Obsidian
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
“仲間”
あれから俺はアジトに戻った。
一階にはいざこざを処理したペンギンが先に帰っていた。
「出かけてたんですね」
「ああ」
「あの……」
眉根を寄せたペンギンの表情で質問は分かった。
ペンギンも俺と同じで奴を嫌っているからだ。
あのどこにいても目立つ奴がこっちに来ていたのを誰かに聞いたんだろう。
「奴に会った」
「そうですか。 ……また、何か頼まれたんですか?」
「後で……シャチが戻ってきたらな」
この頃の俺は大事な事とかはだいたいペンギンとシャチに話して決めていた。
何だかんだで二人に任せる事が多いし、事実頼んだ事に二人が俺の期待に応えられない事なんてなかった。
「シャワー浴びてくる」
「どうぞ」
アジトの二階は俺の部屋や他の奴らの部屋があって、ペンギンとシャチは出会った時のまま相部屋だ。
一階はいわゆる居間みてェな感覚で使ってた。
仲間との共有スペースで、キッチンに風呂とトイレがある。
後はビリヤード台に壊れたダーツボード、ソファに飯を食う場所と、いつも仲間が適当に集まってる。
そのままここで寝泊まりしてる奴もいる。
飯も掃除も俺はやらねェ、誰かが勝手にやってる。
シャワーのコックを回して勢いよく頭から浴びた。
全身が濡れるが水の不快感はない。
海水だけなのか、風呂はどうなのか?
試してみてェが、一人じゃ万が一もあるから止めとくか。
あいつらに話してからにするかな。
髪も体も洗って、汗を流しきる。
体はさっぱりしたが、ダルさが相変わらず残った。
能力の使い過ぎには気をつけねェと。
けど、それじゃあ……奴じゃねェが宝の持ち腐れになっちまう。
鍛え方しだいって事か。
タオルで髪を拭きながら戻ってみてもシャチは居なかった。
どうやら、ソフィとかいう女とまだ遊んでるようだ。
仕方ねェな……。
そのまま俺はソファに寝転び、読みかけの本に手を伸ばした。
ページを捲るが、中身は少しも頭に入らない。
能力をどう使うか鍛えようかでいっぱいだった。
頭で考えてると能力を確かめたくなるな。
それにしても、眠ィ……。
少しだけ寝るか……。
睡魔に負けた瞼が落ちて俺は寝た。
ペンギンの呼ぶ声が聞こえる……。
「……さい……起きて下さい」
「…………」
俺は疲れて、まだ寝たいんだよ。
……起こすんじゃねェ!
「シャチが戻ってきました」
「……ん」
シャチ……が?
嫌だ、やっぱ眠ィ……話は明日でいい。
光から逃げるように体を横にした。
体を揺すられても重い瞼は上がらない。
「おーい! 起きろよ!」
「…………」
ペチペチ……頬を叩かれても嫌なものは嫌だ。
「話があんだろ!」
煩いなシャチは……。
「ん……?」
シャチ……!?
話……そうだ、話をするんだった!
薄く開いて見上げればペンギンの顔が視界いっぱいにあった。
「……シャチは?」
「いるぞ~! ここに! 起きたか?」
声の方に視線を移せば呑気な笑顔。
「……起きた」
体を起こして髪を掻いたら、乾いた感触にかなり寝ていたんだと思った。
「珍しいですね、そんなところで寝るなんて」
「……そうか?」
二人を見上げて窓の外が暗い様子を眺めた。
「一時間ぐらいですよ、寝てたのは……それで――」
ペンギンの言葉を遮って俺の腹の虫が鳴った。
「…………」
「話は飯の後にしましょうか」
「そうしようぜ!」
シャチが嬉しそうに話に割って入ってきた。
「ソフィがさあ~、俺に夕食に食べてね! って、俺の好きなポテトのバター煮作ってくれたんだぜ! 昼飯もすげー美味くて! 少しだけ食わせてやっからな! 少しだけだぞ!」
寝起きの俺とペンギンは顔を見合わせて浮かれるシャチを見た。
その手には水色の風呂敷に包まれている夕飯があり、ご機嫌で頬ずりしていた。
こいつ……ソフィとかいう女は今日初めてのデートとか言ってなかったか?
