第六章 シロップ村
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朝日が光る広い海に、二隻の船の影。
穏やかな波に揺られ、一行はどこに行くのか。
「ミコトは “グランドライン” から来たのよね。 どんなところなの? 天候とか海流とか?」
ナミの質問にミコトは思い浮かべながら答える。
『うーん。 天候も海流も独特だよ。 ナミも知ってると思うけど、四つの季節の島があるから……例えば、夏島の隣に冬島があると、暑い気流と冷たい気流がぶつかりあったりする。 海流も同じで、ぶつかり合ってるから見極めるのは凄く大変なんだよ』
「あー、それは大変そうね」
『うん。 解明されてない気象現象もあるし、特殊な環境で進化してきた海王類や海獣、珍しい生き物達がいるよ。 だから、何が起きるか分からない予想困難な海かな』
ナミは頷きながら、ミコトの話を聞いているうちに、顔が不安で陰っていく。
「そう……今のままでは無謀だわ。 このまま “グランドライン” に入るなんて!」
頭を抱えて叫ぶ声に、ルフィが同意するように、うんうんと頷いていた。
「確かにな! この前、たわしのおっさんから果物いっぱい貰ったけど、やっぱ肉がないと力が……」
「食糧の事、言ってんじゃないわよ!」
ナミがルフィに速攻で指摘すると、今度はゾロが分かるぞと話に混ざる。
「このまま酒が飲めねェってのも、なんかつれェしな」
「飲食から頭を離せっ!」
ルフィとゾロにナミは怒鳴ってミコトに泣きついた。
「ミコト! 何なのよ、あいつら! 何にも考えてないんだから!」
『まあまあ……ナミ。 近づけばルフィ達も真剣に考えるよ。 まだ、先だしね!』
「ミコト、あいつらに甘いわよ!」
『!?』
(そ、そうかな……)
「あんた達、分かってんの!? 私達が向かってる “グランドライン” は世界で最も危険な場所なのよ」
ナミの真剣な警告に、ルフィはコビーにも似たような事を言われたと過ぎり、船首からミコトに聞いた。
「どうなんだ、ミコト?」
『う~ん。 このままでは正直、航海は難しいかな。 仲間もそうだけど船の装備も……』
ミコトが認めると、ナミは味方を得たとばかりに張り切る。
「そうでしょ。 とても無事でいられるとは思えないわ。 準備しましょ! それに……これ!」
ナミは二本の指で挟んだメモを見せた。
そのメモにミコトは見覚えがあった。
『あ! 確か、ガイモンさんからもらった宝の地図のメモだよね』
「それ! たわしのおっさんから貰ったやつか」
ルフィが思いだして、ポン! と手を打つと、ナミは忘れてたの? という疑いの眼差しで見た。
やっぱり自分が預かっていて正解だったと溜息をつく。
「……そうよ。 調べたいことがあるのよね」
そして、メモをポケットにしまうと海図を広げて指差した。
「ここから、少し南へ行けば村があるわ。 ひとまずそこへ! 情報も欲しいし、しっかりした船が手に入ればベストなんだけど」
「よーしッ! 肉を食うぞ!」
ルフィが片手を振り上げて喜ぶ姿にミコトは笑う。
『楽しみだね!』
(ヤソップさんから預かってる物もあるし、ウソップに早く会いたいな!)
