第八章 海上レストラン・バラティエ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日、晴れた穏やかな海に、破れた帆を垂らしたボロボロの巨大ガレオン船が海上レストラン “バラティエ” を目指す。
ドレッドノート・サーベル号は “首領 ・クリーク” の海賊旗、髑髏の両脇に敵への脅迫を示す砂時計が掲げられている。
恐れを知らない船はグランドラインで何と遭遇したのか、サーベルタイガーの船首の顔が半分と牙を失っていた。
ルフィは今日こそサンジを仲間にするぞ! と張りきってレストランに来ていたが、突然現れたクリークの船に客達は恐怖して混乱した。
窓から、わくわくしながら外の海賊船を見るルフィと違って、サンジは警戒する目を向ける。
甲板にはギンと大柄な男がバラティエを見下ろしていた。
「でっけー船! ギンの奴お前に恩返しにきたのかなァ」
「そうは思えねェな……。 でも、妙だぜ。 あそこまでいためつけられるとすりゃ、まず人の業じゃねェ……。 なにかの自然現象につかまっちまったんだろうな」
厨房ではパティやカルネをはじめとするコック達も慌て、ゼフは自室の窓から様子を見ていた。
メリー号の甲板ではナミが欄干の影に急いで隠れ、ウソップがじたばたと走り回る。
ゾロとミコトが巨大ガレオン船の様子を眺めていると、二つの影がバラティエに乗り移ったのが見えた。
「あれは一昨日、来た男じゃねェのか?」
ゾロが目を凝らして問を口にすると、ウソップが逃げながら見ていたのか頷いた。
「ああ、そうだ……。 誰か背負ってたぞ!」
ミコトが 『……ドン・クリーク』 とその名を呟く。
「「本当か?」」
『これ……』
同時に聞き返すゾロとウソップに、ヨサクとジョニーの持っていた手配書を見せた。
覗き込んで見たクリークの姿と一致しないが、凶悪そうな顔つきに、ゾロは面白そうだと口角を上げ、ウソップはブルッと肩を揺らした。
「……千七百万ベリーの賞金首か」
「強そうだな……おい」
「ルフィはレストランに行ってたな……。 行くか!」
「はァ!? ……何言ってんだ、ゾロ!」
「怖いなら、お前はメリー号に残ってろよ」
「何言ってんだ! おれは勇敢なる海の戦士……。 恐れるものなどない! 行くぞ!」
その時、レストランから悲鳴を上げて逃げてくる客達の姿が目に入った。
「あれ、なんだよ!? ……ゾロ君、僕はやっぱりやめようかなぁ~」
「お前なァ……」
ゾロが横目で見れば、ウソップは手を振る。
「いやぁ……ウソだよ! ウ・ソ!」
否定するが説得力ゼロだ。
溜息をつくゾロはミコトを見た。
「ミコトも行くんだろ?」
『うん! でも、先に行ってていいよ』
「分かった。 早く来ねェと……おれが終わらせちまうからな」
ゾロはニヤリと笑うと、震えるウソップを引っ張るように連れてレストランに向かう。
『行ってらっしゃい!』
ミコトはバイバイと手を振って見送ると、隠れているナミに声を掛けた。
『ナミ、大丈夫?』
「だ……大丈夫なわけないでしょ。 あいつら、おかしいわよ!」
(……チャンスだわ! あいつらがいなくなって、ミコトもレストランに行けば……船を奪える!)
