第八章 海上レストラン・バラティエ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ルフィ達に救出されたヨサクは椅子に座って毛布にくるまり、震えながらルフィとミコトに話す。
ナミの行先が分かって、急いで来てほしいという事だった。
「よし! なんか分かんねェけど……行こう! ミコト!」
『うん!』
サンジはすぐに向かうつもりのルフィ達の忙しなさを見ていた。
さっき戦ったばかりで、もう違う冒険を見つけて出発するルフィ。
ルフィとの航海は飽きるなんてなさそうだと思って、ミコトと目が合った。
ミコトの瞳に映る自分が最後の機会だと言っているようで、夢への一歩を踏み出す。
「待てよ」 とルフィを呼び止めた。
「おれも行くよ……連れてけ」
食堂は静まりかえり、皆がサンジを見た。
「つきあおうじゃねェか “海賊王への航路” バカげた夢はお互い様だ。 おれはおれの目的の為にだ」
サンジはルフィを見据える。
「お前の船の “コック” おれが引き受ける。 いいのか? 悪ィのか?」
「いいさ!! やったーっ!」
ルフィはバンザイして喜び、ヨサクと踊った。
『ルフィ、良かったね!』
「おうよ! やったー、コックだ。 メシだ!」
サンジはコック達に振り返った。
「そういうわけだ。 みんな、いろいろ迷惑かけたな」
パティは 「ケッ、気に食わねェな」 と言えば 「悪かったなヘタクソな演技までさせちまって」 とサンジが返す。
「てめェ知ってたのかよ」
「つまり、そうまでして……おれを追い出してェんだろ? なァ、クソジジイ」
サンジはゼフを見た。
「……フン。 そういうことだチビナス。 もともと、おれはガキが嫌いなんだ。 くだらねェモン生かしちまったと後悔しねェ日はなかったぜ……クソガキ」
「は……上等だよ。 クソジジイ……せいぜい余生楽しめよ」
素直になれないサンジとゼフは意地を張り、あくまで睨み合い憎まれ口を言い合った。
真っ青な空に白い雲が浮かぶ。
コック達とヨサクはサンジの船の出航準備をしていた。
ルフィはミコトに何か頼んだ後、厨房で食料を貰っている。
いつか来るだろうと思っていた日が今日だったかと、ゼフはオーナー室のベッドに寝転んだ。
サンジはヨサクに噛みついていたサメを捌いた後、部屋に戻って荷物をまとめて大きめの巾着袋に詰め込む。
ホールのテーブルに巾着袋を置き、椅子に腰かけて、顔を見上げて煙草を咥えた。
見つめる天井の先はオーナー室。
二人は遭難から助かった後の長くて短い九年を振り返る。
「例えばだサンジ……! どんな大悪党だろうと脱獄囚だろうと、食いたくてこの店に辿り着いたクソ野郎がいたとしたら、おれ達がこの店で戦い続ける意味はあるんじゃねェだろうか」
本当に起きるとはな、と口元が上がる。
残った財宝でバラティエが完成した時は二人で喜んだ。
「すげーな、クソジジイ! これが海上レストランか!」
「そうさ宝、全部つぎ込んでも赤字だった。 これから忙しくなるぜ!」
「大丈夫さ、おれがいるんだ!」
厨房ではいつも言い合いをしていた。
「いつまでもチビナスなんて呼ぶんじゃねェよ、クソジジイ!」
「悪かったなクソチビナス」
サンジは初めて煙草を吸った時は不味かったなと 「フー………」 と煙を吐いた。
「ケホ、ケホッ」
「やめとけタバコなんざ舌が狂うぜ」
「へへ 大人だろ!」
二人しかいなかったバラティエには、いつしか他の店で手に負えないクソコック達が集まった。
海賊を追い出したり、毎日が怒鳴って怒鳴られた。
(おれが一番暴れたかもな……)
サンジはきっと自分がいなくても賑やかだろうなと口元を綻ばせた。
ミコトはサンジの部屋にいた。
もとから荷物が少ない方だったのか、片付いて何もない部屋になっていた。
この部屋はこの先、新しいコックが使うのか。
なんとなくこのままだといいなと思い、ミコトは部屋に置いていた宝箱を見る。
開けてみると、色とりどりの宝石や装飾品が詰まっていた。
『少しだけ……もらっちゃおう!』
宝石を手に掬って、皮袋に入れると、宝箱の蓋をパタンと閉めた。
そして、紙をぺたりと貼る。
『これでよしっと……!』