こうして、肉と情報と出会いを求めて、進路は南へと向かった。
雀が朝を告げるシロップ村は昨日も今日も明日も平和。
たいくつな村に嘘を叫びながら走る鼻の長い少年の名はウソップ。
幼い頃に病の母を亡くして、一人でこの村に住む。
海賊の父は戻って来ないが、勇敢なる海の戦士になる事に憧れていて、村の五歳下の三人の少年達と結成した総勢四人のウソップ海賊団のキャプテンだ。
ウソップは刺激という名の風を村に吹かした後、お気に入りの木の枝に座り背伸びをした。
「キャプテン!」
呼びかけたのは団員のピーマンとにんじん。
ピーマンは深い緑の髪に、拘りの揉み上げを長く伸ばし、にんじんはボサボサの薄紫の髪で髑髏の入った赤いバンダナをしている。
遠くの道から走って来るのは三人目の団員、たまねぎが海賊を見たと朝から騒がしかった。
丸顔に眼鏡のたまねぎから、海賊の話を聞くと、ウソップ海賊団は海賊を退治 (覗き) しに海岸へ向かった。
そして、まずは偵察とキャプテン・ウソップの命令により、崖の上から様子をこっそりと窺うことにした。
海岸に到着した二隻の船。
ルフィはオールを持って立ち上げると嬉しそうに叫ぶ。
「あったなー、本当に大陸が!」
「何言ってんの、当然でしょ。 地図の通りに進んだんだから」
『さすが、ナミ!』
ナミとミコトは帆をたたんでから海岸に下り立った。
先に下りていたルフィは海岸を見回しながら歩いている。
「へー、この奥に村があるのか?」
ナミはルフィに聞かれて、手元の地図で確認する。
「うん。 小さな村みたいだけど」
ゾロは背伸びをした後、崖の上を指差した。
「ふーっ。 久しぶりに地面に下りたって……あいつら、何だ」
四人は崖の上を見た。
瞬間、ウソップ海賊団はドキンと心臓の音を鳴らす。
三人の団員はたまねぎを先頭に、速攻で森の中へ走った。
逃げ足の速さはキャプテンゆずりだ。
「おい、お前ら! 逃げるな!」
ウソップは逃げる三人を止めたが、あっという間にいなくなってしまった。
残ったウソップは隠れていた草陰から立ち上がって出ると、覚悟を決めてルフィ達に言い放つ。
「……おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ! 人々はおれを称え、さらに称え “わが船長” キャプテン・ウソップ“と呼ぶ。 この村を攻めようと考えているならやめておけ! このおれの八千人の部下共が黙っちゃいないからだ!」
ウソップの登場にルフィ、ゾロ、ナミは顔を上げて、次は何をするんだと見つめる。
ミコトは (ウソップだ!) と嬉しくて、すぐに駆けつけたかったが我慢した。
隣にいるナミは呆れたような表情で一言。
「うそでしょ」
「ゲッ! ばれた!」
ウソップは驚いて手をあげると、すぐさまナミが突っ込む。
「ほら、ばれたって言った」
「ばれたって言っちまったァ~っ! おのれ策士め!」
ナミに言わされたウソップが頭を抱えてもだえていると、ルフィは腹を抱えて笑う。
「はっはっはっはっはっはっ! お前、面白ェなーっ!」
ミコトもつられて笑った。
『ぷ……クスクス』
(やっぱり、ウソップは面白い!)
「おい、てめェら! おれをコケにするな! おれは誇り高き男なんだ! その誇り高さゆえ人がおれを “ホコリのウソップ” と呼ぶ程にな!」
『うん!』
ミコトはウソップの宣言を見上げて、楽しそうに頷き返す。
瞬間、ルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップは耳と目を疑い、——え!? とミコトを見たのだった。
さて、四人はウソップの案内で村のめし屋で食事中。
あの後、ルフィがウソップに村まで案内してくれと頼み、来る途中で自己紹介も済ませようだ。
賑わう店内にウソップの驚く声が響く。
「何! 仲間を!? 仲間とでかい船か!」
「ああ、そうなんだ」
ルフィが頷くと、ウソップは 「はーっ、そりゃ大冒険だな!」 と言いながら思い浮かべる。
「まァ、大帆船ってわけにゃいかねェが、船があるとすりゃ……この村で持ってんのは、あそこしかねェな」
「あそこって?」
ナミが尋ねるとウソップは話を続けた。
「この村に場違いな大富豪の屋敷が一軒たってる。 その主だ……と言っても、まだいたいけな少女だがな。 病弱で、寝たきりの娘さ……!」
「え……どうして、そんな娘がでっかいお屋敷の主なの?」
「おばさん! 肉追加!」
「おれも酒っ!」
ルフィとゾロはおかわりに忙しい。
ウソップが 「てめェら、話きいてんのか!?」 と文句を言う。
ナミがこいつらは放っておいてと手を振り、ミコトは聞いてるよと微笑して、ウソップの話を促した。
「……もう一年くらい前になるかな。 かわいそうに病気で両親を失っちまったのさ。 残されたのは莫大な遺産とでかい屋敷と十数人の執事達……! どんなに金があって、贅沢できようと……こんなに不幸な状況はねェよ」
ウソップの話にナミは瞼を閉じて、開けると決める。
「……やめ! この村で船の事は諦めましょ。 また別の町か村をあたればいいわ」
