9、個性把握テスト①

ー最下位は見込みなしで除籍処分ー









「「「個性把握テスト！？」」」


豊香たちは
相澤の指示でジャージに着替えて
グラウンドに集合した


入学式やガイダンスのことを
口にする者もいたが
相澤はそんなことはお構い無しに
話し始める



「おい、爆豪。中学の時のソフトボール投げの記録は？」


爆豪と呼ばれる少年
先程、飯田と言い争いをしていた彼だ



「67m」



爆轟が答えると
相澤は個性を使って投げてみろと言った









「死ねーｯｯ！！！！！」










爆豪は思い切り振りかぶり
個性『爆発』を使って投げた


死ね？
ここは雄英高校 ヒーロー科だぞ？
そんな物騒な言葉を
ヒーローの卵とはいえ
口にしていいものなのか？


豊香は疑問に思いながらも
爆豪がボールを投げたであろう方向を
ただただ見つめていた







「705.2m」








クラス中がザワザワした
驚愕するもの
歓喜するもの
奮起するもの
その中で「面白そ～！！」
という言葉が聞こえた瞬間


相澤が纏う空気が変わった







「面白そう･･･か。」


やばい




相澤の空気が変わる瞬間を
豊香は見逃さなかった
長年、相澤と付き合いがある豊香は
こういう時、相澤が何を考えているか
何となくわかる




そう「アメ」と「ムチ」の「ムチ」だ





相澤はまるで獲物を見つけた獣のように
ニヤリと笑って言い放った













「最下位だった者は見込みなしとして除籍処分とする。」














その場の「楽しい雰囲気」が
一瞬で凍りついた


それもそのはず

『除籍』ということは
苦労して手に入れたプロヒーローへの道を
閉ざすこととなるのだから