もう、飯を作ってもらってんのか……。
やっぱり、笑顔魔人だな。
シャチの女が作ったもんは一口貰ったが、確かにシャチの言う通り美味しかった。
俺が不味い実を食ってる時、シャチは美味い昼飯を食ってたと思うと少し腹が立った。
飯も食い終わり、今は俺の部屋にペンギンとシャチと居る。
俺はベッドに腰掛け、シャチは椅子の背もたれを抱え込むように座っていた。
ペンギンはというと部屋の扉を背に寄り掛かって立っていた。
誰かがやってきて立ち聞きされないようにだ。
本当にソツがねェんだよなコイツは。
俺は今日奴に会った事から順に話した。
「――それで悪魔の実を食った」
「「…………」」
静まり返る部屋。
かといってこいつらは別に驚いたりしてねェ。
なんだよ、普通なんか反応があんだろ!
なんで、何も言わねェんだ?
「驚かないのか?」
尋ねる俺にシャチはきょとんとした顔で俺を見ている。
「何が?」
「何がって、実を食ったんだぞ……俺は」
「ん~まあ、そうだな。 話の流れで食ったのは分かってるって……な、ペンギン?」
「そうだな」
髪を掻くシャチも腕を組むペンギンも普段とあまり変わらねェ。
驚く事を期待してた俺としては拍子抜けだ。
チッ! 詰まらねェ……。
心ん中で舌打ちする俺に、シャチが口を開いた。
「食っちまたモンはしょうがねェし、それよりも……二億の方が驚いたっつうか、それどうやって返すんだよ?」
「本当だな……。 返すまで奴の手下って事だろ。 そっちの方が問題だ」
「…………」
ペンギンはいつもそうだが、意外にもシャチは現実的に考える奴だ。
二人共あまり動じねェところが当てになるといえばなるが、この場合……なんかムカツク。
「実を食った事とか気にならないのか?」
不機嫌になり始める俺をシャチは笑った。
「ははっ! どうせ、面白ェ! とかいって食ったんだろ。 お前、頭いいのに……時々、何も考えずに決めちゃうよな。 ……ま、らしいっていったら、らしいんだけどな! 俺なら食わねェよ」
「俺もないな」
……こいつら。
「……暇だからって実を食ったあげくに二億の貸しだもんな!」
「まったくだ。 ……二億なんて返す目途もないのに、面倒を自分で作るんだからな」
ずけずけと言いやがって、本気で腹立つな。
苛々する俺に、シャチがムカッとするほど爽やかな無邪気笑顔を見せて聞いてきた。
「……で? どんな能力なんだよ?」
「確かに見てみたいな」
ようやく実に興味をもったのか二人の視線が俺に注がれた。
……良い事思いついた。
「見せてやるよ」
ちょうどいい。
虫と野良猫では試したが人はやってねェからな。
本来ならちゃんと言ってからやるつもりだったが、驚かなかったお前らが悪ィ。
しかも、言いたい事いいやがって……今、半分にしてやる。
「ペンギン、シャチのとこまで来い」
まだダルさの残る体で、広げるのは疲れるからな。
俺の命令通りペンギンは少し警戒しながらもやって来た。
ニヤリ……俺は口端をあげて、左手をあげた。
「ROOM……」
青白いドームが二人を中心に囲うように広がる。
右手でナイフを回して取り出した。
ドームを不思議そうに見つめる二人を一気に斬った。
スパン……!
真っ二つに斬れたペンギンの胴と、椅子ごと半分になったシャチ。
「なっ!? 何だよこれーっ!」
すぐさま驚愕の表情で叫ぶシャチの声に俺は笑った。
「ははっ!」
ざまあみろ! 驚いたかっ!
ああ! すっきりした!
