第五章 珍獣の島
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ゆっくりとミコトは顔をあげて、ルフィを覚悟を決めた瞳で見つめた。
その目は濡れて光っていた。
『……それでも、どうしても……諦めたくないの』
ミコトは突然ルフィに背中をパン! と叩かれた。
「夢ぐらいなんだ! くよくよすんな! ただの、夢だろ? 全開で暴れてやれば、いいだろ!」
そう言うと、ミコトの頭に優しく手を置いた。
「なんだったら、おれが、お前の夢ん中で暴れてやるぞ! なっ?」
ルフィは元気のないミコトを励まそうと笑顔を見せる
その優しい言葉は、ミコトに涙を溢れさせた。
嬉しいと思う反面、目の前に元気なルフィがいる事に、切なくて哀しくて、その笑顔が眩しくて目をきつく閉じた。
どうしても守りたい笑顔のルフィがここにいて、かけがえのないエースの命も生きてる。
どうしたら、救えるのか。
どうやったら、守り抜けるのか。
(私は果たすことが出来るの? もう、時間は動いているのに………!)
自問自答するミコトは焦ってしまい、思いが堰を切ったように溢れる。
『……うっ……ルフィ、ルフィ、ルフィ!』
ミコトは涙がポロポロと流れ、止まらない。
崩れ落ちるように両手で顔を覆う。
ルフィは何が何だか分からなくて狼狽えた。
「なっなんで? 泣くんだ!?」
見守っていたゾロもナミも、どうしていいのか分からないようだ。
ミコトは、この先の未来に起きようとしている事に、不安とどうしようもない恐怖に駆られた。
どうして今こんなに心が掻き立てられるのか。
もう、自分で考えることも目を開けることも出来なくなっていた。
胸の奥の不安の海で溺れ、もがく手と泳げない重たい体は沈んでいく。
(怖い……でも、助けたい……!)
諦めきれない指を海面に向かって伸ばすが届かない。
どんどん離れて、海の底に落ちるミコトの手を誰かが掴んだ。
しっかりと繋がる手は暖かく力強かった。
ミコトは自分を引き上げる人物の顔を見た——
ルフィは顔を覆うミコトの両手を掴んで開いた。
「なんだか、わかんねェけど……ミコトには、おれやゾロやナミもいる。 おれ達、仲間がいる! 大丈夫だ!」
黒い瞳は揺るぎない強い意志でミコトを救いあげる。
ミコトは息を呑んだ。
どれくらいルフィと見つめ合っていたのか分からないが、涙はいつの間にか止まっていた。
瞬きをするとミコトは微笑んだ。
『うん……。 そうだねルフィ。 私には仲間がいる』
「ああ、そうだぞ! おれを信じろ!」
『うん。 信じる』
ミコトが笑ったことで、ルフィもホッとして笑って力強く頷いた。
ゾロはミコトに笑顔が戻ったことに、こっそり安堵の息を吐いた。
(一時はどうなるかと思ったぜ……。 それにしても、こいつは何を背負ってんだ?)
