第三章 海軍基地の町
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コビーがゾロの内心を知ったら、 「海賊になる事を喜ぶなんて! ダメです!」 と言いそうだが、コビーにはそんな事を考えている余裕はない。
「ルフィさん、こんな海軍つぶしちゃえェ!」
力いっぱい叫ぶコビーの声に、ゾロはルフィとモーガンを見た。
モーガンは白いコートを後ろに投げると、ルフィに斧手で襲い掛かった。
「身分も低い、称号もねェ奴らは……この俺に逆らう権利すらない事を覚えておけ、おれは海軍大佐斧手のモーガンだ!」
「おれはルフィ! よろしくっ」
ルフィの人を喰ったような自己紹介にモーガンは怒りを感じた。
「死ね」
一言、斧手を横に振り上げる。
ルフィが帽子を手で押さえ、上に飛び上がって避けると、風切り音と同時に壁が真っ二つに裂ける。
飛び上がったルフィは脚にぐっと力を込めて、モーガンの顎をドカンと蹴りあげた。
「ぐは!」
倒れるモーガンに向かってルフィは走った。
モーガンは 「小僧」 と立ち上がり斧手を再び振り上げ、自分の懐に飛び込むルフィに 「死刑だ!」 と振り下ろす。
ルフィは体を捻らせると左足を外から回し 「死ぬか」 とモーガンの頭を蹴る。
モーガンの体が背中から落ちた。
「つ……強すぎる……!」
コビーはルフィの戦いぶりに目を丸くしている。
「モ……モーガン大佐が一方的に……」
傍観する海兵達も信じられない顔で見ている。
ミコトは 『楽しそうに戦ってる』 と微笑みを浮かべ、ゾロはルフィの勝負を黙って見ていた。
ルフィが仰向けに倒れるモーガンの胸倉をつかみ拳を構えた時。
「待てェ!」
ヘルメッポの大きな声が響いた。
ルフィはその声を無視して構わずモーガンを殴る。
「待てっつったろアホか、このオ! こいつの命が惜しけりゃ動くんじゃねェ! ちょっとでも、動いたら撃つぞ!」
コビーに銃口をむけて脅すヘルメッポだったが、人質になったコビーは怯まず決心は固い。
「ルフィさん! ぼくは! ルフィさんの邪魔をしたくありません! 死んでも!」
「ああ……知ってるよ」
ルフィは笑って答える。
「諦めろバカ息子、コビーの覚悟は本物だぞ!」
ルフィは右腕をさすりながら構える。
ヘルメッポは焦りすぎて変な汗が噴き出し、銃を持つ手は震えていた。
倒れていたモーガンは、ルフィの背後に再び立ちあがり、斧手を振り下ろそう影を落として叫ぶ。
「おれは海軍大佐だ!」
不敵に笑いながら構わず力をためるルフィと目で合図するゾロ。
二人のやり取り黙って見守るミコトは心の中で叫ぶ。
(いけ! ルフィ、ゾロ!)
「ゴムゴムの “銃” ピストル!」
ルフィが右腕に力を溜め、ゾロは口に和道一文字をくわえて構える。
ヘルメッポがモーガンに 「親父!」 と叫んだ刹那——ルフィの右腕が伸びると同時に、ゾロの三刀流が地を這って走る。
バキッ! ルフィはヘルメッポの右頬に拳入れた。
ズサッ! ゾロはモーガンの胴に斬撃を決めた。
飛んでいくヘルメッポと倒れ落ちるモーガンが地面に伏したのは同時だった。
「ナイス、ゾロ」
「お安い御用だ。船長」
ルフィとゾロはニヤリと笑いあう。
『やったーっ!』
ミコトは二人に笑って駆け寄った。
モーガンとヘルメッポが倒れ静まりかえる磔場。
ゾロは、キン……と和道一文字を鞘に収めると海兵達を見回した。
「まだ、おれ達を捕えてェ奴ァ、名乗り出ろ!」
海兵達は顔を見合わせると歓喜の声が湧きあがらせた。
「やったーっ! 解放された!」
「モーガンの支配が終わったァ! 海軍バンザイ!」
ルフィは海兵達の喜びようを見て呟く。
「なんだ、大佐やられて喜んでやんの」
「……みんな、モーガンが怖かっただけなんだ……!」
コビーは安心したかのような満面の笑顔だ。
ミコトも喜ぶ海兵達の姿にホッと息をついた。
『これで、この町はモーガンの支配から解放されたし、私達はゾロが仲間になったし……良かったね! ルフィ』
「おう! そうだな!」
頷き返すルフィの隣でゾロが突然倒れた。
ドサァ…!