「そうだな、急ぐ旅でもねェし! 肉食ったし! いっぱい買い込んでいこう!」
食べ終えて満腹になったルフィも同意し、船長が決めたならとゾロは反対しなかった。
ウソップはルフィ達に話をきりだした。
「ところでお前ら、仲間を探してると言ってたな!」
「うん。 だれかいるか?」
ルフィが聞くとウソップは親指で自分の事を指差した。
「おれが、船長になってやってもいいぜ!」
「ごめんなさい」
ルフィ、ゾロ、ナミの三人はそろって謝ったが——
『うん、仲間になって!』
ミコトは喜んでウソップにお願いしていた。
「「「「えっ!?」」」」
四人は驚いて、一斉にミコトを見て時間が止まる。
何言ってるんだ!? と言った本人のウソップの目は見開いている。
断られると、冗談で言ったのに、まさかお願いされるとは思っていなかった。
戸惑って、固まるウソップ。
ルフィでさえ思わぬ展開にお茶を飲む手を止め、ナミは目を見張ってミコトの横顔を見てる。
ゾロは (どうするんだ……) と成り行きを黙って見守る事にした。
ミコトはいたって真面目にウソップを見つめ返している。
『ウソップ、ダメなの?』
「いや……」
『船長はルフィだから、なれないけど……』
「あの……と」
話は勝手に進み、口ごもるウソップの耳に、食堂の時計の音が聞こえた。
ウソップは 「あ!」 と声を上げると、時計を振り返って呟いた。
「……おっと。 もうこんな時間か……」
ウソップは助かったと思いつつ、申し訳なさそうな顔でミコトを見た。
「悪ィ! おれ、用事があるから、おめェらまたな!」
「そうか、またな!」
ルフィが返事する向かいでミコトも笑顔をみせた。
『うん。 わかった! ウソップ、また後でね!』
「……おお、じゃあな!」
何ともいえない表情を浮かべながらも、ウソップは手を軽くあげると店を後にした。
ミコトは見送ると 『残念だな……』 と小さく呟いた。
(もっと、ウソップと話したかったけど……。 カヤさんの所じゃ、仕方ないか)
ゾロとナミはミコトの呟きを聞いて思う。
((本気だったのか……))
穏やかな波に揺られ、一行はどこに行くのか。
「ミコトは “グランドライン” から来たのよね。 どんなところなの? 天候とか海流とか?」
ナミの質問にミコトは思い浮かべながら答える。
『うーん。 天候も海流も独特だよ。 ナミも知ってると思うけど、四つの季節の島があるから……例えば、夏島の隣に冬島があると、暑い気流と冷たい気流がぶつかりあったりする。 海流も同じで、ぶつかり合ってるから見極めるのは凄く大変なんだよ』
「あー、それは大変そうね」
『うん。 解明されてない気象現象もあるし、特殊な環境で進化してきた海王類や海獣、珍しい生き物達がいるよ。 だから、何が起きるか分からない予想困難な海かな』
ナミは頷きながら、ミコトの話を聞いているうちに、顔が不安で陰っていく。
「そう……今のままでは無謀だわ。 このまま “グランドライン” に入るなんて!」
頭を抱えて叫ぶ声に、ルフィが同意するように、うんうんと頷いていた。
「確かにな! この前、たわしのおっさんから果物いっぱい貰ったけど、やっぱ肉がないと力が……」
「食糧の事、言ってんじゃないわよ!」
ナミがルフィに速攻で指摘すると、今度はゾロが分かるぞと話に混ざる。
「このまま酒が飲めねェってのも、なんかつれェしな」
「飲食から頭を離せっ!」
ルフィとゾロにナミは怒鳴ってミコトに泣きついた。
「ミコト! 何なのよ、あいつら! 何にも考えてないんだから!」
『まあまあ……ナミ。 近づけばルフィ達も真剣に考えるよ。 まだ、先だしね!』
「ミコト、あいつらに甘いわよ!」
『!?』
(そ、そうかな……)
「あんた達、分かってんの!? 私達が向かってる “グランドライン” は世界で最も危険な場所なのよ」
ナミの真剣な警告に、ルフィはコビーにも似たような事を言われたと過ぎり、船首からミコトに聞いた。
「どうなんだ、ミコト?」
『う~ん。 このままでは正直、航海は難しいかな。 仲間もそうだけど船の装備も……』
ミコトが認めると、ナミは味方を得たとばかりに張り切る。
「そうでしょ。 とても無事でいられるとは思えないわ。 準備しましょ! それに……これ!」
ナミは二本の指で挟んだメモを見せた。
そのメモにミコトは見覚えがあった。
『あ! 確か、ガイモンさんからもらった宝の地図のメモだよね』
「それ! たわしのおっさんから貰ったやつか」
ルフィが思いだして、ポン! と手を打つと、ナミは忘れてたの? という疑いの眼差しで見た。
やっぱり自分が預かっていて正解だったと溜息をつく。
「……そうよ。 調べたいことがあるのよね」
そして、メモをポケットにしまうと海図を広げて指差した。
「ここから、少し南へ行けば村があるわ。 ひとまずそこへ! 情報も欲しいし、しっかりした船が手に入ればベストなんだけど」
「よーしッ! 肉を食うぞ!」
ルフィが片手を振り上げて喜ぶ姿にミコトは笑う。
『楽しみだね!』
(ヤソップさんから預かってる物もあるし、ウソップに早く会いたいな!)