「お、俺の体っ……どうなって!?」
シャチの離れた足が椅子に座ってジタバタして慌ててる様子が笑える。
ペンギンなんて、上半身が床に倒れて無言で引き攣った顔のまま固まってる……滅多にみれねェ顔だ。
「これがオペオペの実の改造自在人間の能力だ。 分かったか?」
言い切る俺に、早くもとに戻して欲しいペンギンとシャチは必死に何度も首を振って頷いた。
その様子に俺の気は済んで二人を戻した。
それから、ペンギンとシャチに実を食った理由と俺の夢を初めて話した――
「俺は海賊になって、いずれこの町を出る。 そして、グランドラインの自由な海を制覇して海賊王になってやる! ペンギン、シャチ……お前らには――」
「ついてきますよ」
「おれも付き合うぜ!」
俺の言葉を遮ってペンギンもシャチも楽しそうな表情を見せる。
「初めに言ったでしょう。 ついてく……と」
「まさか俺が仲間になるって言ったの忘れてねェよな?」
何だよそれ、その当たり前みてェな顔して……。
「……覚えてる」
俺は嬉しくて二人につい微笑した。
こいつらを連れて海に出る。
きっと毎日が退屈なんてしねェ航海になる。
海賊になるまでには時間もかかるだろう。
奴からの要求や依頼にも耐えないといけねェ……けど、それさえも糧にして強くなってやる。
まずは――
「能力を使いこなさないと……」 と腕を組むペンギンが俺を見た。
「どうせ、今日実を食ったあとに試して疲れたんじゃないんですか? でなきゃ、あんなソファで寝ないでしょう」
「そうだよな。 なあ、2億を返す期日なんてねェんだろ? それ以上利息が増えるわけでもねェんだよな?」
「…………」
ペンギンに先に言われ、シャチには確認された
二人の真剣な顔に俺は頷いた。
「……ああ」
「なら、貸しは後回しでもいいよな」
「それはいえるな。 ちまちま返すより海賊になって奪って返した方が早いだろう」
本当に、こいつらは――出来る仲間だ……。
嬉しくて顔が緩む。
見られたくなくて、二人から顔を隠すように床を見た。
「どうしたんだよ?」
不思議そうにシャチとペンギンが俯く俺の顔を窺う。
この時の俺は本当に嬉しかった。
こんなスラムで、よく出会えたなと思う。
本当なら素直にありがとう……とか言えたらいいんだろうが、俺には言えない。
……ていうか、絶対に言いたくねェな。
「何でもねェ」
納得してない様子の二人に口端をあげて笑う。
「航海の勉強してもらうからな」
途端に 「したくねェ!」 と頭を抱えるシャチに、ペンギンと俺は吹き出して笑った。
その日から、俺はペンギンとシャチを相手に能力を鍛えた。
一か月たった頃、とりあえずはあまり疲れないようになり、奴の紹介されたDr.モートの下へと行った。
Dr.モートの表の仕事は町医者だが、裏は臓器売買と移植が主な仕事だった。
俺はDr.モートの下で手伝いをしながら医者の勉強をし、ペンギンとシャチも船の操舵や航海術を勉強した。
俺達はまだガキだから時間だけはたっぷりある。
学べるだけ学んで強くなると誓う――自由な海を目指して。
あれから俺はアジトに戻った。
一階にはいざこざを処理したペンギンが先に帰っていた。
「出かけてたんですね」
「ああ」
「あの……」
眉根を寄せたペンギンの表情で質問は分かった。
ペンギンも俺と同じで奴を嫌っているからだ。
あのどこにいても目立つ奴がこっちに来ていたのを誰かに聞いたんだろう。
「奴に会った」
「そうですか。 ……また、何か頼まれたんですか?」
「後で……シャチが戻ってきたらな」
この頃の俺は大事な事とかはだいたいペンギンとシャチに話して決めていた。
何だかんだで二人に任せる事が多いし、事実頼んだ事に二人が俺の期待に応えられない事なんてなかった。
「シャワー浴びてくる」
「どうぞ」
アジトの二階は俺の部屋や他の奴らの部屋があって、ペンギンとシャチは出会った時のまま相部屋だ。
一階はいわゆる居間みてェな感覚で使ってた。
仲間との共有スペースで、キッチンに風呂とトイレがある。
後はビリヤード台に壊れたダーツボード、ソファに飯を食う場所と、いつも仲間が適当に集まってる。
そのままここで寝泊まりしてる奴もいる。
飯も掃除も俺はやらねェ、誰かが勝手にやってる。
シャワーのコックを回して勢いよく頭から浴びた。
全身が濡れるが水の不快感はない。
海水だけなのか、風呂はどうなのか?
試してみてェが、一人じゃ万が一もあるから止めとくか。
あいつらに話してからにするかな。
髪も体も洗って、汗を流しきる。
体はさっぱりしたが、ダルさが相変わらず残った。
能力の使い過ぎには気をつけねェと。
けど、それじゃあ……奴じゃねェが宝の持ち腐れになっちまう。
鍛え方しだいって事か。
タオルで髪を拭きながら戻ってみてもシャチは居なかった。
どうやら、ソフィとかいう女とまだ遊んでるようだ。
仕方ねェな……。
そのまま俺はソファに寝転び、読みかけの本に手を伸ばした。
ページを捲るが、中身は少しも頭に入らない。
能力をどう使うか鍛えようかでいっぱいだった。
頭で考えてると能力を確かめたくなるな。
それにしても、眠ィ……。
少しだけ寝るか……。
睡魔に負けた瞼が落ちて俺は寝た。
◇◆◇
ペンギンの呼ぶ声が聞こえる……。
「……さい……起きて下さい」
「…………」
俺は疲れて、まだ寝たいんだよ。
……起こすんじゃねェ!
