第一章 フーシャ村
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富・名声・力 かつて この世のすべてを手に入れた男。
—— “海賊王”ゴールド・ロジャー
彼の死に際に放った一言は全世界の人々を海へ駆り立てた。
「おれの財宝か? ほしけりゃくれてやるぜ……探してみろ、この世のすべてをそこに置いてきた」
——世は大海賊時代を迎える
ゴア王国コボル山。
この山は女山賊ダダンの縄張り。
山小屋の玄関前で少年の元気な声が響く。
「おーい!」
声の主は黒髪に好奇心旺盛の輝く瞳を持つルフィだ。
今日は十六才最後の日であり、明日は十七才の誕生日を迎える。
幼い頃に海に誓った時から、待ちに待った旅立ちの日。
「見送って来れねェのか?」
「村長とマキノはよくても、フーシャ村の奴らがビビっちまうだろ。 あたしらが山を下りたら……! さっさと行っちまえ!」
ルフィの呼びかけに、小屋の中のダダンが玄関に背を向けて叫んで返す。
突き放すような乱暴な口調は、ルフィと別れる寂しさを隠すためだろう。
女性にしては大柄なダダンの丸い背中をルフィは覗き見た。
いつも怒鳴られていたけど、優しさからくるものだと知っている。
ルフィは玄関でダダンの子分の山賊達に笑顔を向けた。
「じゃあ、みんな今まで色々ありがとな!」
「……そんな照れるじゃねェか礼なんて」
陽気で優しい山賊達は笑う。
ルフィは振り向かないダダンの背中に、これでもかというほど大きい声で叫ぶ。
「ダダン! おれ山賊嫌いだけどよ!」
「うるせェ、クソガキ」
素直になれないダダンは血管を浮き上がらせて怒鳴り、思わず玄関にいるルフィを振り返った。
ニカッ! と顔が見れたとルフィの満面の笑顔。
「お前らは好きだ!」
手を振って笑うルフィ。
三年前にはルフィの義兄であるエースが旅立った。
その時もダダンは嬉しい反面、寂しい思いをしたのだ。
もう会わなくてもいいと思う気持ちと、屈託のないルフィの笑顔が見れなくなるという思いが同時に溢れ、大量の涙を流す。
ハンカチで拭い、再びルフィに背を向けて叫んだ。
「バカ言ってねェで早く出てけ! チキショー! どいづもコイヅも!」
響く声にルフィは笑って、小屋を後にした。
コボル山を下りると牧場が広がる小さな村がある。
青々茂る草原に牛がのんびりと歩き、小さな港からの潮風が風車小屋の羽根車を元気に回していた。
カモメが風に任せてのんびりと飛ぶ。
ここは東の海、ゴア王国フーシャ村。
村はいたって平和。
港の端には、ちょうど小舟が着いたところで、一人の少女が乗っている。
白く長い髪に透けるような薄茶色の瞳が印象的だ。
ベージュのシャツにダークブラウンのショートパンツを着て、ターコイズのついたサンダルを履いている足を小舟の縁に掛ける。
皮のウエストポーチのベルトの腰の後ろには十字型の柄が差してあった。
(やっと、着いた。今日は五月四日の朝。ルフィの船出になんとか間に合ったかな……)
小舟から港の石畳に立つと、スゥ……と深呼吸する。
これからルフィに会って、仲間になるつもりの少女の名はクサナギ・ミコト。
潮風に髪を流されながら、ゆっくりと活気の溢れる港の中央に向かうと、村に真っ直ぐ伸びる道を見つめた。
港と村を繋げる大通りは見通しが良く、ミコトの記憶にある通りだった。
立ち止まって、振り返り港を眺めた。
今、漁船が停泊している場所は、十年前にシャンクスの船があり、幼いルフィがいつもマキノの店と往復して走っていたに違いない。
ミコトは十二年前に、この世界に突然放り込まれた。
当時二十一才だったミコトは朝起きたら、全く違う世界にいて七才まで若返っていたという事だ。
よく妄想話である事が現実に起き、この大海賊時代の世界で生きる目的を決めた。
——エースを死なせない。
ミコトが読んでいた大好きな漫画の世界。
決戦でエースが死に、ルフィが哀しみに沈む姿を見るのが辛かった。
その後、ルフィは前を向き仲間と二年後に再会するところまで、ミコトは読んで知っているが、それ以降は知らない。
この世界に来てしまったからだ。
十二年経って、今は十九才。
兄弟を救う為にミコトは出来る限り頑張ってきたつもりだ。
(絶対に……!)