ミコトは微笑すると、ルフィの待つ船に向かった。
「おーい、ミコト!」
ルフィは笑顔でミコトに手を振って呼んだ。
『ルフィ、置いてきたよ!』
「わかった! あんがとな!」
ミコトは微笑して返すと、小さな袋を見せる。
『……でも、少しだけ貰っちゃった!』
「そっか!」
ルフィは 「にしししし」 と笑うと、ミコトは 『うん!』 と頷いて笑った。
ヒレには見送りにコック達が集まっていた。
サンジの支度を船で待つルフィ達。
ザッ……とサンジがレストランの入り口から出て来た。
全員がサンジを見つめる中、パティとカルネがサンジに襲い掛かる。
一蹴りで二人を返り討ちにするとサンジは何事もなかったように黙って見つめるコック達の間を歩く。
サンジは船の舳先で足を止める。
「行こう」
「いいのか? ……あいさつ」
「いいんだ」
ゼフが三階のデッキからサンジに声を掛けた。
「カゼ、ひくなよ」
途端に唇を噛みしめるサンジの目には涙。
こらえようとするが止められないサンジは後ろを振り返り土下座する。
「オーナーゼフ! ……長い間! くそお世話になりました! この御恩は一生……忘れません!!」
サンジの別れの挨拶にゼフは涙を流し、パティとカルネをはじめとするコック達も泣き叫び別れを惜しんだ。
ゼフは涙をぐいっと拭いた。
「…バカ野郎共が……! 男は黙って別れるモンだぜ」
サンジは涙を拭いもせず、別れの言葉を叫ぶ。
「また! 逢おうぜ! クソ野郎ども!!」
「いくぞ出航!」
ルフィの大きな声で船は海に出た。
バラティエが見えなくなった頃、サンジはミコトを手招きして呼んだ。
「ミコトちゃん、ちょっと……」
『ん? ……なあに? サンジ君……って、えっ!』
サンジはトコトコと側に来たミコトの肩に手をまわすと、今度はルフィを呼ぶ。
「おい、ルフィ! 船長だろ? ……立ち会ってくれよ」
戸惑うミコトは何が何だか分からず、顔が真っ赤になっていた。
(いったい……なに…)
ルフィが不思議そうに振り返る。
「なにが?」
「おれとミコトちゃんの結婚!」
ミコトは驚きすぎて声もでない。
目を白黒させるだけで精一杯だ。
(は!? 何、言って……!?)
ルフィが驚いて叫ぶ。
「はああああ!?」
サンジは平然とした様子で話を続ける。
「店でミコトちゃんがプロポーズしてくれただろ!」
動けないでいるミコトの両肩に、サンジは手をかけると真剣な顔で見つめた。
「ミコトちゃん、あの時は断ったけど……。 おれ、一生ミコトちゃんの為に、ご飯作ってあげるから……!」
『……な…な…どうし……』
もう、あまりの急展開に何を考えていいのか分からない。
ミコトは頭も心も爆発寸前だ。
パニックになるミコトの目の前に、突然赤い色が広がった。
『!?』
ルフィがサンジの手をどかしてミコトを自分の背に隠したからだった。
「何、言ってんだ! あれは、おれがミコトに頼んで言わせたんだ! ミコトの本心じゃねェ!」
「……本当にミコトちゃん?」
サンジはルフィの後ろにいるミコトを覗きこむように聞いてきた。
『う…うん。 ……ごめんね』
「……そうか」
肩を落とし、がっくりするサンジは俯く。
ミコトは元気がないサンジの俯く姿が可哀相に見えた。
結果的に嘘をついてしまったという事に、申し訳ないという思いに駆られて、焦って必死に慰める。
『あっ……でっでも…一緒に航海したいのは本当だよ! 私、サンジ君のこと、すごい頼りにしてるし……それから』
ミコトは話しているうちに、サンジに近づいていったところをバッ! とサンジに手を掴まれた。
サンジは顔を俯かせたままミコトに頼む。
「ミコトちゃん、後半の部分……もう一回言って、そしたら元気になるから」
『……後半?』 と聞き返すミコトの手を握るサンジの手が期待で力が入る。
ミコトは同じ事を言うのは恥ずかしいが、言わないとこのままなのも困ると口を開く。
『……サンジ君のこと、すごい頼りにしてる』
サンジはニッ! と笑うとミコトを見つめる。
「頼りにしていいよ! おれの、お姫様! 守るからね」
ミコトが 『はっ!?』 と見返すと、サンジは両手を広げて抱きつこうとした。
ミコトが動けないでいると、サンジがあと少しというところで止まった。
バシッ!