『「ゾロ!」』
「ゾロさん!」
ルフィ、ミコト、コビーは同時にゾロの名を呼んだ。
リカの家の窓の外は一目ルフィ達を見ようと見物人でいっぱいだった。
あの後、ルフィ達が心配で駆けつけて来たリカとリカのママに家に四人は招待されたのだ。
四人はリカのママからご馳走になっているところだ。
「はア、食った…! さすがに九日間も食わねェと極限だった!」
ゾロは黒手拭いを左腕に巻き付け、緑色の短髪で、満腹になったお腹をさすっていた。
左隣に座るルフィはまだ食べている。
『ご馳走さまでした』
ミコトは食べ終わりお茶を飲んでいた。
「いいのよ! 町が救われたんですもの!」
リカのママは嬉しそうに笑っている。
ゾロは顔を引き締めるとルフィに早速聞いた。
「それで、ここからどこへ向かうつもりだ?」
「 “グランドライン” へ向かおう」
「んまっまた無茶苦茶な! まだ三人なのに “グランドライン” へ入るなんて! 死にに行く様なもんです! わかってるんですか!?」
コビーは唾を飛ばしながら力説する。
「でも、ミコトは一人で来たぞ」
「そうなのか? どうやって?」
ゾロはへーと言う顔でミコトを見た。
『うん。 まぁ、そうかな……んんっと、とりあえず、ここでは言えないよ。 秘密』
少し言いづらそうに話すミコトにゾロは疑いの目で見つめた。
「ふーん、秘密ねェ」
ミコトは 『うっ…』 と言葉を詰まらせるとゾロから目を逸らした。
ゾロはミコトを横目で見てから、湯呑みを手にしてお茶を飲む。
「……まァ、どの道 “ワンピース” を目指すからには、その航路をたどるしかねェんだ……いいだろう」
今に始まったことではないが、心配性のコビーは息巻いて反対した。
「あの場所は世界中から最も屈強な海賊達が集まって来るんです。 危ないですよ! みなさんが…ぼくは心配なんです! いけませんか!」
コビーはテーブルをバンバン叩き興奮して立ちあがった。
「ルフィさん、ぼくらは……付き合いは短いけど、友達ですよね!」
「ああ、別れちゃうけどな。 ずっと友達だ」
「ぼくは、小さいころから…友達なんていなくて、僕のために戦ってくれる人なんていませんでした。 何より、ぼくが戦おうとしなかったから……! だけど、ルフィさん達には……自分の信念に生きることを教わりました!」
自分に語るように三人に話すコビーの顔は自信に満ちている。
そんなコビーにルフィは淡々と答える。
「だから、おれは “グランドライン” へ行くんだよ」
「まァ、そうなるな」
ゾロも同意するとコビーもつられそうになった。
「あっそうか……って、いや違います! ……ぼくは」
「それより、お前は大丈夫なのかよ」
コビーの額を刀でゴツンとすると、ゾロは話を変えた。
「えっ?」
コビーは不思議そうに額を擦った。
ミコトが分かっていない様子のコビーに説明する。
『雑用でもアルビダの海賊船に二年居た事実はバレたら問題かも』
「そうだ。 海軍の情報力をみくびるな。 素性が知れたら、入隊なんてできないぜ」
ゾロがそう言った矢先 「失礼!」 とリカの家に海軍中佐がやって来た。
「君らが海賊だというのは本当かね……」
ルフィは椅子に寄り掛かり、少し考えるように両手を頭の後ろに置くと決めた。
「そうだね。 二人仲間もできた事だし、じゃ今から海賊って事にしよう!」
中佐は厳しい顔つきになる。
「反逆者としてだが我々の基地と、この町を実質救って貰った事には一同感謝している。 しかし、君らが海賊だと判明した以上海軍の名において黙っている訳にはいかない。 即刻、この町を立ち去ってもらおう。 せめてもの義理を通し、本部への連絡は避ける」
家の外では話を聞いていた町の人達から、海軍への抗議で騒然とする。
ゾロは腕を組み黙って座っている。
戸惑うコビーと寂しそうなリカは佇んでいた。
ルフィは静かに椅子から腰をあげた。
「じゃ…行くか。 おばちゃん、ごちそうさま」
『リカちゃん、おばさん、どうもありがとう!』
ス……! とコビーの横を静かに通って去って行く三人。
コビーは寂しさがこみ上げる。
(……ルフィさん)
去ろうとする三人について行かないコビーへ中佐が質問した。
「君も仲間じゃないのか?」
「え! ぼく……! ぼくは……ぼくは彼らの…仲間じゃありません!」
「本当かね?」
玄関に向かう三人を中佐が呼び止めた。
立ち止まるルフィはコビーを指さした。
「おれ、こいつが今まで何やってたか、知ってるよ」
コビーは信じられないと目を見開いた。
(ルフィさん……まさか、海賊船に居た事がバレたら……海軍に入れなくなっちゃう!)
