君より大事なものはない
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
命をかけた儀式が始まった。
今日の場所は草木が生い茂るマザーズドゥエリングだ。キラーはまだ誰かわからないけど、気は抜けない。
私はそろりそろりと動き、発電機を直し始める。儀式の始まりが一人だととても心細い。誰かが一緒にいて始まりの挨拶が出来るだけでも勇気づけられるのに。
そう思っても開幕そうそう仲間を探して走り回ったりするとキラーにすぐに見付かってしまうのでどうしようもないけど。発電機以外の音に集中しながら修理していれば、もう少しで修理が完了しそうだ。後少しで発電機の修理が終わると思ったタイミングでサバイバーの悲鳴が聞こえてきた。私は最後まで発電機の修理を終えて、直ぐ様、フックに吊られたサバイバーを助けに行く。
辺りにキラーが待ち伏せしていないか、確認をして、フックに吊られているクローデットをゆっくりと地面に下ろす。そしてその場で彼女の怪我を治療してあげた。お礼を言うと彼女は走って森の奥に消えていってしまった。せめて発電機を一緒に直したかったなと呆然と彼女が消えていった先を眺めていた。
しかし、すぐに悲痛の悲鳴が遠くから聞こえてきて私は我に返る。こんなときにぼーっとしている場合じゃない。悲鳴が聞こえてきた場所は私がいる場所から相当、遠い場所だ。救助に行こうか、悩んでいると少し歩いた先に半分くらい修理が終わった発電機があった。人は誰も居ない。恐らく誰かが修理途中で、救助に行ったか、チェイスになった可能性がある。だけど、きっとこの近くでチェイスしていたのならパレットを倒すなり、窓枠を飛び越えるような音がしてもおかしくないはずだ。だけどそんな音が一切、聞こえなかったことを考えれば、救助に行ってくれた可能性が高い。ここは仲間を信じて私はこの発電機を修理することに専念しよう。
儀式は状況がわからない以上、予想で動くしかない。
発電機の修理が全然、進んでいないことを思うと妥当な考えだ。
……それでも、やっぱり不安にはなる。私のせいでサバイバー仲間が全滅してしまったら、と。
不意に前にした彼女とのやり取りを思い出す。
「…でももし、私の状況判断がミスしてて仲間が全滅しちゃったら…」
「大丈夫!あんたが考えてそれが一番だと思って行動したんだからどうなったとしても誰も責められないよ。時には仲間を信じることも大事なの」
「……」
「…それに…もし雪葉のせいでサバイバーが全滅したとか馬鹿なことを言ってくる奴がいるならそん時は私が言い返してあげる。だからそんな泣きそうな顔すんな?」
そうやって私を安心させる心強い笑顔を見せて、私の肩をポンポンと叩いてくれたネア。
不安なときや、泣きそうなときは彼女のことばかり思い出す。初めての儀式もダメダメで足を引っ張っていたときもネアは私に色々、教えてくれて、フォローをしてくれて、励ましてくれた。憧れであり、私の大好きな人だ。
発電機の修理を何とか終えた。
だけど、発電機の進み具合が遅いことに私は気付いていた。私が直した発電機は二台。それ以外の発電機の修理完了した音は聞こえなかった。
私はまた、不安になる。他のサバイバーも見掛けなければ、私がキラーに見付かって襲われることもない。流石に少し変過ぎる。……やっぱり、さっきの私の状況判断が間違っていて他のサバイバーはもうとっくに殺されているのだとしたら…。…私がもっと積極的にタゲ取りや救助をした方が良かったのかもしれない。
じわり、と目頭が熱くなる。泣いてはダメだと思うのに、私のせいという考えが自分を責め続ける。…こんなときにネアがいてくれればなあ。
等々、ポロポロと涙が溢れだした。
「……っ、ネア、…」
呼んでも居るはずのない人の名前を呼ぶ。
そのとき、不意に手を引かれた。涙を拭っていた手がその誰かに引っ張られたことによって、自然としゃがむ形になってその人と目が合う。