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“悪魔の実~前編”
フフフ……。
面白ェモンが手に入った。
誰に食わせて、どうやって使おうか。
フッフッフッ……!
――ドフラミンゴの手にある奇妙な渦巻く文様の果実はオペオペの実。
楽しみでしょうがねェな……フフッ、フフフッ!
何だ?
俺はふと青い空を見上げた。
奴の笑い声が聞こえた感じがしたからだ。
南地区も制圧した俺は十三になっていた。
ペンギンもシャチも普段は少しムカツクとこがあるけど、腕は確かだし信用出来る。
だからかあいつらが仲間になってから、本当にあっさりと手に入っちまった。
ペンギンがいた北を最後に残しとけばよかった……とか。
やる事もなくて詰まらねェなと、最近とくに感じる。
ついさっき、アジトでペンギンに解散させて、またやり直そうか……とソファで読み飽きた本を片手に呟いたら無言で睨まれた。
あいつはそういう所が厳しい。
いいじゃねェか別に……と言い返そうとした瞬間、シャチに髪をぐしゃっと弄られた。
「何だ~? 暇でふて腐れてんのか?」
ふて腐れて……って、俺はそこまでガキじゃねェよ!
頭にのる手を払って睨んだ。
「違ェ」
「じゃ、何だよ?」
「退屈なだけだ」
「……プッ! それ、どこが違ェんだよ!」
「煩い。 お前はどうせこれから、またミリーとかいう女のトコに行くんだろ! さっさと行かねェと振られんぞ!」
シャチを追い出そうとして言ったが、シャチの表情が止まった。
何だ?
もしかして、別れたのか?
また?
「お前……」
側で話しが聞こえていたペンギンもシャチの様子に異変を感じたみてェだ。
するとシャチは俺達にいつもの軽い笑顔を見せた。
「ああ、一昨日別れた」
「そうか」
「んで、今はソフィと付き合ってる。 赤い髪とそばかすが残る顔で、その笑顔がまた、すげー可愛いんだぜ! 照れた時が特にたまらねェんだ。 今度、会わせてやるな!」
「…………」
こいつ……よく、すぐに次の女が出来るな。
その無邪気な笑顔とやらに女は落ちるんだろうな。
「……ああ」
シャチは俺やペンギンと違って、一回限りや遊びの女を抱く事はあまりない。
別れてもたいていは一週間と開けずに、絶えず特定の女がいる。
実際、こいつはよく女を連れて来るし会わせてくれる。
だいたい可愛らしいという感じの印象の女がほとんどで、このスラムでよく擦れてない女を見つけてくるなと思う。
シャチは付き合ってる女に夢中だから、浮気とか絶対にしねェ奴だが、呆れる事に長続きしない。
こいつと出会って一年以上たつが五人変わっていた。
今回で六人目のはずだ。
俺もペンギンも女の付き合い方に他人に、とやかく言える遊び方をしてねェから、今まで別れる理由を聞いた事なんかなかった。
――が今回は好奇心に勝てずに聞いてみた。
「どうして別れたんだ?」
「ん~理由? 知りてェの?」
「ああ」
「ミリーが俺の事が一番好きだって言ったからだ」
ハア? こいつノロけてんのか?
だったら、何で別れんだよ?
