バグ日和
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今日も今日とて地獄の儀式が始まった。気付いたらエンティティによって儀式のマップに飛ばされて、ひとまず周りに仲間のサバイバーが居ないか、発電機が無いか周囲を見渡そうとした。
まずは右を見て……
「……!?」
驚愕した。何となく人の気配がするから近くにサバイバー仲間が居るんだろうと思って右を見たら隣にキラーが居た。……いや、そんなことある?開幕そうそう、サバイバーの隣に仲間みたいにキラーが居るなんてこと、あってはダメだと思う。どうしよう、儀式開始して3秒ぐらいでキラーに会っちゃった。
私とキラーはお互い数秒間、無言で見つめ合った。
まあ、一旦冷静になろうではないか。取り敢えず私は何も言わずにキラーに会釈をした。そしたらキラーも何も言わずに会釈を返してくれた。これはわかり合える。そう確信した私はキラーに背を向けると何事も無かったように歩き出した。まずは発電機を探そうと一歩前に歩き出したとき、ガシッと何者かに後ろから肩を掴まれる。
「許して下さい!こんなの無理ゲーじゃん!!」
「いや、許すとかじゃなくてサバイバーが目の前にいて殺さない訳ないじゃん」
キラーに捕まって必死で振りほどこうと抵抗しながらも何とか全力で説得しようとする。
「確かにそうかもしれないけど、もし貴方が逆の立場だったらどう思う?嫌でしょ、こんな訳の分からない不運ですぐに殺されるなんて」
「確かに嫌だね」
「でしょう!?そこは見なかったふりするのがフェアじゃないかな?」
「でも俺は実際、殺す側だから関係ないかな。可哀想だけどね」
「ちょっ、痛い!痛い!刺さってる!刺さってる!!」
「えっ、ナイフで刺されてるのにそんなこと言ってる余裕があるってことは意外と平気なんじゃない?」
「ぐあああっ!?ちょっとグリグリしないで!!めちゃくちゃ痛いんですけども!?」
「やっぱ全然、平気そうじゃん。じゃあ、ついでに他の部位もいっとく?」
そう言いながらキラーは脇腹に刺さったナイフを引き抜いて今度は太ももに容赦なく突き刺してきた。激痛で私はまたもや悲鳴を上げる。
「あ"あ"あ"あ"あ!?こんなことしてたらフックに吊る前に死んでしまいます!!」
「それもそうだね。思わず君の悲鳴が面白かったから遊びすぎちゃった」
痛みで唸ってる私をキラーは担ぎ上げると、近場のフックに吊るした。フックに吊るされた痛みで更にがあああっと悲鳴を上げた私を笑うとキラーは何処かに消えていった。
それからミンに救助と手当てをしてもらってから私は今度こそ発電機を修理することにした。話に聞くと何故かキラーの姿が最初に見て以降、全然、見当たらないとサバイバーの間では話されていたらしい。とはいえ、キラーはゴスフェなので姿を見掛けることの方が少なくて当然だ。気を付けてとだけ言われて仲間と別れると、室内から発電機の動きかけの音が聴こえてきた。ここの発電機を直そうとしたとき、発電機の前にキラーが棒立ちで立っていてぎょっとする。慌てて逃げようとすると引き止められた。
「ちょっと、こっち来て」
「えっ、何で?やだ!」
「お願いだよ。何もしないからさ」
「いや、絶対、嘘!そんなの信用できない!」
「本当だって。信じてくれたら今度、美味しい食べ物あげるから」
「…本当に?」
「うん」
「わかった。約束だからね。それで、どうしたの?」
何故かさっきと違ってキラーが必死な感じだったから恐る恐る近付いてみた。
「あのさ、発電機を蹴ったら何故か動けなくなったんだけど助けてくれない?」
「…えっ?何?どういうこと?」
「いや、俺もよくわかんないんだけど」
「そういう悪ふざけ?」
「こんなときに悪ふざけするメリットないでしょ」
「確かにね。どう動けないの?服が絡まったとか?」
「そういう感じじゃなくて足の裏を地面に縫い付けられたみたいな感じ」
ぐるっとゴスフェの周りを見て確認してみたけど、見た感じには何かが引っ掛かっている感じもない。それなのに何故か全く動けないみたいだった。
「何それ。それを私にどうしろと?」
「わかんないけど、何とかしてよ」
「いや、よく考えたら私にキラーを助けるメリットないわ〜。さっきも散々、嫌なことされたし」
「困ったときはお互い様でしょ」
「どこがお互い様だよ」
最初は仕方無いから助けてあげようかと思っていたけど、やめた。
助けようにもそうなった原因もわからなければ、どうやって助けたらいいかもわからない。それに隣に居たときも見逃してくれなかったし、それどころか無駄にいたぶられて痛い思いもした。ゴスフェが私に美味しい物をくれるかなんて確証もない。サバイバーがキラーを助ける理由だって微塵もない。
だけど、ゴスフェが動けないと言ってる以上、このまま放っておくのも勿体ない気がした。日頃の鬱憤晴らしというか、たまには私がやり返してもいいんじゃないだろうか。
私はゴスフェを見てにんまりと笑った。