赤髪と白揚羽
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赤髪海賊団の朝食は湖の畔でとった。
昨日の宴で、二日酔いで頭を抱える者もいるが、賑やかで楽しい朝だ。
シャンクスとミコトは散歩から帰ると、レイリーや幹部達とパラソルの下で朝食を食べた。
二人が仲良く散歩から戻る姿をレイリーとベックマンは事があったのかと見ていたが、男女の仲になった様子が見られない事に顔を見合わせた。
何もなかったのか? と疑う眉の皺は深い。
二人の疑問は帰って来たシャンクスがあっけらかんと笑って答えた。
「あの後、眠くなって二人で寝ちまった! わははっ!」
いろいろあったようだが、ミコトはシャンクスから兄妹だからいい! という理屈を納得させられていたからか 『うん!』 とシャンクスの隣で頷いた。
『これからはお酒を飲むの気をつけるね!』
「ああ! ほら、飯食うぞ~」
『はい!』
レイリーとベックマンの予想を裏切った二人は呑気に用意されたご飯に目を輝かせていた。
「うまそう~! な、ミコト!」
『うん!』
色気皆無の会話にレイリーとベックマンは再び顔を見合わせた。
本当に何もなかったようだと。
しかし、この時の二人はまだ知らなかった。
シャンクスとミコトの危うい兄妹関係を——
その日の夜の夕食の時、ミコトは昨晩と同じメンバーと食べていた。
シャンクスはジョッキに残る酒を一気に飲むと、隣に座るミコトに話し掛けた。
「ミコト……お前が酒に弱いのは昨日の事で分かったが——」
『うん』
「どれぐらいか知っておいたほうがいいんじゃねェのか?」
『もう飲まないからいいよ』
ミコトの答えにシャンクスは頷かないで、考えてる素振りをする。
「いや……知っといたほうがいいな」
『え……いいよ』
酔って記憶をなくすなんて、ミコトはもうしたくないと嫌がるが、シャンクスは納得しない。
「駄目だ。 一口から試してみろ」
『一口……』
シャンクスは空になったジョッキをミコトに持たせ、酒を注ぐ。
昨夜と同じように中身を見つめるミコトをシャンクスを含め全員が見守った。
いまいち飲む気になれないミコトにレイリーが口添えする。
「無理する必要はないが、シャンクスの言う事も一理ある。 弱いなら尚更、試して自分の量を知る事は大事だと私は思うがね」
『……うん』
レイリーの助言にミコトは躊躇いながら頷くとシャンクスを見る。
『飲んでみる』
「おう! 試してみろ!」
『…………』
ミコトは……こくんと一口飲むが、昨日のように一気に熱くはならない。
大丈夫かなと思っていたら、じわじわと熱がせり上がってくるのを感じた。
『シャンクス……!』
見守るシャンクスの袖を掴んで訴える。
瞬きする瞼の下の目が熱くなってきて、身体が重く感じて、自分で支えられない感覚に襲われた。
持っていられないジョッキをシャンクスが受け取ると、くてん……と寄りかかるミコト。
「ミコト……?」
呼ぶ声が優しいと見上げるミコトは紅潮する頬で微笑した。
『えへへ……』
その目は酔っていて、シャンクスに甘えるように抱きついた。
温もりに幸せそうに目を閉じるミコトに、その場の全員が一口か……と確認した直後、驚きに変わる。
シャンクスが昨日と違っていたからだ。
「仕方ねェなー、ミコトは……」
ミコトの髪を優しく撫で、その髪に唇を寄せ微笑していた。
『撫でられるの好き~……』
そうかそうか……とミコトに言われるままに機嫌よくシャンクスは撫でる。
可愛くて仕方ないと抱きしめれば、ミコトも、ぎゅ……と抱きつく。
ミコトの行動は酔っているのだから理解出来るが、シャンクスは違う。
「困った奴だな~」 とは言ってるが少しも困っていない。
むしろ、大歓迎といった風情だ。
ミコトの酔って赤くなる耳朶をちゅ……とキスすると、くすぐったそうに肩をすくめるミコトにシャンクスは囁く。
「ミコト……」
『ん……』
とろん……と溶けきった瞳がシャンクスを見つめた。
にっこり笑うミコトとシャンクスは笑みを交わし合うと、「可愛いな~!」 と、よしよし……と抱きしめる。
驚く幹部の中で、なんとか口を開くのはヤソップだ。
「おい……お頭」
「何だ?」
「何だじゃねェ……。 何してんだ?」
「可愛がってる」
ニカッ! と笑う顔は確信犯。
こうなる事を分かってて、ミコトに飲ませた男だ。
「言っとくが……妹に手は出さねェよ? 出すつもりもねェしな」
そう言って口元を上げるシャンクスに全員が思う。
どこが手を出してない!?
