第六章 シロップ村
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カラスが鳴く夕焼けの中、ウソップは一人泣きながら歩く。
後ろを振り返って、俯いてしまう自分の心を励ます。
ここで頑張らないと、村が海賊に襲われてしまう。
何か自分に出来る事がある筈だと、手を握り込んだ時、呼ぶ声に顔を上げた。
「あ! キャプテン!」
そこには無邪気にウソップを慕って呼ぶたまねぎ達とルフィ達がいた。
ウソップは目を擦り涙を拭うと、左腕の傷を後ろに隠した。
「……よお! お前らか! ……ってげっ! お前っ生きてたのか?」
死んだと思っていたルフィを見て、大げさに驚くウソップ。
「生きてた? ああ、さっき起きたんだ」
「そんな事よりキャプテン! 海賊達のこと、早くみんなに話さなきゃ!」
「みんなに……」
ウソップはついさっき屋敷で起きた事を思い返した。
誰も信じなかったうえに、追い返されたなんて言えないと口を結ぶ。
隠した左腕の傷からドクドク流れていた血は止まり掛かけていた。
(そうか、誰もしらねェんだ……それなら——)
ウソップは決心すると、不自然なほど大きい声で笑った。
「いつものウソに決まってんだろ! あの執事の野郎がムカついたんで、海賊にしたててやろうと思ったんだ!」
嘘に嘘を重ねて真実にする。
ルフィもナミもゾロもウソップの様子がおかしい事に一目で気付いたが、たまねぎ達はウソップの嘘に騙され怒った。
「キャプテンを軽蔑する……。 人を傷つけるウソを絶対つかない男だと思ってった」
三人はそう言い残すと家に帰った。
小さな三人の姿が消える頃、ウソップは真剣な面持ちでルフィ達に振り返った。
「……お前らに話がある。 海岸に行こう」
覚悟を決めた目にルフィ達は頷いた。
三日月に照らされる夜の海岸。
岩肌にぶつかる波の音が響く。
ウソップはナミから傷の手当てを受けながら、何があったのか語った。
「おれはウソつきだからよ。 ハナッから信じてもらえるわけなかったんだ。 おれが甘かった!」
「甘かったって言っても事実は事実。 海賊は本当に来ちゃうんでしょう?」
「ああ、間違いなくやって来る。 でも、みんなはウソだと思ってる! 明日もまたいつも通り平和な一日がくると思ってる……!」
ウソップは悔しくて拳を握りしめた。
「だから、おれはこの海岸で海賊どもを迎え撃ち! この一件を嘘にする! それが嘘つきとして! おれの通すべき筋ってもんだ!」
言い放つウソップをルフィ達は黙って聞いていた。
その決意を馬鹿にするような人間はいない。
「腕に銃弾ぶち込まれようともよ、ホウキ持って追いかけ回されようともよ! ここはおれの育った村だ!」
ウソップは左腕の傷を押さえて、どうにかしたいと願う涙が溢れた。
「おれはこの村が大好きだ! みんなを守りたい! こんな、わけもわからねェうちに……! みんなを殺されてたまるかよ!」
顔を覆って叫ぶウソップに、ゾロは息をついて、仕方ねェなと口端をあげる。
「とんだ、お人好しだぜ。 子分までつき離して一人出陣とは……!」
顔を上げるウソップに、やる気満々のルフィは笑う。
「よし、おれ達も加勢する」
「言っとくけど、宝は全部、私の物よ」
ナミは不敵に笑い、ミコトはニコリと笑顔を見せた。
『悪い奴は倒さないとね』
ウソップは四人の様子に目を丸くして遠慮がちに聞く。
「え? お前ら…一緒に戦ってくれるのか…!? な、何で……」
「だって、敵は大勢いるんだろ?」
ルフィは指をならし、ゾロは横目でウソップを見る。
「怖ェて、顔に書いてあるぜ」
「お! おれが怖がってるだと! バカ言え! 大勢だろうと何だろうと、おれは平気だ! なぜなら、おれは勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!」
ウソップは勇ましく宣言するが、その足は震えている。
懸命に震える足を叩くが止まらない。
「見世物じゃねェぞ! 相手はキャプテン・クロの海賊団。 怖ェもんは怖ェんだ! それが、どうした! おれは同情なら受ける気はねェ! てめェら帰れ帰れ帰れ!」
ゾロとルフィは真顔でウソップを見つめて言い切る。
「笑ってやしねェだろ? 立派だと思うから手を貸すんだ」
「同情なんかで命賭けるか!」
「う……! お前ら…!!」
ウソップは嬉しくて涙を溢れさせた。
三日月が少し頃傾いた頃、五人は海賊を迎え討つための作戦を立てる。
ウソップが今いる海岸から村へ続く道について話し始めた時ミコトが止めた。
『ウソップ、ちょっと待って! 聞きたいことがあるの』
「なんだ?」
『海岸はここ一つじゃないよね。 海賊はここからとは限らないと思うんだけど……』
(うん! これで北の海岸に早く行って、皆で待ち伏せできる!)
