赤髪と白揚羽
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晴れた夜空とパラソルの下で宴は盛り上がる。
ヤソップがミコトに 「ちょっといいか?」 と話し掛けた。
『はい!』
「東の海に行ったら……おれの息子の様子を見て来てくれねェか?」
『ウソップのこと?』
「ああ」
(なんで、知って……いやそうか、そうだよな)
ヤソップはミコトが知っている事に戸惑いながらも頷いた。
ミコトはシャンクスに敬語をやめろと言われたものの慣れないのか、少しぎこちない。
『えっと……言ってもいい?』
「かまわねェよ」
『ウソップはルフィの仲間になるの』
「ホントか?」
『はい!』
(この事は言いたかった……)
ヤソップは途端に目を輝かせると叫んだ。
「聞いたか、お頭! おれの息子がルフィの仲間だってよーっ!」
「ああ、聞いたよ。 でも、まだだろ!」
シャンクスの言葉を無視してヤソップは真剣な表情でミコトに尋ねる。
「もう一つ聞いていいか?」
『はい』
「おれの女房は……」
聞かれた途端にミコトが表情を曇らせる。
『奥さんのことは……ごめんなさい。 よく知らなくて……』
「そうかそうか、知らねェならいいんだ! ありがとよ!」
残念そうな顔を笑って隠すヤソップは酒のおかわりを取りに行った。
ミコトはヤソップの背中を見つめてもう一度謝った。
(言えなくて、ごめんなさい……)
ウソップとヤソップが出会う未来があるかどうかはミコトには分からないが、家族の死はやはり家族が伝えるものだろう。
(うーん、ウソップにヤソップの言葉をもらいたかったけど……)
今は聞きにくいとミコトは俯いた。
ベックマンはミコトの様子を煙草を手に見ていた。
ヤソップの息子の事を知っていて、母親の事を知らないという事に釈然としない。
(本当に知らないのか? それとも……)
ミコトを見つめるベンにシャンクスが気になって声を掛けた。
「どうした、ベン?」
「いや……ミコトは——」
ごくごくと酒を飲んで、ジョッキを空にするシャンクスを見て、何でもないと笑う。
「ミコトは良い子だな」
「そうだろ! おれは、分かってたぜ!」
言い切るシャンクスにベックマンは相変わらずだなと感じる。
さっき知り合ったばかりなのに “分かってた” らしい。
「“分かってた” ……っていうのと “知った” というのは違うだろ」
「お前、ホント理屈屋だな」
シャンクスは苦笑すると、視線を動かし、ミコトで止まる。
(ん?)
ミコトは樽ジョッキを両手で持って、隣にいるレイリーと楽しそうに話しているが、飲んでいない。
しばらく見ていても、一口もジョッキに口をつけていなかった。
ミコトが乾杯をしたものの酒を飲んでいないのは、転移前のお酒は二十歳からという決まりを気にしているからだ。
別の飲み物を頼みたかったが、宴の雰囲気が壊れるかもしれないと遠慮していた。
シャンクスは何故だと不思議に思い、ミコトを呼んだ。
「ミコト!」
なあに? と呼ばれて近づくミコトにシャンクスは尋ねた。
「お前、飲んでねェだろ。 具合でも悪ィのか?」
ミコトはシャンクスに心配させてしまったと、眉をハの字にして断った。
『シャンクス、私はまだ十九才だから、お酒は飲めないよ』
聞いたこともない理由にシャンクスは片方の眉をあげた。
「何だそれ?」
聞かれたミコトは (あ、そうか……そうだった) と考える。
この世界ではルフィ達は未成年でお酒を飲んでいて、ミコトの常識の感覚と違うのだ。
(うーん、どうしよう……)
白ひげのところでも宴はあったがミコトは酒を飲まずに済んでいた。
何故かというと、マルコが宴の乾杯の時に尋ねたからだ——
白ひげ海賊団は大所帯だ。
宴で皆が飲んで酔っていれば、意味もなく殴りあいも起きるのが海賊。
船に乗る者が皆家族だが、中には宴に紛れれてミコトに飲ませ、酔わせようとする奴もいるかもしれないと考えたマルコが気を配っていた。
家族になったばかりのミコトが頼りなく可愛いのもあるが、ミコトの見た目が酒に強そうに、マルコの目には見えなかった。
「ミコトは酒は強いのかい?」
『え……っと』
目を逸らして、言いにくそうなミコトの顔でマルコは悟った。
息をついて、ポンとミコトの頭に手を置く。
「いいよい。 この場は飲んだフリしとけよい。 あとで違うモン持ってきてやるよい」
『うん……! ありがとう!』
「礼はいらねェよい。 それより——」
マルコはミコトに目線を合わせジッと見つめた。
「絶対に飲むな」
『…………』
ミコトはマルコの真剣な顔にうんうん……! と二回頷いた。
「よし! オヤジにも他の隊長達にもおれが言っといてやるから、気にすんなよい!」
——という事が、レイリーの知らないところで起きていた。