「ちょ…やめて下さいよ…」
(やめて下さいよ! やめて下さい! ……!)
「何だかイカついおばさんなんだけど、二年間もこいつそこで……」
「やめて下さいよ!」
バキッ!
コビーはルフィを殴っていた。
殴られたルフィはニヤリと笑いながら殴られ、コビーを殴り返す。
ポカスカと二人の殴り合いが始まった。
ゾロとミコトは柔らかい表情を浮かべ殴り合う二人を見守った。
見兼ねた中佐がルフィとコビーを止めに入る。
「やめたまえ! これ以上、この町で騒動を起こす事は許さんぞ! 君らが仲間じゃない事は、よくわかった! 今すぐこの町を立ち去りなさい!」
ゾロがぐいっ……! とルフィのベストを引っ張って出ていこうと促す。
コビーは床にヒックリ返っていた。
(わざと僕にけしかけて…! 殴らせて…! また…僕は最後の最後まで、あの人に頼ってしまった。 何も変わってないじゃないか! 僕はバカか!?)
三人はリカの家を出ていく、その顔には爽やかな空みたいな笑顔が浮かんでいる。
町に出ると、いろいろな意味でザワザワと騒がしい。
ゾロは面白がって海軍をけしかけ、ミコトが 『ゾロ』 と呼んで止めいる。
床に転がるコビーはルフィの思いに決心を固める。
(ここから、はい上がれなきゃ本当にバカだ! よしやるぞ! ぼくはやる!)
コビーは立ち上がり中佐に礼をして、海軍に入隊させてくださいと頼む。
即座に他の海兵が入隊に反対した。
中佐も海兵もリカ親子も見つめるなか、コビーは覚悟を決めて叫ぶ。
「ぼくは! 海軍将校になる男です!」
中佐の厳しい視線がコビーに注がれる。
コビーは逸らさず真っ直ぐに受け止めた。
「海賊にやられた同志は数知れない。海軍を甘く見るな……入隊を許可する」
「はいっ、ありがとうございます」
港には白い雲と一緒に楽しそうにカモメが飛ぶ。
「たいしたサル芝居だったな。 あれじゃ、バレてもおかしくねェぞ」
「あとは、コビーが何とかするさ絶対!」
『そうだね。 次に会うときは敵同士だけど……』
「何にしても、いい船出だ。 みんなに嫌われてちゃ、後引かなくて海賊らしい」
ゾロが笑うとルフィも小船のロープを引きながら楽しそうに笑う。
「だはははは、そうだな!」
三人は小舟に乗り込むと、帆を張り港を出た。
小さくなる港を眺めているとコビーが走って来る姿が見えた。
「ル! ル! ルフィさん!」
コビーは息も荒くルフィ達に叫ぶと背筋を伸ばした。
深呼吸をすると海軍敬礼をした。
「ありがとうございました! この御恩は一生忘れません!」
その声は小船に届きゾロは口角をあげた。
「海兵に感謝される海賊なんて聞いたことねェよ」
ルフィとミコトも嬉しくて 「しししし!」 『ふふっ』 と笑う。
「また、逢おうな! コビー!」
手を振ってコビーに応えるルフィ。
いつのまにかシェルズタウンの海軍全員が港に集まっていた。
ザッ…!!
