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ジェイドリーチと男装監督生の秘密

「タオル、ここに置いておきますね」

シャワー室の外から、ジェイドの声が聞こえた。
しかし次の瞬間

「……っ!?」

カチャリと扉が開き、私は彼と視線を交わした。
ちょうど脱衣していた瞬間。
まっすぐに見られた、男装を解いた私の素肌。
一瞬、彼の瞳が硬直し、そしてすぐにそれを逸らした。

「おや、これは……失礼しました」

彼は静かにドアを閉じた。
閉じた直後、ドアの裏で何かが崩れ落ちる音がした。

(ああ、遂に気づかれてしまった…)

確信に変わったのだろう。
彼の中にあった微かな違和感は、紛れもない"真実"として理解されてしまった。

私はシャワーを浴び終わったあと、ゆっくりと流れる水を止め、タオルを巻いた。
そして、シャワー室の扉を少しだけ開ける。

「…先輩、見ちゃいましたか?」

その声に、彼は小さく息を呑む。
口元を手で隠しているが、耳まで赤くなっていた。

「……申し訳ありません。そんなつもりではなかったのですが…」

「じゃあ、今日のことは、私たちだけの秘密にしましょうね」

私が笑って見せると、彼の顔はまだ赤かった。
それは彼にしては珍しいほど“人間らしい”反応だった。


翌日。
授業が終わり、教室を出た瞬間
ジェイドがふと近くに立ち、静かに紙袋を渡してきた。

「このお茶菓子、多く頂いたのでおすそ分けします。
…これ、お好きでしたよね?」

自分の好物の話は彼の前で一言も喋ってないのに、なぜか覚えられていた。

彼の視線が私に向くとき、それはもうただの観察対象、“監督生”に向けられたものではなかった。
もっと柔らかく、もっと深く、感情の熱を帯びていた。

その日から、私は彼の前でだけ、男装をほんの少し解くようになった。
襟の留めを緩め、声色をほんの少し高くした。
たったそれだけの違いに、彼は気づく。

だが彼は、決してそれを口には出さない。
出さないけれど、その瞳だけが何より雄弁に語っていた。

「僕は、貴方の秘密に触れてしまった。」
「けれど僕は、それを守る側に立ちたい」

そう語るように。

静かな日々のなかで、何かが芽吹いていく。
それは“恋”と呼ぶにはまだ脆くて、でも確かに温かかった
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