第三章 海軍基地の町
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ルフィ、ミコト、コビーが来たのは海軍基地の町 “シェルズタウン” 。
「ついた! 海軍基地の町っ! ちゃんと目的地についたよ!」
ルフィは港でコビーの航海術に感心して叫ぶ。
「当たり前ですよ! 海に出る者の最低限の能力です! ルフィさん達だって毎度漂流してちゃ、海賊になんてなれませんよ。 せめて航海士を仲間にするとか」
コビーは少し呆れ気味に忠告するが、ルフィは気にすることもなく笑顔で頷いた。
そして、空腹のお腹の方が気になりさすっていた。
「ああ、そうする! メシ食おう」
『うん』
ミコトはお腹を減らしたルフィの隣を微笑みながら歩く。
“FOODFOO” の看板を掲げるレストランが見えてくる頃には、通りに美味しそうな匂いが広がっていた。
ルフィ達は食欲をそそられ、この店で食事をすることに決めた。
期待通りの美味しい料理に満足した三人は食べ終わって店を出た。
「食った、食った~!」
「ですね!」
『うん!』
ルフィ達は店を背にして通りを歩く。
ルフィはふとレストランで食べていた時の事を思い出すと、可笑しくてお腹を抱えて笑った。
“モーガン大佐” や “ロロノア・ゾロ” の名前を出した時の、レストランの客やスタッフの過剰なまでの反応が面白かったからだ。
ミコトも笑ってはいけないと思いつつクスクスと笑っている。
コビーは笑う二人と違って、複雑な表情を浮かべていた。
「はっはっはっはっ、おもしろい店だったなーっ。 ミコト、後でもっかい行こうっ、なっ!」
『いいけど……』
(みんな、モーガン大佐とゾロの名前に本当に怯えてるから……可哀相な気もする。 けど、あの反応は申し訳ないけど可笑しい)
面白がるルフィと反対に、コビーは困惑が隠せない表情を浮かべている。
「妙ですよ……! ぼくなんだか不安になってきました……! いつ脱走するとは限らないロロノア・ゾロの名に過敏になる気持ちはわかりますが、なぜ海軍の大佐の名にまで怯えるんでしょうか!」
コビーの疑問は誰もが当たり前に浮かぶことだった。
ルフィはコビーの疑問に興味なさそうにポケットに手をいれて歩いている。
「さあなー、なんかノリで吹っ飛んじゃったんじゃねェか?」
「そんなわけないじゃないですか! ぼくは、真面目に言ってるんですよ」
『二人の名前を聞いてテーブルをひっくり返すし、壁に張り付いて怯える反応をするのは……ちょっとね』
ミコトが同意すると、コビーも不安で一杯という表情で硬くなり頷いた。
「そうですよ。 おかしいです……」
緊張と不安が入り交じるコビーにミコトは優しく声を掛けた。
『コビー、大丈夫? 海軍基地が見えて来たよ』
ミコトが指さす先には高い壁に囲まれた海軍基地。
そして、壁の奥に見える一際高い建物の屋根には海軍旗が風に翻っていた。
「え……!? もう……」
急過ぎると焦ったコビーは立ちすくんだが、ルフィは興味深々で眺めた。
「へー、あれが海軍基地か……でけェーな!」
海軍基地の入口はぶ厚い鉄の扉で重たく閉ざされていた。
扉には “MARINE 海軍” とカモメのマーク。
冷たさを感じる扉の左右には小さい窓がついた鉄の扉があった。
基地の敷地は煉瓦の壁に囲まれ、厳重な警備体制はいっそう近寄りがたい雰囲気だ。
何者も逆らう事を許さないという意思が見えると感じるのはミコトが知っているからだろうか。
(嫌な感じ……)
普通の人間ならその雰囲気に気圧されるがルフィは違った。
緊張するコビーに笑い掛けると背中を押した。
「近くで見るとゴッツイなー。 いけよ! コビー」
「で……でもまだ、その…心の準備が…! さっきの一件もありますし……」
ルフィはそんなコビーの様子もどこ吹く風といった様子で、壁にぴょんと飛びついた。
驚くコビーは焦って呼んだ。
「あ! ルフィさん!」
「魔獣はどこかなァ」
手をかざして、基地の中をキョロキョロと何かないかと探すルフィ。
すると何かを見つけたのか、目を凝らして見つめる。
その様子を見ていたコビーは半分呆れながらルフィを止める。