まだ逃げずにいる客の残るレストランへ、ギンに支えてもらいながらドン・クリークは向かう。
薄紫色の髪が手配書と違って短いのは頭に巻いた包帯の傷のせいだろうか。
レストランに入って来た衰弱しきったクリークは倒れ込み、パティはその姿を笑い飛ばす。
「こりゃいい! 傑作だ! これがあの名だたる大悪党 “ドン・クリーク” の姿か!」
あまりの空腹に威厳も迫力もないクリークが土下座して哀願する。
「残飯でも……なんでもいいです。 お願いします」
その姿に涙を流すのはギンだけだ。
海賊に同情なんてする人間はレストランにはいない。
むしろ因果応報で、このまま放っておいて、海軍に捕まえに来てもらおうというパティの意見に全員が頷いたが——一人違った。
サンジはパティを蹴り飛ばすと、ギンにピラフと飲み物を渡す。
「ほらよ、ギン。 そいつに食わせろ」
「サンジさん!」
ありがとうございます! とギンは頭を下げるとクリークに食事を出した。
クリークは 「すまん……!」 と言い、がっつき両手を使い頬張って食べる。
サンジの行動にコック仲間も、野次馬で残る客も非難と悲鳴をあげていた。
丸いサングラスをするコックの一人カルネがサンジに向かって、 “東の海の覇者・ダマし討ちのクリーク” がどんなふうに成り上がったのかを忠告する。
監獄で海兵になりすまし、上官を殺して海軍の船を奪って、海賊としてののろしを上げた。
その後、海軍旗や白旗を掲げて騙して襲い、他にも勝ち続ける為に手段を選ばないクリークは怖ろしく強く、東の海で暴れた。
「そんな外道は見殺しにするのが世の中のためってもんだ!」
カルネが叫ぶと同時に、クリークは食べ終わりサンジをエルボーで投げ飛ばす。
ギンはサンジが飛ばされ、慌てて叫んだ。
「は……話が違うぞ! ドン・クリーク! この店には絶対、手を出さねェって条件で、あんたをここへ案内したんだ! それに、あの男は……おれの命の恩人だぞ!」
クリークは鼻でせせら笑うと、ギンの肩を強く掴む。
痛さで叫び声を上げるギンが床に膝を着くまで力を込めた。
屈服したギンを見下ろし、辺りを見回してニヤリと笑う。
「いいレストランだ。 この船をもらう」
その言葉を聞くと、客達は我先にとばかりに船に乗り込み逃げて行った。
客は一人もいなくなり、残ったのはコック達とルフィだけだ。
そして、クリークは残ったコック達に部下百人分の水と食料を要求する。
コックの一人カルネが断ると、クリークは威圧して脅した。
「断る……勘違いすんな。 命令してるんだ!」
クリークの横暴な態度に、ギンは申し訳ない気持ちで一杯で、うつ伏せに倒れたまま謝り続けていた。
「すまねぇ…すまねェ……」
サンジが煙草を咥え、平然と厨房に足を向けると、コック達が 「どこに行く?」 と口々に言う。
「厨房さ。 あと百人分メシを用意しなきゃならねェ」
もちろん、クリークの脅しに屈したわけではない——腹を空かせた奴にメシを食わせる。
それがサンジの掲げるコックとしての矜持。
しかし、到底他の者には理解できない。
サンジの過去に何があったのか知らないのだから当然だった。
一斉にコック達は、サンジに銃口を向けて止めようとした。
サンジは止めるコック仲間に両手を広げた。
「いいぜ、おれを止めたきゃ撃て。 わかってるよ……相手は救いようもねェ悪党だってことくらい。 でも、おれには関係ねェことだ。 食わせて、その先どうなるかなんて考えるのも面倒くせェ……」
その間に大砲を用意するパティが背後に忍び寄っている事に、正面を見据えるサンジは気付いていない。
「食いてェ奴には食わせてやる! コックってのはそれでいいんじゃねェのか!」
ドゴッ! とパティの強烈なダブルスレッジハンマーの一撃がサンジを襲った。
コック達が不意討ちに倒れたサンジを抑え込み、同時にパティは大砲を構えるとクリークに向かって撃った。
「食あたり砲弾っミートボール!」
ドウン! ボゴオン!