ミコトの質問にウソップは 「あっ!」 と頭を抱えて、忘れてたと焦った。
「あ~そうだ! 北にも上陸できる場所がある!」
同時にナミも両手を頬に当てて慌て、ルフィも叫んだ。
「そうよ! 私達の船がある場所じゃないの! 私の宝が!」
「なにぃ! おれの肉も!」
冷静なゾロがウソップに尋ねた。
「他に上陸場所はあるのか?」
「……いや、村に続いてるのは、この海岸と北の海岸だ。 地形はほぼ、こっちと変わらねェから坂道でくい止められる」
「どうする……どうする肉、おれの肉!!」
頭を抱えてウロウロするルフィにバキッ! とナミが拳骨を落とした。
「落ち着きなさい!」
痛くてしゃがみこむルフィは良い事思いついたとポン! と手を打つ。
「よし! 二手に分かれよう!」
『え? 二手?』
(どうして?)
ミコトはつい聞き返してしまった。
ナミは当然でしょ! という様子で頷く。
「そうね。 敵はどっちから来るか分からないもの」
ミコトはナミの言葉に (あ……) と心の声をあげる。
北の海岸の事を言えば、単純に北に行くと思ってしまったミコト。
(私は知っている……でも、みんなは知らない)
二手に分かれるのは当然で、自分の迂闊さに溜息をついた。
ゾロは腕を組んで全員の顔を見た。
「どう分かれる?」
「私は北に行くわよ! 私の宝を守らなきゃ!」
ルフィは 「わかった」 と頷くと命令した。
「そうか……じゃあ、おれとナミとウソップは北に向かう! ミコトとゾロはここで敵を待ってろ!」
即座にナミから反対の声があがった。
「ちょっと待って! なんでミコトがゾロとなの? 私、ミコトと一緒がいい! あんたがゾロとこっちにいなさいよ!」
「嫌だ! おれも肉が心配だからだ!」
ルフィも譲らない。
ウソップが気をまわして 「おれが、こっちに残ろうか……」 と言うが、ルフィが反対する。
「ダメだ! ミコトとゾロはおれの仲間だ。 おれが船長だからな。 決めたんだ!」
言い切るルフィをミコトは見て、ナミに手を合わせて謝った。
『えっと……ごめんね。 ……ナミ、頑張ってね』
「ほら、みろ」
なぜかルフィは腰に手をやり、ナミに勝ち誇ってみせる。
「……くっ……」
ナミが悔しそうに、ルフィを横目で見ている様子を、ゾロは黙って見ていた。
(ミコトはルフィ絶対だからな……)
ウソップは三人の様子を見ていると、この先に不安を感じた。
(……こいつら、大丈夫か? そうだ!)