こうして、肉と情報と出会いを求めて、進路は南へと向かった。
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雀が朝を告げるシロップ村は昨日も今日も明日も平和。
たいくつな村に嘘を叫びながら走る鼻の長い少年の名はウソップ。
幼い頃に病の母を亡くして、一人でこの村に住む。
海賊の父は戻って来ないが、勇敢なる海の戦士になる事に憧れていて、村の五歳下の三人の少年達と結成した総勢四人のウソップ海賊団のキャプテンだ。
ウソップは刺激という名の風を村に吹かした後、お気に入りの木の枝に座り背伸びをした。
「キャプテン!」
呼びかけたのは団員のピーマンとにんじん。
ピーマンは深い緑の髪に、拘りの揉み上げを長く伸ばし、にんじんはボサボサの薄紫の髪で髑髏の入った赤いバンダナをしている。
遠くの道から走って来るのは三人目の団員、たまねぎが海賊を見たと朝から騒がしかった。
丸顔に眼鏡のたまねぎから、海賊の話を聞くと、ウソップ海賊団は海賊を退治 (覗き) しに海岸へ向かった。
そして、まずは偵察とキャプテン・ウソップの命令により、崖の上から様子をこっそりと窺うことにした。
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海岸に到着した二隻の船。
ルフィはオールを持って立ち上げると嬉しそうに叫ぶ。
「あったなー、本当に大陸が!」
「何言ってんの、当然でしょ。 地図の通りに進んだんだから」
『さすが、ナミ!』
ナミとミコトは帆をたたんでから海岸に下り立った。
先に下りていたルフィは海岸を見回しながら歩いている。
「へー、この奥に村があるのか?」
ナミはルフィに聞かれて、手元の地図で確認する。
「うん。 小さな村みたいだけど」
ゾロは背伸びをした後、崖の上を指差した。
「ふーっ。 久しぶりに地面に下りたって……あいつら、何だ」
四人は崖の上を見た。
瞬間、ウソップ海賊団はドキンと心臓の音を鳴らす。
三人の団員はたまねぎを先頭に、速攻で森の中へ走った。
逃げ足の速さはキャプテンゆずりだ。
「おい、お前ら! 逃げるな!」
ウソップは逃げる三人を止めたが、あっという間にいなくなってしまった。
残ったウソップは隠れていた草陰から立ち上がって出ると、覚悟を決めてルフィ達に言い放つ。
「……おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ! 人々はおれを称え、さらに称え “わが船長” キャプテン・ウソップ“と呼ぶ。 この村を攻めようと考えているならやめておけ! このおれの八千人の部下共が黙っちゃいないからだ!」
ウソップの登場にルフィ、ゾロ、ナミは顔を上げて、次は何をするんだと見つめる。
ミコトは (ウソップだ!) と嬉しくて、すぐに駆けつけたかったが我慢した。
隣にいるナミは呆れたような表情で一言。
「うそでしょ」
「ゲッ! ばれた!」
ウソップは驚いて手をあげると、すぐさまナミが突っ込む。
「ほら、ばれたって言った」
「ばれたって言っちまったァ~っ! おのれ策士め!」
ナミに言わされたウソップが頭を抱えてもだえていると、ルフィは腹を抱えて笑う。
「はっはっはっはっはっはっ! お前、面白ェなーっ!」
ミコトもつられて笑った。
『ぷ……クスクス』
(やっぱり、ウソップは面白い!)
