H×C=希望性共依存
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生きる希望が欲しい。
それに協力したのはそう真剣にそれを探す彼女がほっとけなかった、というのもある。ただ俺がその為に彼女に自分と性行為をするという提案をしたのは俺が彼女の全て(希望)になりたかったからだ。自分以外のものに希望を見出ださせたくなくて、自分だけにすがってほしいと思った。サバイバー仲間たちにさえ心を開けなかった彼女が何故か唯一、キラーである自分にだけ心を開いた。それはその自分からすればとても可愛く見えてくるのも当然だろう。
エンティティはサバイバーの希望を貪るのに必死だというのに、彼女はそのエンティティの下で働く俺に希望を見出だしたのだからその愚かさといったら愛おしく思ってしまう程だ。無知だからこそ、純粋で可愛い。
最初はセックスをしようと言った俺に心底、驚きつつもその興味をそそられた瞳はとても正直だと思った。
恥ずかしいのにそれでも興味があるから彼女は俺と約束した次の日の夜いつもの場所に来た。
やはり、予想通りだった。
このこはきっと、この好奇心には勝てないだろうとわかっていたからこそ、あんな言い方をしたんだ。
初めてと言っていたこともあって恥じらいを持ちつつ、実に純粋にその行為にのめり込んだ。
自分自身、彼女が他を求められなくなるくらいに可愛がってやった。
やがて数日後には自分から誘ってくるくらいに夢中になってしまったようだ。
生きる為に必死で俺を求める彼女が美しいし、誰よりも魅力的だと思う。何より自分の望んだように彼女が手のひらの上で踊っているのが愉しくてしょうがなかった。だけどそう思う反面、自分の中のどす黒いえげつない感情に気付いて欲しくないとも願った。
ただ自分の生きる希望が欲しいが為に好きでもない相手とひたすら性行為をする。いつしかそれが当たり前になった彼女はそれが人を好きになることだと信じ、偽りの好きだと言う言葉を紡ぐようになった。
だけど俺にはわかってはいた。
彼女の自分に向けるそれは好きなんて可愛らしい感情ではなくて、ただの都合の良い相手に向ける偽りの感情だ。最初こそ純粋に彼女との恋人ごっこの行為を楽しめたが、今は少しだけ心苦しかった。
ちゃんとした好きという感情を教えてあげられることもなければ、自分に向ける見せ掛けだけの"すき"が辛く感じた。それは好きという感情ではないと、何度も言おうとしたが、自分が信じてきたものが間違いだと気付かされるのは辛いことだろう。それが自分が希望を見出だしている相手だったら余計に。
言葉を交わすことより、身体を重ねることしかなくなった自分たちはあんまりにも不完全な関係で気持ち悪いと感じるようになった。
俺が彼女に本当に求めていたものはこんな悲しい関係じゃなかったはずだ。…いや、最初こそはそんな関係を楽しんでいたはずなのに、いつしかそれは変わっていった。
「…あっ、ああっ…!…っ、すきだよ…ゴーストフェイス、…」
「……もう、こんなことやめよう」
恍惚とした表情を浮かべ、好きという言葉をうわ言のように口にする彼女を見たとき、不意に吹っ切れたようにそう口にした。胸が痛む感覚に気付かないふりをして。急に彼女から身体を離して衣服を整えた俺を不思議そうに雪葉は見上げる。
「……急にどうしたの…?」
彼女は俺が急に冷めた態度になったことに不安を覚えたのか、戸惑ったような表情を浮かべた。
言ったはいいものの、この先なんて言おうか悩んだ。はっきり言えば彼女を傷付けることになる。
「……私のこと、嫌いになった?」
「…違う、そうじゃない」
不安気な瞳が俺に縋るように見つめてくるから誤解をさせないようにすぐに否定した。その言葉を否定することは出来るけど、流石に君の気持ちは偽りのものだなんて言葉を突き付けるのは残酷すぎる。彼女にとって自分は欲を満たしてくれる都合の良い存在でしか無いもしれないが、俺にとっては既にぞんざいに扱えるような存在ではなくなっていたのだ。
「……君はもっと、ちゃんとした恋を知るべきだ。その相手はきっと俺なんかじゃなくて、サバイバーの仲間とか普通の人と」
「……どうして急にそんなこと言うの?私が好きなのはゴーストフェイスだよ」
「…ちがう、違うよ。君はそう思い込んでるだけだ」
