・・その『個性』が原因で倒れてるんだし・・・。何より、お前はその『個性』で狙われているんだから、気をつけろよォォ。相手に勘づかれたらどうするんだ・・・。」
豊香は何も言い返せない
それもそのはず
マイクの言っていることは
正論であるからだ
マイクの言っている『個性』は
『操風』のことではない
『個性』の正体は『支配』
操支の家に代々受け継がれてきた『個性』
豊香は今の時代にも珍しい
複数の個性の持ち主だ
強力な個性ゆえに
決して人前で発動させたりはしてはいけない
またこの『個性』は集中力が必要なため
発動させた後は倦怠感と強烈な頭痛に襲われる
この『個性』が原因で
豊香は今まで狙われているのだ
豊香は言い返すことが出来ず
伏せ目がちにマイクをみると
渋々返事をする
「分かればいいが・・・気をつけろよ豊香、おま
『ガタッッ!!!』
・・・!?・・・誰だァァ!!」
何かがぶつかったような物音
マイクは辺りを見回すも
動いたようなものはない
ドアを開け廊下を見る
そこには患者と看護師の姿が見えた
「なんだったんだ?誰か「プレゼントマイク先生?」
キョロキョロと廊下を見ていると
ふいに声をかけられた
マイクは声の方に振り向くと
そこには切島と麗日、蛙吹の姿があった
「よォォッッ!ユー達、どうしたァァ?」
マイクはいつも通りのテンションで
3人に話しかける
「俺、東雲に謝りたくて来ました。そしたら、受付で麗日と梅雨ちゃんに会って。」
切島は頭を掻きながら
伏し目がちに答える
「私達は東雲ちゃんが心配で、お見舞いに来たケロ。そうしたら受付にいた切島ちゃんを見つけて、一緒にお見舞いに行こうってことになったのよ。」
蛙吹は手に持っている花束をマイクに見せる
隣にいる麗日も蛙吹の言葉に頷く
「おォォ!!ユー達友達想いだな!!東雲なら、さっき起きたから、おしゃべりしていきな!」
マイクは3人を快く迎え入れた
豊香はさっと布団を胸まで上げた
そして軽く3人に手を振る
マイクはもう帰るぜと言うと
3人と入れ違いで出ていった
「東雲(君)(ちゃん)」
3人は豊香の姿を見ると
安堵の表情を浮かべ近寄ってくる
「東雲、ごめん!!・・・俺達が先走って行動したために、お前に迷惑かけて。・・・爆豪にも声掛けたんだが、あいつは予定があるみたいで・・・。」
言葉が段々小さくなる切島
豊香はそんな切島に
微笑みながら頭を左右に降った
「切島や爆豪のせいじゃねぇよ。・・・この怪我も自分の未熟さゆえだから。それに・・・」
豊香はニカッと笑って言った
「お前らが飛び込まなくても、きっと俺が飛び込んでたよ。それに、お前ら助けてくれたじゃねぇか。ありがとう。」
豊香は切島に手を差し出す
切島は一瞬戸惑うが
差し出された手を握り返した
「お前、男らしいぜ東雲!!」
切島は握手している手ではない方で
豊香の背中を叩く
「東雲ちゃん・・・。」
霧島の後ろから
顔を覗かせる蛙吹
あぁ、良かった
傷とかはみられないな・・・。
豊香はほっとして
柔らかな微笑みを返す
「梅雨ちゃん・・・。無事でよかった。」
豊香のその言葉を聞くと
蛙吹の目にはうっすらと涙がみえた
「東雲君も無事でよかった。うち、めちゃくちゃ心配したんよ?身体はもう平気?」
麗日が心配そうに覗き込んでくる
豊香は両手をブラブラとさせて
身体が大丈夫なことを示した
「この通り、ピンピンしてるよ。さっき起きたばかりだから、まだボーっとしてるかもしれないけどな。」
豊香の言葉に
3人は笑みを浮かべると
思い思いに話をし始めた
それから蛙吹と麗日が持ってきた