俺の疑問は顔に出てたみてェで、シャチは山吹色の髪を掻いて教えてくれた。
「嫌なんだよ……一番になんてなりたくねェんだよな。 俺の事は好きでいて欲しいけど、最後とかでいいんだ……だから別れた。 そんで、その帰りにソフィに一目惚れして、落としたわけだ」
「そうか」
「そういう事ってわけで、俺はこれからソフィと初デートだ。 そんじゃあな!」
明るく手を振って出掛けるシャチを俺とペンギンは見送った。
ペンギンと目が合って溜息が出た。
シャチの長続きしない理由が分かったからだ。
俺達は親に捨てられて、ここで生きてる。
一番信用していた親にだ。
おそらくシャチは自分でも分からない奥底で怖れてるのかもしれねェ。
一番と言われて、自分も夢中で惚れて一番になる事を。
好きという気持ちが永遠に続く事なんてねェから、信じた後に捨てられるかもしれない。
どうにもならない喪失感をまた味わうくらいなら、失うくらいなら、先に捨ててしまえ――
けど寂しいから求める。
誰かに側に居て欲しいんだ。
あの明るさと軽さの影にある傷は深いのかもしれない。
読み飽きた本の表紙を見つめて、俺もそうなのかと自問した。
俺も何かに怖れてたりするのだろうか。
だから――
「ロー」
考えに沈んでいた俺はペンギンに呼ばれてハッとして顔をあげた。
「シャチとお前は違う」
見透かしたような瞳に俺の顔が映る。
「俺もお前やシャチとは違う」
こういう時のこいつは俺に敬語を使わねェ。
落ち着いた声はいつも俺に冷静さを戻させる。
「そんな事、分かってる」
「ならいい」
そう言うと、ペンギンは今の事などまるで無かったかのように俺に聞いてくる。
しかも柔らかい微笑付きで。
「珈琲でも淹れましょうか?」
「……ああ」
信じられないくらいの変わりように俺は眉を寄せた。
結局、あの後俺はペンギンの淹れた珈琲を飲んでいた。
暇でボーっとする頭を珈琲で起こそうとしていると、仲間が駆けこんで来た。
問題が起きたとかで報告を聞いたら、どうでもいいような小さいいざこざだった。
ペンギンは苦笑し 「俺が行ってきます」 と言って出て行った。
ペンギンは俺の仲間になって、二週間もしねェうちにナンバー二の位置にいた。
気付けば仲間は俺がいないと、当たり前のようにペンギンに報告し、それを俺が聞く。
勧誘したのは俺だけど、なんかムカっとした。
早々に居場所を確立して、なおかつ仕切ってるのが気に入らねェ。
出来る奴と言ってしまえば、そうなんだが……もうちょっと遠慮とかねェのかよ。
さっきだってそうだ。
俺はかりにもお前のボスなのに、見定める様な目で見る。
それで上に立つ者なのか? と問いかけられている感じがした。
ペンギンはいつも何も言わないで見ているだけだが、時折感じる視線は厳しくて容赦ない。
実は何気にシャチもそういう所がある。
あの笑顔魔人め。
「ふーん」 と相槌を打って、ニィと笑う時のあいつは俺の中の何かを見てる……ような気がする。
シャチの場合は気のせいかもしれねェけどな。
けど、何も考えてないせいか勘は鋭い。
その勘と冴えで、この町を一人で生き抜いてきたんだから、侮れない奴だ。
それより、やっぱり暇だな。
あいつらがいないと特に暇だ。
チェスの相手も体を鍛える相手もいねェ。
実際、相手になるのはシャチとペンギンぐらいで、他は話にならないぐらい駄目だ。
読書も飽きたしな、外でもぶらついて来るか。
フフフ……。
面白ェモンが手に入った。
誰に食わせて、どうやって使おうか。
フッフッフッ……!
――ドフラミンゴの手にある奇妙な渦巻く文様の果実はオペオペの実。
楽しみでしょうがねェな……フフッ、フフフッ!
◇◆◇
何だ?
俺はふと青い空を見上げた。
奴の笑い声が聞こえた感じがしたからだ。
南地区も制圧した俺は十三になっていた。
ペンギンもシャチも普段は少しムカツクとこがあるけど、腕は確かだし信用出来る。
だからかあいつらが仲間になってから、本当にあっさりと手に入っちまった。
ペンギンがいた北を最後に残しとけばよかった……とか。
やる事もなくて詰まらねェなと、最近とくに感じる。
ついさっき、アジトでペンギンに解散させて、またやり直そうか……とソファで読み飽きた本を片手に呟いたら無言で睨まれた。
あいつはそういう所が厳しい。
いいじゃねェか別に……と言い返そうとした瞬間、シャチに髪をぐしゃっと弄られた。
「何だ~? 暇でふて腐れてんのか?」
ふて腐れて……って、俺はそこまでガキじゃねェよ!
頭にのる手を払って睨んだ。
「違ェ」
「じゃ、何だよ?」
「退屈なだけだ」
「……プッ! それ、どこが違ェんだよ!」
「煩い。 お前はどうせこれから、またミリーとかいう女のトコに行くんだろ! さっさと行かねェと振られんぞ!」
シャチを追い出そうとして言ったが、シャチの表情が止まった。
何だ?
もしかして、別れたのか?
また?
