第八章 海上レストラン・バラティエ
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ガシャアン!
突然の破壊音に、また何か起きたのかと皆が振り返る。
フルボディは力一杯に振り上げた鉄拳で、スープごとテーブルを壊した。
砕けたテーブル、割れた皿、こぼれたスープ、潰れた小さな虫。
黙って床を見つめるサンジをフルボディはもっと恐れ、謝れと脅す。
「このおれが誰だか分かってねェらしいな……」
不穏な空気を感じた客達は海軍大尉の怒りに怯えた。
静まるホールにサンジの低い声が響く。
「ちょっと、あの虫を取り除けば、飲めたんじゃねェのか? このスープは……!」
「何!? こっちは金を払う客だぞ!」
口答えするなと怒鳴るフルボディを 「やめて! 許してあげて!」 と彼女の止める。
その手をフルボディはメリケンサックをはめた拳で払い除けた。
「あ……!」 とよろけて倒れる彼女にサンジの眉がぴくりと動き、フルボディを見据える。
食べ物も女性も粗末に扱う野郎なんて許さない。
「金ってのは……腹のたしになるのかい?」
「なにい……?」
威圧しながらサンジはフルボディに近づく。
大きな声や音が厨房にまで聞こえたのか、コック達が出て来て、サンジを止めようと叫ぶ。
「やめるんだ! 副料理長!」
「おい! サンジさんを止めろ!」
コックの一人がオーナーに知らせに走る様子に、ルフィが呟きゾロが頷いた。
「あいつ副料理長だって……コックじゃねェか?」
「みてェだな」
緊張が漂う様子にウソップは 「こえー」 とフルボディとサンジの二人を見ないようにメニューに隠れ、ナミは残念そうに溜息をついた。
「素敵な店なのに、落ち着かないわね」
『うん』 と頷くミコトはこの先もっと騒ぎが大きくなるとは言えないから、黙ってウソップの真似してメニューを見た。
その頃、コックの一人であるパティがトイレで、がっちりとした肩を揺らして手を洗う。
坊主頭にねじり鉢巻きをする男は鏡を見て、歯を見せて笑顔を作る。
濃い髭といかつい風貌のパティはデザート担当で、口癖は “イカ野郎” 。
「お客様は神様だっ! サービスモットー! いらっしゃいませ、イカ野郎! おととい来て下さい!」
お客様への挨拶の言葉を並べて練習しながら、意気揚々とホールに向かう。
そして、パティが扉を開けて見たものは、静まりかえるホール。
客達が見ているのはサンジとフルボディ。
真っ赤に染まった顔はフルボディで、サンジの右手で吊るしあげられて声も出ない。
かろうじて床に着く靴先には零れて澄んだスープが広がり、フルボディのだらりと下がった手から伝った血が落ちて濁った。
「海でコックに逆らうことは自殺に等しい行為だってことをよく覚えとけ。 ……喰いモンを粗末にすんじゃねェよ」
サンジがフルボディに凄んで、解放しようかと手を緩めた瞬間、パティが叫んだ。
「なにーっ! お……お客様ァーっ! 何してやがるっ! 大切なお客様だぞ! 傷つけるとはどういうことだ!」
「何だ、客がどうした。 こいつは今、大切な “食い物” を粗末にした上にコックを侮辱しやがった! だから、思い知らせてやってんのさ」
サンジは手を離し、フルボディの体がどさっと床に落ちた。
血だらけになり座り込むフルボディは掠れた低い声で呟く。
「なンだこの店は……! 客に、こんな仕打ちをするなんて、潰してやる……! すぐに政府に連絡して……」
その声にサンジは聞き捨てならねェとズイ……と海軍大尉を見下ろした。
「潰すのか、この店を……じゃあ、ここで息の根……止めとかなきゃなァ」
「……は! え……!?」
フルボディはサンジの殺気に怯えた。
本気で殺されると感じて、尻もちをついたまま、ジリジリと後ろに下がるが、サンジは逃がさない。
「頭に血が上るんだよ! てめェみてェな、つけ上がったカン違い野郎を見るとよォ!」
飛び掛かる寸前で、がばっ! とコック二人がかりで押さえられたサンジはフルボディを睨め付ける。
「お前がどれ程、偉いんだ……!」
「ヒ……!?」 と引き攣った声を上げたフルボディが (何なんだ、コイツは!?) と涙を滲ませた。
バタン!