まるで幼い子供に間違いを教えるように極力傷付けないように言葉を選んだ。俺に対して好きなんて言葉は使わないでほしい。それが偽りだと知っていても尚、その言葉を信じてしまいたくなるのがとても苦しいから。
「……何でそんなこと言うの?私がそんな風に言ったこと、あった?」
「ないけど、わかるよ。君が俺に向けてる感情なんてない。ただ、俺が近くにいたから君の生きる糧になった。それだけ」
「…私の気持ち勝手に決めないでよ。貴方がいるから、私はこんな世界でも生きたいと思えるのに…」
彼女の目は潤んでいて今にも涙が溢れ出してしまいそうなのを必死で耐えているようだった。
彼女は俺と関わるようになってから次第に色んな表情を見せるようになった。笑ったり、怒ったり、照れたり、嬉しそうにしたり。彼女自身は自分がそんな風に変わったことに気付いてないかもしれないけど俺はそれが嬉しかった。
それが例え彼女の思い込みからくるものだったとしても、彼女の支えになれてる気がして。この世界で唯一、俺だけが彼女に与えられるものだと思っていたから。
「……それは君がそう思い込んでるだけだって。君が行為中に俺に好きだって言うのは俺が君に恐怖を忘れさせて快楽を与えてくれてるからだよ」
「…ちがう、…全然違うよ…。私は貴方に嘘でもいいから好きって言って欲しいの。好きだからだよ?好きじゃなきゃそんなこと望まない」
もどかしい。そんな顔をさせたい訳じゃない。そんな風に思ってもいない言葉を並べてほしい訳でもない。もっと簡単に伝える事が出来たら楽なのにそれをしたら彼女を傷付けてしまう。
俺がどれだけ雪葉のことを深く知ろうとしたかなんて彼女は知らない。彼女の考えは手に取るようにわかる。彼女以上に。早く気付いてほしい。俺にわざわざこんなことを説明させないでほしい。
「……君は自分を愛してくれる相手が欲しかっただけだ。最初から君は俺のことを好きだったなんて言ったことはない」
「…最初はそうだとしても時間が経てば好きになることはあるでしょ?どうして私が貴方を好きなことをそんなに否定したがるの?」
「……」
彼女が俺を好きだということを否定しようとするのには訳がある。だけど、いくら説明をしたところで本人が自覚していないところに真実が紛れているから理解してもらえるとは思えなかった。
俺はあるとき、彼女が仲間のサバイバーと打ち解けてほんの少し表情を緩めたのを見た日、確信した。
別に彼女はもう自分が居なくたって生きていけるんじゃないかと。彼女は俺と仲良くなったから他の人とは仲良くならなくてもいいと、そう甘えているだけだ。
俺が彼女を突き放したとしたらきっと彼女は別の人に希望を見出だそうと縋るだろう。彼女は自分を恐怖から救い出してくれるなら相手は誰だって良かったのだから。
だから自分の為に俺がこれ以上、苦しくならないように早く彼女を突き放したいと思った。
「……普通のサバイバーとちゃんとした恋をした方がいいなんて言ったけど、貴方は殺人鬼だから私を幸せに出来ないと思ってる?…前の世界でも、こんなに幸せだなんて思った瞬間ないのに…どうして信じてくれないの…」
等々、彼女の頬を綺麗な涙が滑り落ちていった。
嘘とか演技とかそんな器用なことが出来る性格ではないことはわかっている。彼女はどんなに苦しんでいても、ネガティブな発言ばかりしていても自分の前では一度たりとも涙を見せたことはなかったから。
彼女のことを思うなら突き放すべきだと頭ではわかっていた。今は辛いとしても、これから先他者と関わっていけば彼女なら幸せになれるはずだ。
だけど、これだけ真実を突き付けても彼女は理解しようとしてくれなかった。涙を流して俺を好きだと言って、これから先も自分と一緒にいる道を望んでいる。…例えそれが思い込みからくる好きだとしても、偽りだとしても、雪葉はただ一人俺を望んでくれた。
彼女が俺に希望を見出だしたように、俺も彼女に希望を求めてもいいのだろうか。
そう迷っていたはずなのに気付いたときには彼女の目元の涙を拭っていた。大きな瞳で見つめ返されて何も言わずに唇を重ねた。彼女も俺の求めるままに、受け入れた。
「……好きだよ、雪葉。俺の希望になってほしい」
俺たちは不完全な関係だ。友達と呼ぶにはお互いのことを知りすぎてて、恋人と呼ぶには寂しい関係だった。
俺はずっと彼女が一方的に俺に依存しているだけだと思っていた。けれど俺に依存する彼女に俺もいつの日か依存するようになっていたことに気付いた。
それは共依存だった。だけど、それでもいい。