「シャチが戻ってきました」
「……ん」
シャチ……が?
嫌だ、やっぱ眠ィ……話は明日でいい。
光から逃げるように体を横にした。
体を揺すられても重い瞼は上がらない。
「おーい! 起きろよ!」
「…………」
ペチペチ……頬を叩かれても嫌なものは嫌だ。
「話があんだろ!」
煩いなシャチは……。
「ん……?」
シャチ……!?
話……そうだ、話をするんだった!
薄く開いて見上げればペンギンの顔が視界いっぱいにあった。
「……シャチは?」
「いるぞ~! ここに! 起きたか?」
声の方に視線を移せば呑気な笑顔。
「……起きた」
体を起こして髪を掻いたら、乾いた感触にかなり寝ていたんだと思った。
「珍しいですね、そんなところで寝るなんて」
「……そうか?」
二人を見上げて窓の外が暗い様子を眺めた。
「一時間ぐらいですよ、寝てたのは……それで――」
ペンギンの言葉を遮って俺の腹の虫が鳴った。
「…………」
「話は飯の後にしましょうか」
「そうしようぜ!」
シャチが嬉しそうに話に割って入ってきた。
「ソフィがさあ~、俺に夕食に食べてね! って、俺の好きなポテトのバター煮作ってくれたんだぜ! 昼飯もすげー美味くて! 少しだけ食わせてやっからな! 少しだけだぞ!」
寝起きの俺とペンギンは顔を見合わせて浮かれるシャチを見た。
その手には水色の風呂敷に包まれている夕飯があり、ご機嫌で頬ずりしていた。
こいつ……ソフィとかいう女は今日初めてのデートとか言ってなかったか?
もう、飯を作ってもらってんのか……。
やっぱり、笑顔魔人だな。
◇◆◇
シャチの女が作ったもんは一口貰ったが、確かにシャチの言う通り美味しかった。
俺が不味い実を食ってる時、シャチは美味い昼飯を食ってたと思うと少し腹が立った。
飯も食い終わり、今は俺の部屋にペンギンとシャチと居る。
俺はベッドに腰掛け、シャチは椅子の背もたれを抱え込むように座っていた。
ペンギンはというと部屋の扉を背に寄り掛かって立っていた。
誰かがやってきて立ち聞きされないようにだ。
本当にソツがねェんだよなコイツは。
俺は今日奴に会った事から順に話した。
「――それで悪魔の実を食った」
「「…………」」
静まり返る部屋。
かといってこいつらは別に驚いたりしてねェ。
なんだよ、普通なんか反応があんだろ!
なんで、何も言わねェんだ?
「驚かないのか?」
尋ねる俺にシャチはきょとんとした顔で俺を見ている。
「何が?」
「何がって、実を食ったんだぞ……俺は」
「ん~まあ、そうだな。 話の流れで食ったのは分かってるって……な、ペンギン?」
「そうだな」
髪を掻くシャチも腕を組むペンギンも普段とあまり変わらねェ。
驚く事を期待してた俺としては拍子抜けだ。
チッ! 詰まらねェ……。
心ん中で舌打ちする俺に、シャチが口を開いた。
「食っちまたモンはしょうがねェし、それよりも……二億の方が驚いたっつうか、それどうやって返すんだよ?」
「本当だな……。 返すまで奴の手下って事だろ。 そっちの方が問題だ」
「…………」
ペンギンはいつもそうだが、意外にもシャチは現実的に考える奴だ。
二人共あまり動じねェところが当てになるといえばなるが、この場合……なんかムカツク。
「実を食った事とか気にならないのか?」
不機嫌になり始める俺をシャチは笑った。
「ははっ! どうせ、面白ェ! とかいって食ったんだろ。 お前、頭いいのに……時々、何も考えずに決めちゃうよな。 ……ま、らしいっていったら、らしいんだけどな! 俺なら食わねェよ」
「俺もないな」
……こいつら。
「……暇だからって実を食ったあげくに二億の貸しだもんな!」
「まったくだ。 ……二億なんて返す目途もないのに、面倒を自分で作るんだからな」
ずけずけと言いやがって、本気で腹立つな。
苛々する俺に、シャチがムカッとするほど爽やかな無邪気笑顔を見せて聞いてきた。
「……で? どんな能力なんだよ?」
「確かに見てみたいな」
ようやく実に興味をもったのか二人の視線が俺に注がれた。
……良い事思いついた。
「見せてやるよ」
ちょうどいい。
虫と野良猫では試したが人はやってねェからな。
本来ならちゃんと言ってからやるつもりだったが、驚かなかったお前らが悪ィ。
しかも、言いたい事いいやがって……今、半分にしてやる。
「ペンギン、シャチのとこまで来い」
まだダルさの残る体で、広げるのは疲れるからな。
俺の命令通りペンギンは少し警戒しながらもやって来た。
ニヤリ……俺は口端をあげて、左手をあげた。
「ROOM……」
青白いドームが二人を中心に囲うように広がる。
右手でナイフを回して取り出した。
ドームを不思議そうに見つめる二人を一気に斬った。
スパン……!
