BBQチャレンジ
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私達サバイバーはある日、壮大な目標を掲げた。
『みんな、私は霧の森でBBQをしたい。それも儀式外じゃなくて儀式中にね。儀式中にBBQをして楽しみ、そして4人仲良く脱出する。それを叶えてみたい』
それを聞いたいつも仲良しメンバーであるネア、ジェイク、ドワイトの3人はみんな似たような反応した。
「は?何また馬鹿なこと言ってるの?」
「寝言は寝て言ってくれ」
「え?何言ってるの?どういうこと?」
という実に否定的な反応が返ってきた訳だ。ドワイトはただ困惑してるだけに思えるかもしれないけど、顔が何言ってるんだコイツという顔をしていたのが忘れられない。いつも仲良しメンツだけど、みんな私に少し冷たいというか、ちょっとツンデレなんだ。だって現に私が絶対にBBQをするんだー!とダダを捏ねた結果、仕方ないって文句を言いながらも折れて一緒にやろうとしてくれるんだからこれはツンデレとしか言いようがないと思う。そんな3人だから私は好きなんだ。
という訳で、壮大な目標を掲げた私達はそれを実現させる為に綿密な計画を立てた。それは計画だけなら完璧だった。
『2人は発電機を修理して2人はBBQの準備をする』
その案に対してみんなは何か言いたそうに不信な視線を送ってきたけど無視だ。儀式はときには難しい判断もしなくてはならない。
さっそくBBQを実行するタイミングがきた。私達4人が計画を練ってBBQの準備をしている間に儀式に呼ばれた。
場所はロトン・フィールズ。ここはトウモロコシ畑以外は見晴らしが良くてあまりこっそりバーベキューをするのには向かないかもしれない。だけど、トウモロコシがあるだけでもBBQにはもってこいの場所だと考え直す。
「で、どうするんだ?」
『じゃあ、私とジェイクがBBQ準備係で、ネアとドワイトは発電機担当ね』
「は?ちょっと私もBBQ担当がいいんだけど」
『ネア、わがまま言わないで。ネアはチェイスも上手だし、頼りになるからそっちの方がいいよ』
「いつもわがまま言ってるのはアンタでしょ。そもそもそれって私達を囮にする気満々じゃん!」
『何言ってるの。BBQ担当が狙われないとは限らないでしょ。私達だってチェイスになれば囮になるんだから。ドワイトとジェイクもそれでいいよね?』
「「…OK(断ったらダダ捏ねるんだろうな)」」
『よし!じゃあ決まり!キラーにバレないように各自準備に移って』
私が手を叩くと各々は渋々と動き出した。私はジェイクに火の準備をお願いすると、トウモロコシ畑で何本かトウモロコシを取ってくる。極力キラーに見つからないように発電機が近くにない場所でジェイクは準備していた。はやくもバーベキューコンロが組立られている。
『お、ジェイク仕事早いね〜。やりたくなさそうなふりしてたけど、本当はウキウキだったんじゃん』
「早くしないとキラーが来るから急いで準備したまでだ」
『あー、そうですか。真面目だね〜。ほら、トウモロコシもあったから焼きトウモロコシも出来るよ!』
「良かったな。…というかキラーの確認ぐらいしといた方がいいんじゃないか?もしナースやヒルビリーとかだったら即死だぞ」
『それに関してはその二人なら開幕の音でわかるから違うだろうね。キラーは後のお楽しみってことで♪』
「お前、ほんとに呑気だな」
『意外と焦ってるよ。野菜切ってこようと思ってたのに忘れたからこれから切らなきゃいけないし』
「お前の綿密な計画は全然あてにならないな」
呆れながらもジェイクは隣で野菜を切る手伝いをしてくれる。何だかんだ言ってやってくれる筆頭がジェイクなので改めて頼りになるなあと実感する。