ミコトのお酒が飲めない発言に、レイリーもシャンクスも側で飲んでいた幹部も初めて聞く話に、驚きと疑問が浮かぶ。
酒を飲むのに年齢に決まりがあるのか。
いろいろな海や島や国を見て回ったが、そんな事聞いたこともない。
ミコトから色々な話を聞いていたレイリーは 「ふむ」 と白い髭を触る。
シャッキーとともにミコトと長く暮らしていたが気にした事がなかった。
海賊にとってというより、この世界での酒はあまりに身近にあり過ぎて、当たり前の事で気づかなかったのだ。
別世界から来ていたミコトが、この世界の事をよく知っていたからいけないのかもしれない。
ミコトが世界観の違いをレイリーに問う事もなかったからこそ、日常のずれは盲点だった。
レイリーもシャッキーもミコトが飲まないのは飲みたくないだけで、飲めないとは考えなかった。
「それは初耳だな。 私も知らなかった話だ……お前の世界ではそうなのか?」
『うん』
頷くミコトにレイリーは 「そうか」 と呟くと、シャンクスは気にする事ないと笑う。
「変わってんなーっ! でも……今、ミコトはここにいる。 そしておれの妹だ! 飲め!」
シャンクスは自分の空のジョッキに酒を注ぐと、ミコトに笑顔でジョッキを渡した。
ミコトは手にするジョッキの中を見つめる。
正直なところ、ミコトは酒の香りは嫌いではないが、味はあまり好きでもないし、マルコには言う前に分かってもらっていたが、元から強いほうではない。
しかし、宴の席でシャンクスに勧められて、飲まないのは申し訳ない気持ちになった。
(飲もう!)
ミコトは決めるとジョッキに口をつけて一気に飲み干した。
『……ごくん』
「だっはっはっ! いい飲みっぷりだぞ!!」
シャンクスの嬉しそうな笑い声に、ミコトも良かったとニッコリ笑う——が、一気に熱に襲われた。
(え……?)
カーッと燃えるような体の熱さに眩暈を起こす。
目に映るシャンクスの顔が歪んでかすれる事に不安で手を伸ばすが、思うように動かない。
『……や……!』
シャンクスの慌てたような声は聞こえる。
「おい! どうした!? ミコトっ!」
力が抜けて倒れるミコトの身体はシャンクスに支えられるが、起きる事は出来ない。
急激な睡魔が迫る——
『シャン……クス……』
「……ミコトっ!」
ミコトは抗う事の出来ない眠りに負ける前に、心配するシャンクスに微笑して、ゆっくり瞼を落とした。
『……きゅー…ばたん』
「“きゅーばたん” って……はっ!? ミコト! ミコト!」
ミコトの意識は完全に飛んで眠ってしまった。
ヤソップがミコトに 「ちょっといいか?」 と話し掛けた。
『はい!』
「東の海に行ったら……おれの息子の様子を見て来てくれねェか?」
『ウソップのこと?』
「ああ」
(なんで、知って……いやそうか、そうだよな)
ヤソップはミコトが知っている事に戸惑いながらも頷いた。
ミコトはシャンクスに敬語をやめろと言われたものの慣れないのか、少しぎこちない。
『えっと……言ってもいい?』
「かまわねェよ」
『ウソップはルフィの仲間になるの』
「ホントか?」
『はい!』
(この事は言いたかった……)
ヤソップは途端に目を輝かせると叫んだ。
「聞いたか、お頭! おれの息子がルフィの仲間だってよーっ!」
「ああ、聞いたよ。 でも、まだだろ!」
シャンクスの言葉を無視してヤソップは真剣な表情でミコトに尋ねる。
「もう一つ聞いていいか?」
『はい』
「おれの女房は……」
聞かれた途端にミコトが表情を曇らせる。
『奥さんのことは……ごめんなさい。 よく知らなくて……』
「そうかそうか、知らねェならいいんだ! ありがとよ!」
残念そうな顔を笑って隠すヤソップは酒のおかわりを取りに行った。
ミコトはヤソップの背中を見つめてもう一度謝った。
(言えなくて、ごめんなさい……)
ウソップとヤソップが出会う未来があるかどうかはミコトには分からないが、家族の死はやはり家族が伝えるものだろう。
(うーん、ウソップにヤソップの言葉をもらいたかったけど……)
今は聞きにくいとミコトは俯いた。
ベックマンはミコトの様子を煙草を手に見ていた。
ヤソップの息子の事を知っていて、母親の事を知らないという事に釈然としない。
(本当に知らないのか? それとも……)
ミコトを見つめるベンにシャンクスが気になって声を掛けた。
「どうした、ベン?」
「いや……ミコトは——」
ごくごくと酒を飲んで、ジョッキを空にするシャンクスを見て、何でもないと笑う。
「ミコトは良い子だな」
「そうだろ! おれは、分かってたぜ!」
言い切るシャンクスにベックマンは相変わらずだなと感じる。
さっき知り合ったばかりなのに “分かってた” らしい。
「“分かってた” ……っていうのと “知った” というのは違うだろ」
「お前、ホント理屈屋だな」
シャンクスは苦笑すると、視線を動かし、ミコトで止まる。
(ん?)