「覗いて見える様な所には居ませんよ。 きっと奥の独房とか」
「いや! なんかいるぞ向こうに!」
ルフィは壁から飛び下りると、楽しそうに走り出した。
「ゾロって奴かも」
「え……!」
ゴク……唾を飲み込んだコビーは尻込みした。
『コビー、ほらっ行ってみよう!』
ミコトはコビーの肩にポン! と手を置いた。
ビクッと大きく体を揺らすコビーは口ごもる。
「えっ……でも、ぼくは……」
『大丈夫だから、行こう!』
少し怯えるコビーを安心させるようにミコトは笑う。
コビーはミコトの笑顔につられてつい 「はっ…はい!」 と言って頷くと、ルフィのあとについて走った。
(何だかつられてしまった。 ミコトさんは不思議な人だな……)
磔場にはゾロが太い丸太の木に、両腕を左右に広げた状態でロープでしっかりと拘束されていた。
体中の所々にある傷は、痛めつけられた血が滲んでいる。
黒い手拭いを頭に巻き、布から隠れ見えるゾロの眼は鍛えられた刃のようだ。
その眼光は決して屈しないという意志が辺りを威圧していた。
「ほら、あいつ」
ルフィは再び壁に飛びつき、面白そうにゾロを見ている。
ミコトもルフィの隣でドキドキしながら壁に張り付いて覗いていた。
(ゾロだ。 怖いけどやっぱりカッコいい……。 このまま黙ってたら原作通りにいく筈、しばらく様子を見てよう)
コビーもルフィとミコトに続いて、緊張しながら、そろ……とゾロの様子を窺った。
瞬間、見えたゾロの迫力に気圧されて、壁から手を離してしまい転げ落ちた。
「どうした?」
ルフィは地面に尻餅をつくコビーに聞く。
「く…く…黒い手ぬぐいに腹巻! ほ…本物のロロノア・ゾロです! なんて迫力だろう……あれがゾロ…!」
汗を拭いながら呟くコビーの言葉にルフィは 「ふーん」 と言うとニヤリと笑った。
「あれがそうか……あの縄、ほどけば簡単に逃がせるよなっ、ミコト!」
『うん! 縄、ほどく?』
ルフィに聞かれたミコトは楽しそう微笑んで聞き返す。
二人のやりとりにコビーは “無謀” の二文字しか浮かばない。
「ば…ばかな事、言わないで下さいよ! あんな奴、逃がしたら町だって無事じゃ済まないし、お二人とも殺そうとしますよ、あいつは!」
コビーは青い顔をしてルフィとミコトに怒鳴った。
叫ぶ声が聞こえたのかゾロがゆっくりと顔をあげて三人に話しかけた。
「おい、お前ら」
「ん?」
ルフィはゾロの眼光を受けても平然としている。
一方、再び覗いていたコビーは 「ひい!」 と小さな悲鳴をあげた。
ゾロに見られただけなのにコビーは壁に張り付いて隠れている。
ミコトは隠れるコビーに優しく声を掛けた。
『コビー、大丈夫だよ。 彼は縄で縛られてるんだから』
「そ…そうですけど」
どもりながら、もう一度ゾロを覗く。
一方、壁から自分を見ている三人の様子をゾロも観察していた。
ゾロは息を吐きながら、ルフィ達を見つめる。
普通の感覚を持った人間なら近づきもしないこの磔場。
コビーの反応は正しく、平然とやって来て覗き見しているルフィとミコトはおかしい。
更に二人は殺気をはらんで睨んでも臆したりしない。
(あいつら、何だ? ……ま、いいさ)
恐れないなら丁度いいと口端をあげて不敵に笑う。
「ちょっと、こっち来てこの縄ほどいてくれねェか。 もう九日間も、このままだ。 さすがに、くたばりそうだぜ」
何日も飲まず食わずだからか、ゾロの声は低く乾いていた。
「しゃ…! しゃべった……!」
ゾロに話しかけられて、コビーは震えあがる。
ルフィは何日も食べずに笑えるゾロを信じられないと目を丸くしている。
食べないなんて、一食だってルフィには無理だろう。
「おい、あいつ笑ってるぞミコト」
『うん。 縄をほどきに行こっか?』
ミコトはゾロを早く助けたいという気持ちがはやり、思わずルフィに同じ事を尋ねてしまった。
(あ! いけない。 つい……)
ルフィは隣で目を泳がせているミコトを見た。
「助けたいのか?」
『えっと……』
言い淀むミコトに、ゾロがチャンスとばかりに声を掛ける。
「礼ならするぜ。 その辺の賞金首ぶっ殺して、てめェにくれてやる。 ウソは言わねェ、約束は守る」