「お前らどう戦うんだ?」
「斬る」
「伸びる」
「盗む」
『殴る、蹴る』
「隠れる」
最後のウソップの言葉にルフィとゾロとナミが揃ってツッコんだ。
「「「お前は戦えよ!」」」
ミコトは 『あはは……!』 と楽しそうに笑った。
その頃のカヤの屋敷。
執事のクラハドールがカヤからのプレゼントの眼鏡を踏み潰していた。
驚くメリーに正体を明かし、キャプテン・クロの顔になり “猫の手” で襲いかかる。
何も知らずに眠るカヤを守ろうとするメリーの手が床に落ち、三日月の夜は更けていく——
後ろを振り返って、俯いてしまう自分の心を励ます。
ここで頑張らないと、村が海賊に襲われてしまう。
何か自分に出来る事がある筈だと、手を握り込んだ時、呼ぶ声に顔を上げた。
「あ! キャプテン!」
そこには無邪気にウソップを慕って呼ぶたまねぎ達とルフィ達がいた。
ウソップは目を擦り涙を拭うと、左腕の傷を後ろに隠した。
「……よお! お前らか! ……ってげっ! お前っ生きてたのか?」
死んだと思っていたルフィを見て、大げさに驚くウソップ。
「生きてた? ああ、さっき起きたんだ」
「そんな事よりキャプテン! 海賊達のこと、早くみんなに話さなきゃ!」
「みんなに……」
ウソップはついさっき屋敷で起きた事を思い返した。
誰も信じなかったうえに、追い返されたなんて言えないと口を結ぶ。
隠した左腕の傷からドクドク流れていた血は止まり掛かけていた。
(そうか、誰もしらねェんだ……それなら——)
ウソップは決心すると、不自然なほど大きい声で笑った。
「いつものウソに決まってんだろ! あの執事の野郎がムカついたんで、海賊にしたててやろうと思ったんだ!」
嘘に嘘を重ねて真実にする。
ルフィもナミもゾロもウソップの様子がおかしい事に一目で気付いたが、たまねぎ達はウソップの嘘に騙され怒った。
「キャプテンを軽蔑する……。 人を傷つけるウソを絶対つかない男だと思ってった」
三人はそう言い残すと家に帰った。
小さな三人の姿が消える頃、ウソップは真剣な面持ちでルフィ達に振り返った。
「……お前らに話がある。 海岸に行こう」
覚悟を決めた目にルフィ達は頷いた。
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三日月に照らされる夜の海岸。
岩肌にぶつかる波の音が響く。
ウソップはナミから傷の手当てを受けながら、何があったのか語った。
「おれはウソつきだからよ。 ハナッから信じてもらえるわけなかったんだ。 おれが甘かった!」
「甘かったって言っても事実は事実。 海賊は本当に来ちゃうんでしょう?」
「ああ、間違いなくやって来る。 でも、みんなはウソだと思ってる! 明日もまたいつも通り平和な一日がくると思ってる……!」
ウソップは悔しくて拳を握りしめた。
「だから、おれはこの海岸で海賊どもを迎え撃ち! この一件を嘘にする! それが嘘つきとして! おれの通すべき筋ってもんだ!」
言い放つウソップをルフィ達は黙って聞いていた。
その決意を馬鹿にするような人間はいない。
「腕に銃弾ぶち込まれようともよ、ホウキ持って追いかけ回されようともよ! ここはおれの育った村だ!」
ウソップは左腕の傷を押さえて、どうにかしたいと願う涙が溢れた。
「おれはこの村が大好きだ! みんなを守りたい! こんな、わけもわからねェうちに……! みんなを殺されてたまるかよ!」
顔を覆って叫ぶウソップに、ゾロは息をついて、仕方ねェなと口端をあげる。
「とんだ、お人好しだぜ。 子分までつき離して一人出陣とは……!」
顔を上げるウソップに、やる気満々のルフィは笑う。
「よし、おれ達も加勢する」
「言っとくけど、宝は全部、私の物よ」
ナミは不敵に笑い、ミコトはニコリと笑顔を見せた。
『悪い奴は倒さないとね』
ウソップは四人の様子に目を丸くして遠慮がちに聞く。
「え? お前ら…一緒に戦ってくれるのか…!? な、何で……」
「だって、敵は大勢いるんだろ?」
ルフィは指をならし、ゾロは横目でウソップを見る。
「怖ェて、顔に書いてあるぜ」
「お! おれが怖がってるだと! バカ言え! 大勢だろうと何だろうと、おれは平気だ! なぜなら、おれは勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!」
ウソップは勇ましく宣言するが、その足は震えている。
懸命に震える足を叩くが止まらない。
「見世物じゃねェぞ! 相手はキャプテン・クロの海賊団。 怖ェもんは怖ェんだ! それが、どうした! おれは同情なら受ける気はねェ! てめェら帰れ帰れ帰れ!」
ゾロとルフィは真顔でウソップを見つめて言い切る。
「笑ってやしねェだろ? 立派だと思うから手を貸すんだ」
「同情なんかで命賭けるか!」
「う……! お前ら…!!」
ウソップは嬉しくて涙を溢れさせた。
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三日月が少し頃傾いた頃、五人は海賊を迎え討つための作戦を立てる。
ウソップが今いる海岸から村へ続く道について話し始めた時ミコトが止めた。
『ウソップ、ちょっと待って! 聞きたいことがあるの』
「なんだ?」
『海岸はここ一つじゃないよね。 海賊はここからとは限らないと思うんだけど……』
(うん! これで北の海岸に早く行って、皆で待ち伏せできる!)