ゾロの視線の先では、ナミがミコトの紅潮する頬にみかんを当てた。
冷たさに驚いたミコトがナミを見上げる。
「ほら、食べると元気がでるわよ!」
ナミの優しい言葉と微笑みに、ミコトの心は満たされた。
『ありがとう!』
ミコトはみかんを受け取るとナミに 『大好き!』 と甘えて抱きついた。
「はいはい」
返事をするナミもミコトの様子に一安心したのか息をつく。
(良かった。 元のミコトに戻って……)
ルフィはナミに抱きつくミコトに偉そうに話した。
「このみかんは、たわしのおっさんから貰ったもんなんだからな。 大事に食べろよ!」
『うん! 味わって食べるね!』
「よし」
ルフィは 「おれも食べよう!」 と言って、ナミにみかんを貰っていると、ゾロが思い出したように聞いた。
「そうだ……なんだったんだ? あの、おっさん」
「そっか、お前ェら知らねェのか~! 森に入るとさ……声が聞こえて——」
ルフィは寝ていたゾロとミコトに張り切って珍獣島の話を始めた。
下弦を過ぎた月が頼りなく暗い海を照らす。
ナミとゾロは船越しに話をしていた。
「ミコトは寝てるわ」
「あいつも寝てる」
ナミは波に揺れる船の縁に肘をついた。
「ミコトの昼間の事……どう思うのあんたは?」
「そのうち話すって言ってるから、いいんじゃねェのか」
「なっ……! 心配じゃないの?」
「あいつが話さねェんじゃ、しょうがねェだろ。 ……どうしろって言うんだよ」
「そうだけど……辛そうだったから」
顔を俯かせるナミにゾロは意地悪く笑う。
「それより、お前……仲間になってたぞ」
「あの場で否定するほど、冷たい女じゃないいわよ」
「ふーん」
ナミはゾロの様子に眉を寄せると 「おやすみ」 と言って船室に入って行った。
ゾロは酒瓶を片手に海を眺めて、昼間に起きた事を振り返る。
(何で泣いたんだ?)
浮かぶ当然の疑問に眉間の皺が深くなる。
(分かんねェな……。 ルフィは泣かせる様な事は言ってなかったし……)
手にする酒瓶を口にするとごくごく……と飲み、眺める波は、ぼんやりした月の光を照り返した。
(後で話すって言ってた事と関係があんのか? ……考える材料が少なすぎんな)
ゾロはミコトが元から何かを隠している事には気づいていた。
ただ、今まで一緒に行動していてミコトの性格では裏切るというものではないのは分かる。
(嘘がつけねェみたいだしな)
見上げる夜空には、小さい雲がゆっくりと風に流されている。
(はぁ……。 それにしても何を抱えてんだ? あんな風に泣くほど辛いことってなんだ?)
次々浮かぶ疑問とミコトの泣いた姿に溜息が出る。
(正直、あれには参った……。 何とかルフィが慰めたがどうなるかと思ったぜ。 まったく、心配させやがって……って……ん? 心配? おれがあいつを……?)
ゾロは夜の海を凝視すると残った酒を一口に飲んだ。
そして、寝息をたてるルフィとミコトとナミの寝る船室を見てから口端で笑う。
「まっ……おれ達は仲間だしな」
ゾロの声は誰にも聞こえていない。
月だけが知っている。
船室で仰向けに寝転ぶナミ。
天井を仰ぎ見て隣で寝るミコトの事を考えていた。
(ミコトは何であんなに泣いたの? 寝言ではルフィとルフィのお兄さんの名前を呼んでたわ。 いったい、どんな夢を見て……。 ……気になる)
ナミはハッ! として目を見開いた。
(や、やだ……何で私が!?)
まだ、会ったばかりのミコトが気になる事にナミは戸惑って、理由を探す。
(そ、そうよ! あいつらは強いから宝を集めるのに必要な人間なだけよ。 私は……私には仲間なんて、友達なんていらないんだから)
ナミは唇をきつく噛んで天井を睨む。
『……ん…』
ミコトの小さい寝言と寝返りにナミの心臓がドキリ! と鳴り、すぐに起き上がって、ミコトの寝顔を覗いた。
安らかな寝顔に、ナミは胸を撫で下ろした途端に驚いた。
ミコトを心配し、まして安堵する自分が信じられなかったからだ。
いらないと捨てた筈の芽生えつつある気持ちを振り払うように首を横に振る。
(ミコトは必要だから心配したのよ。 仲間とか友達とかじゃないもの……)
同じ事を心に言い聞かせ、目をきつく閉じて、体を抱えるように横に寝ころぶ。
揺り籠のように揺れる船は、ナミを深い眠りに誘った。
明日に何が待つのかなんて誰も分からない。
ただ、今は静かで穏やかな波に揺られ、夜は更けていった。
その目は濡れて光っていた。
『……それでも、どうしても……諦めたくないの』
ミコトは突然ルフィに背中をパン! と叩かれた。
「夢ぐらいなんだ! くよくよすんな! ただの、夢だろ? 全開で暴れてやれば、いいだろ!」
そう言うと、ミコトの頭に優しく手を置いた。
「なんだったら、おれが、お前の夢ん中で暴れてやるぞ! なっ?」
ルフィは元気のないミコトを励まそうと笑顔を見せる
その優しい言葉は、ミコトに涙を溢れさせた。
嬉しいと思う反面、目の前に元気なルフィがいる事に、切なくて哀しくて、その笑顔が眩しくて目をきつく閉じた。
どうしても守りたい笑顔のルフィがここにいて、かけがえのないエースの命も生きてる。
どうしたら、救えるのか。
どうやったら、守り抜けるのか。
(私は果たすことが出来るの? もう、時間は動いているのに………!)
