Obsidian
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雪がちらつく外は冷えきっていた。
慣れた冷たさに寒いという感覚は薄れている。
街路灯の明かりはガラスが雪で覆われて心もとない光だ。
月は灰色の雲で隠れて見えねェ。
吐く息が白い――ガキの頃いつも思っていた。
隣に眠る奴が静かな時、何人が生きてるのかって。
動かない体から服はいらないからと奪い、寒さに負けて人肌を求めて夜を越す。
男も女も年齢も関係ない。
温もりを貪っていれば冷たくねェからな。
この町に捨てられたガキはみんなそうだ。
そうして、そのまま大人になって繰り返して、同じ運命を産み落とす。
何も変わらない。
意味もなく変わらず続くのは移りゆく季節みてェだ。
こんなところで朽ち果てて土になるなんてまっぴらだ。
俺はそこから抜け出したい。
海に出て自由になりたい。
いつ変わるかも分からない波と風を受けて走るんだ――
サク……ッと踏みしめる雪の音は一つじゃない。
隣にはシャチがいた。
黙って歩く俺の顔を覗きこんできた。
目が合うとニッと笑う。
「どした~? 考え事か?」
最近シャチの気に入りのキャスケット帽には雪が少し着いていた。
帽子から覗く山吹色の髪はこいつらしく降る雪を跳ねさせている。
「別に」 と答えようとする前にシャチが呟いた。
「何人越せんだろうな」
こいつも同じ事を考えてたのか。
「さあな、強い奴なら生き残れんだろ」
瞬間――シャチの目が俺を見てるのを感じた。
ペンギンの見透かして確かめるような瞳とは違う目だ。
俺の中の何かを探るように覗き込む。
無言の俺が映るシャチの目が瞬きをすると笑顔を見せた。
「強くなろうな!」
急に何言ってやがる。
「俺は強い。 頑張らないといけねェのはお前だろ。 追いつかねェと置いてくからな」
言い切る俺にシャチは何故かフッと笑う。
何だ……その笑いムカツクな。
だいたい何で笑うんだ。
「何だよ?」
「照れるなよ?」
「何がだ!? 照れてなんかねェ!」
シャチの発言は相変わらず意味が分からねェ。
「分かった分かった……ついてってやるよ。 俺がいねェと駄目だもんな~!」
いつ、誰がそんな事を言った!?
勝手に都合よく解釈するな。
「お前がいなくても俺は平気だ」
「マジで?」
「ああ」
「ふーん」
シャチはまたあの目で俺を見てやっぱり笑う。
「それならそれでいいや」
「…………」
何で、その答えが出るのか。
こいつの頭ん中はさっぱり分からねェ。
「俺はローやペンギンといてェ」
「…………」
「面白ェし、楽しいからな。 嫌がってもついてくからな。 見捨てられねェように頑張るから、置いてくなよ?」
微笑するシャチの窺う目はふざけてなんかなかった。
会った時と変わらず、時々理解出来ない謎の思考回路を持っているシャチ。
こいつがいない航海は詰まらねェし、置いていくという考えは俺にはない。
けど、そんな事は言ってなんてやらない。
「出来る奴なら置いてかねェよ」
「海に出る頃には使えるようになってやるよ」
シャチの邪気のない笑顔につられた俺はせいぜい頑張れよと笑った。
そして、つい口が滑った――
「待っててやる」
言った直後に俺はしまった!? と後悔した。
返してしまった俺の言葉に、シャチは言わせたとニィと勝ち誇ったように笑った。
クソッ!
やられた……!
ムッとする俺に、シャチは晴れた青空のような笑顔を見せた。
「待たせねェから! 海に連れてってくれよな!」
「……連れてってやるよ」
観念したような俺の答えに笑顔が雪に舞う。
笑顔魔人の威力に俺は負けたが、不思議と悔しくなかった。
同じ夢を見て楽しむなら多い方がいい。
今のところ仲間と呼べるのは二人しかいねェけどな。
アパートが見えてきたところで、前からペンギンが歩いているのが見えた。
向こうも気付いたのか、片手をあげてる。
シャチはペンギンに向かって手を振って走った。
雪は滑りやすいのにガキだな。
転んでしまえ! と意地悪な俺が念じた直後――黒い影が路地から飛び出し、シャチに襲い掛かった。
キャスケット帽が脱げて弧を描く。
積もる雪に倒れるシャチの上にいるのは目を光らせる黒い影。
――シャチ!