お互いが飽きる日まで依存し合おう。
俺は君が望むものになるから。
生きる希望が欲しい。
それに協力したのはそう真剣にそれを探す彼女がほっとけなかった、というのもある。ただ俺がその為に彼女に自分と性行為をするという提案をしたのは俺が彼女の全て(希望)になりたかったからだ。自分以外のものに希望を見出ださせたくなくて、自分だけにすがってほしいと思った。サバイバー仲間たちにさえ心を開けなかった彼女が何故か唯一、キラーである自分にだけ心を開いた。それはその自分からすればとても可愛く見えてくるのも当然だろう。
エンティティはサバイバーの希望を貪るのに必死だというのに、彼女はそのエンティティの下で働く俺に希望を見出だしたのだからその愚かさといったら愛おしく思ってしまう程だ。無知だからこそ、純粋で可愛い。
最初はセックスをしようと言った俺に心底、驚きつつもその興味をそそられた瞳はとても正直だと思った。
恥ずかしいのにそれでも興味があるから彼女は俺と約束した次の日の夜いつもの場所に来た。
やはり、予想通りだった。
このこはきっと、この好奇心には勝てないだろうとわかっていたからこそ、あんな言い方をしたんだ。
初めてと言っていたこともあって恥じらいを持ちつつ、実に純粋にその行為にのめり込んだ。
自分自身、彼女が他を求められなくなるくらいに可愛がってやった。
やがて数日後には自分から誘ってくるくらいに夢中になってしまったようだ。
生きる為に必死で俺を求める彼女が美しいし、誰よりも魅力的だと思う。何より自分の望んだように彼女が手のひらの上で踊っているのが愉しくてしょうがなかった。だけどそう思う反面、自分の中のどす黒いえげつない感情に気付いて欲しくないとも願った。
ただ自分の生きる希望が欲しいが為に好きでもない相手とひたすら性行為をする。いつしかそれが当たり前になった彼女はそれが人を好きになることだと信じ、偽りの好きだと言う言葉を紡ぐようになった。
だけど俺にはわかってはいた。
彼女の自分に向けるそれは好きなんて可愛らしい感情ではなくて、ただの都合の良い相手に向ける偽りの感情だ。最初こそ純粋に彼女との恋人ごっこの行為を楽しめたが、今は少しだけ心苦しかった。
ちゃんとした好きという感情を教えてあげられることもなければ、自分に向ける見せ掛けだけの"すき"が辛く感じた。それは好きという感情ではないと、何度も言おうとしたが、自分が信じてきたものが間違いだと気付かされるのは辛いことだろう。それが自分が希望を見出だしている相手だったら余計に。
言葉を交わすことより、身体を重ねることしかなくなった自分たちはあんまりにも不完全な関係で気持ち悪いと感じるようになった。
俺が彼女に本当に求めていたものはこんな悲しい関係じゃなかったはずだ。…いや、最初こそはそんな関係を楽しんでいたはずなのに、いつしかそれは変わっていった。
「…あっ、ああっ…!…っ、すきだよ…ゴーストフェイス、…」
「……もう、こんなことやめよう」
恍惚とした表情を浮かべ、好きという言葉をうわ言のように口にする彼女を見たとき、不意に吹っ切れたようにそう口にした。胸が痛む感覚に気付かないふりをして。急に彼女から身体を離して衣服を整えた俺を不思議そうに雪葉は見上げる。
「……急にどうしたの…?」
彼女は俺が急に冷めた態度になったことに不安を覚えたのか、戸惑ったような表情を浮かべた。
言ったはいいものの、この先なんて言おうか悩んだ。はっきり言えば彼女を傷付けることになる。
「……私のこと、嫌いになった?」
「…違う、そうじゃない」
不安気な瞳が俺に縋るように見つめてくるから誤解をさせないようにすぐに否定した。その言葉を否定することは出来るけど、流石に君の気持ちは偽りのものだなんて言葉を突き付けるのは残酷すぎる。彼女にとって自分は欲を満たしてくれる都合の良い存在でしか無いもしれないが、俺にとっては既にぞんざいに扱えるような存在ではなくなっていたのだ。
「……君はもっと、ちゃんとした恋を知るべきだ。その相手はきっと俺なんかじゃなくて、サバイバーの仲間とか普通の人と」
「……どうして急にそんなこと言うの?私が好きなのはゴーストフェイスだよ」
「…ちがう、違うよ。君はそう思い込んでるだけだ」
まるで幼い子供に間違いを教えるように極力傷付けないように言葉を選んだ。俺に対して好きなんて言葉は使わないでほしい。それが偽りだと知っていても尚、その言葉を信じてしまいたくなるのがとても苦しいから。