「だ……だめですよ、ミコトさん! あんな口車に乗っちゃ…! 縄を解いたとたんに、ぼくらを殺して逃げるに決まってるんですからっ!」
コビーは震えながらもミコトを心配して忠告した。
しかし、コビーのミコトへのありがたい忠告をルフィが平然とした表情で笑って流した。
「殺されやしねェよ。 おれは強いからね。 それにミコトも強いしな」
「あァ!?」
自信満々に言い放つルフィにゾロはムッ……! として鋭くギロリと睨んだ。
「こ…この人はもお~!」
売らなくていいものを売るルフィの無神経さにコビーが涙を流した時、横にガタッ……! と壁に梯子が掛けられた。
——え? と壁から覗いていた三人は、何が起きたのかと振り向いた。
梯子をかけたのは小さな女の子だった。
女の子は登ってくるとルフィ達に 「しーっ」 とすると磔場に下り立った。
ミコトはこれから起きることに少し眉を寄せた。
(あの子は……確かリカちゃん)
リカはコビーの 「危ない!」 と止める声を無視して、ゾロの所にこそこそ……と歩いて行く。
ゾロの足元に辿りつくとリカは、小さい手でおにぎりを差し出した。
「お兄ちゃん、お腹すいてるでしょ? はい!」
その様子をルフィ達は黙って見ている。
ゾロは側にやって来たリカにわざとらしく威嚇して怒鳴った。
「いらねェつったろ! 帰れ、踏み殺すぞガキ!」
ビクっとするリカだが、ゾロが本気で怒鳴っていないのが分かるのか、怯まずに小さい手でおにぎりをゾロに向ける。
その様子にゾロは心の中で舌打ちした。
(クソ! アイツが来ちまう!)
ガシャン――!
金網の扉が開く音が磔場に響いた。
ゾロは視線を横に流して音のする方を見た。
(…っ! やっぱり、来やがった! バカ息子が……)
ルフィ達も目を向けると、三人の男が磔にされているゾロの所に近づいて来る。
海軍大佐モーガンの息子のヘルメッポと海兵二人だ。
ミコトの表情が曇った。
(変な髪形……。 それに、なんて意地悪そうなんだろ……でも――)
信じられない事に、このヘルメッポが改心して隣にいるコビーと海兵になる。
誰が予想出来ただろうとミコトは現れたヘルメッポを見つめた。
「ついた! 海軍基地の町っ! ちゃんと目的地についたよ!」
ルフィは港でコビーの航海術に感心して叫ぶ。
「当たり前ですよ! 海に出る者の最低限の能力です! ルフィさん達だって毎度漂流してちゃ、海賊になんてなれませんよ。 せめて航海士を仲間にするとか」
コビーは少し呆れ気味に忠告するが、ルフィは気にすることもなく笑顔で頷いた。
そして、空腹のお腹の方が気になりさすっていた。
「ああ、そうする! メシ食おう」
『うん』
ミコトはお腹を減らしたルフィの隣を微笑みながら歩く。
“FOODFOO” の看板を掲げるレストランが見えてくる頃には、通りに美味しそうな匂いが広がっていた。
ルフィ達は食欲をそそられ、この店で食事をすることに決めた。
◇◆◇
期待通りの美味しい料理に満足した三人は食べ終わって店を出た。
「食った、食った~!」
「ですね!」
『うん!』
ルフィ達は店を背にして通りを歩く。
ルフィはふとレストランで食べていた時の事を思い出すと、可笑しくてお腹を抱えて笑った。
“モーガン大佐” や “ロロノア・ゾロ” の名前を出した時の、レストランの客やスタッフの過剰なまでの反応が面白かったからだ。
ミコトも笑ってはいけないと思いつつクスクスと笑っている。
コビーは笑う二人と違って、複雑な表情を浮かべていた。
「はっはっはっはっ、おもしろい店だったなーっ。 ミコト、後でもっかい行こうっ、なっ!」
『いいけど……』
(みんな、モーガン大佐とゾロの名前に本当に怯えてるから……可哀相な気もする。 けど、あの反応は申し訳ないけど可笑しい)
面白がるルフィと反対に、コビーは困惑が隠せない表情を浮かべている。
「妙ですよ……! ぼくなんだか不安になってきました……! いつ脱走するとは限らないロロノア・ゾロの名に過敏になる気持ちはわかりますが、なぜ海軍の大佐の名にまで怯えるんでしょうか!」
コビーの疑問は誰もが当たり前に浮かぶことだった。
