第五章 珍獣の島
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二羽のカモメが風に乗っている空の下。
青い海には二隻の船がゆく。
ゾロはバギーとカバジから受けた傷を寝て治しいる最中。
ルフィとミコトはナミが麦わら帽子を直していくところを見ている。
手際よく縫われて、元の姿に戻る帽子に、二人の表情は明るくなっていった。
「はい、直ったわよ」
「なおったーっ!」
ルフィは帽子を片手に持ってバンザイした。
『ナミ、すごいっ! お裁縫できるなんて……私、出来ないからな』
「そんなことないわよ……応急処置よ。 穴を塞いだだけ、強くつついたりしない限り大丈夫だと思うけど」
ミコトに褒められ照れるナミはルフィに忠告する。
しかし、喜ぶルフィの耳には届いていないようで、嬉しくて帽子を突いている。
直後——ズボッ!
「あ」
人差し指が帽子に見事に埋まって穴が空いた。
『あ』
ミコトは目を丸くして指が突き抜ける帽子を見つめ、ナミは体をプルプルと震わせた。
「人の話をちゃんと聞けェ!」
ブスッ!
ナミはルフィの眉間に針を刺した。
「針で刺すなよ! 痛ェだろ!」
「殴っても効かないから、刺すしかないでしょ!?」
「ああ、そりゃそうか」
「お前ら、うるせェな。 眠れねェじゃねェか……おれはハラもへってんだ……」
ゾロが騒がしさに目を擦りながら起き上がった。
「おい、何か食料わけてくれよ」
『ナミ、パンもらってもいい?』
「はァ……いいわよ」
パタパタと走って船室に取りに行くミコトはオレンジの町を出港してから、ナミの船に乗っていた。
事の発端は——ナミが母親みたいなことを言ったところから始まった。
「男二人とそんな小船に乗るなんて……ありえない。 ミコトは女の子なんだから、こっちに乗りなさい」
当然、ルフィは反対した。
「何!? ミコトはおれの仲間だぞ! おれの仲間は、おれの船に乗るんだ」
「いい加減、わかってるわよ! そんなの! これはそういう問題じゃないでしょ! ミコト、攫ったりしないから、こっちに来なさい!」
「攫うってなんだ!?」
「しないって言ってるでしょうが!」
『ルフィ……この場合、ナミのほうが正しいし行くね』
「待て、ミコト! じゃ、おれも行く!」
ベシッ!
ナミが船の縁に足を掛けたルフィを叩く。
「……っ!」
「あんたがこっちに来てどうすんのよ!」
「おれだって、そっちの広い方に乗りてェ!」
「駄目よ! こっちは女専用。 そっちは男専用よ!」
「何だよ、それ」
「今、私が決めたの! 文句ある?」
ナミの手には肉とパン。
「ありません」
——という一騒ぎの後、ミコトは現在ナミと一緒の船で過ごしていた。
ミコトがパンを取りに行っている間、ナミが航海についてルフィとゾロに説教をしていた。
しかし、二人は全く聞いていない。
そこにパンを片手に戻って来たミコトがゾロに渡す。
『ゾロ! はい』
「ありがとな」
すぐにパンにかぶりつくゾロをナミは呆れた顔で見る。
「よく今まで、生きてられたわね」
「まあ、何とかな」
一方、海をジーっと見るルフィの目に島が見えた。
「おい、島だ!」
「ああ、あれはダメね。 無人島よ。 行くだけムダ。 進路はこのままで……」
しかし、ルフィとゾロはナミの話を完全に無視して船を漕いで、勝手に島へと向かう。
「待て!」
ナミがすぐに止めるが、二人が漕ぐ小船はどんどん離れていった。
双眼鏡を片手に持ち、ミコトに振り返るナミの表情は呆れかえっていた。
「ミコト……あんた今までよくあの二人といれたわね」
『えっ! なんで? 楽しいよ。 何が起きるかわからないし……ナミは楽しくないの?』
「……あの二人が、もう少し慎重だったらね」
ナミの心配を余所にミコトは笑顔をみせる。
『ナミ、考えてたら冒険できないよ! 早く行こ!』
「ミコトって意外に……」
『ナミ?』
「はぁー……行くんでしょ」
ナミは溜息と一緒に肩の力が抜けると小さく笑う。
(冒険か……たまにはいいかもね。 こういうのも)
二隻は島に到着した。
目の前にある森は緑が深く広がっている。