自問自答するミコトは焦ってしまい、思いが堰を切ったように溢れる。
『……うっ……ルフィ、ルフィ、ルフィ!』
ミコトは涙がポロポロと流れ、止まらない。
崩れ落ちるように両手で顔を覆う。
ルフィは何が何だか分からなくて狼狽えた。
「なっなんで? 泣くんだ!?」
見守っていたゾロもナミも、どうしていいのか分からないようだ。
ミコトは、この先の未来に起きようとしている事に、不安とどうしようもない恐怖に駆られた。
どうして今こんなに心が掻き立てられるのか。
もう、自分で考えることも目を開けることも出来なくなっていた。
胸の奥の不安の海で溺れ、もがく手と泳げない重たい体は沈んでいく。
(怖い……でも、助けたい……!)
諦めきれない指を海面に向かって伸ばすが届かない。
どんどん離れて、海の底に落ちるミコトの手を誰かが掴んだ。
しっかりと繋がる手は暖かく力強かった。
ミコトは自分を引き上げる人物の顔を見た——
ルフィは顔を覆うミコトの両手を掴んで開いた。
「なんだか、わかんねェけど……ミコトには、おれやゾロやナミもいる。 おれ達、仲間がいる! 大丈夫だ!」
黒い瞳は揺るぎない強い意志でミコトを救いあげる。
ミコトは息を呑んだ。
どれくらいルフィと見つめ合っていたのか分からないが、涙はいつの間にか止まっていた。
瞬きをするとミコトは微笑んだ。
『うん……。 そうだねルフィ。 私には仲間がいる』
「ああ、そうだぞ! おれを信じろ!」
『うん。 信じる』
ミコトが笑ったことで、ルフィもホッとして笑って力強く頷いた。
ゾロはミコトに笑顔が戻ったことに、こっそり安堵の息を吐いた。
(一時はどうなるかと思ったぜ……。 それにしても、こいつは何を背負ってんだ?)