心に決めると通りを歩きだす。
(ここが——冒険の始まり……)
通りの街並みはどこにでもある村の風景だが、ミコトには輝いて見えた。
(ルフィの育った村……想像した通り素敵な村)
この場所にいる事に嬉しくて、足取りも軽く自然に顔が綻ぶ。
視線がキョロキョロと動いて探すのはマキノの酒場だ。
(真っ直ぐ行けばあるはずなんだけど……)
ルフィが山を下りてきたら絶対に立ち寄る場所だ。
『あっ!』
見つけた看板に思わず嬉しくて声が出る。
—— “PARTYS BAR”
(ルフィやマキノさんはいるのかな? それとも村長さんかな……?)
店の前で看板を見上げて、扉の先を覗き見る。
(いきなりルフィが居たりしたら、どうしよう……)
戸惑って迷うミコトは挙動不審だ。
(うーん……)
なかなか一歩が踏み出せない。
ここまで来て情けないと自分でも思うが心臓の音が煩いくらい鳴っていた。
落ち着こうと、スゥーッと息を吸い込み、酒場の扉に思い切って手を掛けて開けた。
「いらっしゃいませ!」
酒場の店主マキノの健康的で元気な声が店内に響いた。
マキノは見慣れない少女に笑顔をおくる。
[#dn=2#]はその笑顔に緊張しながらも、なんとか微笑して返しながら店内を歩きカウンター席に座った。
『こんにちは!』
(あ、おはようだった!)
言ってすぐに間違えたとミコトは思ったが、マキノはそんな些細な事は気にしない。
「こんにちは! 何にしますか?」
『……えっと、軽く食事を取りたいのだけど』
「では、サンドイッチに絞り立てのミルクでいいかしら?」
『はい、お願いします』
ミコトは少し照れながら答えた。
そんな少女にマキノはにこやかに笑い、手際よくサンドイッチを作る。
パンを用意すると薄いオレンジがかったピンク色のサーモンと瑞々しい野菜をはさみ、トマトを盛り付ける。
絞り立てのミルクをコップに注ぐと、ミコトの目の前に出す。
「おまたせしました!」
『ありがとう、頂きます』
(美味しそう~!)
ミコトはサンドイッチに手を伸ばすと、アーンと大きく口を開けて食べ始める。
途中でミルクを飲んでは 『すごく、美味しい!』 と笑顔を見せれば、マキノも 「ありがとう!」 と優しい時間がゆっくりと流れた。
『ごちそう様でした。 とても美味しかったです』
食べ終わったミコトにマキノは片付けながら尋ねた。
「それは、良かった。 ところであなたは何しに来たの?」
観光地でもないフーシャ村には漁船やたまにくる小さな商船しか来ない。
外部から来る人間も決まった顔で、マキノの知る限りルフィの祖父の海軍中将のガープぐらいしか思い当たらない。
目の前のミコトは海賊にも見えないし、何か用があるとしか思えなかった。
ミコトは何て言っていいのか分からなくて曖昧に微笑した。
「あっ、ごめんなさいね。 探るようなことを聞いて……答えたくなかったらいいのよ」
マキノはすぐに謝り笑顔をつくった。
『いいえ、大丈夫です』
ミコトはマキノの優しさに微笑み返す。
『私はグランドラインから来ました。 人を探しに……いえ、会いに来ました。 このお店によく立ち寄ると話を聞いていたので……』
「そう、グランドラインから人を……って、えっグランドラインから?」
『はい!』
マキノは目を見開いて驚いている。
当然だ。グランドラインは行く事はあっても、来るなんて信じられない話だ。
どうやって……とマキノはミコトに尋ねようとしたが出来なかった。
外から悲鳴が聞こえたからだ。
「な、何っ!?」
瞬間、不安を顔に出すマキノはミコトを見て、更に驚いた。
ミコトの雰囲気が鋭いものに、がらりと変わったからだ。
するりと席を立ち、店の外へと駆けだすミコトを追いかけるようにマキノも向かう。
(何か起きたの!?)
