8、合理性に欠くクラス

ー時間は有限ー






「ぜぇ･･･ぜぇ･･･はぁ。あ･･･あった･･･。」


豊香は全力で職員室から教室まで走った


肩を上下に揺らしながらドアに目をやると
緑色の頭の天然パーマの少年が
緊張した面持ちで立っている





「あっ･･･。き、君も･･･この･･･クラス？」

「あぁ･･･。俺も･･･1-A。はぁ･･･っ、東雲 豊だ･･･。よろしく。」

「ぼ、僕は･･･緑谷 出久！よ、よろしく、東雲君！」



そういうと緑谷は右手を差し出してきて
握手を求めてくる
豊香も右手をズボンで拭いたあと
緑谷と握手を交わす








「どんな人がいるん「机に足をかけるな！！」









緑谷と豊香は話しながら
教室に入ろうとドアを開けると
いきなり言い争いのような声が聞こえた


「あぁーん゛？」

「雄英の先輩方へ。机の製作者方に申し訳ないと思わないか？」

「思わねぇよ！！てめぇ、どこ中だよ！端役が！」


ドアを開けると
机に足をかけて座っている金髪の少年と
その行為を注意する眼鏡の少年の
2人が言い争いをしている


緑谷も豊香も呆然としたまま
ドアの前に立っていると
言い争っていた2人が豊香達を見る










「君は･･･」












眼鏡の少年
飯田 天哉の声に導かれるかのように
クラス中の視線が緑谷と豊香に注がれる



「あ･･･ぁっ！えっと･･･」

「おはよっす。東雲 豊です。よろしく～。」


緊張してあたふたする緑谷をよそに
豊香は自己紹介をして
そそくさと自分の席へ移動する


その後は
飯田が緑谷に自己紹介をしようとしたり
試験がどうのと話をしているのが聞こえたが
豊香は推薦で入学しているため
気にせず自分の席に着いた










「東雲･･･さん？」









席に着くなり
前に座っていた少女が話しかけてきた


「あ･･･八百万さん。同じクラスなんだ。よろしく。」


彼女の名前は八百万 百
豊香と同じ推薦入学者だ

試験会場で道に迷った豊香に
声をかけてきてくれたのが
知り合うきっかけだった








「友達ごっこがしたいならよそへ行け･･･。」









かすかに聞こえたその声
教室中が静かになった


「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね〜。」


いもむしのような黄色の寝袋から出て
ゆっくりと教室に入ってくる相澤







「担任の相澤消太だ。よろしくね。」

「しょ･･･相澤さんが･･･担任･･･？」









さっきの言葉はこういうことか･･･


豊香は納得するも
釈然としない気持ちで初日が始まった