俺とペンギンの叫びが雪の降る夜を引き裂いた。
シャチの数日前の噂が頭に過る。
「最近、町で怪物がうろついているらしい。 闇夜に光る双眸が、月明かりに反射して、鋭い爪が突然現れて襲われるんだってよ~! 恐ェーよな!」
「何だそれ。 どうせ、どこかのガキだろ」
「やっぱ、そうだよな! 俺もそう思った!」
目の前の黒い影はガキでも人でもない動きだ。
俺は素早く左手で能力を発動した。
「ROOM」
青白い光があたりを包んだ――
慣れた冷たさに寒いという感覚は薄れている。
街路灯の明かりはガラスが雪で覆われて心もとない光だ。
月は灰色の雲で隠れて見えねェ。
吐く息が白い――ガキの頃いつも思っていた。
隣に眠る奴が静かな時、何人が生きてるのかって。
動かない体から服はいらないからと奪い、寒さに負けて人肌を求めて夜を越す。
男も女も年齢も関係ない。
温もりを貪っていれば冷たくねェからな。
この町に捨てられたガキはみんなそうだ。
そうして、そのまま大人になって繰り返して、同じ運命を産み落とす。
何も変わらない。
意味もなく変わらず続くのは移りゆく季節みてェだ。
こんなところで朽ち果てて土になるなんてまっぴらだ。
俺はそこから抜け出したい。
海に出て自由になりたい。
いつ変わるかも分からない波と風を受けて走るんだ――
サク……ッと踏みしめる雪の音は一つじゃない。
隣にはシャチがいた。
黙って歩く俺の顔を覗きこんできた。
目が合うとニッと笑う。
「どした~? 考え事か?」
最近シャチの気に入りのキャスケット帽には雪が少し着いていた。
帽子から覗く山吹色の髪はこいつらしく降る雪を跳ねさせている。
「別に」 と答えようとする前にシャチが呟いた。
「何人越せんだろうな」
こいつも同じ事を考えてたのか。
「さあな、強い奴なら生き残れんだろ」
瞬間――シャチの目が俺を見てるのを感じた。
ペンギンの見透かして確かめるような瞳とは違う目だ。
俺の中の何かを探るように覗き込む。
無言の俺が映るシャチの目が瞬きをすると笑顔を見せた。
「強くなろうな!」
急に何言ってやがる。
「俺は強い。 頑張らないといけねェのはお前だろ。 追いつかねェと置いてくからな」
言い切る俺にシャチは何故かフッと笑う。
何だ……その笑いムカツクな。
だいたい何で笑うんだ。
「何だよ?」
「照れるなよ?」
「何がだ!? 照れてなんかねェ!」
シャチの発言は相変わらず意味が分からねェ。
「分かった分かった……ついてってやるよ。 俺がいねェと駄目だもんな~!」
いつ、誰がそんな事を言った!?
勝手に都合よく解釈するな。
「お前がいなくても俺は平気だ」
「マジで?」
「ああ」
「ふーん」
シャチはまたあの目で俺を見てやっぱり笑う。
「それならそれでいいや」
「…………」
何で、その答えが出るのか。
こいつの頭ん中はさっぱり分からねェ。
「俺はローやペンギンといてェ」
「…………」
「面白ェし、楽しいからな。 嫌がってもついてくからな。 見捨てられねェように頑張るから、置いてくなよ?」
微笑するシャチの窺う目はふざけてなんかなかった。
会った時と変わらず、時々理解出来ない謎の思考回路を持っているシャチ。
こいつがいない航海は詰まらねェし、置いていくという考えは俺にはない。
けど、そんな事は言ってなんてやらない。
「出来る奴なら置いてかねェよ」
「海に出る頃には使えるようになってやるよ」
シャチの邪気のない笑顔につられた俺はせいぜい頑張れよと笑った。
そして、つい口が滑った――
「待っててやる」
言った直後に俺はしまった!? と後悔した。
返してしまった俺の言葉に、シャチは言わせたとニィと勝ち誇ったように笑った。
クソッ!
やられた……!
ムッとする俺に、シャチは晴れた青空のような笑顔を見せた。
「待たせねェから! 海に連れてってくれよな!」
「……連れてってやるよ」
観念したような俺の答えに笑顔が雪に舞う。
笑顔魔人の威力に俺は負けたが、不思議と悔しくなかった。
同じ夢を見て楽しむなら多い方がいい。
今のところ仲間と呼べるのは二人しかいねェけどな。
アパートが見えてきたところで、前からペンギンが歩いているのが見えた。
向こうも気付いたのか、片手をあげてる。
シャチはペンギンに向かって手を振って走った。
雪は滑りやすいのにガキだな。
転んでしまえ! と意地悪な俺が念じた直後――黒い影が路地から飛び出し、シャチに襲い掛かった。
キャスケット帽が脱げて弧を描く。
積もる雪に倒れるシャチの上にいるのは目を光らせる黒い影。
――シャチ!
俺とペンギンの叫びが雪の降る夜を引き裂いた。
シャチの数日前の噂が頭に過る。
「最近、町で怪物がうろついているらしい。 闇夜に光る双眸が、月明かりに反射して、鋭い爪が突然現れて襲われるんだってよ~! 恐ェーよな!」
「何だそれ。 どうせ、どこかのガキだろ」
「やっぱ、そうだよな! 俺もそう思った!」
目の前の黒い影はガキでも人でもない動きだ。
俺は素早く左手で能力を発動した。
「ROOM」
青白い光があたりを包んだ――