第四章 オレンジの町
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海は今日も青く穏やかだ。
三人の乗る小船の行先は風任せの波任せ。
「腹減ったー、島はまだかなー」
船首にいるルフィの声に、マストに背中を預けて座っているゾロが呆れた顔をした。
「だいたいお前ら、航海術を持ってねェってのは、おかしいんじゃねェか? ミコトは “グランドライン” から来たんだろ」
「おかしくねェよ。 海軍基地はコビーが連れて行ってくれたしな」
『私のは、その……裏ワザみたいなもんだから』
ミコトは二人の間にちょこんと足を抱えて座っている。
「はァ……? どうやってだよ。 ルフィは知ってんのか」
「知らねェ。 どうやって来たんだ?」
ルフィは興味深々でミコトに聞いてきた。
ゾロも早く話せと視線を向ける。
『う……』
二人に挟まれたミコトは逃げられない状況に言葉を詰まらせた。
ミコトは仲間に嘘をつけないし、つきたくない。
しかし、物語を知っている以上、一味と冒険するのに嘘が必要になってくる場合がある。
知っているけど、言えないジレンマにミコトは悩む。
今まで “秘密” で誤魔化すか、黙るという手で乗り切ってきた。
今回は——
(……言っても大丈夫かな)
『う~んと。 私は水の能力を使ってるの。 足から水を噴射させて、海をボードに乗って走るんだよ。 だから、風も波も関係ないから……』
「なるほどな。 航海術はいらねェか」
ゾロは納得したのか頷き、ルフィは何だそれ! と目を輝かせた。
「すげー! 見たい! 今できねーのか?」
『今はボードもないし、代わりになるような物もないから出来ないよ。 ごめんねルフィ』
「そっか……それじゃあしょうがねェか」
ルフィは残念そうにするものの、すぐに切り替えて今度はゾロに聞く。
「ゾロこそ、海をさすらう賞金稼ぎじゃねェのかよ」
ゾロに話が振られた事にミコトは内心でホッと息をついて、ゾロの話に耳を傾けた。
「おれは、そもそも賞金稼ぎだと名乗った覚えはねェ。 ある男を探しに、とりあえず海へ出たら自分の村へも帰れなくなっちまったんだ。 仕方ねェから、その辺の海賊船を狙って生活費を稼いでた……それだけだ」
「何だお前、迷子か」
『ぷっ……!』
ミコトはつい吹き出した。
「その言い方はよせ! それにミコト、笑うな!」
怒るゾロにミコトは 『ごめんね』 と笑いを抑えて、すぐに謝った。
「まったく航海もできねェなんて、海賊が聞いて呆れるぜ! これじゃ、 “グランドライン” も目指しようがねェ。 早ェとこ “航海士” を仲間に入れるべきだな」
ゾロの航海士が必要だという意見にミコトはうんうんと頷き、ルフィは楽しそうに指を折り始めた。
「あと “コック” とさ “音楽家” とさァ…」
「んなモンあとでいいんだよ!」
ゾロの指摘にルフィは 「何だよ……海賊は歌うんだぞ!」 とふて腐れた。
ミコトが二人の会話を聞きながら、海を見つめて思うのはこの先の事だ。
(早くナミが仲間にならないかな。 これじゃ、航海じゃなくて漂流だよ……)
ルフィとゾロはミコトの考えなど知るわけもなく、二人は狭い小船の中で突然ひっくり返り揃って叫ぶ。
「「腹減った!!」」
仰向けになるルフィが空を見上げると、大きい鳥が気持ちよさそうに飛んでいた。
「食おう! あの鳥っ」
がばっ! と起き上がるルフィに対して、ゾロは片眉をあげた。
「どうやって……」
「おれが捕まえてくる! まかせろ! ゴム……」
マストに手を伸ばそうとするルフィに向かってミコトが叫んだ。
『あ! 待って、ルフィ!』
同時にルフィの体をドンと両手を突っ張り体当たりした。
ルフィは押され、船尾にゴロンと転がった。
「ったた。 何すんだミコト!」
頭をさすりながら、起き上がるルフィが空を見上げれば、鳥は遠くに飛んで去っていった。
ゾロは手をかざして 「いったな……」 と一言。
あっという間に小さくなり、見えなくなった鳥を見て、ルフィはミコトに怒った。
「あっ! 逃げられたぞ、ミコト!」
呆然と空を眺めるミコトに、ルフィの声は聞こえていなかった。
突然、ミコトは 『あっ! あ~私っ!』 と叫ぶと膝を着いてしゃがみこんだ。
ルフィはミコトがそんな風に叫んだことがないので驚いて、怒った事も一瞬で忘れてしまった。
ただ、何事かとルフィとゾロはミコトを黙って見つめていた。
ミコトは座り込み下を向くと、床についた自分の両手を見つめている。
頭の中は真っ白になって混乱していた。
(……やっちゃった!)