ルフィは海岸に飛び降りると、気持ちよさそうに背伸びをした。
「孤島に着いたぞ! 何もねェ島だなァ! 森だけか?」
「だから、言ったのに無人島だって。 仲間探すのに、こんなとこ来てどうすんのよ」
ナミが船から降りて文句を言っているが、ルフィは全くもって気にしていない。
「おい! ゾロ、下りて来いよ」
ルフィが呼んでもゾロの返事はない。
まだ船にいるミコトはルフィの小船を覗き込むと、いつの間にか寝ているゾロがいた。
『ルフィ、ゾロは寝てるよ』
「寝かしといてあげなさいよ。 あれでもケガ人なのよ?」
「そりゃそうだな」
ナミの言うことに納得したのかルフィは頷いた。
「ミコト、ゾロについてろ! おれはナミと探険しに行く!」
『うん、分かった。 私は船番してるね!』
「そうか、よし! ナミ、行くぞ! 探検だ!」
探険の二文字にルフィの目は輝いているが、ナミは聞いてないわよ……とばかりに顔を引き攣らせた。
「ちょっと……。 私は……」
張り切るルフィの耳に、ナミの遠慮する声など聞こえない。
そして、ミコトも笑顔で手を振って見送る。
『ナミ、大丈夫だよ。 宝は私がちゃんと見てるし、心配しないで行ってらっしゃい!』
「ミコト、そういうことじゃなくて……」
「行くぞ、ナミ!」
ナミはルフィに強引に引っ張られた。
ミコトは不安そうなナミに励ますように叫ぶ。
『ナミ! ルフィがいるし、大丈夫だよ!』
「そうだぞ、おれがいるから大丈夫だ!」
言い切るミコトと、自信満々のルフィにナミは心の中で呟いた。
(それが一番不安なんでしょ……)
がっくりする間もなくルフィに呼ばれる。
「ほら、ナミ! おいてくぞ」
「わかったわよ! もう、どこに行くのよ!」
ナミは諦めたのか、ルフィの後を渋々と歩いてついて行った。
ミコトは二人が森に入って行くのを見届けると穏やかな海を眺めた。
(静かだな……。 波の音しか聞こえない)
腰を下ろすと船の縁に肘をつきながら、寝ているゾロを眺めた。
(ルフィがいないと少し寂しいな。 ゾロは気持ち良さそうに寝てるけど、風邪とかひかないのかな?)
ゾロの寝顔を見ながらミコトは考える。
(毛布は暑いし……そうだ、タオルでも掛けてあげよう! 確かあったような気がする)
ミコトは早速、船室に行くとタオルを見つけた。
そして、寝ているゾロにタオルを掛けてから、二人の様子を探ってみた。
目を閉じて少しずつ見えてくる森。
木々や草影に隠れる元海賊の宝箱男ガイモンと珍獣達。
ウサギとタヌキ、豚と猪、虎と象——と他にも合体したような動物達がいる。
(やっぱり……変わった生き物がたくさんいる)
二十年前、岩山の上にある宝箱を取ろうとして落ちてしまい、宝箱にジャストフィットして抜けなくなったガイモン。
海賊の仲間達に置いて行かれ、中身が見れなかった宝箱の未練を持ったまま、島で過ごすようになった。
島に住む珍獣達とは助け合い、仲良くなって、今では家族同然だった。
ガイモンは宝や珍獣を目当てに来る海賊を “森の裁き” で守っていた。
姿無き声で脅して、追い出す。
ルフィとナミは “森の裁き” を受けていた。
(……何だか、凄く眠くなってきた)
穏やかな波が船に寄せる音と、爽やかな潮風が眠りを誘う。
うとうとする睡魔に逆らえないミコトの目蓋はしだいに重くなり、閉じてしまう。
船の縁に寄りかかっていた体はずり落ちて、ミコトは床に寝転び眠りに落ちた。
青い海には二隻の船がゆく。
ゾロはバギーとカバジから受けた傷を寝て治しいる最中。
ルフィとミコトはナミが麦わら帽子を直していくところを見ている。
手際よく縫われて、元の姿に戻る帽子に、二人の表情は明るくなっていった。
「はい、直ったわよ」
「なおったーっ!」
ルフィは帽子を片手に持ってバンザイした。
『ナミ、すごいっ! お裁縫できるなんて……私、出来ないからな』
「そんなことないわよ……応急処置よ。 穴を塞いだだけ、強くつついたりしない限り大丈夫だと思うけど」
ミコトに褒められ照れるナミはルフィに忠告する。
しかし、喜ぶルフィの耳には届いていないようで、嬉しくて帽子を突いている。
直後——ズボッ!
