むちむちパツパツファッションコーデとサワークリームオニオン
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「そうだ、久しぶりにあの服を着てみよう!」
暇を持て余した私は唐突に立ち上がるとクローゼットを開けた。クローゼットの中にはズラリと色んな服が並んでいる。儀式の報酬で貰った物や買ったもの。私の密かな趣味は色んな服を買って色んな服を着ることだった。霧の森に来てからは可愛い服を着てウキウキで出掛けるなんてことは無くなってしまったものの、未だに服を買うことがやめられなかった。きっと私は霧の森で誰よりも服を持っているはず。恐らく。一度着るとよっぽどお気に入りの服でもなければ着なくなる。次から次へと新しい服を買ってしまうからだ。だけど、どんなに服が大量にあっても私は一度足りとも服を捨てたり売ったりすることはなかった。一度着た服にはそのときの思い出が詰まっていると勝手に思っているから。
「この服、相変わらず可愛い〜!」
私が今手に取った服は霧の森に来てやっと慣れてきた頃、初めてお洒落な格好をして初めて儀式を脱出したときに着ていた服だ。その日以降、その服を着ることは無くなったけれど、久しぶりに思い出して着てみたいと思った。たまには一人でファッションショーでもしてみるか。あのときの新鮮な気持ちを思い出しながらいざ、ワンピースに袖を通す。……袖をとお…してみせる。……私はファッションが大好きだ。それは今も昔も変わらない。だけど、霧の森に来てから変わったこともあった。ファッションが趣味だった私は儀式のストレスから食べることも趣味のひとつになった。そのせいか霧の森に来て、少しばかり太った。こんな世界で太ることなんてないだろうと高を括っていたせいだ。だって、あんなに儀式で走り回ってるのに太るなんて可笑しいじゃないか!
「んん~!…もう少しおなかを凹ませろ!がんばれ、私はやればできるんだ!」
そう自分を励ましつつ、お腹の問題をクリアして、胸と二の腕の難問もクリアしてなんとか思い出の可愛らしいワンピースに袖を通すことに成功。服を着るのがこんな大変なことだったなんて、今まで知らなかった。今日も新しい発見ができて生を実感する。身体のラインが出るワンピースだからお腹がぽっこり出てるとか、二の腕がパツパツで腕が動かしづらいとか、そんな気がするだけだと思う。だって、全身を映す鏡に映っている私は誰がなんて言おうと、このワンピースを完璧に着こなしていて可愛い。鏡の前でキメ顔で腰に手を当ててポーズを取る。
「…そういえば、小さい頃はモデルさんになるのが夢だったなあ…懐かしい」
親戚のお姉さんがモデルをやってることに憧れていた時代が私にもあったのだ。両親が雪葉なら絶対にモデルになれる!って言ってくれた言葉を馬鹿みたいに信じていた。現実はそんなに上手くいかないこと知ってからはそんな夢は忘れていたけれど。少しノスタルジックな気持ちになってしまった。本当は他にも色んな衣装を着て一人ファッションショーをしようと思っていたけどやめた。もう少しだけ思い出と共にこの可愛いワンピースを着ていたいと思ったからだ。決して無理矢理着たから脱げなくなった訳ではない。可愛い服を着ながら私は本日5袋目のポテチを開けた。今度はコンソメだ。それから、シュークリーム、ポッキー。大好きな服を着ながら、大好きなお菓子を食べれるなんて幸せだ。ここが霧の森だなんてことを忘れてしまうぐらいに。
「ああ、幸せ!幸せ過ぎて今すぐ死んだっていいくらい!」
誰に言う訳でも無く大きな声で言うと、シュークリームをパクリと一口。続いてポッキーを口に入れた。そして、口直しに今度はポテチを食べればいい。完璧だ。……うん、完璧だ。気付いたときには清潔感のある自室とは真逆の場所に私は居た。完璧だったはずなのに何が狂った?天国から一瞬にして地獄に早変わりした。私は何故か儀式の場所に立っている。…なんで?なんで私の幸せな時間を邪魔するの。ここが霧の森だなんてこと忘れてしまうって思ったから、思い出させたかったの?それとも、私がシュークリームを頬張って幸せ過ぎて今すぐ死んだっていい!って叫んだから?どちらにしたって邪神の嫌がらせはたちが悪い。許せない!
"今日の儀式の報酬はホールケーキだ"
「やらせて頂きます!全力でキラー殺します!」
女神様の美しい囁きボイスが聴こえてきて気合いが入る。絶対に脱出する。例えキラーを殺すことになったとしても。
「へぇ〜、キラーを殺すね。…殺れるものなら、殺ってみれば?」
「……サバイバーがキラーを殺すなんて冗談に決まってるじゃないか」
真後ろから声が聴こえてきて、すぐに振り返るとゴスフェがナイフをくるくると回しながら指先で弄んでいた。顔が一瞬で引き攣る。なんで儀式開始そうそうこんな近くにキラーが居るんだよ。
「…何そのフル装備」
「…私が聞きたい」
最初は私を見て不思議そうに突っ込みをしていたゴスフェはじわじわと笑いが込み上げてきたのか、今は肩を震わせて笑っている。そう、何が可笑しいのかというと、それは私自身の状態だ。
右手にはポテチのコンソメ味。左手には食べかけのシュークリーム。そして口にはポッキーを咥えていた。謎の三刀流だ。どうして儀式なのにお菓子までこの場所にあるのかわらない。儀式に呼ばれる前に手に持っていたからなのだろうか。
「アハハハ!すっごい食いしん坊だね!」
「とにはふ、ごふふぇらんかにまけないからね!」
「シュークリーム食いながら言うなよ」
取り敢えず手をあける為にシュークリームを頬張る。ポテチはポーチに仕舞おうと思ったけど、粉々になりそうで凄く嫌だ。かといって開けたばっかりだし、今すぐ一気に食べるのは難しい。悩んだ末に結論を出す。