HEAVEN
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地獄だと思って絶望してたけど、ここが天国だと気付いた。その日から俺は世界一の幸せ者だ自覚している。
「早く発電機修理してちゃっちゃと脱出しましょ」
「だね。爆速発電してキラー泣かせよう!」
「戻ったらみんなで映画鑑賞会しない?」
「いいね!夏だしやっぱり定番のホラーいっとく?」
「「「賛成!!」」」
今回お相手のサバイバー達は4人とも女の子。発電機を修理しながら呑気に喋っている。夏だの定番のホラーだので大盛り上がりだ。キラーである俺が気づかれない距離でそんな話を聞いているとは知らずに。自分達が殺されるとも知らずにキャピキャピと燥ぐ女子達は馬鹿で可愛い。4人で同じ発電機を修理するという効率の悪さに笑ってしまいそうになる。
ただ、そんなことは今の俺にとってはどうでもいい。今は兎に角、サバイバー達をどう追い詰めて殺してやるか。どうやって謝らせて、最高に俺をかっこいいと言わせてやるか考える方が重要だ。しかし、その前に更にやることがある。この女子4人の姿を目に焼き付けること。最近出たばかりらしい夏スキン。女子4人はなんと揃いも揃って水着スキンで儀式に参加していた。おい、おい、そんな格好で儀式に参加するなんて正気か?そんな格好で走ったりしたら細いビキニの紐が解けるんじゃないか?その細いビキニの紐が俺のナイフで切られるなんて考えないのか?浅はか過ぎて堪らない。そんな事故が起きてあたふたする女の子の顔が見たい。赤面しながら胸元を必死で手で隠す姿を想像しただけで何回でも抜ける。
「ああ、最高!!本当にこの世は天国だぜ!!なあ、君らもそう思うだろ!?」
俺は欲望丸出しで草むらから飛び出し、ナイフを構えて無防備な彼女達に近づいていく。
「は?何言ってんの?コイツ?」
「さあ?暑さで頭イカれたかエンティティに拷問され過ぎてイカれたか、…ってどちらにしろ殺人鬼なんて元からイカれてるか」
「おいおい、ミンちゃんそんな可愛い顔と声でそんな毒舌吐くなって。まあ、そんなところもギャップ萌えするんだけどさ」
「きっっっっっっしょ」
「それ褒め言葉だろ?それともツンデレってやつ?…にしてもその水着、似合っててめちゃくちゃ可愛いな」
何故か他の女の子達は「キャー変態が来たー」とか言いながら逃げていったせいで、この場には俺とミンしか居なくなった。ミンは決して胸がある方ではない。なんなら、さっき逃げていったケイトの方がいい身体してる。だけど、そのペタッとした感じも堪らないんだ。十人十色という言葉があるようにみんな違ってみんないい。女の子はみんな天使。本人がちょっと子供っぽい体型だと気にしてそうな感じも堪らない。またビキニじゃなくてワンピース水着なのも彼女らしくて最高。ミンは俺を心底引いた目で見ているが、ここですぐに逃げなかったのが運の尽きだ。今回のターゲットはミンに決めた。今日こそ、このツンデレミンとヤッてやる。そう心に決めた瞬間、ミンは走り出した。
「おい、待て!」
「キラーに待てって言われて待つバカが居ると思う?私を殺したいなら、捕まえてみなよ。やれるものならね!」
俺を小馬鹿にしながらミンは固有の建物に逃げ込んでいく。あの強気な表情も唆る。ああいう子をわからせるのが一番興奮するんだよ。通電されてもいい。他のサバイバーは殺せなくたって構わない。ミンだけはなんとしても。
***
結果的に言うとミン以外のサバイバーを殺す羽目になってしまった。基本的に俺は男は殺すけど、女にはあんまり嫌われたくないから滅多に殺すなんてことはしない。だけど、ミンだけを一人狙いしようとした結果、それを庇いに来たサバイバー達が邪魔になった。無理に肉壁に来た結果、崩れて思いの外、簡単に全滅を取れたという訳だ。ただ、全滅と言っても今回はミンだけは殺すつもりはなかった。走り回れないように負傷をさせているものの、致命傷には至らない。なんなら手当てしてやってもいいくらいだ。