プリンを4人で食べ始めた
今日はUSJ襲撃があったため
休校になっていること
オールマイトと緑谷も怪我はしていたものの
リカバリーガールの治癒で治ったこと
13号と相澤は同じ病院に運び込まれ
治療もある程度終わったため
この後、退院するとのことだった
「そっか・・・みんな、無事でよかった。」
豊香は優しく微笑むも
瞳の奥には悲しみも見え隠れしていた
「そういえば・・・。東雲ちゃん、私、思ったことはなんでも言っちゃうの・・・。」
唐突に蛙吹が聞いてきた
「ん?・・・何、梅雨ちゃん?」
蛙吹の質問に
豊香はプリンを口に運ぶ手を
寸前で止めた
「私の顔に敵 の手が触れそうになった時、何故か敵 は手を下ろし、ゆっくりと私達から離れていったの。その時の敵 は、自身の行動に驚いていたわ。まるで・・・自分の意思ではない、何かしらの個性で操られているようだったわ。」
豊香は手に持っていた
スプーンを落としそうになった
蛙吹の言う個性は
豊香の個性「支配」である
緊迫した状態であるにも関わらず
蛙吹はしっかりと状況を把握し
敵 の異変に気づいていた
それを聞いていた2人も
不思議そうな顔をして豊香を見つめる
「東雲ちゃん、あなた・・・」
蛙吹の言葉に
ゴクリと唾を飲む豊香
スプーンを持つ手に
無意識に力が籠る
「あ・・・つy『コンッコンッ』
豊香が言葉を発しようとした時
ドアをノックする音が病室に響いた
「すみませ~ん。東雲さん、これから診察を行いたいので、いいですか~?」
ドアが開くと
隙間から看護師が顔を覗かせる
「あ、は~い。・・・悪い、診察に行かないと。」
豊香はそそくさと
手に持っていたプリンに蓋をして
片付けを始めた
「じゃ、じゃあ・・・うちらもそろそろ行こうか!ねっ!」
麗日は2人の背中に軽くタッチして
片付けを促した
そして余ったプリンを冷蔵庫にしまおうとして
ふと豊香の横にある紙袋が目に入った
「あれ?東雲君、これは冷蔵庫にしまう?」
麗日の声に
よそよそしかった豊香も振り向いた
紙袋をよく見ると
近くの和菓子屋さんの袋だった
「あ・・・中身見てない。さっきマイク・・・先生が持ってきてくれたんだ・・・。」
豊香は麗日から紙袋を受け取り
中身を確認する
袋を開けると中には
豊香の好きなきんつばやどら焼きなどの
和菓子が詰め込まれていた
しかしその中には一つだけ
違うものが紛れていた
「メッセージカード?・・・あ・・・ッッ。」
豊香はメッセージカードを取り出し
書いてあるメッセージを読む
『無事でよかった。先に退院する。早く治せ。』
綺麗な字で書かれたメッセージ
名前は書かれていなかったが
すぐに豊香には送り主が分かった
豊香は麗日に紙袋のみを渡し
冷蔵庫に入れてもらうようにお願いする
車椅子を持ってきた看護師に
豊香は苦笑するも
素直に車椅子に乗った
3人とともに部屋を出た豊香
向かう方向が違うため
3人とはここでお別れとなる
「今日はありがとう。明日には退院できるみたいだから、また明後日会おうぜ。」
豊香は3人にお礼を言い
手を振った
3人も手を振り返し
反対方向に歩いていった
「あッッ!!梅雨ちゃん!!」
豊香は思い出したかのように
蛙吹の名を呼んだ
呼ばれた蛙吹はもちろん
切島も麗日も豊香の方を振り返る
「さっきの・・・俺、あの時の記憶があやふやで・・・ごめん。でも、俺・・・。」
確かに豊香の記憶はあやふやである
しかし『個性』については
まだ話すことは出来ない
話すことになれば
豊香が女であることが分かってしまう
豊香は謝ることしか出来ず
頭をうなだれる