どういう事だ!?
疑う目がシャンクスに集中した瞬間、レイリーがフッ……と笑う。
「それでいいのか……お前は?」
「ああ……!」
男と女になるのもいいが、兄妹でいるのもいいとシャンクスは思ったのだ。
ミコトの自分に向けられる好意を恋愛に発展させる事はやろうと思えばやれる。
——が、それはミコトの航海を邪魔するかもしれない。
これからルフィと会い、冒険したいと語るミコトの輝く目をシャンクスは見てしまった。
自分と恋人になってしまったら、逆にミコトの自由を奪う事になる。
海は誰のものでもない。
どこまでも続く空と海へ、ミコトを自由に飛ばせてあげたい。
兄妹ならば決して切れる事のない絆で見守り続けられる。
「いいいんだ……それで」
シャンクスは微笑んで腕の中のミコトを見れば、眠そうな瞼と闘っている。
「ミコト、眠いなら寝てもいいぞ~」
『うん……』
ゆっくりと頷くミコトはシャンクスを見上げる。
見つめる目は酔いと寝ようとする頭で、何かを考えているようだ。
「どした?」
『うん……』
ミコトはシャンクスに向かって手を伸ばす。
気づいたシャンクスは応えるように顔を近づかせて、愛しい妹からおやすみのキスを貰う。
『おやすみなさい……』
「おやすみ……ミコト」
同じように頬にキスを返したシャンクスは、眠るミコトの頭を膝に乗せて寝かす。
(……頑張ったんだな)
ミコトの残したジョッキを手にすると一気に飲む。
黙って見ていた仲間に分かったか? と口元を上げた顔は兄ではなく男の顔だ。
飢えた狼のくせに、食べないで大事にとっておくらしい。
手は出してないとはどの口が語るのか。
すでに妹という線は越えているのに “兄妹” でいるらしいシャンクスに、レイリーが洩らすように笑う。
「くくく……!」
シャンクスの選択した答えが良いのか悪いのかは分からないが、ただ面白いと思う。
自由を愛する男は束縛する事を嫌う。
海と風と暮らすなら心も自由でいい。
そして、少なからず自分にも似た一面がある。
「海賊だからな。 それもいいだろう」
レイリーの一言はその場の全員を頷かせた。
シャンクスが決めたなら言う事はない——が、ヤソップが尋ねた。
ヤソップは東の海に愛する女と息子を置いてきたからこそ、気になったのだ。
自分も去る時、考えた。
女が待つことに疲れて新しく男を作っても仕方ないし、恨まれて憎まれる覚悟もした。
「ミコトに男が出来たらどうするんだ?」
「うーん……だよな~?」
シャンクスは答えを探すようにミコトの寝顔を見る。
規則正しい寝息に微笑し、白い髪を撫でた。
「ま、そん時はそん時だな!」
「だ~っ! 何だよ、それっ!」
「だはははっ!」
シャンクスの笑い声にミコトは眉を顰めた。
『……ぅ……ん』
「やべ……起こしたか?」
焦って覗きこんでみればミコトの眉間の皺はなくなり、また眠ったようだ。
「……よし。 さてと——」
頷くとシャンクスはその場の仲間達を見回す。
背伸びをするように腕を伸ばすと、ミコトを見て口元を綻ばせた。
「おれ、ミコトと寝っから、飲むなら向こうで飲んでろよ。 悪ィな!」
「思ってねェだろ!?」
ヤソップの即座のツッコミにシャンクスは笑った。
「ああ!」
「はいはい、仲良く兄妹で寝てろ~っ!」
「おう! おやすみな~!」
シャンクスは昨日と打って変って仲間達に手を振って見送る。
静かになって、ミコトを抱いて横になったシャンクスは眠る耳に囁いた。
「ずっと兄妹だ——」
(——何があってもな)
昨日の宴で、二日酔いで頭を抱える者もいるが、賑やかで楽しい朝だ。
シャンクスとミコトは散歩から帰ると、レイリーや幹部達とパラソルの下で朝食を食べた。
二人が仲良く散歩から戻る姿をレイリーとベックマンは事があったのかと見ていたが、男女の仲になった様子が見られない事に顔を見合わせた。
何もなかったのか? と疑う眉の皺は深い。
二人の疑問は帰って来たシャンクスがあっけらかんと笑って答えた。
