ご褒美飲み会
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今日は珍しい相手からお酒を一緒に飲もうと誘われて、約束の時間にその場所に向かった。元々、空き部屋だった部屋の扉を開けると、そこはあまり広くはないお洒落なバーになっていた。話には聞いていたけど、デススリンガーが報酬としてエンティティ様にバーを作ってもらったみたいだ。カウンターの奥には沢山の種類のお酒がずらりと並んでいて、暖色の照明が良い雰囲気を醸し出している。私はすでにカウンターの前に一人で座っている人物の隣に座った。
「こんばんは、デススリンガー。すごく素敵な雰囲気のバーだね」
「ああ、そうだろ?忙しいところ誘って悪いな」
「全然。たまにはこんなのも悪くないからね」
「それは良かった。…にしても今日は偉くセクシーな格好してるな。流石に目のやり場に困るぜ」
「ふふ、折角のお誘いだから珍しくお洒落してきたの」
普段は露出が多い格好をしたりはしないけど、今日は敢えてパープルのスリットロングドレスを着てきた。こんな格好をしたのはこの霧の森に来てからは初めてで何だか変な感じがする。良く似合ってると褒めてくれたデススリンガーにお礼を言うと、奥に並んでいるお酒に目を向けた。
「…ところで、私、お酒にはあんまり詳しくないんだけど、デススリンガーのおすすめは?」
「ああ、それならゴールドクリークのウイスキーなんてどうだ?」
「良くわからないけど、あんまり強いのは飲めないから薄めに作ってほしいかも」
そうお願いすれば彼は了解と笑って席を立つとカウンターの奥からお酒を取る。そして、グラスに氷を入れてかなり水を入れて薄めたお酒と自分用に濃いお酒を作った。再び隣に座った彼にお礼を言い軽くグラスを近付けて乾杯をするとグラスに口をつけた。
お酒は昔から得意じゃないからあんまり飲んでこなかったし、ここに来てからも全く飲んでいない。美味しいかはわからないけど、苦みとか喉を通る感じがお酒を飲んでるって気がする。我ながら子供みたいな感想だけど。
「…どうだ?」
「うん、お酒って感じがする」
「ハハハッ、何だそりゃ。…お前、酒強そうな見た目の割には本当に得意じゃないんだな」
「そうなの。恥ずかしいけど、実は子供舌だから美味しいとか良くわからないんだ。良さがわからなくてごめんね」
「いや、全然構わないぜ。むしろギャップとしては最高だ。…しかし、無理に誘っちまって悪かったな。たまには美女と飲みたくてよ」
「ふふ、デススリンガーらしいね。普段は誰と飲んでるの?」
「普段はトラッパーとだが、たまにリージョンのメンツだったりトリックスターだったりだな。まあ基本、むさ苦しい男同士で飲んでる」
確かに一緒にお酒を飲んでくれる相手というと限られたメンツしかいなさそうだ。トラッパーとデススリンガーが男二人でお酒を飲みながら苦労話をしてそうなのは容易に想像出来る。
デススリンガーに薄めてもらったとはいえ、一気に飲むとすぐに酔いが回ってきそうで、ちびちびとグラスを傾ける。そんな私を眺めて彼は楽しそうに笑っていた。
「トラッパーとはどんな話をするの?」
「そうだな…昔話を軽くしたり儀式の話をしたりって感じか」
「なるほどね。…私、トラッパーにもっと心を開いてほしいんだけど、中々彼と上手くやれないんだ。どうすれば仲良くなれるかな」
「…アイツも少し難しいところがあるからなあ。まあ、それならこうやって俺みたいに一緒に酒飲んで語り合うのが一番いいんじゃないか?」
「確かにそれはいいかもね。…ただ、私のこと嫌いなトラッパーが私の誘いに乗ってくれるかどうかだなあ」
「…俺が思うにアイツはお前のことを嫌ってるというより、素直になれないだけだと思うがなあ」
そう言うとデススリンガーはグラスをぐっと傾けて、残りのお酒を全て飲み干した。それからまた自分のお酒を作ると丁度私が飲み終えたタイミングで飲みやすいカクテルを作ってくれた。
「…そうかなあ」
「ああ、間違いない。こんないい女を嫌う男がいる訳ねぇからな」
「ふふ、何それ。みんながデススリンガーみたいな発想じゃないと思うけど?」
「…まあ誘っても来ないなら俺が誘って三人で仲良く飲みやいい」
「あ、それは名案ね。流石デススリンガー!じゃあ、ダメだったら貴方にお願いするね」
そう言うと彼は任せておけ!と笑った。
普段は人に相談をするなんてことはないけど、デススリンガーにはつい話してしまった。やっぱりこうやって為になるアドバイスをくれて余裕がある大人の対応をしてくれるからなのだろう。話して良かった。
カクテルをゆっくり飲んでいたら、デススリンガーに頬が赤くなってきてるぞと言われた。彼は全く顔色ひとつ変わってないのに私はやっぱりお酒が弱いなと改めて思った。