「全員敬礼!!」
海賊を見送る海軍。
小船はシェルズタウンを後にする。
「くーっ! 行くかァ “グランドライン” !」
ルフィは両手をあげて気合をいれると声を張り上げた。
二人目の仲間に “海賊狩りのゾロ” を引き込み船はいく。
しかし彼らは重大なミスにまだ気付いてはいなかった。
一人をのぞいては——
ミコトは航海士のいない航海に不安になった。
(ナミのいる島に無事に着けるかな…)
ただ海は、穏やかにゆるゆると波をつくる。
その波がどんな波乱を運ぶのかは誰にも分からない。
「ルフィさん、こんな海軍つぶしちゃえェ!」
力いっぱい叫ぶコビーの声に、ゾロはルフィとモーガンを見た。
モーガンは白いコートを後ろに投げると、ルフィに斧手で襲い掛かった。
「身分も低い、称号もねェ奴らは……この俺に逆らう権利すらない事を覚えておけ、おれは海軍大佐斧手のモーガンだ!」
「おれはルフィ! よろしくっ」
ルフィの人を喰ったような自己紹介にモーガンは怒りを感じた。
「死ね」
一言、斧手を横に振り上げる。
ルフィが帽子を手で押さえ、上に飛び上がって避けると、風切り音と同時に壁が真っ二つに裂ける。
飛び上がったルフィは脚にぐっと力を込めて、モーガンの顎をドカンと蹴りあげた。
「ぐは!」
倒れるモーガンに向かってルフィは走った。
モーガンは 「小僧」 と立ち上がり斧手を再び振り上げ、自分の懐に飛び込むルフィに 「死刑だ!」 と振り下ろす。
ルフィは体を捻らせると左足を外から回し 「死ぬか」 とモーガンの頭を蹴る。
モーガンの体が背中から落ちた。
「つ……強すぎる……!」
コビーはルフィの戦いぶりに目を丸くしている。
「モ……モーガン大佐が一方的に……」
傍観する海兵達も信じられない顔で見ている。
ミコトは 『楽しそうに戦ってる』 と微笑みを浮かべ、ゾロはルフィの勝負を黙って見ていた。
ルフィが仰向けに倒れるモーガンの胸倉をつかみ拳を構えた時。
「待てェ!」
ヘルメッポの大きな声が響いた。
ルフィはその声を無視して構わずモーガンを殴る。
「待てっつったろアホか、このオ! こいつの命が惜しけりゃ動くんじゃねェ! ちょっとでも、動いたら撃つぞ!」
コビーに銃口をむけて脅すヘルメッポだったが、人質になったコビーは怯まず決心は固い。
「ルフィさん! ぼくは! ルフィさんの邪魔をしたくありません! 死んでも!」
「ああ……知ってるよ」
ルフィは笑って答える。
「諦めろバカ息子、コビーの覚悟は本物だぞ!」
ルフィは右腕をさすりながら構える。
ヘルメッポは焦りすぎて変な汗が噴き出し、銃を持つ手は震えていた。
倒れていたモーガンは、ルフィの背後に再び立ちあがり、斧手を振り下ろそう影を落として叫ぶ。
「おれは海軍大佐だ!」
不敵に笑いながら構わず力をためるルフィと目で合図するゾロ。
二人のやり取り黙って見守るミコトは心の中で叫ぶ。
(いけ! ルフィ、ゾロ!)
「ゴムゴムの “銃” ピストル!」
ルフィが右腕に力を溜め、ゾロは口に和道一文字をくわえて構える。
ヘルメッポがモーガンに 「親父!」 と叫んだ刹那——ルフィの右腕が伸びると同時に、ゾロの三刀流が地を這って走る。
バキッ! ルフィはヘルメッポの右頬に拳入れた。
ズサッ! ゾロはモーガンの胴に斬撃を決めた。
飛んでいくヘルメッポと倒れ落ちるモーガンが地面に伏したのは同時だった。
「ナイス、ゾロ」
「お安い御用だ。船長」
ルフィとゾロはニヤリと笑いあう。
『やったーっ!』
ミコトは二人に笑って駆け寄った。
モーガンとヘルメッポが倒れ静まりかえる磔場。
ゾロは、キン……と和道一文字を鞘に収めると海兵達を見回した。
「まだ、おれ達を捕えてェ奴ァ、名乗り出ろ!」
海兵達は顔を見合わせると歓喜の声が湧きあがらせた。
「やったーっ! 解放された!」
「モーガンの支配が終わったァ! 海軍バンザイ!」
ルフィは海兵達の喜びようを見て呟く。
「なんだ、大佐やられて喜んでやんの」
「……みんな、モーガンが怖かっただけなんだ……!」
コビーは安心したかのような満面の笑顔だ。
ミコトも喜ぶ海兵達の姿にホッと息をついた。
『これで、この町はモーガンの支配から解放されたし、私達はゾロが仲間になったし……良かったね! ルフィ』
「おう! そうだな!」
頷き返すルフィの隣でゾロが突然倒れた。
ドサァ…!