ルフィがサンジにチョップしたからだ。
「何すんだ! ルフィ!」
「ミコトはお前のお姫様じゃねェ! おれの仲間だ!」
ルフィはミコトを引っ張ると、再び自分の背中にサンジから隠した。
睨み合うルフィとサンジ。
そして、オロオロするミコトとヨサク。
「このクソゴム! おれの恋路をどこまでもジャマしやがって!」
「べつにジャマなんかしてねェ!」
「じゃあ、なんでミコトちゃんを隠すんだ?」
「なんとなくだ!」
二人は睨み合い、次第にルフィとサンジの話は別の話で言い合いになり、収拾がつかなくなっていった。
ミコトは溜息をつき、ヨサクに話し掛ける。
『……もう、放っておこう。 進路は大丈夫かな?』
「そうっスね……。 このままで平気スよ、ミコトの姉貴」
『そっか! ヨサクがいて良かったよ!』
「いやあ~。 お役に立ててうれしいス!」
ミコトとヨサクが和やかに話しているとサンジの声がした。
「ヨサク! てめェ、何ちゃっかり、ミコトちゃんと仲良くしてんだ!」
「ひぃー!」
狭い船の上を逃げ回るヨサクを追いかけるサンジ。
それに混ざって笑いながら走り回るルフィ。
騒がしい船はナミの向かうココヤシ村へ走った。
バラティエでは——
「オーナー! オーナー!」
騒がしく呼ぶパティの声が聞こえ、ゼフもコック達もサンジの部屋へ集まる。
「どうした?」
「これを…」
宝箱を指さすパティ。
ゼフは張り紙をはがして読むとニヤリと笑う。
【宝払い。 グランドラインから帰ったら宴する! 麦わらの一味】
「……あの小僧ども」
コック達に振り返ると叫ぶ。
「窓際のテーブルをあいつらの名前で永久予約しておけ!」
「……っはい! オーナー!」
我先にと嬉しそうにホールに向かうコック達。
オレンジ色に広がる空と海をゼフは眺めた。
「……いつでも食いに来い」
ナミの行先が分かって、急いで来てほしいという事だった。
「よし! なんか分かんねェけど……行こう! ミコト!」
『うん!』
サンジはすぐに向かうつもりのルフィ達の忙しなさを見ていた。
さっき戦ったばかりで、もう違う冒険を見つけて出発するルフィ。
ルフィとの航海は飽きるなんてなさそうだと思って、ミコトと目が合った。
ミコトの瞳に映る自分が最後の機会だと言っているようで、夢への一歩を踏み出す。
「待てよ」 とルフィを呼び止めた。
「おれも行くよ……連れてけ」
食堂は静まりかえり、皆がサンジを見た。
「つきあおうじゃねェか “海賊王への航路” バカげた夢はお互い様だ。 おれはおれの目的の為にだ」
サンジはルフィを見据える。
「お前の船の “コック” おれが引き受ける。 いいのか? 悪ィのか?」
「いいさ!! やったーっ!」
ルフィはバンザイして喜び、ヨサクと踊った。
『ルフィ、良かったね!』
「おうよ! やったー、コックだ。 メシだ!」
サンジはコック達に振り返った。
「そういうわけだ。 みんな、いろいろ迷惑かけたな」
パティは 「ケッ、気に食わねェな」 と言えば 「悪かったなヘタクソな演技までさせちまって」 とサンジが返す。
「てめェ知ってたのかよ」
「つまり、そうまでして……おれを追い出してェんだろ? なァ、クソジジイ」
サンジはゼフを見た。
「……フン。 そういうことだチビナス。 もともと、おれはガキが嫌いなんだ。 くだらねェモン生かしちまったと後悔しねェ日はなかったぜ……クソガキ」
「は……上等だよ。 クソジジイ……せいぜい余生楽しめよ」
素直になれないサンジとゼフは意地を張り、あくまで睨み合い憎まれ口を言い合った。
◇◆◇
真っ青な空に白い雲が浮かぶ。
コック達とヨサクはサンジの船の出航準備をしていた。
ルフィはミコトに何か頼んだ後、厨房で食料を貰っている。
いつか来るだろうと思っていた日が今日だったかと、ゼフはオーナー室のベッドに寝転んだ。
サンジはヨサクに噛みついていたサメを捌いた後、部屋に戻って荷物をまとめて大きめの巾着袋に詰め込む。
