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“接触”
この日、人生で最悪の奴にあった。
良くも悪くもこいつのせいで俺の人生は変わった――
東地区の港に一際大きい海賊船が停泊していた。
黒旗にはスマイルの髑髏が笑う。
この島はドンキホーテ・ドフラミンゴの縄張りだ。
ドフラミンゴの管理下にある島での取引全てに、仲介料という名の金が付加され徴収される。
多額の上納金はドフラミンゴの下へと収められた。
北の海の端にある島は世界に見捨てられ、海軍は滅多に来ない。
お蔭で闇組織の裏取引がバレずに安全に行える町だ。
港周辺は市場も続きローのいる西地区に比べて綺麗な街並みだ。
白壁の建物が建ち並び色とりどりの屋根は美しい。
石畳の道の脇には花壇があり噴水広場まである。
ただし、建物のほとんどが賭博と酒場と娼館だ。
その中でも一際目立つのは六階建のピンクの建物。
屋上はガラス張りのペントハウスになっていて、室内には南の海から取り寄せた緑鮮やかな熱帯の植物の赤い花が香る。
丸いプールまであり、見渡せるように繋がるリビングには大きな皮張りのソファ。
腰掛けるのはサングラスにピンクの羽コートを羽織る金髪の男。
普段は部下に島の管理を任せてあるが、ドフラミンゴは触れもなく現れる。
その手にある書類に目を通して口端をあげる。
「取引での金が増えてるが、町に落とす金は減ってんな……使わせろ」
二十六才の主の顔色を窺うのは普段この町全体を取り仕切るボス。
ドフラミンゴよりも年長にもかかわらず怯えた様子で肩を小さくして立っていた。
「はい……」
ドフラミンゴの機嫌をそこねてバラされたくない男の背中に汗が伝い流れた。
台車に並べて置かれる黒いアタッシュケースの中身は上納金。
ソファの隣に立つ黒いサングラスのヴェルゴが確認する。
頷くヴェルゴにドフラミンゴは 「フッフッ……」 と笑い、男に尋ねた。
「町の報告にある……西地区のガキの話は本当か?」
「あ、はい。 最近ボスになったようで……」
「フッフッフッ、面白ェ……!」
手にする報告書には写真も添えられていた。
十一才の少年の名はトラファルガー・ロー。
手足は長く細い体つき、顔は紺のパーカーのフードで隠れてよく見えない。
しかし、黒い前髪が覗き見え、口元を歪ませる微かな笑みは少年が浮かべるようなものではない。
ごくたまに磨けば光るかもしれない原石を拾える事もある。
大抵は潰れて消えるのがほとんどだ。
この黒い石は光を放つ事は出来るのか?
「フフフ……」
含み笑いを洩らすピンクの男はビクリと肩を浮かせる男に片手を振って帰らせた。
「次もよろしくな」
「は、はい」
そそくさと足早に去る男の姿が消えたところで、ドフラミンゴは立ち上がる。
「出掛ける」
「そのガキを見に行くのか……ドフィ?」
「……ああ」
面白そうだからなと口端を上げる。
「お前も来い」
ドフラミンゴに誘われれば断る理由はヴェルゴにはない。
無言で頷き後ろについて行った。
西地区のすさんだ通りに、場違いな程目立つ桃色はこの町で知らない者などいない。
「フッフッフッ」 と笑うドフラミンゴは目的の少年がいる場所へと向かう。
キッズだけのグループとはいえ、十一才の少年がボスになり三か月が経っている事に興味が湧いた。
前任のボスをやるぐらいなら出来るかもしれないが、その後も仕切っているからだ。
ただの子供とは思えない。
見に行く価値があると踏んだ。
――その頃の俺はというと、あのピンクの大男が来るなんて知らなかった。
路地裏に廃墟のような建物に囲まれた空間。
一か所だけ塀になってて、そこから陽光が射していた。
真ん中に小さな井戸と一本の木。
最近の俺の気に入りの場所。
木陰の下で木箱に座り寄り掛かって本を読んでいた。
いつも仲間に、こんなところで読むなんて危ないと言われているが無視。
女が寝る部屋で読む方が嫌だった。
途中で邪魔されるし相手にすんのがな……面倒だ。
のんびりと読書していたら、駆けこむように仲間が来た。