真っ二つに斬れたペンギンの胴と、椅子ごと半分になったシャチ。
「なっ!? 何だよこれーっ!」
すぐさま驚愕の表情で叫ぶシャチの声に俺は笑った。
「ははっ!」
ざまあみろ! 驚いたかっ!
ああ! すっきりした!
「お、俺の体っ……どうなって!?」
シャチの離れた足が椅子に座ってジタバタして慌ててる様子が笑える。
ペンギンなんて、上半身が床に倒れて無言で引き攣った顔のまま固まってる……滅多にみれねェ顔だ。
「これがオペオペの実の改造自在人間の能力だ。 分かったか?」
言い切る俺に、早くもとに戻して欲しいペンギンとシャチは必死に何度も首を振って頷いた。
その様子に俺の気は済んで二人を戻した。
◇◆◇
それから、ペンギンとシャチに実を食った理由と俺の夢を初めて話した――
「俺は海賊になって、いずれこの町を出る。 そして、グランドラインの自由な海を制覇して海賊王になってやる! ペンギン、シャチ……お前らには――」
「ついてきますよ」
「おれも付き合うぜ!」
俺の言葉を遮ってペンギンもシャチも楽しそうな表情を見せる。
「初めに言ったでしょう。 ついてく……と」
「まさか俺が仲間になるって言ったの忘れてねェよな?」
何だよそれ、その当たり前みてェな顔して……。
「……覚えてる」
俺は嬉しくて二人につい微笑した。
こいつらを連れて海に出る。
きっと毎日が退屈なんてしねェ航海になる。
海賊になるまでには時間もかかるだろう。
奴からの要求や依頼にも耐えないといけねェ……けど、それさえも糧にして強くなってやる。
まずは――
「能力を使いこなさないと……」 と腕を組むペンギンが俺を見た。
「どうせ、今日実を食ったあとに試して疲れたんじゃないんですか? でなきゃ、あんなソファで寝ないでしょう」
「そうだよな。 なあ、2億を返す期日なんてねェんだろ? それ以上利息が増えるわけでもねェんだよな?」
「…………」
ペンギンに先に言われ、シャチには確認された
二人の真剣な顔に俺は頷いた。
「……ああ」
「なら、貸しは後回しでもいいよな」
「それはいえるな。 ちまちま返すより海賊になって奪って返した方が早いだろう」
本当に、こいつらは――出来る仲間だ……。
嬉しくて顔が緩む。
見られたくなくて、二人から顔を隠すように床を見た。
「どうしたんだよ?」
不思議そうにシャチとペンギンが俯く俺の顔を窺う。
この時の俺は本当に嬉しかった。
こんなスラムで、よく出会えたなと思う。
本当なら素直にありがとう……とか言えたらいいんだろうが、俺には言えない。
……ていうか、絶対に言いたくねェな。
「何でもねェ」
納得してない様子の二人に口端をあげて笑う。
「航海の勉強してもらうからな」
途端に 「したくねェ!」 と頭を抱えるシャチに、ペンギンと俺は吹き出して笑った。
◇◆◇
その日から、俺はペンギンとシャチを相手に能力を鍛えた。
一か月たった頃、とりあえずはあまり疲れないようになり、奴の紹介されたDr.モートの下へと行った。
Dr.モートの表の仕事は町医者だが、裏は臓器売買と移植が主な仕事だった。
俺はDr.モートの下で手伝いをしながら医者の勉強をし、ペンギンとシャチも船の操舵や航海術を勉強した。
俺達はまだガキだから時間だけはたっぷりある。
学べるだけ学んで強くなると誓う――自由な海を目指して。