「梅雨ちゃんを助けたい一心で・・・叫んでて・・・。」
豊香は膝の上にある
両手を固く握っていた
すると蛙吹は豊香の元に戻り
豊香の手に自身の手を重ねた
豊香が顔を上げると
そこには温かなほほ笑みを浮かべる
蛙吹の顔があった
「ありがとう、東雲ちゃん・・・。東雲ちゃんの気持ちはよく分かったわ・・・。また話せる時が来たら・・・今度こそ教えてちょうだいケロ。」
蛙吹は豊香にだけ聞こえる声で話すと
切島と麗日のいる位置に戻り
2人とともに去っていった
あぁ、やっぱり梅雨ちゃんには
隠せないな・・・。
豊香はいつか『個性』のことも
豊香のことも話せるようになったら
真っ先に蛙吹に話そうと心の中に決め
診察室に向かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おまけ
『ガラガラガラッッ』
診察を終えて
病室に戻ってきた豊香
ベッドの上には
机と病院の夕食と小さな箱が用意されていた
「ん?・・・なんだ、この箱。」
ベッドに戻った豊香は
机の上に置かれた箱を手に取る
その箱は豊香の手に
すっぽりと収まるサイズだった
その箱には県外にある
有名な洋菓子店のシールが貼られており
誰かがお見舞いに来てくれたことが分かった
しかし箱をよく見てみると
所々歪んでおり
まるで箱ごと力を込めて握ってしまい
頑張って直したようだった
豊香は不思議に思うも
箱を開けて中身を確認する
中にはチョコや苺のフレーバークッキー
アールグレイのパウンドケーキ
マカロンなどの洋菓子が入っていた
「うわーァァッッ!!美味しそォォ!」
甘いものが大好きな豊香にとって
嬉しいお土産であった
「きっと、クラスの誰かだろうから、あとでお礼しないと!!」
豊香はさっそく中に入っていた
クッキーを頬張り
誰がくれたのだろうか考えていた
ーもしかしてー
豊香はマイクの言葉で
バツが悪くなった
「はぁぁ・・・まぁ今回は緊急事態だったから、そこまでイレイザーも怒ってはないが・・・その『個性』が原因で倒れてるんだし・・・。何より、お前はその『個性』で狙われているんだから、気をつけろよォォ。相手に勘づかれたらどうするんだ・・・。」
豊香は何も言い返せない
それもそのはず
マイクの言っていることは
正論であるからだ
マイクの言っている『個性』は
『操風』のことではない
『個性』の正体は『支配』
操支の家に代々受け継がれてきた『個性』
豊香は今の時代にも珍しい
複数の個性の持ち主だ
強力な個性ゆえに
決して人前で発動させたりはしてはいけない
またこの『個性』は集中力が必要なため
発動させた後は倦怠感と強烈な頭痛に襲われる
この『個性』が原因で
豊香は今まで狙われているのだ
豊香は言い返すことが出来ず
伏せ目がちにマイクをみると
渋々返事をする
「分かればいいが・・・気をつけろよ豊香、おま
『ガタッッ!!!』
・・・!?・・・誰だァァ!!」
何かがぶつかったような物音
マイクは辺りを見回すも
動いたようなものはない
ドアを開け廊下を見る
そこには患者と看護師の姿が見えた
「なんだったんだ?誰か「プレゼントマイク先生?」
キョロキョロと廊下を見ていると
ふいに声をかけられた
マイクは声の方に振り向くと
そこには切島と麗日、蛙吹の姿があった
「よォォッッ!ユー達、どうしたァァ?」
マイクはいつも通りのテンションで
3人に話しかける
「俺、東雲に謝りたくて来ました。そしたら、受付で麗日と梅雨ちゃんに会って。」
切島は頭を掻きながら
伏し目がちに答える