クリークは直撃をくらい、爆発して黒い煙に覆われた。
さて、レストランのホールの外のデッキをゾロとウソップが歩いていた。
「なんか、すげー音がしたぞ! ちょっと……中の様子を覗いてからにしようぜ」
「あァ? ……めんどくせェな。 早く行こうぜ!」
ウソップはゾロを引っ張り、レストランの窓から中を覗いた。
「な……いいから。 ちょっとだけ……」
隣でゾロが溜息をつき、仕方ねェなと腕を組んだ。
ウソップが見たのはシャツが燃えたクリークの姿で、煙をだしながら、ゆっくり立ち上がっていた。
(つ、強そうだ……)
関わりたくね~と思うウソップはゾロを見たが、ゾロはもういいだろと先に行く。
「ま、待てよ!」
追いかけるウソップはクリークの金ピカ鎧を纏う姿が目の端にチラリと見えて震えた。
ドレッドノート・サーベル号は “
恐れを知らない船はグランドラインで何と遭遇したのか、サーベルタイガーの船首の顔が半分と牙を失っていた。
ルフィは今日こそサンジを仲間にするぞ! と張りきってレストランに来ていたが、突然現れたクリークの船に客達は恐怖して混乱した。
窓から、わくわくしながら外の海賊船を見るルフィと違って、サンジは警戒する目を向ける。
甲板にはギンと大柄な男がバラティエを見下ろしていた。
「でっけー船! ギンの奴お前に恩返しにきたのかなァ」
「そうは思えねェな……。 でも、妙だぜ。 あそこまでいためつけられるとすりゃ、まず人の業じゃねェ……。 なにかの自然現象につかまっちまったんだろうな」
厨房ではパティやカルネをはじめとするコック達も慌て、ゼフは自室の窓から様子を見ていた。
メリー号の甲板ではナミが欄干の影に急いで隠れ、ウソップがじたばたと走り回る。
ゾロとミコトが巨大ガレオン船の様子を眺めていると、二つの影がバラティエに乗り移ったのが見えた。
「あれは一昨日、来た男じゃねェのか?」
ゾロが目を凝らして問を口にすると、ウソップが逃げながら見ていたのか頷いた。
「ああ、そうだ……。 誰か背負ってたぞ!」
ミコトが 『……ドン・クリーク』 とその名を呟く。
「「本当か?」」
『これ……』
同時に聞き返すゾロとウソップに、ヨサクとジョニーの持っていた手配書を見せた。
覗き込んで見たクリークの姿と一致しないが、凶悪そうな顔つきに、ゾロは面白そうだと口角を上げ、ウソップはブルッと肩を揺らした。
「……千七百万ベリーの賞金首か」
「強そうだな……おい」
「ルフィはレストランに行ってたな……。 行くか!」
「はァ!? ……何言ってんだ、ゾロ!」
「怖いなら、お前はメリー号に残ってろよ」
「何言ってんだ! おれは勇敢なる海の戦士……。 恐れるものなどない! 行くぞ!」
その時、レストランから悲鳴を上げて逃げてくる客達の姿が目に入った。
「あれ、なんだよ!? ……ゾロ君、僕はやっぱりやめようかなぁ~」
「お前なァ……」
ゾロが横目で見れば、ウソップは手を振る。
「いやぁ……ウソだよ! ウ・ソ!」
否定するが説得力ゼロだ。
溜息をつくゾロはミコトを見た。
「ミコトも行くんだろ?」
『うん! でも、先に行ってていいよ』
「分かった。 早く来ねェと……おれが終わらせちまうからな」
ゾロはニヤリと笑うと、震えるウソップを引っ張るように連れてレストランに向かう。
『行ってらっしゃい!』
ミコトはバイバイと手を振って見送ると、隠れているナミに声を掛けた。
『ナミ、大丈夫?』
「だ……大丈夫なわけないでしょ。 あいつら、おかしいわよ!」
(……チャンスだわ! あいつらがいなくなって、ミコトもレストランに行けば……船を奪える!)