『「ゾロ!」』
「ゾロさん!」
ルフィ、ミコト、コビーは同時にゾロの名を呼んだ。
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リカの家の窓の外は一目ルフィ達を見ようと見物人でいっぱいだった。
あの後、ルフィ達が心配で駆けつけて来たリカとリカのママに家に四人は招待されたのだ。
四人はリカのママからご馳走になっているところだ。
「はア、食った…! さすがに九日間も食わねェと極限だった!」
ゾロは黒手拭いを左腕に巻き付け、緑色の短髪で、満腹になったお腹をさすっていた。
左隣に座るルフィはまだ食べている。
『ご馳走さまでした』
ミコトは食べ終わりお茶を飲んでいた。
「いいのよ! 町が救われたんですもの!」
リカのママは嬉しそうに笑っている。
ゾロは顔を引き締めるとルフィに早速聞いた。
「それで、ここからどこへ向かうつもりだ?」
「 “グランドライン” へ向かおう」
「んまっまた無茶苦茶な! まだ三人なのに “グランドライン” へ入るなんて! 死にに行く様なもんです! わかってるんですか!?」
コビーは唾を飛ばしながら力説する。
「でも、ミコトは一人で来たぞ」
「そうなのか? どうやって?」
ゾロはへーと言う顔でミコトを見た。
『うん。 まぁ、そうかな……んんっと、とりあえず、ここでは言えないよ。 秘密』
少し言いづらそうに話すミコトにゾロは疑いの目で見つめた。
「ふーん、秘密ねェ」
ミコトは 『うっ…』 と言葉を詰まらせるとゾロから目を逸らした。
ゾロはミコトを横目で見てから、湯呑みを手にしてお茶を飲む。
「……まァ、どの道 “ワンピース” を目指すからには、その航路をたどるしかねェんだ……いいだろう」
今に始まったことではないが、心配性のコビーは息巻いて反対した。
「あの場所は世界中から最も屈強な海賊達が集まって来るんです。 危ないですよ! みなさんが…ぼくは心配なんです! いけませんか!」
コビーはテーブルをバンバン叩き興奮して立ちあがった。
「ルフィさん、ぼくらは……付き合いは短いけど、友達ですよね!」
「ああ、別れちゃうけどな。 ずっと友達だ」
「ぼくは、小さいころから…友達なんていなくて、僕のために戦ってくれる人なんていませんでした。 何より、ぼくが戦おうとしなかったから……! だけど、ルフィさん達には……自分の信念に生きることを教わりました!」
自分に語るように三人に話すコビーの顔は自信に満ちている。
そんなコビーにルフィは淡々と答える。
「だから、おれは “グランドライン” へ行くんだよ」
「まァ、そうなるな」
ゾロも同意するとコビーもつられそうになった。
「あっそうか……って、いや違います! ……ぼくは」
「それより、お前は大丈夫なのかよ」
コビーの額を刀でゴツンとすると、ゾロは話を変えた。
「えっ?」
コビーは不思議そうに額を擦った。
ミコトが分かっていない様子のコビーに説明する。
『雑用でもアルビダの海賊船に二年居た事実はバレたら問題かも』
「そうだ。 海軍の情報力をみくびるな。 素性が知れたら、入隊なんてできないぜ」
ゾロがそう言った矢先 「失礼!」 とリカの家に海軍中佐がやって来た。
「君らが海賊だというのは本当かね……」
ルフィは椅子に寄り掛かり、少し考えるように両手を頭の後ろに置くと決めた。
「そうだね。 二人仲間もできた事だし、じゃ今から海賊って事にしよう!」
中佐は厳しい顔つきになる。
「反逆者としてだが我々の基地と、この町を実質救って貰った事には一同感謝している。 しかし、君らが海賊だと判明した以上海軍の名において黙っている訳にはいかない。 即刻、この町を立ち去ってもらおう。 せめてもの義理を通し、本部への連絡は避ける」
家の外では話を聞いていた町の人達から、海軍への抗議で騒然とする。
ゾロは腕を組み黙って座っている。
戸惑うコビーと寂しそうなリカは佇んでいた。
ルフィは静かに椅子から腰をあげた。
「じゃ…行くか。 おばちゃん、ごちそうさま」
『リカちゃん、おばさん、どうもありがとう!』
ス……! とコビーの横を静かに通って去って行く三人。
コビーは寂しさがこみ上げる。
(……ルフィさん)
去ろうとする三人について行かないコビーへ中佐が質問した。
「君も仲間じゃないのか?」
「え! ぼく……! ぼくは……ぼくは彼らの…仲間じゃありません!」
「本当かね?」
玄関に向かう三人を中佐が呼び止めた。
立ち止まるルフィはコビーを指さした。
「おれ、こいつが今まで何やってたか、知ってるよ」
コビーは信じられないと目を見開いた。
(ルフィさん……まさか、海賊船に居た事がバレたら……海軍に入れなくなっちゃう!)
