狼と羊
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“狼の手に羊は溺れる”
――狼はいつも、どうやって羊を可愛がろうかと考えている。
可愛がる方と可愛がられる方、困った事になるのは狼と羊どちらか?
新世界をゆく白ひげ海賊団の昼ご飯は今日も賑やかだ。
狼のエースと羊の●●も仲良く食事をしている。
食堂のテーブルには沢山の料理が並び、皆が美味いと言い口の中へと頬張った。
その中で一人だけ俯く●●がいた。
隣には恋人のエースが座り、目の前には食べ終わった皿が山積みになって並んでいた。
楽しそうに仲間と話すエースだが、●●はそれどころじゃない。
重なる皿の陰で●●は恥ずかしくて顔を上げられない。
仲間にバレているのではないかとドキドキしていた。
誰にも見えていないテーブルの下の秘密――●●の右手はエースの左手と繋がっていた。
最初に●●が手首に感じたのはエースの指先。
つー……となぞられて、驚いた。
(な、何? エース……?)
●●がエースを見た途端に目が合った。
細められたエースの目とニッと口端が上がった唇。
●●は何か悪戯を思いついた様子の顔に魅入った。
仲間に話し掛けられたエースはすぐに応じると楽しそうに会話を始めた。
そして、悪戯な指を進めて●●に絡めた。
手の甲を通り●●の小指を弄る。
爪先に触れて、隣の指へ伝い撫でていった。
握ろうとしない手に●●は焦れて繋ごうとしたら、エースの左手は躱した。
(……何で?)
つい恨みがましくエースの横顔を見たが、分かっているくせに意地悪な恋人は●●を見ない。
エースはあくまで仲間と会話を続ける。
そして、テーブルの下の隠れた遊びは●●の手に触れる。
エースの手は●●の手を包み、指を絡めて●●の小さな手を握りしめた。
●●よりも火のエースの方が体温は高い。
温もりはじわじわと●●の手を熱くした。
ぎゅ……と握って、エースは●●の手をひっくり返す。
何をされるのか……と●●は鼓動を早くした。
(手だけ触られているだけなのに……)
食堂の食欲をそそる匂い、耳には仲間の笑い声。
いつもの食堂なのに、今は全く違う。
重ねて合わさる手と手。
甲に比べて柔らかい手の平をエースは指先で弄ぶ。
楽しむかのように、撫でたりなぞったり――●●はエースの指先の動きに捕らわれた。
(エース……っ!)
止めて欲しくて、縋る目でエースを見ても、離すつもりはないらしい。
仲間と笑ったりしている。
会話をしている仲間は気付いていないの? と●●は眉をひそめた。
瞬間――指の間をくすぐるように掠めるエースの指。
交わる指と指が微かに触れて滑る。
(……っ……や……!)
●●は声が出そうになって、エースの手から逃げようとしたが、掴まれて逃げられなかった。
繰り返される手の動きに、いつ誰かに知られるかもという緊張。
知られたとしても手を握られているだけだが、その行為の濃密さに目を閉じた。
焦らすように撫でられ、合せられ、握られては離れた。
絡まる指が擦れて、また重なる。
止まらないエースの指に翻弄された。
(ん……もう、やだ……!)
●●は耐えられなくて、空いた手でエースの腕を掴んで引いた。
『エース……』
何だ? と、俯く●●を見る顔は、それは楽しそうな笑みを浮かべていた。
仲間に隠れて恋人に悪戯するという行為が面白かったのだろう。
しかし、その行為にエースはすぐに後悔する事になる。
狼の世界で一番大切な可愛い羊は限界だった。
『もう、止めて……』
●●の微かに上擦った声。
どこにも逃げられない辛さに●●は涙が滲んで願う。
●●が見上げて見ればエースの目が見開かれた。
(……っ! こいつ、なんて顔してんだ!?)
瞬間、やり過ぎた――とエースは息を呑む。
食堂で、頬を薄っすらとピンクに染めて睫を濡らして自分を見つめる恋人。
仲間との会話なんて吹き飛んで、ティンガロンハットを急いで脱いだ。
●●に被せて隠す。
「行くぞ!」
どこに……? と●●は帽子のつばを上げてエースを窺おうとしたが出来なかった。
●●の被る帽子をぎゅ……とエースが顔に押し当てたからだ。
「バカっ! 顔出すな!」
『え……?』
何故、急にエースが焦るのか分からない●●。
視界は帽子で真っ暗だし何も見えない
『エース……見えないんだけど』
「いいんだ、見えなくて!」
『あの……どこに行くの?』
「ここじゃないところだ!」
エースは●●を抱きあげた。
突然のエースの行動に仲間達はどうしたんだ!? と見た。
聞いている間もなく、血相を変えて、どこか慌てた感じのエースは抱える恋人ともに、風のように食堂から去って行った。
その様子にマルコが呆れた溜息をついた。
(何してんだい、あいつは……)
――狼さん……羊の苛めすぎにはご注意を。
――狼はいつも、どうやって羊を可愛がろうかと考えている。
可愛がる方と可愛がられる方、困った事になるのは狼と羊どちらか?