「……何でそんなこと言うの?私がそんな風に言ったこと、あった?」
「ないけど、わかるよ。君が俺に向けてる感情なんてない。ただ、俺が近くにいたから君の生きる糧になった。それだけ」
「…私の気持ち勝手に決めないでよ。貴方がいるから、私はこんな世界でも生きたいと思えるのに…」
彼女の目は潤んでいて今にも涙が溢れ出してしまいそうなのを必死で耐えているようだった。
彼女は俺と関わるようになってから次第に色んな表情を見せるようになった。笑ったり、怒ったり、照れたり、嬉しそうにしたり。彼女自身は自分がそんな風に変わったことに気付いてないかもしれないけど俺はそれが嬉しかった。
それが例え彼女の思い込みからくるものだったとしても、彼女の支えになれてる気がして。この世界で唯一、俺だけが彼女に与えられるものだと思っていたから。
「……それは君がそう思い込んでるだけだって。君が行為中に俺に好きだって言うのは俺が君に恐怖を忘れさせて快楽を与えてくれてるからだよ」
「…ちがう、…全然違うよ…。私は貴方に嘘でもいいから好きって言って欲しいの。好きだからだよ?好きじゃなきゃそんなこと望まない」
もどかしい。そんな顔をさせたい訳じゃない。そんな風に思ってもいない言葉を並べてほしい訳でもない。もっと簡単に伝える事が出来たら楽なのにそれをしたら彼女を傷付けてしまう。
俺がどれだけ雪葉のことを深く知ろうとしたかなんて彼女は知らない。彼女の考えは手に取るようにわかる。彼女以上に。早く気付いてほしい。俺にわざわざこんなことを説明させないでほしい。
「……君は自分を愛してくれる相手が欲しかっただけだ。最初から君は俺のことを好きだったなんて言ったことはない」
「…最初はそうだとしても時間が経てば好きになることはあるでしょ?どうして私が貴方を好きなことをそんなに否定したがるの?」
「……」
彼女が俺を好きだということを否定しようとするのには訳がある。だけど、いくら説明をしたところで本人が自覚していないところに真実が紛れているから理解してもらえるとは思えなかった。
俺はあるとき、彼女が仲間のサバイバーと打ち解けてほんの少し表情を緩めたのを見た日、確信した。
別に彼女はもう自分が居なくたって生きていけるんじゃないかと。彼女は俺と仲良くなったから他の人とは仲良くならなくてもいいと、そう甘えているだけだ。
俺が彼女を突き放したとしたらきっと彼女は別の人に希望を見出だそうと縋るだろう。彼女は自分を恐怖から救い出してくれるなら相手は誰だって良かったのだから。
だから自分の為に俺がこれ以上、苦しくならないように早く彼女を突き放したいと思った。
「……普通のサバイバーとちゃんとした恋をした方がいいなんて言ったけど、貴方は殺人鬼だから私を幸せに出来ないと思ってる?…前の世界でも、こんなに幸せだなんて思った瞬間ないのに…どうして信じてくれないの…」
等々、彼女の頬を綺麗な涙が滑り落ちていった。
嘘とか演技とかそんな器用なことが出来る性格ではないことはわかっている。彼女はどんなに苦しんでいても、ネガティブな発言ばかりしていても自分の前では一度たりとも涙を見せたことはなかったから。
彼女のことを思うなら突き放すべきだと頭ではわかっていた。今は辛いとしても、これから先他者と関わっていけば彼女なら幸せになれるはずだ。
だけど、これだけ真実を突き付けても彼女は理解しようとしてくれなかった。涙を流して俺を好きだと言って、これから先も自分と一緒にいる道を望んでいる。…例えそれが思い込みからくる好きだとしても、偽りだとしても、雪葉はただ一人俺を望んでくれた。
彼女が俺に希望を見出だしたように、俺も彼女に希望を求めてもいいのだろうか。
そう迷っていたはずなのに気付いたときには彼女の目元の涙を拭っていた。大きな瞳で見つめ返されて何も言わずに唇を重ねた。彼女も俺の求めるままに、受け入れた。
「……好きだよ、雪葉。俺の希望になってほしい」
俺たちは不完全な関係だ。友達と呼ぶにはお互いのことを知りすぎてて、恋人と呼ぶには寂しい関係だった。
俺はずっと彼女が一方的に俺に依存しているだけだと思っていた。けれど俺に依存する彼女に俺もいつの日か依存するようになっていたことに気付いた。
それは共依存だった。だけど、それでもいい。
お互いが飽きる日まで依存し合おう。
俺は君が望むものになるから。