「あの後、眠くなって二人で寝ちまった! わははっ!」
いろいろあったようだが、ミコトはシャンクスから兄妹だからいい! という理屈を納得させられていたからか 『うん!』 とシャンクスの隣で頷いた。
『これからはお酒を飲むの気をつけるね!』
「ああ! ほら、飯食うぞ~」
『はい!』
レイリーとベックマンの予想を裏切った二人は呑気に用意されたご飯に目を輝かせていた。
「うまそう~! な、ミコト!」
『うん!』
色気皆無の会話にレイリーとベックマンは再び顔を見合わせた。
本当に何もなかったようだと。
しかし、この時の二人はまだ知らなかった。
シャンクスとミコトの危うい兄妹関係を——
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その日の夜の夕食の時、ミコトは昨晩と同じメンバーと食べていた。
シャンクスはジョッキに残る酒を一気に飲むと、隣に座るミコトに話し掛けた。
「ミコト……お前が酒に弱いのは昨日の事で分かったが——」
『うん』
「どれぐらいか知っておいたほうがいいんじゃねェのか?」
『もう飲まないからいいよ』
ミコトの答えにシャンクスは頷かないで、考えてる素振りをする。
「いや……知っといたほうがいいな」
『え……いいよ』
酔って記憶をなくすなんて、ミコトはもうしたくないと嫌がるが、シャンクスは納得しない。
「駄目だ。 一口から試してみろ」
『一口……』
シャンクスは空になったジョッキをミコトに持たせ、酒を注ぐ。
昨夜と同じように中身を見つめるミコトをシャンクスを含め全員が見守った。
いまいち飲む気になれないミコトにレイリーが口添えする。
「無理する必要はないが、シャンクスの言う事も一理ある。 弱いなら尚更、試して自分の量を知る事は大事だと私は思うがね」
『……うん』
レイリーの助言にミコトは躊躇いながら頷くとシャンクスを見る。
『飲んでみる』
「おう! 試してみろ!」
『…………』
ミコトは……こくんと一口飲むが、昨日のように一気に熱くはならない。
大丈夫かなと思っていたら、じわじわと熱がせり上がってくるのを感じた。
『シャンクス……!』
見守るシャンクスの袖を掴んで訴える。
瞬きする瞼の下の目が熱くなってきて、身体が重く感じて、自分で支えられない感覚に襲われた。
持っていられないジョッキをシャンクスが受け取ると、くてん……と寄りかかるミコト。
「ミコト……?」
呼ぶ声が優しいと見上げるミコトは紅潮する頬で微笑した。
『えへへ……』
その目は酔っていて、シャンクスに甘えるように抱きついた。
温もりに幸せそうに目を閉じるミコトに、その場の全員が一口か……と確認した直後、驚きに変わる。
シャンクスが昨日と違っていたからだ。
「仕方ねェなー、ミコトは……」
ミコトの髪を優しく撫で、その髪に唇を寄せ微笑していた。
『撫でられるの好き~……』
そうかそうか……とミコトに言われるままに機嫌よくシャンクスは撫でる。
可愛くて仕方ないと抱きしめれば、ミコトも、ぎゅ……と抱きつく。
ミコトの行動は酔っているのだから理解出来るが、シャンクスは違う。
「困った奴だな~」 とは言ってるが少しも困っていない。
むしろ、大歓迎といった風情だ。
ミコトの酔って赤くなる耳朶をちゅ……とキスすると、くすぐったそうに肩をすくめるミコトにシャンクスは囁く。
「ミコト……」
『ん……』
とろん……と溶けきった瞳がシャンクスを見つめた。
にっこり笑うミコトとシャンクスは笑みを交わし合うと、「可愛いな~!」 と、よしよし……と抱きしめる。
驚く幹部の中で、なんとか口を開くのはヤソップだ。
「おい……お頭」
「何だ?」
「何だじゃねェ……。 何してんだ?」
「可愛がってる」
ニカッ! と笑う顔は確信犯。
こうなる事を分かってて、ミコトに飲ませた男だ。
「言っとくが……妹に手は出さねェよ? 出すつもりもねェしな」
そう言って口元を上げるシャンクスに全員が思う。
どこが手を出してない!?