「おい、てめェら! おれをコケにするな! おれは誇り高き男なんだ! その誇り高さゆえ人がおれを “ホコリのウソップ” と呼ぶ程にな!」
『うん!』
ミコトはウソップの宣言を見上げて、楽しそうに頷き返す。
瞬間、ルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップは耳と目を疑い、——え!? とミコトを見たのだった。
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さて、四人はウソップの案内で村のめし屋で食事中。
あの後、ルフィがウソップに村まで案内してくれと頼み、来る途中で自己紹介も済ませようだ。
賑わう店内にウソップの驚く声が響く。
「何! 仲間を!? 仲間とでかい船か!」
「ああ、そうなんだ」
ルフィが頷くと、ウソップは 「はーっ、そりゃ大冒険だな!」 と言いながら思い浮かべる。
「まァ、大帆船ってわけにゃいかねェが、船があるとすりゃ……この村で持ってんのは、あそこしかねェな」
「あそこって?」
ナミが尋ねるとウソップは話を続けた。
「この村に場違いな大富豪の屋敷が一軒たってる。 その主だ……と言っても、まだいたいけな少女だがな。 病弱で、寝たきりの娘さ……!」
「え……どうして、そんな娘がでっかいお屋敷の主なの?」
「おばさん! 肉追加!」
「おれも酒っ!」
ルフィとゾロはおかわりに忙しい。
ウソップが 「てめェら、話きいてんのか!?」 と文句を言う。
ナミがこいつらは放っておいてと手を振り、ミコトは聞いてるよと微笑して、ウソップの話を促した。
「……もう一年くらい前になるかな。 かわいそうに病気で両親を失っちまったのさ。 残されたのは莫大な遺産とでかい屋敷と十数人の執事達……! どんなに金があって、贅沢できようと……こんなに不幸な状況はねェよ」
ウソップの話にナミは瞼を閉じて、開けると決める。
「……やめ! この村で船の事は諦めましょ。 また別の町か村をあたればいいわ」
「そうだな、急ぐ旅でもねェし! 肉食ったし! いっぱい買い込んでいこう!」
食べ終えて満腹になったルフィも同意し、船長が決めたならとゾロは反対しなかった。
ウソップはルフィ達に話をきりだした。
「ところでお前ら、仲間を探してると言ってたな!」
「うん。 だれかいるか?」
ルフィが聞くとウソップは親指で自分の事を指差した。
「おれが、船長になってやってもいいぜ!」
「ごめんなさい」
ルフィ、ゾロ、ナミの三人はそろって謝ったが——
『うん、仲間になって!』
ミコトは喜んでウソップにお願いしていた。
「「「「えっ!?」」」」
四人は驚いて、一斉にミコトを見て時間が止まる。
何言ってるんだ!? と言った本人のウソップの目は見開いている。
断られると、冗談で言ったのに、まさかお願いされるとは思っていなかった。
戸惑って、固まるウソップ。
ルフィでさえ思わぬ展開にお茶を飲む手を止め、ナミは目を見張ってミコトの横顔を見てる。
ゾロは (どうするんだ……) と成り行きを黙って見守る事にした。
ミコトはいたって真面目にウソップを見つめ返している。
『ウソップ、ダメなの?』
「いや……」
『船長はルフィだから、なれないけど……』
「あの……と」
話は勝手に進み、口ごもるウソップの耳に、食堂の時計の音が聞こえた。
ウソップは 「あ!」 と声を上げると、時計を振り返って呟いた。
「……おっと。 もうこんな時間か……」
ウソップは助かったと思いつつ、申し訳なさそうな顔でミコトを見た。
「悪ィ! おれ、用事があるから、おめェらまたな!」
「そうか、またな!」
ルフィが返事する向かいでミコトも笑顔をみせた。
『うん。 わかった! ウソップ、また後でね!』
「……おお、じゃあな!」
何ともいえない表情を浮かべながらも、ウソップは手を軽くあげると店を後にした。
ミコトは見送ると 『残念だな……』 と小さく呟いた。
(もっと、ウソップと話したかったけど……。 カヤさんの所じゃ、仕方ないか)
ゾロとナミはミコトの呟きを聞いて思う。
((本気だったのか……))