増え続ける課題
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
長時間パソコンとにらめっこをしているのが辛く感じて、気分転換に自室を出る。長い通路を進んでいくとキラー達の部屋のところまで来た。そういえば、最近スージーとあんまりゆっくり話をしてないなあなんて思い、彼女の部屋に行ってみることにした。リージョンの部屋はみんな仲良く隣同士にあり、フランク、ジョーイ、ジュリー、スージーの順に並んでいる。スージーの部屋の前で扉をノックしようとすれば、そのタイミングで近くの部屋から人が出てくる。思わずその人物に視線を移すと、自室から出てきたジョーイが同じように此方に顔を向けていた。
「あ、ジョーイ。久しぶりだね」
「……え、ああ、…そうだな」
「今から儀式?」
「…いや、違う…」
「じゃあ、誰かに会う予定だったのかな」
「…そういう訳でもないけど…」
ジョーイの声は段々と小さくなっていく。マスクをつけてるせいもあるのか余計に声が聞き取りにくく、少しばかり彼に近付く。私と喋るとジョーイはいつもこんな調子だ。ご褒美をあげるときに話すことはあっても、彼は素っ気ない返事しかしないから会話も弾まない。元からそういう性格なのか、単純に私が嫌いだからそんな感じなのかわからないけれど、そのせいで今まで無理に話し掛けようとすることもなかった。しかし、今の私は前とは少し違う。冷たいキラーには少しでも心を開いてもらって、何かあったときには頼ってくれるような関係でありたいと考えるようになった。リージョンはなんだかんだ、みんな仲が良いから私に頼らなくてもお互い助け合えるだろうけど、それを理由に私がコミュニケーションを怠ってはダメだ。折角、会った訳だし何か話をしてみよう。何の話をしようかとジョーイを見ていたら、普段着とは違うことに気付いた。
「そういえば、ジョーイのそのスキン、前にご褒美であげたものだよね?着てるところ初めて見たけど、よく似合ってるよ」
「…あ、ああ、そう…そうだろ」
「うん。後ろも見ていい?」
「……」
返事を聞く前にジョーイの後ろ側に回り込む。彼の服装は上下ともにお洒落なブルーのネオンストライプが入っている。ネオンカラーは遠くに居ても目立つだろうが、リージョンのメンバーみたいに存在感をアピールしたい人には良いスキンだ。背中にも大きな☓のデザインが入っていて後ろから見ても様になっている。生地の触り心地も良い。オーモンド山を走り回るにはぴったりな防寒着だ。
「後ろ姿も様になってて、凄く格好良いね!」
何気なくジャケットの裾に触れていたら、黙ってされるがままになっていたジョーイの身体が小刻みに震えていることに気付いた。…もしかして、恐がられてる?前に警戒心、剥き出しだった金木くんに触れようとしたとき震えていたのを思い出して、また無意識に恐がらせてしまったと慌てて手を放す。
「あ、ごめんね…。恐かった?嫌だったら言っていいんだよ?」
急いで謝って彼の反応を待ってみたけれど、無反応だった。声を出すどころか首や手を振ることもない。そこから微動だにしなくなってしまった。まさか反応すら出来ない程、恐がっているのだろうか。そんなに私って圧あるのかな?大体のキラーには舐められてる気がするから、そんなことないとは思っているんだけど。
「…ねぇ、ジョーイ?大丈夫?」
「……」
目の前に手を翳してみてもやっぱり無反応。どうしよう。立ったまま気絶しちゃったのかな。もう一度、名前を呼んで、そっと肩をつんつんとつついてみた。すると、途端に電源が入ったようにジョーイはビクッと肩を揺らした。反応があったということは気絶していた訳じゃないんだと内心、ほっと息を吐いた。良かったと言おうとした瞬間、彼は唐突に叫んだかと思うといきなり走り出した。
「…え?ちょっと、どうしたの…!?」
私は何が何だか分からなくて、驚きながらもジョーイを追い掛けようとした。そこにちょうど、入れ替わるように儀式から帰ってきたのか、向かい側からフランクが歩いてくる。叫びながらフランクの横を通り過ぎて行ったジョーイをフランクが驚いたように振り返った。
「お、おい!ジョーイ、どうした!?」
様子が可笑しいジョーイを見てフランクも只事じゃないと思ったのか声を掛けたが、フランクの声すら届いていないらしく、彼は走り去ってしまった。私はこのまま、ジョーイを追いかけていいものか迷った。彼は私に触れられて怯えていたし、私が触れたら叫んで走り出した。明らかに私から離れたくて逃げているようにしか見えない。そんな彼に追い打ちを掛けるようなことをしたら可哀想だ。フランクは走り去ったジョーイの背中を見送った後、私の方を向く。
「…お前、アイツに何したんだよ?」
「…え、えっと…」
私としては何かしたつもりはない。ただ仲良くなろうとして、会話をしていただけのはずだった。結果的にはジョーイを恐がらせてしまったみたいだけど。なんて言おうか少し考えて言葉を続ける。
「…私としてはただ会話をしてたつもりだったんだけど…何だかジョーイのこと恐がらせちゃったみたいで…」
「は?…なんで会話してるだけで恐がるんだよ」
「それがわからないんだよね。何も責めること言ったつもりはないし、本当にごく普通の会話しかしてなかったから」
「本当に?」
私に疑いの眼差しを向けていたフランクに取り敢えず、さっきまでジョーイとしていたやり取りを全部話せと言われて素直に全てを話す。それを聞いた後、フランクは何か考え込んでから口を開く。