ぬけがらに愛を囁く5
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ルイの身体の拷問の痕はあまりにも酷いものになっていったのか、次第に肌を露出する服を一切、着なくなった。ある日から急に片目に眼帯をするようになったからどうしたのかと訊いたときに左目を潰されたと彼女は何でもないように笑って答えた。
どうしてそこまで我慢するのか自分には全く理解できなかった。こんな痛みに耐えるなんて無理に決まってる。馬鹿なことはやめてほしい。ルイは自分の考えを曲げたりしないから、あまりそのことに触れないようにしてたけれど、もう見てるとこっちが痛々しくて仕方がなかった。これ以上続けたらその内、死んでしまう。それをどれだけ言ってもルイは解ろうとしなかった。
…いや、死んでもいいと思ってるのかもしれない。人を殺すくらいなら、自分が死んだ方がいいとルイなら言いそうだ。
最初は本当にどうでもよかった。せっかく忠告してやったのに馬鹿な女だと内心、嘲笑していた。自分には関係ないことだったから。だけど、ルイは人と喋るのが好きなのか、誰かと一緒に居るのが好きなのかはわからないが、何故か俺に会いにくるようになった。そのせいで仲良くなり過ぎてしまった。最初はどうでもいいと思っていたはずの存在なのに今は心配で仕方がなかった。自分は平気だと思っているかもしれないけれど、彼女の傷が増える度に俺がしんどくなる。しかも、何故かルイは馬鹿みたいに強がりで、それが余計に俺を苛立たせた。痛み止めを飲んでいないと寝れないくらいなのに一切、泣くことも弱音を吐くこともしなければ、いつも笑っていた。本当に馬鹿みたいに笑っている。元から明るい性格だったけれど、意識して無理に明るく努めようとしているようにも見えた。一人で寝るのが辛いくらいなら弱みのひとつ見せたっておかしいことじゃないのに。甘えてほしいと思ってる訳じゃないけれど、何でそんなに強がるんだと思わずにはいられない。
いつもの日課のようにルイは俺の部屋にやってきた。前までなら快く部屋に入れたけれど、俺はもう限界だった。
ルイが何を言っても意見を変えてくれないことも。ルイの身体に消えない傷が増えていくのに強がって笑っているのを見ているのも。どれだけ一緒に居ても自分には何もしてやれないことも。兎に角、彼女と居るとモヤモヤした苛立ちが募るようになっていた。今までは一度だって本気でルイに苛ついたことなんてなかったのに。
「…もう君と関わりたくない。帰って」
たったそれだけ言ってルイの返事も聞かずに部屋の扉を閉めた。罪悪感がないといえば嘘になるけれど、どこかスッキリしていた。もうあんな風に彼女の苦しむ姿を見なくて済む。自分の自由な時間がやっと戻ってきた。彼女と関わる前に俺は戻るだけ。そう、もうどうなったとしても何も知らない。彼女の気持ちなんて俺は考えなくていい。