「私達は東雲ちゃんが心配で、お見舞いに来たケロ。そうしたら受付にいた切島ちゃんを見つけて、一緒にお見舞いに行こうってことになったのよ。」
蛙吹は手に持っている花束をマイクに見せる
隣にいる麗日も蛙吹の言葉に頷く
「おォォ!!ユー達友達想いだな!!東雲なら、さっき起きたから、おしゃべりしていきな!」
マイクは3人を快く迎え入れた
豊香はさっと布団を胸まで上げた
そして軽く3人に手を振る
マイクはもう帰るぜと言うと
3人と入れ違いで出ていった
「東雲(君)(ちゃん)」
3人は豊香の姿を見ると
安堵の表情を浮かべ近寄ってくる
「東雲、ごめん!!・・・俺達が先走って行動したために、お前に迷惑かけて。・・・爆豪にも声掛けたんだが、あいつは予定があるみたいで・・・。」
言葉が段々小さくなる切島
豊香はそんな切島に
微笑みながら頭を左右に降った
「切島や爆豪のせいじゃねぇよ。・・・この怪我も自分の未熟さゆえだから。それに・・・」
豊香はニカッと笑って言った
「お前らが飛び込まなくても、きっと俺が飛び込んでたよ。それに、お前ら助けてくれたじゃねぇか。ありがとう。」
豊香は切島に手を差し出す
切島は一瞬戸惑うが
差し出された手を握り返した
「お前、男らしいぜ東雲!!」
切島は握手している手ではない方で
豊香の背中を叩く
「東雲ちゃん・・・。」
霧島の後ろから
顔を覗かせる蛙吹
あぁ、良かった
傷とかはみられないな・・・。
豊香はほっとして
柔らかな微笑みを返す
「梅雨ちゃん・・・。無事でよかった。」
豊香のその言葉を聞くと
蛙吹の目にはうっすらと涙がみえた
「東雲君も無事でよかった。うち、めちゃくちゃ心配したんよ?身体はもう平気?」
麗日が心配そうに覗き込んでくる
豊香は両手をブラブラとさせて
身体が大丈夫なことを示した
「この通り、ピンピンしてるよ。さっき起きたばかりだから、まだボーっとしてるかもしれないけどな。」
豊香の言葉に
3人は笑みを浮かべると
思い思いに話をし始めた
それから蛙吹と麗日が持ってきた
プリンを4人で食べ始めた
今日はUSJ襲撃があったため
休校になっていること
オールマイトと緑谷も怪我はしていたものの
リカバリーガールの治癒で治ったこと
13号と相澤は同じ病院に運び込まれ
治療もある程度終わったため
この後、退院するとのことだった
「そっか・・・みんな、無事でよかった。」
豊香は優しく微笑むも
瞳の奥には悲しみも見え隠れしていた
「そういえば・・・。東雲ちゃん、私、思ったことはなんでも言っちゃうの・・・。」
唐突に蛙吹が聞いてきた
「ん?・・・何、梅雨ちゃん?」
蛙吹の質問に
豊香はプリンを口に運ぶ手を
寸前で止めた
「私の顔に
豊香は手に持っていた
スプーンを落としそうになった
蛙吹の言う個性は
豊香の個性「支配」である
緊迫した状態であるにも関わらず
蛙吹はしっかりと状況を把握し
それを聞いていた2人も
不思議そうな顔をして豊香を見つめる
「東雲ちゃん、あなた・・・」
蛙吹の言葉に
ゴクリと唾を飲む豊香
スプーンを持つ手に
無意識に力が籠る
「あ・・・つy『コンッコンッ』
豊香が言葉を発しようとした時
ドアをノックする音が病室に響いた
「すみませ~ん。東雲さん、これから診察を行いたいので、いいですか~?」
ドアが開くと
隙間から看護師が顔を覗かせる
「あ、は~い。・・・悪い、診察に行かないと。」
豊香はそそくさと
手に持っていたプリンに蓋をして
片付けを始めた
「じゃ、じゃあ・・・うちらもそろそろ行こうか!ねっ!」
麗日は2人の背中に軽くタッチして
片付けを促した