どういう事だ!?
疑う目がシャンクスに集中した瞬間、レイリーがフッ……と笑う。
「それでいいのか……お前は?」
「ああ……!」
男と女になるのもいいが、兄妹でいるのもいいとシャンクスは思ったのだ。
ミコトの自分に向けられる好意を恋愛に発展させる事はやろうと思えばやれる。
——が、それはミコトの航海を邪魔するかもしれない。
これからルフィと会い、冒険したいと語るミコトの輝く目をシャンクスは見てしまった。
自分と恋人になってしまったら、逆にミコトの自由を奪う事になる。
海は誰のものでもない。
どこまでも続く空と海へ、ミコトを自由に飛ばせてあげたい。
兄妹ならば決して切れる事のない絆で見守り続けられる。
「いいいんだ……それで」
シャンクスは微笑んで腕の中のミコトを見れば、眠そうな瞼と闘っている。
「ミコト、眠いなら寝てもいいぞ~」
『うん……』
ゆっくりと頷くミコトはシャンクスを見上げる。
見つめる目は酔いと寝ようとする頭で、何かを考えているようだ。
「どした?」
『うん……』
ミコトはシャンクスに向かって手を伸ばす。
気づいたシャンクスは応えるように顔を近づかせて、愛しい妹からおやすみのキスを貰う。
『おやすみなさい……』
「おやすみ……ミコト」
同じように頬にキスを返したシャンクスは、眠るミコトの頭を膝に乗せて寝かす。
(……頑張ったんだな)
ミコトの残したジョッキを手にすると一気に飲む。
黙って見ていた仲間に分かったか? と口元を上げた顔は兄ではなく男の顔だ。
飢えた狼のくせに、食べないで大事にとっておくらしい。
手は出してないとはどの口が語るのか。
すでに妹という線は越えているのに “兄妹” でいるらしいシャンクスに、レイリーが洩らすように笑う。
「くくく……!」
シャンクスの選択した答えが良いのか悪いのかは分からないが、ただ面白いと思う。
自由を愛する男は束縛する事を嫌う。
海と風と暮らすなら心も自由でいい。
そして、少なからず自分にも似た一面がある。
「海賊だからな。 それもいいだろう」
レイリーの一言はその場の全員を頷かせた。
シャンクスが決めたなら言う事はない——が、ヤソップが尋ねた。
ヤソップは東の海に愛する女と息子を置いてきたからこそ、気になったのだ。
自分も去る時、考えた。
女が待つことに疲れて新しく男を作っても仕方ないし、恨まれて憎まれる覚悟もした。
「ミコトに男が出来たらどうするんだ?」
「うーん……だよな~?」
シャンクスは答えを探すようにミコトの寝顔を見る。
規則正しい寝息に微笑し、白い髪を撫でた。
「ま、そん時はそん時だな!」
「だ~っ! 何だよ、それっ!」
「だはははっ!」
シャンクスの笑い声にミコトは眉を顰めた。
『……ぅ……ん』
「やべ……起こしたか?」
焦って覗きこんでみればミコトの眉間の皺はなくなり、また眠ったようだ。
「……よし。 さてと——」
頷くとシャンクスはその場の仲間達を見回す。
背伸びをするように腕を伸ばすと、ミコトを見て口元を綻ばせた。
「おれ、ミコトと寝っから、飲むなら向こうで飲んでろよ。 悪ィな!」
「思ってねェだろ!?」
ヤソップの即座のツッコミにシャンクスは笑った。
「ああ!」
「はいはい、仲良く兄妹で寝てろ~っ!」
「おう! おやすみな~!」
シャンクスは昨日と打って変って仲間達に手を振って見送る。
静かになって、ミコトを抱いて横になったシャンクスは眠る耳に囁いた。
「ずっと兄妹だ——」
(——何があってもな)