ミコトの記憶ではルフィが鳥に咥えられ、バギーのいる島でナミに会う筈だ。
何で止めてしまったのかと考えて、ルフィとゾロを見た。
「どうしたんだ?」
『ルフィ……』
「うん?」
ミコトは嫌だったのだ。
ルフィが檻に入れられるのも、ゾロが怪我をするのも、ナミが火傷をするのも。
だからといって、変わってしまったら——
(ナミに会えないかもしれない……。 このままだと、仲間になれないとかに……なんで、止めちゃったの私。 ……うっ、泣きそう)
止めてしまって、後悔に苛まれるミコトは混乱して、どうしたらいいのか分からなくなった。
ルフィは顔を俯かせ、黙り込むミコトの様子が、あまりにもおかしいので心配になり覗き込んだ。
「ミコト?」
呼ばれて顔を上げるミコトは白い睫を濡らし薄茶色の目に涙を溜めている。
一瞬、ルフィとゾロは何故、泣いている!? と驚いて目を見開いた。
どこに泣く要素があるんだ!? と疑問が浮かぶ——が、途端にルフィは笑い声をあげた。
「わはははは!」
突然、笑いだすルフィにミコトは驚いて目を瞬いて見つめた。
「なんだミコト、泣くほどあの鳥が食いたかったのか? 腹へってたんだなァ! また、別のが飛んできたら、おれが捕ってきてやるから泣くなよ! なっ!」
ゾロはルフィを見上げるミコトをジッ……と見ていた。
(違うんじゃねェのか?)
ルフィの笑顔をミコトは見つめているうちに、滲んでた涙も引っ込んでいた。
(なんだか、泣いたりしてバカみたい。 大丈夫! ルフィだもん。 きっとナミに会えるよ……大丈夫)
ミコトは自分に言い聞かせると 『……うん』 と微笑して頷いた。
『さっきは邪魔して、ごめんね』
謝るミコトにルフィは 「気にすんな!」 と笑った。
ゾロは腑に落ちないのかミコトを心配した。
「ミコト、本当に大丈夫なのか?」
『うん。 大丈夫だよ! 心配してくれてありがとう! ゾロ』
「……そうか。 それならいい」
ミコトは明るく笑ったが、ゾロにはどこか不安が残っているよう感じた。
(……無理してんな。 なんか、隠してんのか?)
ゾロは考えながら視線を海に移すと、遠くに水飛沫が見えた。
眉間に皺を寄せ、目を凝らして耳を傾ける。
「何だ……あれ?」
「どうした? 鳥か?」
ルフィは手をかざして、ゾロが見ている方を眺めた。
ミコトもこんな所で何かあったかな? と見て、ハッ!? と思い出す。
(あ、あれは!?)
バシャバシャと泳ぐ音と助けを呼ぶ声をルフィは見つけて叫ぶ。
「海の真ん中で人が溺れてる!」
「何言ってるんだ、遭難者だろ!」
ミコトはつい嬉しくて心の中で (やった!) とガッツポーズをしてた。
(バギー一味の人達だ! 助ければオレンジの町に、ナミのいる所に行ける!)