「あ」
人差し指が帽子に見事に埋まって穴が空いた。
『あ』
ミコトは目を丸くして指が突き抜ける帽子を見つめ、ナミは体をプルプルと震わせた。
「人の話をちゃんと聞けェ!」
ブスッ!
ナミはルフィの眉間に針を刺した。
「針で刺すなよ! 痛ェだろ!」
「殴っても効かないから、刺すしかないでしょ!?」
「ああ、そりゃそうか」
「お前ら、うるせェな。 眠れねェじゃねェか……おれはハラもへってんだ……」
ゾロが騒がしさに目を擦りながら起き上がった。
「おい、何か食料わけてくれよ」
『ナミ、パンもらってもいい?』
「はァ……いいわよ」
パタパタと走って船室に取りに行くミコトはオレンジの町を出港してから、ナミの船に乗っていた。
事の発端は——ナミが母親みたいなことを言ったところから始まった。
「男二人とそんな小船に乗るなんて……ありえない。 ミコトは女の子なんだから、こっちに乗りなさい」
当然、ルフィは反対した。
「何!? ミコトはおれの仲間だぞ! おれの仲間は、おれの船に乗るんだ」
「いい加減、わかってるわよ! そんなの! これはそういう問題じゃないでしょ! ミコト、攫ったりしないから、こっちに来なさい!」
「攫うってなんだ!?」
「しないって言ってるでしょうが!」
『ルフィ……この場合、ナミのほうが正しいし行くね』
「待て、ミコト! じゃ、おれも行く!」
ベシッ!
ナミが船の縁に足を掛けたルフィを叩く。
「……っ!」
「あんたがこっちに来てどうすんのよ!」
「おれだって、そっちの広い方に乗りてェ!」
「駄目よ! こっちは女専用。 そっちは男専用よ!」
「何だよ、それ」
「今、私が決めたの! 文句ある?」
ナミの手には肉とパン。
「ありません」
——という一騒ぎの後、ミコトは現在ナミと一緒の船で過ごしていた。
ミコトがパンを取りに行っている間、ナミが航海についてルフィとゾロに説教をしていた。
しかし、二人は全く聞いていない。
そこにパンを片手に戻って来たミコトがゾロに渡す。
『ゾロ! はい』
「ありがとな」
すぐにパンにかぶりつくゾロをナミは呆れた顔で見る。
「よく今まで、生きてられたわね」
「まあ、何とかな」
一方、海をジーっと見るルフィの目に島が見えた。
「おい、島だ!」
「ああ、あれはダメね。 無人島よ。 行くだけムダ。 進路はこのままで……」
しかし、ルフィとゾロはナミの話を完全に無視して船を漕いで、勝手に島へと向かう。
「待て!」
ナミがすぐに止めるが、二人が漕ぐ小船はどんどん離れていった。
双眼鏡を片手に持ち、ミコトに振り返るナミの表情は呆れかえっていた。
「ミコト……あんた今までよくあの二人といれたわね」
『えっ! なんで? 楽しいよ。 何が起きるかわからないし……ナミは楽しくないの?』
「……あの二人が、もう少し慎重だったらね」
ナミの心配を余所にミコトは笑顔をみせる。
『ナミ、考えてたら冒険できないよ! 早く行こ!』
「ミコトって意外に……」
『ナミ?』
「はぁー……行くんでしょ」
ナミは溜息と一緒に肩の力が抜けると小さく笑う。
(冒険か……たまにはいいかもね。 こういうのも)
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二隻は島に到着した。
目の前にある森は緑が深く広がっている。
ルフィは海岸に飛び降りると、気持ちよさそうに背伸びをした。