ルフィはコビーの疑問に興味なさそうにポケットに手をいれて歩いている。
「さあなー、なんかノリで吹っ飛んじゃったんじゃねェか?」
「そんなわけないじゃないですか! ぼくは、真面目に言ってるんですよ」
『二人の名前を聞いてテーブルをひっくり返すし、壁に張り付いて怯える反応をするのは……ちょっとね』
ミコトが同意すると、コビーも不安で一杯という表情で硬くなり頷いた。
「そうですよ。 おかしいです……」
緊張と不安が入り交じるコビーにミコトは優しく声を掛けた。
『コビー、大丈夫? 海軍基地が見えて来たよ』
ミコトが指さす先には高い壁に囲まれた海軍基地。
そして、壁の奥に見える一際高い建物の屋根には海軍旗が風に翻っていた。
「え……!? もう……」
急過ぎると焦ったコビーは立ちすくんだが、ルフィは興味深々で眺めた。
「へー、あれが海軍基地か……でけェーな!」
◇◆◇
海軍基地の入口はぶ厚い鉄の扉で重たく閉ざされていた。
扉には “MARINE 海軍” とカモメのマーク。
冷たさを感じる扉の左右には小さい窓がついた鉄の扉があった。
基地の敷地は煉瓦の壁に囲まれ、厳重な警備体制はいっそう近寄りがたい雰囲気だ。
何者も逆らう事を許さないという意思が見えると感じるのはミコトが知っているからだろうか。
(嫌な感じ……)
普通の人間ならその雰囲気に気圧されるがルフィは違った。
緊張するコビーに笑い掛けると背中を押した。
「近くで見るとゴッツイなー。 いけよ! コビー」
「で……でもまだ、その…心の準備が…! さっきの一件もありますし……」
ルフィはそんなコビーの様子もどこ吹く風といった様子で、壁にぴょんと飛びついた。
驚くコビーは焦って呼んだ。
「あ! ルフィさん!」
「魔獣はどこかなァ」
手をかざして、基地の中をキョロキョロと何かないかと探すルフィ。
すると何かを見つけたのか、目を凝らして見つめる。
その様子を見ていたコビーは半分呆れながらルフィを止める。
「覗いて見える様な所には居ませんよ。 きっと奥の独房とか」
「いや! なんかいるぞ向こうに!」
ルフィは壁から飛び下りると、楽しそうに走り出した。
「ゾロって奴かも」
「え……!」
ゴク……唾を飲み込んだコビーは尻込みした。
『コビー、ほらっ行ってみよう!』
ミコトはコビーの肩にポン! と手を置いた。
ビクッと大きく体を揺らすコビーは口ごもる。
「えっ……でも、ぼくは……」
『大丈夫だから、行こう!』
少し怯えるコビーを安心させるようにミコトは笑う。
コビーはミコトの笑顔につられてつい 「はっ…はい!」 と言って頷くと、ルフィのあとについて走った。
(何だかつられてしまった。 ミコトさんは不思議な人だな……)
◇◆◇
磔場にはゾロが太い丸太の木に、両腕を左右に広げた状態でロープでしっかりと拘束されていた。
体中の所々にある傷は、痛めつけられた血が滲んでいる。
黒い手拭いを頭に巻き、布から隠れ見えるゾロの眼は鍛えられた刃のようだ。
その眼光は決して屈しないという意志が辺りを威圧していた。
「ほら、あいつ」
ルフィは再び壁に飛びつき、面白そうにゾロを見ている。
ミコトもルフィの隣でドキドキしながら壁に張り付いて覗いていた。
(ゾロだ。 怖いけどやっぱりカッコいい……。 このまま黙ってたら原作通りにいく筈、しばらく様子を見てよう)
コビーもルフィとミコトに続いて、緊張しながら、そろ……とゾロの様子を窺った。
瞬間、見えたゾロの迫力に気圧されて、壁から手を離してしまい転げ落ちた。
「どうした?」
ルフィは地面に尻餅をつくコビーに聞く。
「く…く…黒い手ぬぐいに腹巻! ほ…本物のロロノア・ゾロです! なんて迫力だろう……あれがゾロ…!」
汗を拭いながら呟くコビーの言葉にルフィは 「ふーん」 と言うとニヤリと笑った。
「あれがそうか……あの縄、ほどけば簡単に逃がせるよなっ、ミコト!」
『うん! 縄、ほどく?』
ルフィに聞かれたミコトは楽しそう微笑んで聞き返す。
二人のやりとりにコビーは “無謀” の二文字しか浮かばない。
「ば…ばかな事、言わないで下さいよ! あんな奴、逃がしたら町だって無事じゃ済まないし、お二人とも殺そうとしますよ、あいつは!」