ホールのテーブルに巾着袋を置き、椅子に腰かけて、顔を見上げて煙草を咥えた。
見つめる天井の先はオーナー室。
二人は遭難から助かった後の長くて短い九年を振り返る。
「例えばだサンジ……! どんな大悪党だろうと脱獄囚だろうと、食いたくてこの店に辿り着いたクソ野郎がいたとしたら、おれ達がこの店で戦い続ける意味はあるんじゃねェだろうか」
本当に起きるとはな、と口元が上がる。
残った財宝でバラティエが完成した時は二人で喜んだ。
「すげーな、クソジジイ! これが海上レストランか!」
「そうさ宝、全部つぎ込んでも赤字だった。 これから忙しくなるぜ!」
「大丈夫さ、おれがいるんだ!」
厨房ではいつも言い合いをしていた。
「いつまでもチビナスなんて呼ぶんじゃねェよ、クソジジイ!」
「悪かったなクソチビナス」
サンジは初めて煙草を吸った時は不味かったなと 「フー………」 と煙を吐いた。
「ケホ、ケホッ」
「やめとけタバコなんざ舌が狂うぜ」
「へへ 大人だろ!」
二人しかいなかったバラティエには、いつしか他の店で手に負えないクソコック達が集まった。
海賊を追い出したり、毎日が怒鳴って怒鳴られた。
(おれが一番暴れたかもな……)
サンジはきっと自分がいなくても賑やかだろうなと口元を綻ばせた。
◇◆◇
ミコトはサンジの部屋にいた。
もとから荷物が少ない方だったのか、片付いて何もない部屋になっていた。
この部屋はこの先、新しいコックが使うのか。
なんとなくこのままだといいなと思い、ミコトは部屋に置いていた宝箱を見る。
開けてみると、色とりどりの宝石や装飾品が詰まっていた。
『少しだけ……もらっちゃおう!』
宝石を手に掬って、皮袋に入れると、宝箱の蓋をパタンと閉めた。
そして、紙をぺたりと貼る。
『これでよしっと……!』
ミコトは微笑すると、ルフィの待つ船に向かった。
「おーい、ミコト!」
ルフィは笑顔でミコトに手を振って呼んだ。
『ルフィ、置いてきたよ!』
「わかった! あんがとな!」
ミコトは微笑して返すと、小さな袋を見せる。
『……でも、少しだけ貰っちゃった!』
「そっか!」
ルフィは 「にしししし」 と笑うと、ミコトは 『うん!』 と頷いて笑った。
◇◆◇
ヒレには見送りにコック達が集まっていた。
サンジの支度を船で待つルフィ達。
ザッ……とサンジがレストランの入り口から出て来た。
全員がサンジを見つめる中、パティとカルネがサンジに襲い掛かる。
一蹴りで二人を返り討ちにするとサンジは何事もなかったように黙って見つめるコック達の間を歩く。
サンジは船の舳先で足を止める。
「行こう」
「いいのか? ……あいさつ」
「いいんだ」
ゼフが三階のデッキからサンジに声を掛けた。
「カゼ、ひくなよ」
途端に唇を噛みしめるサンジの目には涙。
こらえようとするが止められないサンジは後ろを振り返り土下座する。
「オーナーゼフ! ……長い間! くそお世話になりました! この御恩は一生……忘れません!!」
サンジの別れの挨拶にゼフは涙を流し、パティとカルネをはじめとするコック達も泣き叫び別れを惜しんだ。
ゼフは涙をぐいっと拭いた。
「…バカ野郎共が……! 男は黙って別れるモンだぜ」
サンジは涙を拭いもせず、別れの言葉を叫ぶ。
「また! 逢おうぜ! クソ野郎ども!!」
「いくぞ出航!」
ルフィの大きな声で船は海に出た。
◇◆◇
バラティエが見えなくなった頃、サンジはミコトを手招きして呼んだ。
「ミコトちゃん、ちょっと……」
『ん? ……なあに? サンジ君……って、えっ!』
サンジはトコトコと側に来たミコトの肩に手をまわすと、今度はルフィを呼ぶ。
「おい、ルフィ! 船長だろ? ……立ち会ってくれよ」
戸惑うミコトは何が何だか分からず、顔が真っ赤になっていた。
(いったい……なに…)
ルフィが不思議そうに振り返る。
「なにが?」
「おれとミコトちゃんの結婚!」
ミコトは驚きすぎて声もでない。
目を白黒させるだけで精一杯だ。
(は!? 何、言って……!?)