少し煩い……。
「……大変だ!」
慌てているようだが、どうせ大した事ない。
読んでんだから邪魔すんなよ。
けど、ボスという立場上仕方ねェからフードに隠れる顔をあげて仲間を見た。
「何だよ?」
「ド、ド……ドンキホーテ・ドフラミンゴが……来てる!」
……確かにここに来るのがおかしい人物だ。
信じられないな……。
疑って見たら大声で叫ばれた。
「んな事、嘘ついてどうすんだよ!」
「本物か?」
「あんな奴、間違うわけねェよ!」
焦ったように言う仲間を眺めた。
俺のトコには奴の手下に手を出した話とかきてねェ。
俺達には強盗する時のルールがある。
必ず三人以上で、獲物は一人の奴を狙い、全て奪いバラして山ん中に埋める――だ。
簡単な事で、ドジする奴は仲間にいねぇ。
まあ、バレてもガキ相手にやられる奴の報復なんて、みっともねェからな。
問題なんて起きねェ。
だから、俺にはどうでもよかったし、興味もねェ。
「ここに何か用でもあるんだろ。 俺達には関係ねェだろうし、放って――」
大きなピンクの影が細い路地を抜けて目の端に映った。
思わず見開いた目でマジマジと見上げた。
本物みてェだな……。
俺なら絶対に着たくない噂で聞いた通りの派手なピンクの羽コートとサングラス。
趣味悪ィ……。
仲間はその場で腰が砕けで、地面にへたり込んでた。
「あ……あ、あ……来た」
怯える仲間の遥か頭上で、奴は俺を見て笑った。
「フッフッフッ………」
嫌な笑い方だ……。
俺の気に入りの場所に、奴とその部下がいる。
こうして、俺は初めてドフラミンゴに会った――
この日、人生で最悪の奴にあった。
良くも悪くもこいつのせいで俺の人生は変わった――
◇◆◇
東地区の港に一際大きい海賊船が停泊していた。
黒旗にはスマイルの髑髏が笑う。
この島はドンキホーテ・ドフラミンゴの縄張りだ。
ドフラミンゴの管理下にある島での取引全てに、仲介料という名の金が付加され徴収される。
多額の上納金はドフラミンゴの下へと収められた。
北の海の端にある島は世界に見捨てられ、海軍は滅多に来ない。
お蔭で闇組織の裏取引がバレずに安全に行える町だ。
港周辺は市場も続きローのいる西地区に比べて綺麗な街並みだ。
白壁の建物が建ち並び色とりどりの屋根は美しい。
石畳の道の脇には花壇があり噴水広場まである。
ただし、建物のほとんどが賭博と酒場と娼館だ。
その中でも一際目立つのは六階建のピンクの建物。
屋上はガラス張りのペントハウスになっていて、室内には南の海から取り寄せた緑鮮やかな熱帯の植物の赤い花が香る。
丸いプールまであり、見渡せるように繋がるリビングには大きな皮張りのソファ。
腰掛けるのはサングラスにピンクの羽コートを羽織る金髪の男。
普段は部下に島の管理を任せてあるが、ドフラミンゴは触れもなく現れる。
その手にある書類に目を通して口端をあげる。
「取引での金が増えてるが、町に落とす金は減ってんな……使わせろ」
二十六才の主の顔色を窺うのは普段この町全体を取り仕切るボス。
ドフラミンゴよりも年長にもかかわらず怯えた様子で肩を小さくして立っていた。
「はい……」
ドフラミンゴの機嫌をそこねてバラされたくない男の背中に汗が伝い流れた。
台車に並べて置かれる黒いアタッシュケースの中身は上納金。
ソファの隣に立つ黒いサングラスのヴェルゴが確認する。
頷くヴェルゴにドフラミンゴは 「フッフッ……」 と笑い、男に尋ねた。
「町の報告にある……西地区のガキの話は本当か?」
「あ、はい。 最近ボスになったようで……」
「フッフッフッ、面白ェ……!」
手にする報告書には写真も添えられていた。
十一才の少年の名はトラファルガー・ロー。
手足は長く細い体つき、顔は紺のパーカーのフードで隠れてよく見えない。
しかし、黒い前髪が覗き見え、口元を歪ませる微かな笑みは少年が浮かべるようなものではない。
ごくたまに磨けば光るかもしれない原石を拾える事もある。
大抵は潰れて消えるのがほとんどだ。
この黒い石は光を放つ事は出来るのか?