「孤島に着いたぞ! 何もねェ島だなァ! 森だけか?」
「だから、言ったのに無人島だって。 仲間探すのに、こんなとこ来てどうすんのよ」
ナミが船から降りて文句を言っているが、ルフィは全くもって気にしていない。
「おい! ゾロ、下りて来いよ」
ルフィが呼んでもゾロの返事はない。
まだ船にいるミコトはルフィの小船を覗き込むと、いつの間にか寝ているゾロがいた。
『ルフィ、ゾロは寝てるよ』
「寝かしといてあげなさいよ。 あれでもケガ人なのよ?」
「そりゃそうだな」
ナミの言うことに納得したのかルフィは頷いた。
「ミコト、ゾロについてろ! おれはナミと探険しに行く!」
『うん、分かった。 私は船番してるね!』
「そうか、よし! ナミ、行くぞ! 探検だ!」
探険の二文字にルフィの目は輝いているが、ナミは聞いてないわよ……とばかりに顔を引き攣らせた。
「ちょっと……。 私は……」
張り切るルフィの耳に、ナミの遠慮する声など聞こえない。
そして、ミコトも笑顔で手を振って見送る。
『ナミ、大丈夫だよ。 宝は私がちゃんと見てるし、心配しないで行ってらっしゃい!』
「ミコト、そういうことじゃなくて……」
「行くぞ、ナミ!」
ナミはルフィに強引に引っ張られた。
ミコトは不安そうなナミに励ますように叫ぶ。
『ナミ! ルフィがいるし、大丈夫だよ!』
「そうだぞ、おれがいるから大丈夫だ!」
言い切るミコトと、自信満々のルフィにナミは心の中で呟いた。
(それが一番不安なんでしょ……)
がっくりする間もなくルフィに呼ばれる。
「ほら、ナミ! おいてくぞ」
「わかったわよ! もう、どこに行くのよ!」
ナミは諦めたのか、ルフィの後を渋々と歩いてついて行った。
ミコトは二人が森に入って行くのを見届けると穏やかな海を眺めた。
(静かだな……。 波の音しか聞こえない)
腰を下ろすと船の縁に肘をつきながら、寝ているゾロを眺めた。
(ルフィがいないと少し寂しいな。 ゾロは気持ち良さそうに寝てるけど、風邪とかひかないのかな?)
ゾロの寝顔を見ながらミコトは考える。
(毛布は暑いし……そうだ、タオルでも掛けてあげよう! 確かあったような気がする)
ミコトは早速、船室に行くとタオルを見つけた。
そして、寝ているゾロにタオルを掛けてから、二人の様子を探ってみた。
目を閉じて少しずつ見えてくる森。
木々や草影に隠れる元海賊の宝箱男ガイモンと珍獣達。
ウサギとタヌキ、豚と猪、虎と象——と他にも合体したような動物達がいる。
(やっぱり……変わった生き物がたくさんいる)
二十年前、岩山の上にある宝箱を取ろうとして落ちてしまい、宝箱にジャストフィットして抜けなくなったガイモン。
海賊の仲間達に置いて行かれ、中身が見れなかった宝箱の未練を持ったまま、島で過ごすようになった。
島に住む珍獣達とは助け合い、仲良くなって、今では家族同然だった。
ガイモンは宝や珍獣を目当てに来る海賊を “森の裁き” で守っていた。
姿無き声で脅して、追い出す。
ルフィとナミは “森の裁き” を受けていた。
(……何だか、凄く眠くなってきた)
穏やかな波が船に寄せる音と、爽やかな潮風が眠りを誘う。
うとうとする睡魔に逆らえないミコトの目蓋はしだいに重くなり、閉じてしまう。
船の縁に寄りかかっていた体はずり落ちて、ミコトは床に寝転び眠りに落ちた。