そして余ったプリンを冷蔵庫にしまおうとして
ふと豊香の横にある紙袋が目に入った
「あれ?東雲君、これは冷蔵庫にしまう?」
麗日の声に
よそよそしかった豊香も振り向いた
紙袋をよく見ると
近くの和菓子屋さんの袋だった
「あ・・・中身見てない。さっきマイク・・・先生が持ってきてくれたんだ・・・。」
豊香は麗日から紙袋を受け取り
中身を確認する
袋を開けると中には
豊香の好きなきんつばやどら焼きなどの
和菓子が詰め込まれていた
しかしその中には一つだけ
違うものが紛れていた
「メッセージカード?・・・あ・・・ッッ。」
豊香はメッセージカードを取り出し
書いてあるメッセージを読む
『無事でよかった。先に退院する。早く治せ。』
綺麗な字で書かれたメッセージ
名前は書かれていなかったが
すぐに豊香には送り主が分かった
豊香は麗日に紙袋のみを渡し
冷蔵庫に入れてもらうようにお願いする
車椅子を持ってきた看護師に
豊香は苦笑するも
素直に車椅子に乗った
3人とともに部屋を出た豊香
向かう方向が違うため
3人とはここでお別れとなる
「今日はありがとう。明日には退院できるみたいだから、また明後日会おうぜ。」
豊香は3人にお礼を言い
手を振った
3人も手を振り返し
反対方向に歩いていった
「あッッ!!梅雨ちゃん!!」
豊香は思い出したかのように
蛙吹の名を呼んだ
呼ばれた蛙吹はもちろん
切島も麗日も豊香の方を振り返る
「さっきの・・・俺、あの時の記憶があやふやで・・・ごめん。でも、俺・・・。」
確かに豊香の記憶はあやふやである
しかし『個性』については
まだ話すことは出来ない
話すことになれば
豊香が女であることが分かってしまう
豊香は謝ることしか出来ず
頭をうなだれる
「梅雨ちゃんを助けたい一心で・・・叫んでて・・・。」
豊香は膝の上にある
両手を固く握っていた
すると蛙吹は豊香の元に戻り
豊香の手に自身の手を重ねた
豊香が顔を上げると
そこには温かなほほ笑みを浮かべる
蛙吹の顔があった
「ありがとう、東雲ちゃん・・・。東雲ちゃんの気持ちはよく分かったわ・・・。また話せる時が来たら・・・今度こそ教えてちょうだいケロ。」
蛙吹は豊香にだけ聞こえる声で話すと
切島と麗日のいる位置に戻り
2人とともに去っていった
あぁ、やっぱり梅雨ちゃんには
隠せないな・・・。
豊香はいつか『個性』のことも
豊香のことも話せるようになったら
真っ先に蛙吹に話そうと心の中に決め
診察室に向かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おまけ
『ガラガラガラッッ』
診察を終えて
病室に戻ってきた豊香
ベッドの上には
机と病院の夕食と小さな箱が用意されていた
「ん?・・・なんだ、この箱。」
ベッドに戻った豊香は
机の上に置かれた箱を手に取る
その箱は豊香の手に
すっぽりと収まるサイズだった
その箱には県外にある
有名な洋菓子店のシールが貼られており
誰かがお見舞いに来てくれたことが分かった
しかし箱をよく見てみると
所々歪んでおり
まるで箱ごと力を込めて握ってしまい
頑張って直したようだった
豊香は不思議に思うも
箱を開けて中身を確認する
中にはチョコや苺のフレーバークッキー
アールグレイのパウンドケーキ
マカロンなどの洋菓子が入っていた
「うわーァァッッ!!美味しそォォ!」
甘いものが大好きな豊香にとって
嬉しいお土産であった
「きっと、クラスの誰かだろうから、あとでお礼しないと!!」
豊香はさっそく中に入っていた
クッキーを頬張り
誰がくれたのだろうか考えていた