「フフフ……」
含み笑いを洩らすピンクの男はビクリと肩を浮かせる男に片手を振って帰らせた。
「次もよろしくな」
「は、はい」
そそくさと足早に去る男の姿が消えたところで、ドフラミンゴは立ち上がる。
「出掛ける」
「そのガキを見に行くのか……ドフィ?」
「……ああ」
面白そうだからなと口端を上げる。
「お前も来い」
ドフラミンゴに誘われれば断る理由はヴェルゴにはない。
無言で頷き後ろについて行った。
西地区のすさんだ通りに、場違いな程目立つ桃色はこの町で知らない者などいない。
「フッフッフッ」 と笑うドフラミンゴは目的の少年がいる場所へと向かう。
キッズだけのグループとはいえ、十一才の少年がボスになり三か月が経っている事に興味が湧いた。
前任のボスをやるぐらいなら出来るかもしれないが、その後も仕切っているからだ。
ただの子供とは思えない。
見に行く価値があると踏んだ。
◇◆◇
――その頃の俺はというと、あのピンクの大男が来るなんて知らなかった。
路地裏に廃墟のような建物に囲まれた空間。
一か所だけ塀になってて、そこから陽光が射していた。
真ん中に小さな井戸と一本の木。
最近の俺の気に入りの場所。
木陰の下で木箱に座り寄り掛かって本を読んでいた。
いつも仲間に、こんなところで読むなんて危ないと言われているが無視。
女が寝る部屋で読む方が嫌だった。
途中で邪魔されるし相手にすんのがな……面倒だ。
のんびりと読書していたら、駆けこむように仲間が来た。
少し煩い……。
「……大変だ!」
慌てているようだが、どうせ大した事ない。
読んでんだから邪魔すんなよ。
けど、ボスという立場上仕方ねェからフードに隠れる顔をあげて仲間を見た。
「何だよ?」
「ド、ド……ドンキホーテ・ドフラミンゴが……来てる!」
……確かにここに来るのがおかしい人物だ。
信じられないな……。
疑って見たら大声で叫ばれた。
「んな事、嘘ついてどうすんだよ!」
「本物か?」
「あんな奴、間違うわけねェよ!」
焦ったように言う仲間を眺めた。
俺のトコには奴の手下に手を出した話とかきてねェ。
俺達には強盗する時のルールがある。
必ず三人以上で、獲物は一人の奴を狙い、全て奪いバラして山ん中に埋める――だ。
簡単な事で、ドジする奴は仲間にいねぇ。
まあ、バレてもガキ相手にやられる奴の報復なんて、みっともねェからな。
問題なんて起きねェ。
だから、俺にはどうでもよかったし、興味もねェ。
「ここに何か用でもあるんだろ。 俺達には関係ねェだろうし、放って――」
大きなピンクの影が細い路地を抜けて目の端に映った。
思わず見開いた目でマジマジと見上げた。
本物みてェだな……。
俺なら絶対に着たくない噂で聞いた通りの派手なピンクの羽コートとサングラス。
趣味悪ィ……。
仲間はその場で腰が砕けで、地面にへたり込んでた。
「あ……あ、あ……来た」
怯える仲間の遥か頭上で、奴は俺を見て笑った。
「フッフッフッ………」
嫌な笑い方だ……。
俺の気に入りの場所に、奴とその部下がいる。
こうして、俺は初めてドフラミンゴに会った――