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ジェイドリーチと男装監督生の秘密

ナイトレイブンカレッジに入学して半年が過ぎた。
男子校の生徒として入学してしまった私は、男装をして学園生活を送っている。

なるべく目立たないように生活していたが、なぜかいつもトラブルの中心になってしまう。
普段通り生活していたのに、なぜか目をつけられていることも多くあった。
今日もいつものそれかと思ったが、今回目をつけてきた人物は、普通の人とは少し違うようだった。


廊下を歩いている時、ふと後ろからの視線に気付いた日があった。その時は気付かないふりをしていたが、
今日、一人で食堂で昼食をとっている時に、ふと頭の上から声がした。

目線を上げると、最近私を観察するように見てくる男が
ついに話しかけてきた。2年生のジェイドリーチだ。

「こんにちは。貴方が噂の監督生さんですね?」

「…はい。噂になっているのは不本意ですが」

「ふふ、監督生さんは、不思議な方ですね。
僕は貴方に興味が湧いてしまいました。昼食、ご一緒してもよろしいですか?」

「……どうぞ」

それは“貴方は何者だ”という問いが含まれているようだった。
私はその後の会話で、何気なく芯を突く質問をされても全て曖昧に返す。しかし、話していくうちに、警戒心は少しだけ解けていった。


そうして春が過ぎ、梅雨が来た。
その日、私は傘を忘れて寮を出た。
さっきまで快晴だった空に、曇天が広がる。ぽつ、ぽつ、と服に落ちた雨粒が、あっという間に視界を塗りつぶしていく。足早に石畳を駆け抜けた。

「もう、突然降ってくるなんてツイてないな…今日は傘を持ってくるの忘れたっていうのに」

夢中で走っていると、角を曲がったところで人とぶつかりそうになった。
驚いて顔を上げると、そこにいたのは、傘を差したジェイドだった。

「おやおや…これはまた、見事にずぶ濡れですね」

「あっ、ジェイド先輩…!?どうしてこんなところに…」

「監督生さん、そんなに濡れていては風邪をひいてしまいますよ?」

「いや、大丈夫で…ックシュン!!」

「ふふ、これはこれは、可愛らしいくしゃみですね。
オクタヴィネルのシャワー室をお貸ししましょう。すぐ近くですから」

「…すみません、助かります」

私は彼の傘に入った。狭い傘の中、ほんのりと彼の匂いがした。呼吸の音が近い。
でも私は何も言葉を発しなかった。

歩幅を合わせながら、濡れた石畳を歩く。
静かな時間。微妙なお互いの距離が少し心地よく感じた。
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