ミコトの質問にウソップは 「あっ!」 と頭を抱えて、忘れてたと焦った。
「あ~そうだ! 北にも上陸できる場所がある!」
同時にナミも両手を頬に当てて慌て、ルフィも叫んだ。
「そうよ! 私達の船がある場所じゃないの! 私の宝が!」
「なにぃ! おれの肉も!」
冷静なゾロがウソップに尋ねた。
「他に上陸場所はあるのか?」
「……いや、村に続いてるのは、この海岸と北の海岸だ。 地形はほぼ、こっちと変わらねェから坂道でくい止められる」
「どうする……どうする肉、おれの肉!!」
頭を抱えてウロウロするルフィにバキッ! とナミが拳骨を落とした。
「落ち着きなさい!」
痛くてしゃがみこむルフィは良い事思いついたとポン! と手を打つ。
「よし! 二手に分かれよう!」
『え? 二手?』
(どうして?)
ミコトはつい聞き返してしまった。
ナミは当然でしょ! という様子で頷く。
「そうね。 敵はどっちから来るか分からないもの」
ミコトはナミの言葉に (あ……) と心の声をあげる。
北の海岸の事を言えば、単純に北に行くと思ってしまったミコト。
(私は知っている……でも、みんなは知らない)
二手に分かれるのは当然で、自分の迂闊さに溜息をついた。
ゾロは腕を組んで全員の顔を見た。
「どう分かれる?」
「私は北に行くわよ! 私の宝を守らなきゃ!」
ルフィは 「わかった」 と頷くと命令した。
「そうか……じゃあ、おれとナミとウソップは北に向かう! ミコトとゾロはここで敵を待ってろ!」
即座にナミから反対の声があがった。
「ちょっと待って! なんでミコトがゾロとなの? 私、ミコトと一緒がいい! あんたがゾロとこっちにいなさいよ!」
「嫌だ! おれも肉が心配だからだ!」
ルフィも譲らない。
ウソップが気をまわして 「おれが、こっちに残ろうか……」 と言うが、ルフィが反対する。
「ダメだ! ミコトとゾロはおれの仲間だ。 おれが船長だからな。 決めたんだ!」
言い切るルフィをミコトは見て、ナミに手を合わせて謝った。
『えっと……ごめんね。 ……ナミ、頑張ってね』
「ほら、みろ」
なぜかルフィは腰に手をやり、ナミに勝ち誇ってみせる。
「……くっ……」
ナミが悔しそうに、ルフィを横目で見ている様子を、ゾロは黙って見ていた。
(ミコトはルフィ絶対だからな……)
ウソップは三人の様子を見ていると、この先に不安を感じた。
(……こいつら、大丈夫か? そうだ!)
「お前らどう戦うんだ?」
「斬る」
「伸びる」
「盗む」
『殴る、蹴る』
「隠れる」
最後のウソップの言葉にルフィとゾロとナミが揃ってツッコんだ。
「「「お前は戦えよ!」」」
ミコトは 『あはは……!』 と楽しそうに笑った。
◇◆◇
その頃のカヤの屋敷。
執事のクラハドールがカヤからのプレゼントの眼鏡を踏み潰していた。
驚くメリーに正体を明かし、キャプテン・クロの顔になり “猫の手” で襲いかかる。
何も知らずに眠るカヤを守ろうとするメリーの手が床に落ち、三日月の夜は更けていく——