真意
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この世界に来たばかりのとき、この世界のことやキラーのすべきことを簡単に説明をしてくれたのがリフだった。彼女はキラーの調教師という役職でそのとき彼女がどういう立場の人間で何をするのかも聞いた。
こんな世界で謎の儀式が行なわれていることさえ聞いていても現実味がなかったというのに、目の前に現れた女があまりにも浮世離れした美女で目を奪われたのを覚えている。容姿がいいのは勿論のこと、彼女から漂う独特で妖艶な雰囲気にそれでいて男を一瞬で虜にしてしまうような甘い香りと溢れる色気。髪を耳にかける仕草も、睫毛を伏せる瞬間も、微笑む姿も、どの所作も美しく誘っているように見えた。説明されていてもその内容が全く頭に入ってこないぐらいに彼女は魅惑的だった。
それでも簡単に落ちなかったのは彼女が何処か冷たいというか無愛想という訳でもないのに俺に対して一歩引いて深くは関わろうとしなかったことに気付いたからだ。
きっと彼女は誰に対しても今までずっとそうやって距離をとって生きてきたのかもしれない。憶測でしかないけど、確かにこれほど美しい女が誰彼構わずに愛想を振り撒いて距離を縮めてきたら多くの余計な好意をもらいかねない。そういう意味では賢い距離感だとは思った。
それから俺は儀式に呼ばれればきっちり全滅を取り、特に問題もなく、この霧の森に順応していった。
この世界で行なわれる儀式はエンティティの為にやっているものだが、自分自身はエンティティの為というより愉しいからやってるに過ぎない。だから儀式は怠いときもあるが、苦ではなかった。それでも、この世界に慣れてくると儀式に新しさはなくなりマンネリ化し、飽きがくる。たまにリフが良い戦績を出し続けた報酬といって俺に休暇や武器、スキンなどを与えた。彼女がそれだけの為に俺に会いに来る度、どうしても深く関わりたいと思うようになっていた。このときの心境は恋なんてピュアな感情というよりは正に男としての本能、下心でだ。
彼女はとても魅力的なのに人を寄せ付けないようにしているのはわかっていた。それでも、どうにかして彼女と仲良くなれないかと来たときに雑談を振ってみたり、素性を聞いてみたりしたが、軽くいなされる。
彼女と仲良くなれるどころか、それは逆効果だったようで、あまり彼女は報酬を与えにくることすらしなくなった。それでも下心は何とか彼女と出来ないかと暴れ続けた。ついには彼女に見つからないように彼女の後をつけて他のキラーとの会話を盗み聞きしてみたりもした。
そして、ある秘密を知ることとなった。
彼女がレイスと拷問部屋の隣の部屋に入っていく場面を目撃したのだ。二人が中に入って一時間が経とうとしてる。報酬をあげるにしたってあまりにも時間がかかりすぎだ。何をしているのか物凄く気になるのに、部屋に入って何か面倒なことになるのも嫌だ。しかし、知りたいという欲求に負けて扉の前で中の様子を探ろうと聞き耳を立てた。すると扉の向こうから聴こえてきたのは女の喘ぎ声と、激しい肉同士がぶつかる音。一瞬、事態が理解できずに頭の中が真っ白になった。いや、中で二人がヤッてるのは確実なのだが、どうしてもリフがそんなことをするようには見えなかった。あんなに人を避けるようにして俺に対しても色目なんか使わなかった彼女がレイスとセックスしてるなんて信じられない。そもそも、あんなに女に興味なさそうなレイスがリフを抱いているという事実も信じられなかった。
それでも中から聴こえてる音は紛れもなく、俺に事実を突き付けた。
流石にショックだ。自分が目をつけて気を引かせようと悪戦苦闘していた女をレイスが意図も簡単に抱いていたんだから。
しかし、何をどうやって深い関係になったんだろうと考える。二人は明らかに端から見ても恋人という関係ではなさそうだった。…なら、レイスが彼女の弱味を握って彼女に無理矢理、行為を強要している…?その可能性も無くはないと思うけど、何処かしっくりこない。あまり関わったことはないが、レイスはキラーの中でもかなり真面目で純粋なイメージがある。そんな奴がリフを脅して無理矢理してるなんて考えられなかった。そもそも、エンティティの次に偉いとされる上の立場の者にレイスがそんなことするなんて有り得ないのだ。
それに部屋に入っていくときの様子を見ていてもリフが嫌々、入っていくようには見えなかった。…そこから導き出される答えは、あの行為は彼女の同意の元、していたことになる。…益々、わからなくなった。だけど、そういうことなら真実を明らかにする方法がある。俺から彼女にそのことを直接、聞く。それが一番手っ取り早い。
それなら報酬のことをエンティティに伝えて、彼女に報酬を貰う機会を作るしかない。
そして、ついに謎は解け、俺は彼女のことを深く知ることに成功した。
レイスとのセックスは褒美としてリフの同意で行なっていた行為であったこと。
そこから彼女との会話のやり取りからセックスまでの流れは完璧だった。彼女は俺のことを自分が嫌っていると言う事実を伝えれば萎えて諦めてくれると考えていたらしいが、それは逆効果だった。あんなにポーカーフェイスなリフが俺に対して嫌そうな顔をして拒んでいるなんて堪らない。俺をわざと誘っているようにしか思えなかった。彼女に対して好きなんて言葉を使ったが、実際それは気になる程度の言葉を大袈裟に言ったに過ぎない。けれど、彼女はやはりお見通しだったみたいだ。
別に俺は彼女を好きになった訳でもなければ、恋人になって欲しいと思った訳でもない。ただ、俺が一方的に嫌がらせをして、彼女のあの余裕な表情を歪ませたいと思っただけだ。俺に対する小さな抵抗も、乱れた姿も、気持ち良くされる度、屈辱を感じながらも何度もいってる姿を見たとき尋常じゃない愉悦を味わった。
リフは今まで見た中でどんな女よりも魅力的だった。だから、彼女と仲良くなって色んな表情を見たいと思った。彼女の秘密をもっと知りたいと思った。その為ならエンティティの為ではなく、リフの為でもなく、俺自身の為に結果を出し続けることを誓った。
彼女はこの世界に飽きかけた俺にとって最高の玩具だった。