コビーは青い顔をしてルフィとミコトに怒鳴った。
叫ぶ声が聞こえたのかゾロがゆっくりと顔をあげて三人に話しかけた。
「おい、お前ら」
「ん?」
ルフィはゾロの眼光を受けても平然としている。
一方、再び覗いていたコビーは 「ひい!」 と小さな悲鳴をあげた。
ゾロに見られただけなのにコビーは壁に張り付いて隠れている。
ミコトは隠れるコビーに優しく声を掛けた。
『コビー、大丈夫だよ。 彼は縄で縛られてるんだから』
「そ…そうですけど」
どもりながら、もう一度ゾロを覗く。
一方、壁から自分を見ている三人の様子をゾロも観察していた。
ゾロは息を吐きながら、ルフィ達を見つめる。
普通の感覚を持った人間なら近づきもしないこの磔場。
コビーの反応は正しく、平然とやって来て覗き見しているルフィとミコトはおかしい。
更に二人は殺気をはらんで睨んでも臆したりしない。
(あいつら、何だ? ……ま、いいさ)
恐れないなら丁度いいと口端をあげて不敵に笑う。
「ちょっと、こっち来てこの縄ほどいてくれねェか。 もう九日間も、このままだ。 さすがに、くたばりそうだぜ」
何日も飲まず食わずだからか、ゾロの声は低く乾いていた。
「しゃ…! しゃべった……!」
ゾロに話しかけられて、コビーは震えあがる。
ルフィは何日も食べずに笑えるゾロを信じられないと目を丸くしている。
食べないなんて、一食だってルフィには無理だろう。
「おい、あいつ笑ってるぞミコト」
『うん。 縄をほどきに行こっか?』
ミコトはゾロを早く助けたいという気持ちがはやり、思わずルフィに同じ事を尋ねてしまった。
(あ! いけない。 つい……)
ルフィは隣で目を泳がせているミコトを見た。
「助けたいのか?」
『えっと……』
言い淀むミコトに、ゾロがチャンスとばかりに声を掛ける。
「礼ならするぜ。 その辺の賞金首ぶっ殺して、てめェにくれてやる。 ウソは言わねェ、約束は守る」
「だ……だめですよ、ミコトさん! あんな口車に乗っちゃ…! 縄を解いたとたんに、ぼくらを殺して逃げるに決まってるんですからっ!」
コビーは震えながらもミコトを心配して忠告した。
しかし、コビーのミコトへのありがたい忠告をルフィが平然とした表情で笑って流した。
「殺されやしねェよ。 おれは強いからね。 それにミコトも強いしな」
「あァ!?」
自信満々に言い放つルフィにゾロはムッ……! として鋭くギロリと睨んだ。
「こ…この人はもお~!」
売らなくていいものを売るルフィの無神経さにコビーが涙を流した時、横にガタッ……! と壁に梯子が掛けられた。
——え? と壁から覗いていた三人は、何が起きたのかと振り向いた。
梯子をかけたのは小さな女の子だった。
女の子は登ってくるとルフィ達に 「しーっ」 とすると磔場に下り立った。
ミコトはこれから起きることに少し眉を寄せた。
(あの子は……確かリカちゃん)
リカはコビーの 「危ない!」 と止める声を無視して、ゾロの所にこそこそ……と歩いて行く。
ゾロの足元に辿りつくとリカは、小さい手でおにぎりを差し出した。
「お兄ちゃん、お腹すいてるでしょ? はい!」
その様子をルフィ達は黙って見ている。
ゾロは側にやって来たリカにわざとらしく威嚇して怒鳴った。
「いらねェつったろ! 帰れ、踏み殺すぞガキ!」
ビクっとするリカだが、ゾロが本気で怒鳴っていないのが分かるのか、怯まずに小さい手でおにぎりをゾロに向ける。
その様子にゾロは心の中で舌打ちした。
(クソ! アイツが来ちまう!)
ガシャン――!
金網の扉が開く音が磔場に響いた。
ゾロは視線を横に流して音のする方を見た。
(…っ! やっぱり、来やがった! バカ息子が……)
ルフィ達も目を向けると、三人の男が磔にされているゾロの所に近づいて来る。
海軍大佐モーガンの息子のヘルメッポと海兵二人だ。
ミコトの表情が曇った。
(変な髪形……。 それに、なんて意地悪そうなんだろ……でも――)
信じられない事に、このヘルメッポが改心して隣にいるコビーと海兵になる。
誰が予想出来ただろうとミコトは現れたヘルメッポを見つめた。