愛玩殺人鬼【増え続ける課題の続き】(おまけ)
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
頼まれたから仕方なくジョーイを探しに行くと、何故か廊下の突き当りの所に奴は居た。俺に背を向けて何もせずに突っ立ったままのジョーイに声を掛ける。
「こんなところに居たのか」
「ん?お、フランク!ちょうどいいところに!聞いてくれよ、さっきとんでもないことがあったんだよ!」
興奮した様子で話し出すジョーイはやはり、さっき俺とすれ違って声を掛けたことすら気付いてなかったんだろう。突然、雪葉から全力で逃げたことの理由を聞くより先に自分の話がしたいようだから「何があったんだ?」と大人しく尋ねた。
「それがさ、さっき雪葉に会ったんだけど、このスキンめちゃくちゃ似合ってるって褒められたんだよ!それに俺のこと格好良いって言ってたんだ!」
「そうか」
「しかも、雪葉が俺の服に触れてきたと思ったらその後、俺の肩にも触ってきてさ!信じられるか!?」
「へーすごいな」
「これマジでやばいよな!?俺さっきまでずっと考えてたんだけど、これって脈アリだと思わないか?だって何とも思ってない男の身体触ってくるか、ふつー?マジでそうとしか思えなくなってきた!なあ、フランク、俺どうしたらいいと思う?」
マジでやばいのはお前だよ、と言いたいのをぐっと飲み込んだ。予想通りというか、ある意味予想以上というか、雪葉の何の気なしにした発言や行動がジョーイを勘違いさせていた。元々、ジョーイは俺が雪葉には極力近づくなと言っていた頃から雪葉に興味津々だった。拷問されてもいいと言うぐらいには。今となっては雪葉がそこまで悪い奴じゃないとわかったからリージョンのメンバーにも関わるなとは言わなくなった。言ったところで、俺の知る前からスージーが雪葉と仲良くしてたり、ジュリーが雪葉に惹かれてしまったりして既に手遅れだったが。俺も含めて。
ジョーイは俺と雪葉がわりと仲が良いということは知らない。勿論、ご褒美に俺が雪葉とセックスしたことすら。言うと絶対に面倒なことになるのはわかっていたから、ジョーイには極力、雪葉の話をするのを避けていた。今のジョーイの話を聞いていても脈アリなんて考える要素は何処にもない。さっき雪葉と話した通り、あの女は何とも思っていない相手にだって平気でそんなことをしてくる。だからこそ、勝手に舞い上がって勘違いをする奴が続出してもおかしくはない。とはいえ、ジョーイの場合はそんな経験がないからか考えが飛躍し過ぎなのは確かだ。この後、雪葉がジョーイと仲良くしたがっていたなんて話をしたら更に勘違いを助長させてしまうに違いない。面倒だ。ため息を吐きたい気持ちを押さえつつ、言葉を選ぶ。
「…まあ、一旦落ち着けよ。…お前、さっきろくに話もせずに雪葉から逃げてたよな」
「あっ、そ、それは…!…つい動揺して頭が真っ白になって…気付いたら走り出してたんだ…」
「会話すらまともにできなくて脈なんてある訳ねーだろ。まず先に普通に会話できるようにならないと」
「…そ、それはそうかもしれないけど…雪葉を目の前にすると俺、緊張して上手く会話ができなくなるんだよ」
「そうだろうな。そこで、俺から提案がある。雪葉と話せる機会を作るからそのときにちゃんと会話できるようになれよ」
「マ、マジで…!?雪葉と二人きりで!?」
「いや、二人だとどうせお前は緊張して話せないだろうから、そのときは俺も一緒に居てやるよ」
「ほ、本当か…!?」
ジョーイは勢いよく俺の肩を掴んできた。俺はああ、と頷く。この際、雪葉からジョーイと仲良くしたいから誘ったという話は伏せておこう。そうでもしないと、コイツが暴走しかねない。
「サンキュー!お前、本当にいい奴だな、フランク!」
感情が高ぶっているジョーイは俺に抱き着いてくる。気持ち悪いからやめろと引き剥がすとジョーイは笑いながら謝る。問題は普通に俺が間に居たとしてもコイツが雪葉と話せるかということだ。雪葉の話ではジョーイは素っ気ないと言っていたことから、録に会話のキャッチボールすら出来てないように思う。いつもの饒舌なジョーイを引き出すには、酒を飲ませるのが手っ取り早いかもしれない。
「で、そのことは雪葉にも話しておくけど、バーで酒でも飲みながら話すか?」
「あ、それいいな!それだったら俺も普通に話せるかもしれない」
「わかった。それで話しておく。また日程が決まったら連絡する」
「よっしゃー!頼んだぜ、フランク!何の話するか今から考えておかなきゃな!…あ、そうだ!今から雪葉ときちんと会話できるように練習に付き合ってくれよ」
「はあ?練習?そんなの必要ないだろ」
「いやいや、本番それで上手く話せなかったらどうすんだよ。ちょっとぐらい付き合ってくれたっていいだろ。…もし、告白とかされたらどうしたらいいだろう?プレゼントとか用意しとくべきか?」
何やら妄想がエスカレートしてジョーイはぶつぶつと呟いている。…ああ、本当に面倒だ。三人で飲みって言ってるのにどうやったら告白とかの話になるんだよ。コイツ、マジで馬鹿だろ。
「お前、浮かれすぎんなよ。…それから、アイツにあんまり期待するな」
「う、浮かれてねーよ!いや、こんなの浮かれずにいられねーよ!…期待って…お前、俺と雪葉が付き合っても嫉妬するなよな!」
「馬鹿だろ。ねーから」
ジョーイは浮かれて、口笛を吹きながら自室に帰る途中で壁にぶつかっていた。アホすぎる。本当に何を言っても聞いてない。雪葉がお前と付き合う訳ないだろ!と言いたくなる。…はあ、マジでイライラする。雪葉とジョーイが仲良くなる協力をしたって俺には一つも得はない。雪葉に頼まれたから仕方なく聞いただけで、本当はこんなことしたくはなかった。俺以外と仲良くする必要なんかないのに。