甘えたがり
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今日はどうしても昼食にハンバーグが食べたくなってハンバーグを作った。ハンバーグは美味しいけれど、作るのが面倒で中々、作る気にはなれないから久しぶりに食べる。大きめに作ったハンバーグにかかった特製のデミグラスソースが艶々と輝いていて美味しそうだ。さあ、食べようと、フォークとナイフを両手に持ったところで、ドンドンと強めに扉がノックされた。ノックというより、叩いてると言った方が正しいかもしれない。私が返事しても扉を開けるまで、ずっとノックし続けていたのは、ハントレスだった。この強引な現れ方はハントレスって感じがすると納得した。
「あれ?ハントレス、珍しいね。どうかした?」
そう尋ねても、彼女は何を言う訳でもなく、ただ口元に笑みを浮かべていた。…この感じは、ご褒美の催促だと察した。多分、武器とかスキンが欲しいなら、すぐに武器を見せたり、洋服を引っ張ってみたりとアピールするはずだから、欲しい物がある訳じゃなさそうだ。…それなら、ちょうど作ったばかりハンバーグがあるから、お肉好きのハントレスは喜ぶかもしれないと考える。
「わかった。ご褒美が欲しいんでしょう?今、ちょうどハンバーグ作ったから一緒に食べない?」
ハンバーグという響きを初めて聞いたのか、ハントレスは首を傾げてみせた。ハントレスって料理するイメージないけれど、普段は何を食べているんだろう?お肉とか適当に焼いて食べてるのかな?不思議に思いながら、ハンバーグはあれだよとテーブルにあるのを指さす。すると、ハンバーグに興味を示したハントレスはテーブルに近付いた。じぃーっとハンバーグを見つめていたかと思うと、私をチラッと見る。どうやら食べたいらしい。その様子があまりにも可愛らしくて私は小さく笑う。
「一緒に食べよっか。すぐに用意するから、少しだけ待っててね」
ハントレスはきっと、いっぱいご飯を食べるだろうから、器に多めにご飯をよそう。本当は夕食にと思ってハンバーグを2つ作っておいたけれど、ハントレスが食べるんだったらいいか。彼女の分の用意が終わり、食べていいよと言う。すると、ハントレスはハンバーグを丸々、フォークで刺して口に運ぼうとしていた。
「豪快な食べ方だね。ハンバーグはナイフとフォークを使って、こうやって切り離して食べると食べやすいよ」
実際にやって説明してみると、ハントレスも同じようにナイフとフォークを両手に持つ。そして、ハンバーグを切り離して口に運んだ。ハンバーグを口に入れると、口に合ったのか嬉しそうな笑みを見せた。
「美味しい?」
彼女は頷く。それなら、良かったと私も微笑んだ。ハントレスに教えたナイフとフォークを使って食べるという食べ方は、彼女にとって煩わしかったのか、すぐに最初のフォークのみの食べ方に戻っていた。その方がハントレスに合っているなら、それでもいいかと思った。だけど、食べ終わる頃にはハントレスの口元はデミグラスソースで汚れていた。全て残さずにご飯を食べて、ハントレスは満足そうな表情を浮かべている。そんなハントレスを見て、小さく笑うとタオルで口元を綺麗に拭いてあげた。デザートにゼリーもあげたら、本当に嬉しそうに食べてくれるから私も嬉しくなる。
ご飯を終えて食器を洗っていると、後ろからハントレスが抱き着いてきて、頬擦りをしてきた。それから頰に短くキスをした。それは美味しいご飯を食べさせてくれたお礼なのかもしれない。本当に一々、可愛いことしてくれる。
「ふふ、私もハントレスに喜んでもらえて嬉しいよ」
その後、少しだけ読書をしようとベッドに腰掛けたら今度はハントレスは甘えるように、横になって私の太ももに頭を乗せてきた。もしかしたら、ご飯を食べたから眠くなってしまったのかもしれない。
「もう、今日はとことん甘えん坊さんだね」
ウサギの仮面を取った彼女の頰を軽くつついてやると、彼女はふにゃりと幸せそうに笑う。普段の儀式で獲物を狩ってるときの彼女からは想像もできないくらい、気を抜いている甘えた表情だった。ここまで彼女が気を許してる相手はきっと、今までは母親ぐらいだったんじゃないだろうか。彼女に安らぎを与えることができているなら嬉しい。たまには、こんな風にべったり甘えられるのも悪くないなあと染み染み思った。