◇◆◇
まだ逃げずにいる客の残るレストランへ、ギンに支えてもらいながらドン・クリークは向かう。
薄紫色の髪が手配書と違って短いのは頭に巻いた包帯の傷のせいだろうか。
レストランに入って来た衰弱しきったクリークは倒れ込み、パティはその姿を笑い飛ばす。
「こりゃいい! 傑作だ! これがあの名だたる大悪党 “ドン・クリーク” の姿か!」
あまりの空腹に威厳も迫力もないクリークが土下座して哀願する。
「残飯でも……なんでもいいです。 お願いします」
その姿に涙を流すのはギンだけだ。
海賊に同情なんてする人間はレストランにはいない。
むしろ因果応報で、このまま放っておいて、海軍に捕まえに来てもらおうというパティの意見に全員が頷いたが——一人違った。
サンジはパティを蹴り飛ばすと、ギンにピラフと飲み物を渡す。
「ほらよ、ギン。 そいつに食わせろ」
「サンジさん!」
ありがとうございます! とギンは頭を下げるとクリークに食事を出した。
クリークは 「すまん……!」 と言い、がっつき両手を使い頬張って食べる。
サンジの行動にコック仲間も、野次馬で残る客も非難と悲鳴をあげていた。
丸いサングラスをするコックの一人カルネがサンジに向かって、 “東の海の覇者・ダマし討ちのクリーク” がどんなふうに成り上がったのかを忠告する。
監獄で海兵になりすまし、上官を殺して海軍の船を奪って、海賊としてののろしを上げた。
その後、海軍旗や白旗を掲げて騙して襲い、他にも勝ち続ける為に手段を選ばないクリークは怖ろしく強く、東の海で暴れた。
「そんな外道は見殺しにするのが世の中のためってもんだ!」
カルネが叫ぶと同時に、クリークは食べ終わりサンジをエルボーで投げ飛ばす。
ギンはサンジが飛ばされ、慌てて叫んだ。
「は……話が違うぞ! ドン・クリーク! この店には絶対、手を出さねェって条件で、あんたをここへ案内したんだ! それに、あの男は……おれの命の恩人だぞ!」
クリークは鼻でせせら笑うと、ギンの肩を強く掴む。
痛さで叫び声を上げるギンが床に膝を着くまで力を込めた。
屈服したギンを見下ろし、辺りを見回してニヤリと笑う。
「いいレストランだ。 この船をもらう」
その言葉を聞くと、客達は我先にとばかりに船に乗り込み逃げて行った。
客は一人もいなくなり、残ったのはコック達とルフィだけだ。
そして、クリークは残ったコック達に部下百人分の水と食料を要求する。
コックの一人カルネが断ると、クリークは威圧して脅した。
「断る……勘違いすんな。 命令してるんだ!」
クリークの横暴な態度に、ギンは申し訳ない気持ちで一杯で、うつ伏せに倒れたまま謝り続けていた。
「すまねぇ…すまねェ……」
サンジが煙草を咥え、平然と厨房に足を向けると、コック達が 「どこに行く?」 と口々に言う。
「厨房さ。 あと百人分メシを用意しなきゃならねェ」
もちろん、クリークの脅しに屈したわけではない——腹を空かせた奴にメシを食わせる。
それがサンジの掲げるコックとしての矜持。
しかし、到底他の者には理解できない。
サンジの過去に何があったのか知らないのだから当然だった。
一斉にコック達は、サンジに銃口を向けて止めようとした。
サンジは止めるコック仲間に両手を広げた。
「いいぜ、おれを止めたきゃ撃て。 わかってるよ……相手は救いようもねェ悪党だってことくらい。 でも、おれには関係ねェことだ。 食わせて、その先どうなるかなんて考えるのも面倒くせェ……」
その間に大砲を用意するパティが背後に忍び寄っている事に、正面を見据えるサンジは気付いていない。
「食いてェ奴には食わせてやる! コックってのはそれでいいんじゃねェのか!」
ドゴッ! とパティの強烈なダブルスレッジハンマーの一撃がサンジを襲った。
コック達が不意討ちに倒れたサンジを抑え込み、同時にパティは大砲を構えるとクリークに向かって撃った。
「食あたり砲弾っミートボール!」
ドウン! ボゴオン!
クリークは直撃をくらい、爆発して黒い煙に覆われた。
さて、レストランのホールの外のデッキをゾロとウソップが歩いていた。
「なんか、すげー音がしたぞ! ちょっと……中の様子を覗いてからにしようぜ」
「あァ? ……めんどくせェな。 早く行こうぜ!」
ウソップはゾロを引っ張り、レストランの窓から中を覗いた。
「な……いいから。 ちょっとだけ……」
隣でゾロが溜息をつき、仕方ねェなと腕を組んだ。
ウソップが見たのはシャツが燃えたクリークの姿で、煙をだしながら、ゆっくり立ち上がっていた。
(つ、強そうだ……)
関わりたくね~と思うウソップはゾロを見たが、ゾロはもういいだろと先に行く。
「ま、待てよ!」
追いかけるウソップはクリークの金ピカ鎧を纏う姿が目の端にチラリと見えて震えた。