◇◆◇
新世界をゆく白ひげ海賊団の昼ご飯は今日も賑やかだ。
狼のエースと羊の●●も仲良く食事をしている。
食堂のテーブルには沢山の料理が並び、皆が美味いと言い口の中へと頬張った。
その中で一人だけ俯く●●がいた。
隣には恋人のエースが座り、目の前には食べ終わった皿が山積みになって並んでいた。
楽しそうに仲間と話すエースだが、●●はそれどころじゃない。
重なる皿の陰で●●は恥ずかしくて顔を上げられない。
仲間にバレているのではないかとドキドキしていた。
誰にも見えていないテーブルの下の秘密――●●の右手はエースの左手と繋がっていた。
最初に●●が手首に感じたのはエースの指先。
つー……となぞられて、驚いた。
(な、何? エース……?)
●●がエースを見た途端に目が合った。
細められたエースの目とニッと口端が上がった唇。
●●は何か悪戯を思いついた様子の顔に魅入った。
仲間に話し掛けられたエースはすぐに応じると楽しそうに会話を始めた。
そして、悪戯な指を進めて●●に絡めた。
手の甲を通り●●の小指を弄る。
爪先に触れて、隣の指へ伝い撫でていった。
握ろうとしない手に●●は焦れて繋ごうとしたら、エースの左手は躱した。
(……何で?)
つい恨みがましくエースの横顔を見たが、分かっているくせに意地悪な恋人は●●を見ない。
エースはあくまで仲間と会話を続ける。
そして、テーブルの下の隠れた遊びは●●の手に触れる。
エースの手は●●の手を包み、指を絡めて●●の小さな手を握りしめた。
●●よりも火のエースの方が体温は高い。
温もりはじわじわと●●の手を熱くした。
ぎゅ……と握って、エースは●●の手をひっくり返す。
何をされるのか……と●●は鼓動を早くした。
(手だけ触られているだけなのに……)
食堂の食欲をそそる匂い、耳には仲間の笑い声。
いつもの食堂なのに、今は全く違う。
重ねて合わさる手と手。
甲に比べて柔らかい手の平をエースは指先で弄ぶ。
楽しむかのように、撫でたりなぞったり――●●はエースの指先の動きに捕らわれた。
(エース……っ!)
止めて欲しくて、縋る目でエースを見ても、離すつもりはないらしい。
仲間と笑ったりしている。
会話をしている仲間は気付いていないの? と●●は眉をひそめた。
瞬間――指の間をくすぐるように掠めるエースの指。
交わる指と指が微かに触れて滑る。
(……っ……や……!)
●●は声が出そうになって、エースの手から逃げようとしたが、掴まれて逃げられなかった。
繰り返される手の動きに、いつ誰かに知られるかもという緊張。
知られたとしても手を握られているだけだが、その行為の濃密さに目を閉じた。
焦らすように撫でられ、合せられ、握られては離れた。
絡まる指が擦れて、また重なる。
止まらないエースの指に翻弄された。
(ん……もう、やだ……!)
●●は耐えられなくて、空いた手でエースの腕を掴んで引いた。
『エース……』
何だ? と、俯く●●を見る顔は、それは楽しそうな笑みを浮かべていた。
仲間に隠れて恋人に悪戯するという行為が面白かったのだろう。
しかし、その行為にエースはすぐに後悔する事になる。
狼の世界で一番大切な可愛い羊は限界だった。
『もう、止めて……』
●●の微かに上擦った声。
どこにも逃げられない辛さに●●は涙が滲んで願う。
●●が見上げて見ればエースの目が見開かれた。
(……っ! こいつ、なんて顔してんだ!?)
瞬間、やり過ぎた――とエースは息を呑む。
食堂で、頬を薄っすらとピンクに染めて睫を濡らして自分を見つめる恋人。
仲間との会話なんて吹き飛んで、ティンガロンハットを急いで脱いだ。
●●に被せて隠す。
「行くぞ!」
どこに……? と●●は帽子のつばを上げてエースを窺おうとしたが出来なかった。
●●の被る帽子をぎゅ……とエースが顔に押し当てたからだ。
「バカっ! 顔出すな!」
『え……?』
何故、急にエースが焦るのか分からない●●。
視界は帽子で真っ暗だし何も見えない
『エース……見えないんだけど』
「いいんだ、見えなくて!」
『あの……どこに行くの?』
「ここじゃないところだ!」
エースは●●を抱きあげた。
突然のエースの行動に仲間達はどうしたんだ!? と見た。
聞いている間もなく、血相を変えて、どこか慌てた感じのエースは抱える恋人ともに、風のように食堂から去って行った。
その様子にマルコが呆れた溜息をついた。
(何してんだい、あいつは……)
――狼さん……羊の苛めすぎにはご注意を。
おしまい。