「ちょ…やめて下さいよ…」
(やめて下さいよ! やめて下さい! ……!)
「何だかイカついおばさんなんだけど、二年間もこいつそこで……」
「やめて下さいよ!」
バキッ!
コビーはルフィを殴っていた。
殴られたルフィはニヤリと笑いながら殴られ、コビーを殴り返す。
ポカスカと二人の殴り合いが始まった。
ゾロとミコトは柔らかい表情を浮かべ殴り合う二人を見守った。
見兼ねた中佐がルフィとコビーを止めに入る。
「やめたまえ! これ以上、この町で騒動を起こす事は許さんぞ! 君らが仲間じゃない事は、よくわかった! 今すぐこの町を立ち去りなさい!」
ゾロがぐいっ……! とルフィのベストを引っ張って出ていこうと促す。
コビーは床にヒックリ返っていた。
(わざと僕にけしかけて…! 殴らせて…! また…僕は最後の最後まで、あの人に頼ってしまった。 何も変わってないじゃないか! 僕はバカか!?)
三人はリカの家を出ていく、その顔には爽やかな空みたいな笑顔が浮かんでいる。
町に出ると、いろいろな意味でザワザワと騒がしい。
ゾロは面白がって海軍をけしかけ、ミコトが 『ゾロ』 と呼んで止めいる。
床に転がるコビーはルフィの思いに決心を固める。
(ここから、はい上がれなきゃ本当にバカだ! よしやるぞ! ぼくはやる!)
コビーは立ち上がり中佐に礼をして、海軍に入隊させてくださいと頼む。
即座に他の海兵が入隊に反対した。
中佐も海兵もリカ親子も見つめるなか、コビーは覚悟を決めて叫ぶ。
「ぼくは! 海軍将校になる男です!」
中佐の厳しい視線がコビーに注がれる。
コビーは逸らさず真っ直ぐに受け止めた。
「海賊にやられた同志は数知れない。海軍を甘く見るな……入隊を許可する」
「はいっ、ありがとうございます」
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港には白い雲と一緒に楽しそうにカモメが飛ぶ。
「たいしたサル芝居だったな。 あれじゃ、バレてもおかしくねェぞ」
「あとは、コビーが何とかするさ絶対!」
『そうだね。 次に会うときは敵同士だけど……』
「何にしても、いい船出だ。 みんなに嫌われてちゃ、後引かなくて海賊らしい」
ゾロが笑うとルフィも小船のロープを引きながら楽しそうに笑う。
「だはははは、そうだな!」
三人は小舟に乗り込むと、帆を張り港を出た。
小さくなる港を眺めているとコビーが走って来る姿が見えた。
「ル! ル! ルフィさん!」
コビーは息も荒くルフィ達に叫ぶと背筋を伸ばした。
深呼吸をすると海軍敬礼をした。
「ありがとうございました! この御恩は一生忘れません!」
その声は小船に届きゾロは口角をあげた。
「海兵に感謝される海賊なんて聞いたことねェよ」
ルフィとミコトも嬉しくて 「しししし!」 『ふふっ』 と笑う。
「また、逢おうな! コビー!」
手を振ってコビーに応えるルフィ。
いつのまにかシェルズタウンの海軍全員が港に集まっていた。
ザッ…!!
「全員敬礼!!」
海賊を見送る海軍。
小船はシェルズタウンを後にする。
「くーっ! 行くかァ “グランドライン” !」
ルフィは両手をあげて気合をいれると声を張り上げた。
二人目の仲間に “海賊狩りのゾロ” を引き込み船はいく。
しかし彼らは重大なミスにまだ気付いてはいなかった。
一人をのぞいては——
ミコトは航海士のいない航海に不安になった。
(ナミのいる島に無事に着けるかな…)
ただ海は、穏やかにゆるゆると波をつくる。
その波がどんな波乱を運ぶのかは誰にも分からない。