ミコトは樽ジョッキを両手で持って、隣にいるレイリーと楽しそうに話しているが、飲んでいない。
しばらく見ていても、一口もジョッキに口をつけていなかった。
ミコトが乾杯をしたものの酒を飲んでいないのは、転移前のお酒は二十歳からという決まりを気にしているからだ。
別の飲み物を頼みたかったが、宴の雰囲気が壊れるかもしれないと遠慮していた。
シャンクスは何故だと不思議に思い、ミコトを呼んだ。
「ミコト!」
なあに? と呼ばれて近づくミコトにシャンクスは尋ねた。
「お前、飲んでねェだろ。 具合でも悪ィのか?」
ミコトはシャンクスに心配させてしまったと、眉をハの字にして断った。
『シャンクス、私はまだ十九才だから、お酒は飲めないよ』
聞いたこともない理由にシャンクスは片方の眉をあげた。
「何だそれ?」
聞かれたミコトは (あ、そうか……そうだった) と考える。
この世界ではルフィ達は未成年でお酒を飲んでいて、ミコトの常識の感覚と違うのだ。
(うーん、どうしよう……)
白ひげのところでも宴はあったがミコトは酒を飲まずに済んでいた。
何故かというと、マルコが宴の乾杯の時に尋ねたからだ——
白ひげ海賊団は大所帯だ。
宴で皆が飲んで酔っていれば、意味もなく殴りあいも起きるのが海賊。
船に乗る者が皆家族だが、中には宴に紛れれてミコトに飲ませ、酔わせようとする奴もいるかもしれないと考えたマルコが気を配っていた。
家族になったばかりのミコトが頼りなく可愛いのもあるが、ミコトの見た目が酒に強そうに、マルコの目には見えなかった。
「ミコトは酒は強いのかい?」
『え……っと』
目を逸らして、言いにくそうなミコトの顔でマルコは悟った。
息をついて、ポンとミコトの頭に手を置く。
「いいよい。 この場は飲んだフリしとけよい。 あとで違うモン持ってきてやるよい」
『うん……! ありがとう!』
「礼はいらねェよい。 それより——」
マルコはミコトに目線を合わせジッと見つめた。
「絶対に飲むな」
『…………』
ミコトはマルコの真剣な顔にうんうん……! と二回頷いた。
「よし! オヤジにも他の隊長達にもおれが言っといてやるから、気にすんなよい!」
——という事が、レイリーの知らないところで起きていた。
ミコトのお酒が飲めない発言に、レイリーもシャンクスも側で飲んでいた幹部も初めて聞く話に、驚きと疑問が浮かぶ。
酒を飲むのに年齢に決まりがあるのか。
いろいろな海や島や国を見て回ったが、そんな事聞いたこともない。
ミコトから色々な話を聞いていたレイリーは 「ふむ」 と白い髭を触る。
シャッキーとともにミコトと長く暮らしていたが気にした事がなかった。
海賊にとってというより、この世界での酒はあまりに身近にあり過ぎて、当たり前の事で気づかなかったのだ。
別世界から来ていたミコトが、この世界の事をよく知っていたからいけないのかもしれない。
ミコトが世界観の違いをレイリーに問う事もなかったからこそ、日常のずれは盲点だった。
レイリーもシャッキーもミコトが飲まないのは飲みたくないだけで、飲めないとは考えなかった。
「それは初耳だな。 私も知らなかった話だ……お前の世界ではそうなのか?」
『うん』
頷くミコトにレイリーは 「そうか」 と呟くと、シャンクスは気にする事ないと笑う。
「変わってんなーっ! でも……今、ミコトはここにいる。 そしておれの妹だ! 飲め!」
シャンクスは自分の空のジョッキに酒を注ぐと、ミコトに笑顔でジョッキを渡した。
ミコトは手にするジョッキの中を見つめる。
正直なところ、ミコトは酒の香りは嫌いではないが、味はあまり好きでもないし、マルコには言う前に分かってもらっていたが、元から強いほうではない。
しかし、宴の席でシャンクスに勧められて、飲まないのは申し訳ない気持ちになった。
(飲もう!)
ミコトは決めるとジョッキに口をつけて一気に飲み干した。
『……ごくん』
「だっはっはっ! いい飲みっぷりだぞ!!」
シャンクスの嬉しそうな笑い声に、ミコトも良かったとニッコリ笑う——が、一気に熱に襲われた。
(え……?)
カーッと燃えるような体の熱さに眩暈を起こす。
目に映るシャンクスの顔が歪んでかすれる事に不安で手を伸ばすが、思うように動かない。
『……や……!』
シャンクスの慌てたような声は聞こえる。
「おい! どうした!? ミコトっ!」
力が抜けて倒れるミコトの身体はシャンクスに支えられるが、起きる事は出来ない。
急激な睡魔が迫る——
『シャン……クス……』
「……ミコトっ!」
ミコトは抗う事の出来ない眠りに負ける前に、心配するシャンクスに微笑して、ゆっくり瞼を落とした。
『……きゅー…ばたん』
「“きゅーばたん” って……はっ!? ミコト! ミコト!」
ミコトの意識は完全に飛んで眠ってしまった。