うざいこほど可愛い
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「ミン~?兎取ってきたから食べない?」
「…どこの野生児よ」
死んだ兎の耳をつかんで私に見せてくる雪葉にため息を吐いて突っ込みを入れる。食べる物が無いと困るから仕方ないとしても毎回、か弱い動物を平気で殺すのどうなの。もう少し躊躇しなさいよ。
「しょうがないよサバイバルなんだし」
「そうだけど…って返事する前に既に焼いてるし」
「うん。そろそろお腹空く頃でしょ?」
「…まあね」
確かにお腹が空いてきたのは事実だから黙って雪葉が焚き火で肉を焼くのを眺める。兎を切りもせずに丸ごと串に刺すとか見た目に似合わず本当ズボラだと思う。私もズボラな方だけど流石にこの子には負けるわ。
「ねえ、今日こそは一緒に体洗いっこしようね?」
「だから嫌だって言ってるでしょ。そのくらい一人でやりなさいよ」
「やだー、だってミンの体に触りたいもん」
「少しはオブラートに包んだ言い方出来ないの!?あんたはエロオヤジか!」
「えへへ~、ミンの前だけエロオヤジになっちゃうんだ~」
「自慢することでもないし!…全く、もう」
「はい、そんなこと言ってる間にうさちゃん焼けたよ~。味はお好みで、塩、胡椒、砂糖、ソース、マヨネーズどうぞ」
「調味料のレパートリーめっちゃ増えてる。…ていうか砂糖だけ可笑しくない!?」
「え、可笑しくないよ?私は砂糖とマヨかけて食べるし」
見れば雪葉は平然と半分にした兎肉にマヨネーズと砂糖をかけている。
「…うえっ、あんたの味覚音痴っぷりは本当に見てるだけで気分悪くなる。頼むから後ろ向いて食べてくれないかな」
「そんな悲しいこと言わなくても…。折角、一緒に食べてるのにミンの顔が見れないなんて寂しくて涙が出ちゃう」
「…わかった、私が後ろ向くからいいわ」
「それじゃ、結果変わらないじゃん!」
本当に雪葉が食べてるのを見てると食欲が失せそうだから顔を合わせたくなかったのに、あまりにも悲しそうな顔をするから仕方無く向き合って食べる。極力、雪葉の方は見ずにね。
「へへ~、やっぱりミンは可愛いなあ」
「…ちょっと、ご飯のときくらい黙って食べなよ」
「わかったー」
そう言ったきり、雪葉は黙って素直にモグモグ食べ出した。…はあ、こういう素直なところは可愛いんだけどね。雪葉から妙な視線を感じつつも肉を食べ終えた。