ゾロの視線の先では、ナミがミコトの紅潮する頬にみかんを当てた。
冷たさに驚いたミコトがナミを見上げる。
「ほら、食べると元気がでるわよ!」
ナミの優しい言葉と微笑みに、ミコトの心は満たされた。
『ありがとう!』
ミコトはみかんを受け取るとナミに 『大好き!』 と甘えて抱きついた。
「はいはい」
返事をするナミもミコトの様子に一安心したのか息をつく。
(良かった。 元のミコトに戻って……)
ルフィはナミに抱きつくミコトに偉そうに話した。
「このみかんは、たわしのおっさんから貰ったもんなんだからな。 大事に食べろよ!」
『うん! 味わって食べるね!』
「よし」
ルフィは 「おれも食べよう!」 と言って、ナミにみかんを貰っていると、ゾロが思い出したように聞いた。
「そうだ……なんだったんだ? あの、おっさん」
「そっか、お前ェら知らねェのか~! 森に入るとさ……声が聞こえて——」
ルフィは寝ていたゾロとミコトに張り切って珍獣島の話を始めた。
◇◆◇
下弦を過ぎた月が頼りなく暗い海を照らす。
ナミとゾロは船越しに話をしていた。
「ミコトは寝てるわ」
「あいつも寝てる」
ナミは波に揺れる船の縁に肘をついた。
「ミコトの昼間の事……どう思うのあんたは?」
「そのうち話すって言ってるから、いいんじゃねェのか」
「なっ……! 心配じゃないの?」
「あいつが話さねェんじゃ、しょうがねェだろ。 ……どうしろって言うんだよ」
「そうだけど……辛そうだったから」
顔を俯かせるナミにゾロは意地悪く笑う。
「それより、お前……仲間になってたぞ」
「あの場で否定するほど、冷たい女じゃないいわよ」
「ふーん」
ナミはゾロの様子に眉を寄せると 「おやすみ」 と言って船室に入って行った。
ゾロは酒瓶を片手に海を眺めて、昼間に起きた事を振り返る。
(何で泣いたんだ?)
浮かぶ当然の疑問に眉間の皺が深くなる。
(分かんねェな……。 ルフィは泣かせる様な事は言ってなかったし……)
手にする酒瓶を口にするとごくごく……と飲み、眺める波は、ぼんやりした月の光を照り返した。
(後で話すって言ってた事と関係があんのか? ……考える材料が少なすぎんな)
ゾロはミコトが元から何かを隠している事には気づいていた。
ただ、今まで一緒に行動していてミコトの性格では裏切るというものではないのは分かる。
(嘘がつけねェみたいだしな)
見上げる夜空には、小さい雲がゆっくりと風に流されている。
(はぁ……。 それにしても何を抱えてんだ? あんな風に泣くほど辛いことってなんだ?)
次々浮かぶ疑問とミコトの泣いた姿に溜息が出る。
(正直、あれには参った……。 何とかルフィが慰めたがどうなるかと思ったぜ。 まったく、心配させやがって……って……ん? 心配? おれがあいつを……?)
ゾロは夜の海を凝視すると残った酒を一口に飲んだ。
そして、寝息をたてるルフィとミコトとナミの寝る船室を見てから口端で笑う。
「まっ……おれ達は仲間だしな」
ゾロの声は誰にも聞こえていない。
月だけが知っている。
船室で仰向けに寝転ぶナミ。
天井を仰ぎ見て隣で寝るミコトの事を考えていた。
(ミコトは何であんなに泣いたの? 寝言ではルフィとルフィのお兄さんの名前を呼んでたわ。 いったい、どんな夢を見て……。 ……気になる)
ナミはハッ! として目を見開いた。
(や、やだ……何で私が!?)
まだ、会ったばかりのミコトが気になる事にナミは戸惑って、理由を探す。
(そ、そうよ! あいつらは強いから宝を集めるのに必要な人間なだけよ。 私は……私には仲間なんて、友達なんていらないんだから)
ナミは唇をきつく噛んで天井を睨む。
『……ん…』
ミコトの小さい寝言と寝返りにナミの心臓がドキリ! と鳴り、すぐに起き上がって、ミコトの寝顔を覗いた。
安らかな寝顔に、ナミは胸を撫で下ろした途端に驚いた。
ミコトを心配し、まして安堵する自分が信じられなかったからだ。
いらないと捨てた筈の芽生えつつある気持ちを振り払うように首を横に振る。
(ミコトは必要だから心配したのよ。 仲間とか友達とかじゃないもの……)
同じ事を心に言い聞かせ、目をきつく閉じて、体を抱えるように横に寝ころぶ。
揺り籠のように揺れる船は、ナミを深い眠りに誘った。
明日に何が待つのかなんて誰も分からない。
ただ、今は静かで穏やかな波に揺られ、夜は更けていった。