ジェイドリーチと男装監督生の秘密
さらに月日がたち、その日は、満月だった。
空は澄みきっていて、波のように白く冷たい月の光が校舎を照らしていた。
授業が終わってから、私とジェイドは二人、オクタヴィネル寮の談話室にいた。誰もいない静かな空間。
グラスの中の氷が、カランと小さく音を立てる。
「この時間は、誰も来ませんから」
そう言って、ジェイドは自分の隣をぽんと叩いた。
私は少し躊躇してから、彼の隣に腰を下ろした。
肩が触れるか触れないかの距離。
ふたりの間にあるのは、秘密と、それに守られた恋。
でも、今日はその“境界線”を越えようとしていた。
「…貴方といると、時々、自分が何者かわからなくなります」
ジェイドの指が、私の手の甲に重なった。
ひんやりしていて、滑らかな肌。
「理性でコントロールできると思っていた感情が、貴方の前ではどうにもならない」
私も彼を見つめ返す。
いつもなら微笑んでやり過ごす彼の目が、まっすぐに、真剣だった。
「…私もそう思ってます」
小さな声だった。けれどその一言で、空気が変わった。
ジェイドの指が、そっと私の顎に触れる。
強くもなく、弱すぎもせず、ただ確かに「導く」ような優しさ。
「……もっと、貴方に触れてもいいですか」
問うてくれるのが、ジェイドらしいと思った。
私は、目を閉じて、小さく頷いた。
そして、唇が重なった。
最初は戸惑うように、恐る恐る。
でも、確かめるように、少しずつ深くなっていく。
柔らかくて、切なくて、今まで我慢していたすべてが、ひとつのキスに溶けていく。
唇が離れて、目を開けると、彼の瞳がまっすぐに私を映していた。
「…先輩、もう少しだけ、このままでいいですか」
「…ええ、もちろん。」
彼の肩に寄りかかる。
細く長い指が、私の髪をそっと梳く。
夜が静かに流れていく中、私たちはもう、言葉を必要としなかった。
静かで柔らかい光の中交わした初めてのキスは、どこまでも穏やかで、そして少しだけ、苦しいほど優しかった。
空は澄みきっていて、波のように白く冷たい月の光が校舎を照らしていた。
授業が終わってから、私とジェイドは二人、オクタヴィネル寮の談話室にいた。誰もいない静かな空間。
グラスの中の氷が、カランと小さく音を立てる。
「この時間は、誰も来ませんから」
そう言って、ジェイドは自分の隣をぽんと叩いた。
私は少し躊躇してから、彼の隣に腰を下ろした。
肩が触れるか触れないかの距離。
ふたりの間にあるのは、秘密と、それに守られた恋。
でも、今日はその“境界線”を越えようとしていた。
「…貴方といると、時々、自分が何者かわからなくなります」
ジェイドの指が、私の手の甲に重なった。
ひんやりしていて、滑らかな肌。
「理性でコントロールできると思っていた感情が、貴方の前ではどうにもならない」
私も彼を見つめ返す。
いつもなら微笑んでやり過ごす彼の目が、まっすぐに、真剣だった。
「…私もそう思ってます」
小さな声だった。けれどその一言で、空気が変わった。
ジェイドの指が、そっと私の顎に触れる。
強くもなく、弱すぎもせず、ただ確かに「導く」ような優しさ。
「……もっと、貴方に触れてもいいですか」
問うてくれるのが、ジェイドらしいと思った。
私は、目を閉じて、小さく頷いた。
そして、唇が重なった。
最初は戸惑うように、恐る恐る。
でも、確かめるように、少しずつ深くなっていく。
柔らかくて、切なくて、今まで我慢していたすべてが、ひとつのキスに溶けていく。
唇が離れて、目を開けると、彼の瞳がまっすぐに私を映していた。
「…先輩、もう少しだけ、このままでいいですか」
「…ええ、もちろん。」
彼の肩に寄りかかる。
細く長い指が、私の髪をそっと梳く。
夜が静かに流れていく中、私たちはもう、言葉を必要としなかった。
静かで柔らかい光の中交わした初めてのキスは、どこまでも穏やかで、そして少しだけ、苦しいほど優しかった。
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