しきうつり、紡ぐ。6
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
悪夢のような儀式を終えて、ゆっくりと体を起こす。儀式で負った傷は残らないはずなのに、先程、斬られたところが痛むような気がした。
……大変なことをしてしまった。さっきの儀式は私のせいで崩壊した。何もなければ少なくとも私以外の三人は無事に脱出できるはずの試合だった。もう二度と私のせいで儀式が崩壊することなんて起こらせたくなかったのに。
未だ、焚き火の前で目が覚めずに横になっている三人の仲間を見つめて、唇をぎゅっと噛み締める。
初めて儀式をした時を思い出す。何もわからずにパニックになりながらも何とかしたくて、抗った結果、仲間を全滅に導いてしまったことを。もう、ずっと前に終わったことなのに私は今でもそれを忘れられない。あの日から私は儀式のことをたくさん学んでどう上手く立ち回れるか考えるようになった。
「……華紗音、もう起きてたんだ」
同じ儀式に出ていたネアも気がついたらしく、私に声を掛けてきた。
「…うん。ネア、私のせいでごめんなさい」
「何で華紗音が謝るの?通電までずっとチェイスしててくれたんでしょ?…寧ろ、ちゃんと助けられなくて悪かったね」
「…じゃあ、ネアも謝らないでよ。助けにきてくれてありがとう。次、儀式が一緒になったときはもっと上手くやるね」
「はは、それもそうだね。こっちこそありがとう。頼りにしてるよ」
それだけ言うとネアはにっこり笑って自室に戻って行った。まだミンとジェイクは目を覚まさない。
二人が目を覚ますまでは様子を見ていたい。焚き火の炎がほんのり弱くなってきた為に、近くにあった薪をくべる。
……それにしても、基本的に自分が脱出できればいいと言っているミンまで救助に来てくれていたなんて驚きだ。何故だろうなんて思いながらミンを眺めていれば、彼女も目を覚ました。
「…ミン、お疲れ様。具合はどう?」
「…ん、おつかれ。全然、平気」
「私のせいで脱出できなくてごめんね」
「…私は脱出できたけど?」
ツン、とそっぽを向いてそう言ったミンを見て思わず笑ってしまう。相変わらずだ。
「ふふ、嘘。脱出できないと焚き火の前で気を失っちゃうのはみんな知ってるよ?」
「……私は戻ってからここで寝てただけだし」
「そうなの?いつもなら絶対にこんなところで寝たりしないのに珍しいね。よっぽど疲れてたんだね」
「……もう寝る」
意地悪い私はわかっててわざとそんなことを言ったものだからミンの機嫌を損ねちゃったみたいだ。立ち上がって自室に戻ろうとした後ろ姿に慌てて声を掛ける。
「ミン、助けにきてくれてありがとね。嬉しかったよ。次からは絶対に足引っ張ったりなんてしないから」
「……別に。…たまには足引っ張ってもいいんじゃない?」
ミンは足早に部屋に戻って行った。
まさかミンにそんなことを言われる日が来ると思わなかった。最初は散々、冷たいことばかり言われてたけど、今は違う。わかりづらいけど前よりも仲間との絆が深まっていることを知れて温かい気持ちになる。