心強い味方
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2人のキラーがペアになって8人のサバイバーを処刑する少し特殊な儀式。今までは一度もその儀式に参加したことがなかったけれど、今回私もはじめて参加することになった。
相方のキラーはランダムでエンティティに選ばれるらしく、上手くサバイバーを仕留められるか不安だった。相方の足を引っ張ってしまったり、迷惑をかけて怒らせてしまったらどうしようという考えが頭の中を埋め尽くす。もしも、全逃げなんかされたら2人ともエンティティの拷問を受けることになるのだろうか。それだけは何としても避けなければいけない。
エンティティに呼ばれて立ち上がる。
緊張を誤魔化すように自分の手に馴染んだ愛用のナイフのグリップをぎゅっと握った。目を開ければグレンベールの墓の景色が広がっていた。背後に気配を感じて振り返ると、ゴーストフェイスの後ろ姿が見えた。既に動き出していた彼の背中に向かって「よろしくお願いします」と頭を下げた。彼には私の声なんて聴こえていないのか、はたまた無視をしたのかはわからないけれど、何事もなかったかのように建物の陰に姿を消した。
ゴーストフェイスと喋ったのは今の挨拶を含めても数える程度しかない。それに、私は彼に少し苦手意識を抱いている。彼がシリアルキラーというのもあり、少し恐いイメージがあるからだ。隠密を得意とする彼とは別行動をする方がいいかもしれない。上手くやれるかなと再び不安が渦巻いて、慌てて頭を振る。そんな心配をするより、どう立ち回るか考えよう。兎に角、私は彼とは反対方向へと発電機の音を頼りに足を進めた。
処刑台の近くまで来ると、3人が同じ発電機を修理していて既にその発電機はもうすぐ修理が完了してしまいそうだった。人数が通常よりも多い分、やはり発電機の修理速度も速い。私は慌てて一番近いサバイバーの背中を斬りつけた。驚いて逃げていくサバイバーを仕留める為に追い掛ける。小屋の方に走っていったサバイバーを追ってダウンを取る頃にはさっきの発電機の修理が完了していた。1人を追う前に2人にも負傷させておけば良かったと後悔する。それに強い場所に逃げ込むサバイバーを深追いするのも良くない行動だ。改めて反省して他のサバイバーを捕まえに行こうとすると、一気に2台の発電機の修理が完了する音が聴こえた。修理された発電機は3台。急いで発電機の修理の邪魔をしにいかなければと私は走った。
目の前に飛び出してきたサバイバーを不意打ちで負傷させる。そこから荷馬車が倒れている場所までサバイバーは走る。そこにあるパレットはすぐに倒されてパレットが頭に直撃した。その衝撃にぐわんと目眩がしてよろける。それでも、そんな痛みを気にしてる暇もない。倒されたパレットの反対側に回り込んでダウンを取ろうとするものの、パレットをタイミング良く乗り越えられ、もう少しで斬れそうだと思えば、上手く攻撃を交わされてしまう。一撃を簡単に入れられたから早く仕留められると思っていたのに、意外とこのサバイバーはキラーの動きを良く見ているし、チェイスも上手い相手だと気付いた。その間にもう1台の発電機が回ってしまい、私は更に焦る。早くダウンを取らなきゃいけないのに後少しというところで上手くいかない。上手い相手を追いすぎれば発電機は回ってしまう。だけど、ここでこのサバイバーを追うのをやめれば今までの時間が無駄になってしまう。パレットを割っている間にサバイバーはまた次のチェイス場所に移動しようとしてて、私は焦ってどうするべきなのか分からなくなる。
すると、僅かにバサッと布のはためく音がして黒い影が視界に入った。次の瞬間、私の追っていたサバイバーが急に悲鳴を上げて倒れた。気付けばゴーストフェイスがそのサバイバーの後ろに立って、ナイフの血を拭っていた。そして彼はサバイバーを放置して何も言わずに次の標的を探しに行こうとする。驚いて瞬きをしていた私は慌てて、その背中にお礼を言った。彼が仕留めてくれたサバイバーをエンティティの檻に送る。…ゴーストフェイスが何も言わずに助けてくれた。きっと1人のサバイバー相手に苦戦していたから、見兼ねて手助けをしてくれたのかもしれないけど、そのことに私は嬉しくなる。しかも、さっきのサバイバーを仕留めたのは彼だったのに、彼はそれを自分の手柄にすることさえしなかった。エンティティは儀式を監視しては、誰がどれだけサバイバーを檻に送ったかまで確認してると聞いたことがある。それによって彼女のキラーに対する評価が変わると。今の行動はゴーストフェイスにとっては殆ど特はない。早く他のサバイバーを捕まえてほしいから助けた可能性はあるけれど。なんだかそう思うと、無性に胸が高鳴った。私が声を掛けなくても助けてくれたこともすごく嬉しかった。何も言わずに去っていく後ろ姿が格好良かった。
浮かれそうになってはまだ儀式の途中だとその思考を振り払う。発電機は後、残り3台。サバイバーを檻に送った回数はきっと、2人合わせて半分より少し多いくらいだろうか。ここから更に発電機を守って、できる限り多くのサバイバーを処刑しよう。