『あー!ていうかマシュマロ忘れた!最悪!ジェイクマシュマロ持ってきた?』
「持ってきてない」
『まじかー…。ネアかドワイト持ってきてないかな』
「ないだろ。…今更だがこの煙のせいでキラーに見つかりやすくならないか?」
『なるね。じゃあ極力、煙が上がらないようにウチワで扇いでおくよ』
「それやってもあまり変わらないからお前は早く残りの野菜を切れ」
『はーい、先生』
「俺は先生じゃない。俺はそろそろ二人を呼んでくるから戻ってくる前には準備を済ましておくように」
『わかりました。先生』
そんなやり取りを済ませると、私はジェイクに言われた通り野菜を切っていく。この地味な作業を一人でするのは寂しいものがある。BBQとはみんなでやるから楽しいところがある。準備も含めて分担しながらやるのもBBQの醍醐味だ。今回は儀式中に脱出も兼ねてやるということから分担してしまったけど、もし、次があるなら極力みんなで準備をしようと思った。切り終えた野菜や肉を串に刺す。
まだ一回も悲鳴は聴こえてこないから誰もやられてはいないだろうけどみんな大丈夫だろうか。誰かチェイス中だったりするのかな。
そんな妙な不安な気持ちを抱えて一人準備をしてるとジェイクがネアとドワイトを連れて戻ってきた。3人とも誰も怪我をしてる様子はない。
『おつかれー、待ってたよ〜!みんな無事で良かった!』
「ね、この調子ならBBQも脱出も楽そうじゃない?」
「油断するとやられるから気を抜くなよ」
「僕もちゃんとキラーに会ってないからわからないけど、誰なんだろう?」
『まあ、何はともあれBBQしてても平気なキラーとか脱出余裕だって!お肉焼けたから食べようよ!』
『「「「かんぱーい!」」」』
私達はアルコールも適度に飲みながらBBQを楽しむ。やっぱりBBQは良い。儀式中にするBBQなんて格別でもっとわくわくウキウキだ。
『あ、トウモロコシも焼けたから食べよ〜。ほら、ドワイトも遠慮せずに食べなって』
「うん…って、あ、あの、雪葉うしろ…」
トウモロコシを今まさに食べようとしてたとき、ドワイトが怯えた顔をして私の後ろを指差していた。他2人も引き攣った顔をしている。嫌な予感がしながらもゆっくり後ろを振り返ろうと思ったとき、横からぱっと手が伸びてきた。
「これ頂戴」
『あっ、私のトウモロコシ!』
聞き慣れない声と共に私が食べようとしていたトウモロコシが奪われた。急いで振り返るとそこにいたのはゴスフェだった。通りで誰もキラーがわからなかったんだと納得する。
『ゴスフェ、私のトウモロコシ返して!それ最後のやつなの!』
「トウモロコシなんていっぱいあるんだから取ってくればいいじゃん」
『やだ〜!そんなこと言うならゴスフェが自分で取ってきて焼けばいいじゃん!全く準備もしてないのに!』
「だってバーベキューやるからって誘ってくれなかったよね」
『当たり前でしょ!キラーなんだから!』
「「「なんだ、意外と仲いいのか」」」
「キラーだからって酷いよなあ。俺だってたまにはみんなとバーベキュー楽しみたいのに」
『そ、そうなの?』
「そうだよ」
『…そういうことなら早く言ってよね。ほら、お肉』
「お、やったー」
よっぽどお腹が空いてたのかゴスフェは渡したお肉もすぐに平らげてしまう。顔は見られたくないのか、頑なにこっちを向いて食べないけど見てて気持ちがいいくらいの食べっぷりだ。最初はキラーだからと少し警戒していたけど、サバイバーが4人に対してキラーはいつも1人で戦って孤独な思いをしてるのかと思うと少しだけ可哀想に感じた。だからなのか、みんな何か言いたそうにしてたけど、ゴスフェがバーベキューに加わることを誰も止めなかった。