勢いよく扉が開く音とともに、海上レストラン・オーナー兼料理長ゼフがホールに入って来た。
天井にぶつかりそうな晴天割コック帽と三つ編みにまとめた口髭のよさ毛、右脚が義足という姿は只者には見えない。
元クック海賊団船長で “赫足のゼフ” とまで呼ばれた男はホールを一瞥すると、コック達に抑えられるサンジに近づいた。
「オイ、サンジ……! 貴様また店で暴れてやがんのか……」
「うるせェな、クソジジイ……」
パティが何が起きたのか話そうとする前に、ゼフの右の義足が動く。
バキッ! とサンジの頬を蹴った。
「おれのレストランを潰す気か、このガキァ!」
「う!」
呻き声を上げサンジは倒れ、ゼフは床にいたフルボディも蹴り飛ばした。
「てめェも、さっさと出て行かねェか!」
「ぎゃあああっ!」
(店主までこうなのか……! 客を……このおれを誰だと思ってやがる! このレストランの悪さは……まるで海賊船じゃねェか……。 こいつら、本当にコックなのか!?)
食事に来ただけなのに、体中が痛い。
こんな目に遭うなんて思いもしなかったと、フルボディが体を起こそうとした時、ホールの扉から怪我をした海兵がフルボディを呼ぶ。
「大尉! フルボディ大尉……た…大変です! も…申し訳ありません! 船の檻から……逃げられました…!」
次々とトラブルが起きるレストランに、ルフィでさえ溜息をつく。
「騒がしい店だなァ……」
「何!?」 とフルボディは血が伝う眉間に皺を寄せながら、海兵の報告を聞いた。
「海賊クリークの手下を逃がしてしまいました! “クリーク一味” の手掛かりにと、我々七人がかりでやっと捕まえたのに……」
「ばかな…! どこにそんな体力が……! 奴は三日前に捕まえた時、すでに餓死寸前で……。 以降、何も食わせてねェんだぞ……!」
客達はフルボディと海兵の会話の中の “クリーク” の名前を聞いて恐れ、サンジは “餓死寸前” という言葉に眉をひそめた。
直後、パン! と発砲音が響く。
報告しにきた海兵が背後から撃たれて倒れた事に、あちこちから悲鳴があがり、客は混乱して壁際に逃げた。
そんな中、席に座っているのはルフィ達だけだ。
「海賊か!」 とルフィがわくわくして体を乗り出す隣で、ゾロは黙って入口に視線を向ける。
「…………」
「オイオイ……なんなんだ次は!?」
ビビるウソップと違って、ナミはメニューをテーブルに置いて呆れた溜息をこぼす。
「また、もめごとなの?」
『…………』
ミコトはコツコツ……と入口に近づく足音と影を見つめた。
突然の破壊音に、また何か起きたのかと皆が振り返る。
フルボディは力一杯に振り上げた鉄拳で、スープごとテーブルを壊した。
砕けたテーブル、割れた皿、こぼれたスープ、潰れた小さな虫。
黙って床を見つめるサンジをフルボディはもっと恐れ、謝れと脅す。
「このおれが誰だか分かってねェらしいな……」
不穏な空気を感じた客達は海軍大尉の怒りに怯えた。
静まるホールにサンジの低い声が響く。
「ちょっと、あの虫を取り除けば、飲めたんじゃねェのか? このスープは……!」
「何!? こっちは金を払う客だぞ!」
口答えするなと怒鳴るフルボディを 「やめて! 許してあげて!」 と彼女の止める。
その手をフルボディはメリケンサックをはめた拳で払い除けた。
「あ……!」 とよろけて倒れる彼女にサンジの眉がぴくりと動き、フルボディを見据える。
食べ物も女性も粗末に扱う野郎なんて許さない。
「金ってのは……腹のたしになるのかい?」
「なにい……?」
威圧しながらサンジはフルボディに近づく。
大きな声や音が厨房にまで聞こえたのか、コック達が出て来て、サンジを止めようと叫ぶ。
「やめるんだ! 副料理長!」
「おい! サンジさんを止めろ!」
コックの一人がオーナーに知らせに走る様子に、ルフィが呟きゾロが頷いた。
「あいつ副料理長だって……コックじゃねェか?」
「みてェだな」
緊張が漂う様子にウソップは 「こえー」 とフルボディとサンジの二人を見ないようにメニューに隠れ、ナミは残念そうに溜息をついた。
「素敵な店なのに、落ち着かないわね」
『うん』 と頷くミコトはこの先もっと騒ぎが大きくなるとは言えないから、黙ってウソップの真似してメニューを見た。
その頃、コックの一人であるパティがトイレで、がっちりとした肩を揺らして手を洗う。
坊主頭にねじり鉢巻きをする男は鏡を見て、歯を見せて笑顔を作る。
濃い髭といかつい風貌のパティはデザート担当で、口癖は “イカ野郎” 。