—— “海賊王”ゴールド・ロジャー
彼の死に際に放った一言は全世界の人々を海へ駆り立てた。
「おれの財宝か? ほしけりゃくれてやるぜ……探してみろ、この世のすべてをそこに置いてきた」
——世は大海賊時代を迎える
◇◆◇
ゴア王国コボル山。
この山は女山賊ダダンの縄張り。
山小屋の玄関前で少年の元気な声が響く。
「おーい!」
声の主は黒髪に好奇心旺盛の輝く瞳を持つルフィだ。
今日は十六才最後の日であり、明日は十七才の誕生日を迎える。
幼い頃に海に誓った時から、待ちに待った旅立ちの日。
「見送って来れねェのか?」
「村長とマキノはよくても、フーシャ村の奴らがビビっちまうだろ。 あたしらが山を下りたら……! さっさと行っちまえ!」
ルフィの呼びかけに、小屋の中のダダンが玄関に背を向けて叫んで返す。
突き放すような乱暴な口調は、ルフィと別れる寂しさを隠すためだろう。
女性にしては大柄なダダンの丸い背中をルフィは覗き見た。
いつも怒鳴られていたけど、優しさからくるものだと知っている。
ルフィは玄関でダダンの子分の山賊達に笑顔を向けた。
「じゃあ、みんな今まで色々ありがとな!」
「……そんな照れるじゃねェか礼なんて」
陽気で優しい山賊達は笑う。
ルフィは振り向かないダダンの背中に、これでもかというほど大きい声で叫ぶ。
「ダダン! おれ山賊嫌いだけどよ!」
「うるせェ、クソガキ」
素直になれないダダンは血管を浮き上がらせて怒鳴り、思わず玄関にいるルフィを振り返った。
ニカッ! と顔が見れたとルフィの満面の笑顔。
「お前らは好きだ!」
手を振って笑うルフィ。
三年前にはルフィの義兄であるエースが旅立った。
その時もダダンは嬉しい反面、寂しい思いをしたのだ。
もう会わなくてもいいと思う気持ちと、屈託のないルフィの笑顔が見れなくなるという思いが同時に溢れ、大量の涙を流す。
ハンカチで拭い、再びルフィに背を向けて叫んだ。
「バカ言ってねェで早く出てけ! チキショー! どいづもコイヅも!」
響く声にルフィは笑って、小屋を後にした。
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コボル山を下りると牧場が広がる小さな村がある。
青々茂る草原に牛がのんびりと歩き、小さな港からの潮風が風車小屋の羽根車を元気に回していた。
カモメが風に任せてのんびりと飛ぶ。
ここは東の海、ゴア王国フーシャ村。
村はいたって平和。
港の端には、ちょうど小舟が着いたところで、一人の少女が乗っている。
白く長い髪に透けるような薄茶色の瞳が印象的だ。
ベージュのシャツにダークブラウンのショートパンツを着て、ターコイズのついたサンダルを履いている足を小舟の縁に掛ける。
皮のウエストポーチのベルトの腰の後ろには十字型の柄が差してあった。
(やっと、着いた。今日は五月四日の朝。ルフィの船出になんとか間に合ったかな……)
小舟から港の石畳に立つと、スゥ……と深呼吸する。
これからルフィに会って、仲間になるつもりの少女の名はクサナギ・ミコト。
潮風に髪を流されながら、ゆっくりと活気の溢れる港の中央に向かうと、村に真っ直ぐ伸びる道を見つめた。
港と村を繋げる大通りは見通しが良く、ミコトの記憶にある通りだった。
立ち止まって、振り返り港を眺めた。
今、漁船が停泊している場所は、十年前にシャンクスの船があり、幼いルフィがいつもマキノの店と往復して走っていたに違いない。
ミコトは十二年前に、この世界に突然放り込まれた。
当時二十一才だったミコトは朝起きたら、全く違う世界にいて七才まで若返っていたという事だ。
よく妄想話である事が現実に起き、この大海賊時代の世界で生きる目的を決めた。
——エースを死なせない。
ミコトが読んでいた大好きな漫画の世界。
決戦でエースが死に、ルフィが哀しみに沈む姿を見るのが辛かった。
その後、ルフィは前を向き仲間と二年後に再会するところまで、ミコトは読んで知っているが、それ以降は知らない。
この世界に来てしまったからだ。
十二年経って、今は十九才。
兄弟を救う為にミコトは出来る限り頑張ってきたつもりだ。
(絶対に……!)