「…殺すならさっさと殺しなさいよ。こんな面倒なことせずに」
「いや、殺す気なんて最初からないから」
「は?なんで?あんたなんかに情けかけられるくらいなら死んだ方がマシ」
「情けじゃないんだよ。これは俺へのご褒美」
「……メメントする気?」
「しない。だから殺さないっつってんじゃん。何?ミンはそんなに俺に殺されたいの?」
「…そんな訳ないでしょ。あんたなんかに殺されることで……私はまた脱出率が下がってレートが下がる。私は常に最高レートでいたいの。絶対にサバイバーの中で私がトップじゃなきゃ許せない」
それは最早、執念だ。ミンの目つきは鋭く冷たく見えるのに、その瞳の奥には決して消えない熱き炎が灯っているのがわかった。プロゲーマーだった彼女は常に強気で勝負事において絶対的な自信を持っている。どんな相手だって負ける訳にはいかないと気迫を感じる。だからこそ、彼女は本当に強い。そんな彼女に俺は今からある提案をしようとしている。その彼女の強い意思を尊重しないような提案を。
「…そうだよね。まだハッチは閉めてないし、今回、逃げれるなら君のそのレートも下がらずに済む。…そこで悪くない提案があるんだけど…」
「断る」
「はや。せめて聞いてからにしない?」
「あんたの提案なんかどうせろくなもんじゃないことぐらいわかってるし」
「まだわかんないよ?」
「わかる。無駄。キラーに情けで逃がしてもらうなんて私のプライドが許さない」
「あのさあ、ヤラせてくれるなら逃がしてあげてもいいよ」
「ほら、きた。耳が腐る。死んで」
「酷すぎるって。マジで悪くない提案だと思うけど。痛い思いもせず、気持ちいい思いだけして君は脱出できる。レートはそのまま。最高じゃない?」
「…最低」
否定しつつも、彼女の目には一瞬だけ迷いが生じた。それを見逃さない。口元に笑みをたたえて、強引に。
「…ねぇ、ミンは俺の見た目どう思う?」
「…はあ?」
「かっこいいと思う?悪くないと思う?」
「…なんで急にそんなこと…」
「正直、悪くないと思ってるでしょ?自分で言うのも何だけどさ、俺顔いいよね?」
「自分で言うことじゃない」
「あ、そう言うってことはやっぱり俺の顔は悪くないと思ってるってことだよね?」
「…私の好みではないね」
ふいに俺から視線を逸らすミン。やっぱり素直じゃないだけだ。正直、泣いてる女の子を無理矢理犯す趣味はない。あくまでも満更でもなそうな子じゃないとヤれない。だけど、ミンとならヤれる。そう確信した。ミンの顎を掴んで顔を近づけて目を合わせる。一瞬、動揺して彼女の目がまんまるになる。
「…じゃあ、最近ヤッたのはいつ?」
「うるさい。関係ないでしょ」
「ああ、しばらくしてないんだ。こんな世界なら無理はないね。でもしたくならない?それとも一人で我慢してんの?」
「キモいんだよ、クソキラー」
等々、我慢できなくなったのかミンの平手打ちが俺の頬にクリーンヒットした。ぱちん!という乾いた音が響いて他人事のように、痛いと呟く。遅れてひりひりと頬が熱くなった。自分で叩いておきながらミンは罰が悪そうな顔をする。もしかしたら、叩いた後で報復が恐くなったのかもしれない。俺がキラーだから逆上してやばいことをすると。そう彼女の心情を読み取った俺はニコっと優しく笑った。
「君にビンタされるなんて俺は幸せ者だよ」
「……」
「…ミンは誰よりも魅力的だよ。可愛いいのに強くて、自分にも他人にも厳しい。そんなところが俺は好きだよ」
「……そんなこと誰にでも言ってんでしょ」
呆れたように彼女は尋ねる。俺はそれに答えるより先に彼女の唇を奪った。たった一瞬。不意討ちを狙うかのように。驚いて俺をただ見つめる彼女に少しばかり悪い笑みを向ける。
「俺のことよくわかってるじゃん」
あんた、ほんと最低。と悪態を吐く彼女は俺に全てを委ねるように寄り掛かってきた。取り敢えず、ミンはクリアだ。次はどのサバイバーとヤろうか。…まあ、そんなことは愉しんだ後にじっくり考えればいっか。
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