「お客様は神様だっ! サービスモットー! いらっしゃいませ、イカ野郎! おととい来て下さい!」
お客様への挨拶の言葉を並べて練習しながら、意気揚々とホールに向かう。
そして、パティが扉を開けて見たものは、静まりかえるホール。
客達が見ているのはサンジとフルボディ。
真っ赤に染まった顔はフルボディで、サンジの右手で吊るしあげられて声も出ない。
かろうじて床に着く靴先には零れて澄んだスープが広がり、フルボディのだらりと下がった手から伝った血が落ちて濁った。
「海でコックに逆らうことは自殺に等しい行為だってことをよく覚えとけ。 ……喰いモンを粗末にすんじゃねェよ」
サンジがフルボディに凄んで、解放しようかと手を緩めた瞬間、パティが叫んだ。
「なにーっ! お……お客様ァーっ! 何してやがるっ! 大切なお客様だぞ! 傷つけるとはどういうことだ!」
「何だ、客がどうした。 こいつは今、大切な “食い物” を粗末にした上にコックを侮辱しやがった! だから、思い知らせてやってんのさ」
サンジは手を離し、フルボディの体がどさっと床に落ちた。
血だらけになり座り込むフルボディは掠れた低い声で呟く。
「なンだこの店は……! 客に、こんな仕打ちをするなんて、潰してやる……! すぐに政府に連絡して……」
その声にサンジは聞き捨てならねェとズイ……と海軍大尉を見下ろした。
「潰すのか、この店を……じゃあ、ここで息の根……止めとかなきゃなァ」
「……は! え……!?」
フルボディはサンジの殺気に怯えた。
本気で殺されると感じて、尻もちをついたまま、ジリジリと後ろに下がるが、サンジは逃がさない。
「頭に血が上るんだよ! てめェみてェな、つけ上がったカン違い野郎を見るとよォ!」
飛び掛かる寸前で、がばっ! とコック二人がかりで押さえられたサンジはフルボディを睨め付ける。
「お前がどれ程、偉いんだ……!」
「ヒ……!?」 と引き攣った声を上げたフルボディが (何なんだ、コイツは!?) と涙を滲ませた。
バタン!
勢いよく扉が開く音とともに、海上レストラン・オーナー兼料理長ゼフがホールに入って来た。
天井にぶつかりそうな晴天割コック帽と三つ編みにまとめた口髭のよさ毛、右脚が義足という姿は只者には見えない。
元クック海賊団船長で “赫足のゼフ” とまで呼ばれた男はホールを一瞥すると、コック達に抑えられるサンジに近づいた。
「オイ、サンジ……! 貴様また店で暴れてやがんのか……」
「うるせェな、クソジジイ……」
パティが何が起きたのか話そうとする前に、ゼフの右の義足が動く。
バキッ! とサンジの頬を蹴った。
「おれのレストランを潰す気か、このガキァ!」
「う!」
呻き声を上げサンジは倒れ、ゼフは床にいたフルボディも蹴り飛ばした。
「てめェも、さっさと出て行かねェか!」
「ぎゃあああっ!」
(店主までこうなのか……! 客を……このおれを誰だと思ってやがる! このレストランの悪さは……まるで海賊船じゃねェか……。 こいつら、本当にコックなのか!?)
食事に来ただけなのに、体中が痛い。
こんな目に遭うなんて思いもしなかったと、フルボディが体を起こそうとした時、ホールの扉から怪我をした海兵がフルボディを呼ぶ。
「大尉! フルボディ大尉……た…大変です! も…申し訳ありません! 船の檻から……逃げられました…!」
次々とトラブルが起きるレストランに、ルフィでさえ溜息をつく。
「騒がしい店だなァ……」
「何!?」 とフルボディは血が伝う眉間に皺を寄せながら、海兵の報告を聞いた。
「海賊クリークの手下を逃がしてしまいました! “クリーク一味” の手掛かりにと、我々七人がかりでやっと捕まえたのに……」
「ばかな…! どこにそんな体力が……! 奴は三日前に捕まえた時、すでに餓死寸前で……。 以降、何も食わせてねェんだぞ……!」
客達はフルボディと海兵の会話の中の “クリーク” の名前を聞いて恐れ、サンジは “餓死寸前” という言葉に眉をひそめた。
直後、パン! と発砲音が響く。
報告しにきた海兵が背後から撃たれて倒れた事に、あちこちから悲鳴があがり、客は混乱して壁際に逃げた。
そんな中、席に座っているのはルフィ達だけだ。
「海賊か!」 とルフィがわくわくして体を乗り出す隣で、ゾロは黙って入口に視線を向ける。
「…………」
「オイオイ……なんなんだ次は!?」
ビビるウソップと違って、ナミはメニューをテーブルに置いて呆れた溜息をこぼす。
「また、もめごとなの?」
『…………』
ミコトはコツコツ……と入口に近づく足音と影を見つめた。