心に決めると通りを歩きだす。
(ここが——冒険の始まり……)
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通りの街並みはどこにでもある村の風景だが、ミコトには輝いて見えた。
(ルフィの育った村……想像した通り素敵な村)
この場所にいる事に嬉しくて、足取りも軽く自然に顔が綻ぶ。
視線がキョロキョロと動いて探すのはマキノの酒場だ。
(真っ直ぐ行けばあるはずなんだけど……)
ルフィが山を下りてきたら絶対に立ち寄る場所だ。
『あっ!』
見つけた看板に思わず嬉しくて声が出る。
—— “PARTYS BAR”
(ルフィやマキノさんはいるのかな? それとも村長さんかな……?)
店の前で看板を見上げて、扉の先を覗き見る。
(いきなりルフィが居たりしたら、どうしよう……)
戸惑って迷うミコトは挙動不審だ。
(うーん……)
なかなか一歩が踏み出せない。
ここまで来て情けないと自分でも思うが心臓の音が煩いくらい鳴っていた。
落ち着こうと、スゥーッと息を吸い込み、酒場の扉に思い切って手を掛けて開けた。
「いらっしゃいませ!」
酒場の店主マキノの健康的で元気な声が店内に響いた。
マキノは見慣れない少女に笑顔をおくる。
[#dn=2#]はその笑顔に緊張しながらも、なんとか微笑して返しながら店内を歩きカウンター席に座った。
『こんにちは!』
(あ、おはようだった!)
言ってすぐに間違えたとミコトは思ったが、マキノはそんな些細な事は気にしない。
「こんにちは! 何にしますか?」
『……えっと、軽く食事を取りたいのだけど』
「では、サンドイッチに絞り立てのミルクでいいかしら?」
『はい、お願いします』
ミコトは少し照れながら答えた。
そんな少女にマキノはにこやかに笑い、手際よくサンドイッチを作る。
パンを用意すると薄いオレンジがかったピンク色のサーモンと瑞々しい野菜をはさみ、トマトを盛り付ける。
絞り立てのミルクをコップに注ぐと、ミコトの目の前に出す。
「おまたせしました!」
『ありがとう、頂きます』
(美味しそう~!)
ミコトはサンドイッチに手を伸ばすと、アーンと大きく口を開けて食べ始める。
途中でミルクを飲んでは 『すごく、美味しい!』 と笑顔を見せれば、マキノも 「ありがとう!」 と優しい時間がゆっくりと流れた。
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『ごちそう様でした。 とても美味しかったです』
食べ終わったミコトにマキノは片付けながら尋ねた。
「それは、良かった。 ところであなたは何しに来たの?」
観光地でもないフーシャ村には漁船やたまにくる小さな商船しか来ない。
外部から来る人間も決まった顔で、マキノの知る限りルフィの祖父の海軍中将のガープぐらいしか思い当たらない。
目の前のミコトは海賊にも見えないし、何か用があるとしか思えなかった。
ミコトは何て言っていいのか分からなくて曖昧に微笑した。
「あっ、ごめんなさいね。 探るようなことを聞いて……答えたくなかったらいいのよ」
マキノはすぐに謝り笑顔をつくった。
『いいえ、大丈夫です』
ミコトはマキノの優しさに微笑み返す。
『私はグランドラインから来ました。 人を探しに……いえ、会いに来ました。 このお店によく立ち寄ると話を聞いていたので……』
「そう、グランドラインから人を……って、えっグランドラインから?」
『はい!』
マキノは目を見開いて驚いている。
当然だ。グランドラインは行く事はあっても、来るなんて信じられない話だ。
どうやって……とマキノはミコトに尋ねようとしたが出来なかった。
外から悲鳴が聞こえたからだ。
「な、何っ!?」
瞬間、不安を顔に出すマキノはミコトを見て、更に驚いた。
ミコトの雰囲気が鋭いものに、がらりと変わったからだ。
するりと席を立ち、店の外へと駆けだすミコトを追いかけるようにマキノも向かう。
(何か起きたの!?)
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