『ルフィ、助けてあげよ?』
「そうだな、助けるか」
ルフィはオールを手にして行こうとするが、ゾロは反対した。
「放っておけ」
「何でだ?」
「あいつら、海賊だぞ? 助けたりしたら、襲ってくるぞ」
溺れている人影は三人いて、うち一人はポンポンがついた黒のニット帽にバギーの髑髏マークがある。
ゾロの言葉は正しくて、ミコトはこのままだとナミに会えなくなるのではと心配したが、ルフィが軽い調子で笑った。
「それなら、それでいいさ」
船長がそう言うならと、ゾロはもう一本のオールを持った。
「なら、急がねェとな。 溺れそうだ」
「あ、ホントだ」
ブクブクと沈みそうなバギー一味に向かってルフィとゾロは小船を漕いだ。
案の定、助けにようとしたところで、小船に上がり込み襲ってきた。
「ほら見ろ」 とゾロがこぼすと、ミコトが 『うん』 と頷き、ルフィは 「あはは」 と笑う。
海賊に襲われているのに怖がらない三人に、ニット帽を被る “綱渡り” の二つ名を持つフナンボローズが、ずいっ! と凄んで脅してきた。
「おい、おれ達ァ、あの海賊 “道化のバギー” 様の一味のモンだ」
ゾロが溜息一つして 「おれがやる」 と一人で撃沈した。
三人の乗る小船の行先は風任せの波任せ。
「腹減ったー、島はまだかなー」
船首にいるルフィの声に、マストに背中を預けて座っているゾロが呆れた顔をした。
「だいたいお前ら、航海術を持ってねェってのは、おかしいんじゃねェか? ミコトは “グランドライン” から来たんだろ」
「おかしくねェよ。 海軍基地はコビーが連れて行ってくれたしな」
『私のは、その……裏ワザみたいなもんだから』
ミコトは二人の間にちょこんと足を抱えて座っている。
「はァ……? どうやってだよ。 ルフィは知ってんのか」
「知らねェ。 どうやって来たんだ?」
ルフィは興味深々でミコトに聞いてきた。
ゾロも早く話せと視線を向ける。
『う……』
二人に挟まれたミコトは逃げられない状況に言葉を詰まらせた。
ミコトは仲間に嘘をつけないし、つきたくない。
しかし、物語を知っている以上、一味と冒険するのに嘘が必要になってくる場合がある。
知っているけど、言えないジレンマにミコトは悩む。
今まで “秘密” で誤魔化すか、黙るという手で乗り切ってきた。
今回は——
(……言っても大丈夫かな)
『う~んと。 私は水の能力を使ってるの。 足から水を噴射させて、海をボードに乗って走るんだよ。 だから、風も波も関係ないから……』
「なるほどな。 航海術はいらねェか」
ゾロは納得したのか頷き、ルフィは何だそれ! と目を輝かせた。
「すげー! 見たい! 今できねーのか?」
『今はボードもないし、代わりになるような物もないから出来ないよ。 ごめんねルフィ』
「そっか……それじゃあしょうがねェか」
ルフィは残念そうにするものの、すぐに切り替えて今度はゾロに聞く。
「ゾロこそ、海をさすらう賞金稼ぎじゃねェのかよ」
ゾロに話が振られた事にミコトは内心でホッと息をついて、ゾロの話に耳を傾けた。
「おれは、そもそも賞金稼ぎだと名乗った覚えはねェ。 ある男を探しに、とりあえず海へ出たら自分の村へも帰れなくなっちまったんだ。 仕方ねェから、その辺の海賊船を狙って生活費を稼いでた……それだけだ」
「何だお前、迷子か」
『ぷっ……!』
ミコトはつい吹き出した。
「その言い方はよせ! それにミコト、笑うな!」
怒るゾロにミコトは 『ごめんね』 と笑いを抑えて、すぐに謝った。
「まったく航海もできねェなんて、海賊が聞いて呆れるぜ! これじゃ、 “グランドライン” も目指しようがねェ。 早ェとこ “航海士” を仲間に入れるべきだな」
ゾロの航海士が必要だという意見にミコトはうんうんと頷き、ルフィは楽しそうに指を折り始めた。
「あと “コック” とさ “音楽家” とさァ…」
「んなモンあとでいいんだよ!」
ゾロの指摘にルフィは 「何だよ……海賊は歌うんだぞ!」 とふて腐れた。
ミコトが二人の会話を聞きながら、海を見つめて思うのはこの先の事だ。
(早くナミが仲間にならないかな。 これじゃ、航海じゃなくて漂流だよ……)
ルフィとゾロはミコトの考えなど知るわけもなく、二人は狭い小船の中で突然ひっくり返り揃って叫ぶ。
「「腹減った!!」」
仰向けになるルフィが空を見上げると、大きい鳥が気持ちよさそうに飛んでいた。
「食おう! あの鳥っ」
がばっ! と起き上がるルフィに対して、ゾロは片眉をあげた。
「どうやって……」
「おれが捕まえてくる! まかせろ! ゴム……」
マストに手を伸ばそうとするルフィに向かってミコトが叫んだ。
『あ! 待って、ルフィ!』
同時にルフィの体をドンと両手を突っ張り体当たりした。
ルフィは押され、船尾にゴロンと転がった。
「ったた。 何すんだミコト!」
頭をさすりながら、起き上がるルフィが空を見上げれば、鳥は遠くに飛んで去っていった。
ゾロは手をかざして 「いったな……」 と一言。
あっという間に小さくなり、見えなくなった鳥を見て、ルフィはミコトに怒った。
「あっ! 逃げられたぞ、ミコト!」
呆然と空を眺めるミコトに、ルフィの声は聞こえていなかった。
突然、ミコトは 『あっ! あ~私っ!』 と叫ぶと膝を着いてしゃがみこんだ。
ルフィはミコトがそんな風に叫んだことがないので驚いて、怒った事も一瞬で忘れてしまった。
ただ、何事かとルフィとゾロはミコトを黙って見つめていた。
ミコトは座り込み下を向くと、床についた自分の両手を見つめている。
頭の中は真っ白になって混乱していた。
(……やっちゃった!)