ルフィが驚いて叫ぶ。
「はああああ!?」
サンジは平然とした様子で話を続ける。
「店でミコトちゃんがプロポーズしてくれただろ!」
動けないでいるミコトの両肩に、サンジは手をかけると真剣な顔で見つめた。
「ミコトちゃん、あの時は断ったけど……。 おれ、一生ミコトちゃんの為に、ご飯作ってあげるから……!」
『……な…な…どうし……』
もう、あまりの急展開に何を考えていいのか分からない。
ミコトは頭も心も爆発寸前だ。
パニックになるミコトの目の前に、突然赤い色が広がった。
『!?』
ルフィがサンジの手をどかしてミコトを自分の背に隠したからだった。
「何、言ってんだ! あれは、おれがミコトに頼んで言わせたんだ! ミコトの本心じゃねェ!」
「……本当にミコトちゃん?」
サンジはルフィの後ろにいるミコトを覗きこむように聞いてきた。
『う…うん。 ……ごめんね』
「……そうか」
肩を落とし、がっくりするサンジは俯く。
ミコトは元気がないサンジの俯く姿が可哀相に見えた。
結果的に嘘をついてしまったという事に、申し訳ないという思いに駆られて、焦って必死に慰める。
『あっ……でっでも…一緒に航海したいのは本当だよ! 私、サンジ君のこと、すごい頼りにしてるし……それから』
ミコトは話しているうちに、サンジに近づいていったところをバッ! とサンジに手を掴まれた。
サンジは顔を俯かせたままミコトに頼む。
「ミコトちゃん、後半の部分……もう一回言って、そしたら元気になるから」
『……後半?』 と聞き返すミコトの手を握るサンジの手が期待で力が入る。
ミコトは同じ事を言うのは恥ずかしいが、言わないとこのままなのも困ると口を開く。
『……サンジ君のこと、すごい頼りにしてる』
サンジはニッ! と笑うとミコトを見つめる。
「頼りにしていいよ! おれの、お姫様! 守るからね」
ミコトが 『はっ!?』 と見返すと、サンジは両手を広げて抱きつこうとした。
ミコトが動けないでいると、サンジがあと少しというところで止まった。
バシッ!
ルフィがサンジにチョップしたからだ。
「何すんだ! ルフィ!」
「ミコトはお前のお姫様じゃねェ! おれの仲間だ!」
ルフィはミコトを引っ張ると、再び自分の背中にサンジから隠した。
睨み合うルフィとサンジ。
そして、オロオロするミコトとヨサク。
「このクソゴム! おれの恋路をどこまでもジャマしやがって!」
「べつにジャマなんかしてねェ!」
「じゃあ、なんでミコトちゃんを隠すんだ?」
「なんとなくだ!」
二人は睨み合い、次第にルフィとサンジの話は別の話で言い合いになり、収拾がつかなくなっていった。
ミコトは溜息をつき、ヨサクに話し掛ける。
『……もう、放っておこう。 進路は大丈夫かな?』
「そうっスね……。 このままで平気スよ、ミコトの姉貴」
『そっか! ヨサクがいて良かったよ!』
「いやあ~。 お役に立ててうれしいス!」
ミコトとヨサクが和やかに話しているとサンジの声がした。
「ヨサク! てめェ、何ちゃっかり、ミコトちゃんと仲良くしてんだ!」
「ひぃー!」
狭い船の上を逃げ回るヨサクを追いかけるサンジ。
それに混ざって笑いながら走り回るルフィ。
騒がしい船はナミの向かうココヤシ村へ走った。
◇◆◇
バラティエでは——
「オーナー! オーナー!」
騒がしく呼ぶパティの声が聞こえ、ゼフもコック達もサンジの部屋へ集まる。
「どうした?」
「これを…」
宝箱を指さすパティ。
ゼフは張り紙をはがして読むとニヤリと笑う。
【宝払い。 グランドラインから帰ったら宴する! 麦わらの一味】
「……あの小僧ども」
コック達に振り返ると叫ぶ。
「窓際のテーブルをあいつらの名前で永久予約しておけ!」
「……っはい! オーナー!」
我先にと嬉しそうにホールに向かうコック達。
オレンジ色に広がる空と海をゼフは眺めた。
「……いつでも食いに来い」
30/30ページ