ミコトの記憶ではルフィが鳥に咥えられ、バギーのいる島でナミに会う筈だ。
何で止めてしまったのかと考えて、ルフィとゾロを見た。
「どうしたんだ?」
『ルフィ……』
「うん?」
ミコトは嫌だったのだ。
ルフィが檻に入れられるのも、ゾロが怪我をするのも、ナミが火傷をするのも。
だからといって、変わってしまったら——
(ナミに会えないかもしれない……。 このままだと、仲間になれないとかに……なんで、止めちゃったの私。 ……うっ、泣きそう)
止めてしまって、後悔に苛まれるミコトは混乱して、どうしたらいいのか分からなくなった。
ルフィは顔を俯かせ、黙り込むミコトの様子が、あまりにもおかしいので心配になり覗き込んだ。
「ミコト?」
呼ばれて顔を上げるミコトは白い睫を濡らし薄茶色の目に涙を溜めている。
一瞬、ルフィとゾロは何故、泣いている!? と驚いて目を見開いた。
どこに泣く要素があるんだ!? と疑問が浮かぶ——が、途端にルフィは笑い声をあげた。
「わはははは!」
突然、笑いだすルフィにミコトは驚いて目を瞬いて見つめた。
「なんだミコト、泣くほどあの鳥が食いたかったのか? 腹へってたんだなァ! また、別のが飛んできたら、おれが捕ってきてやるから泣くなよ! なっ!」
ゾロはルフィを見上げるミコトをジッ……と見ていた。
(違うんじゃねェのか?)
ルフィの笑顔をミコトは見つめているうちに、滲んでた涙も引っ込んでいた。
(なんだか、泣いたりしてバカみたい。 大丈夫! ルフィだもん。 きっとナミに会えるよ……大丈夫)
ミコトは自分に言い聞かせると 『……うん』 と微笑して頷いた。
『さっきは邪魔して、ごめんね』
謝るミコトにルフィは 「気にすんな!」 と笑った。
ゾロは腑に落ちないのかミコトを心配した。
「ミコト、本当に大丈夫なのか?」
『うん。 大丈夫だよ! 心配してくれてありがとう! ゾロ』
「……そうか。 それならいい」
ミコトは明るく笑ったが、ゾロにはどこか不安が残っているよう感じた。
(……無理してんな。 なんか、隠してんのか?)
ゾロは考えながら視線を海に移すと、遠くに水飛沫が見えた。
眉間に皺を寄せ、目を凝らして耳を傾ける。
「何だ……あれ?」
「どうした? 鳥か?」
ルフィは手をかざして、ゾロが見ている方を眺めた。
ミコトもこんな所で何かあったかな? と見て、ハッ!? と思い出す。
(あ、あれは!?)
バシャバシャと泳ぐ音と助けを呼ぶ声をルフィは見つけて叫ぶ。
「海の真ん中で人が溺れてる!」
「何言ってるんだ、遭難者だろ!」
ミコトはつい嬉しくて心の中で (やった!) とガッツポーズをしてた。
(バギー一味の人達だ! 助ければオレンジの町に、ナミのいる所に行ける!)
『ルフィ、助けてあげよ?』
「そうだな、助けるか」
ルフィはオールを手にして行こうとするが、ゾロは反対した。
「放っておけ」
「何でだ?」
「あいつら、海賊だぞ? 助けたりしたら、襲ってくるぞ」
溺れている人影は三人いて、うち一人はポンポンがついた黒のニット帽にバギーの髑髏マークがある。
ゾロの言葉は正しくて、ミコトはこのままだとナミに会えなくなるのではと心配したが、ルフィが軽い調子で笑った。
「それなら、それでいいさ」
船長がそう言うならと、ゾロはもう一本のオールを持った。
「なら、急がねェとな。 溺れそうだ」
「あ、ホントだ」
ブクブクと沈みそうなバギー一味に向かってルフィとゾロは小船を漕いだ。
案の定、助けにようとしたところで、小船に上がり込み襲ってきた。
「ほら見ろ」 とゾロがこぼすと、ミコトが 『うん』 と頷き、ルフィは 「あはは」 と笑う。
海賊に襲われているのに怖がらない三人に、ニット帽を被る “綱渡り” の二つ名を持つフナンボローズが、ずいっ! と凄んで脅してきた。
「おい、おれ達ァ、あの海賊 “道化のバギー” 様の一味のモンだ」
ゾロが溜息一つして 「おれがやる」 と一人で撃沈した。