「お前……」
側で話しが聞こえていたペンギンもシャチの様子に異変を感じたみてェだ。
するとシャチは俺達にいつもの軽い笑顔を見せた。
「ああ、一昨日別れた」
「そうか」
「んで、今はソフィと付き合ってる。 赤い髪とそばかすが残る顔で、その笑顔がまた、すげー可愛いんだぜ! 照れた時が特にたまらねェんだ。 今度、会わせてやるな!」
「…………」
こいつ……よく、すぐに次の女が出来るな。
その無邪気な笑顔とやらに女は落ちるんだろうな。
「……ああ」
シャチは俺やペンギンと違って、一回限りや遊びの女を抱く事はあまりない。
別れてもたいていは一週間と開けずに、絶えず特定の女がいる。
実際、こいつはよく女を連れて来るし会わせてくれる。
だいたい可愛らしいという感じの印象の女がほとんどで、このスラムでよく擦れてない女を見つけてくるなと思う。
シャチは付き合ってる女に夢中だから、浮気とか絶対にしねェ奴だが、呆れる事に長続きしない。
こいつと出会って一年以上たつが五人変わっていた。
今回で六人目のはずだ。
俺もペンギンも女の付き合い方に他人に、とやかく言える遊び方をしてねェから、今まで別れる理由を聞いた事なんかなかった。
――が今回は好奇心に勝てずに聞いてみた。
「どうして別れたんだ?」
「ん~理由? 知りてェの?」
「ああ」
「ミリーが俺の事が一番好きだって言ったからだ」
ハア? こいつノロけてんのか?
だったら、何で別れんだよ?
俺の疑問は顔に出てたみてェで、シャチは山吹色の髪を掻いて教えてくれた。
「嫌なんだよ……一番になんてなりたくねェんだよな。 俺の事は好きでいて欲しいけど、最後とかでいいんだ……だから別れた。 そんで、その帰りにソフィに一目惚れして、落としたわけだ」
「そうか」
「そういう事ってわけで、俺はこれからソフィと初デートだ。 そんじゃあな!」
明るく手を振って出掛けるシャチを俺とペンギンは見送った。
ペンギンと目が合って溜息が出た。
シャチの長続きしない理由が分かったからだ。
俺達は親に捨てられて、ここで生きてる。
一番信用していた親にだ。
おそらくシャチは自分でも分からない奥底で怖れてるのかもしれねェ。
一番と言われて、自分も夢中で惚れて一番になる事を。
好きという気持ちが永遠に続く事なんてねェから、信じた後に捨てられるかもしれない。
どうにもならない喪失感をまた味わうくらいなら、失うくらいなら、先に捨ててしまえ――
けど寂しいから求める。
誰かに側に居て欲しいんだ。
あの明るさと軽さの影にある傷は深いのかもしれない。
読み飽きた本の表紙を見つめて、俺もそうなのかと自問した。
俺も何かに怖れてたりするのだろうか。
だから――
「ロー」
考えに沈んでいた俺はペンギンに呼ばれてハッとして顔をあげた。
「シャチとお前は違う」
見透かしたような瞳に俺の顔が映る。
「俺もお前やシャチとは違う」
こういう時のこいつは俺に敬語を使わねェ。
落ち着いた声はいつも俺に冷静さを戻させる。
「そんな事、分かってる」
「ならいい」
そう言うと、ペンギンは今の事などまるで無かったかのように俺に聞いてくる。
しかも柔らかい微笑付きで。
「珈琲でも淹れましょうか?」
「……ああ」
信じられないくらいの変わりように俺は眉を寄せた。
◇◆◇
結局、あの後俺はペンギンの淹れた珈琲を飲んでいた。
暇でボーっとする頭を珈琲で起こそうとしていると、仲間が駆けこんで来た。
問題が起きたとかで報告を聞いたら、どうでもいいような小さいいざこざだった。
ペンギンは苦笑し 「俺が行ってきます」 と言って出て行った。
ペンギンは俺の仲間になって、二週間もしねェうちにナンバー二の位置にいた。
気付けば仲間は俺がいないと、当たり前のようにペンギンに報告し、それを俺が聞く。
勧誘したのは俺だけど、なんかムカっとした。
早々に居場所を確立して、なおかつ仕切ってるのが気に入らねェ。
出来る奴と言ってしまえば、そうなんだが……もうちょっと遠慮とかねェのかよ。
さっきだってそうだ。
俺はかりにもお前のボスなのに、見定める様な目で見る。
それで上に立つ者なのか? と問いかけられている感じがした。
ペンギンはいつも何も言わないで見ているだけだが、時折感じる視線は厳しくて容赦ない。
実は何気にシャチもそういう所がある。
あの笑顔魔人め。
「ふーん」 と相槌を打って、ニィと笑う時のあいつは俺の中の何かを見てる……ような気がする。
シャチの場合は気のせいかもしれねェけどな。
けど、何も考えてないせいか勘は鋭い。
その勘と冴えで、この町を一人で生き抜いてきたんだから、侮れない奴だ。
それより、やっぱり暇だな。
あいつらがいないと特に暇だ。
チェスの相手も体を鍛える相手もいねェ。
実際、相手になるのはシャチとペンギンぐらいで、他は話にならないぐらい駄目だ。
読書も飽きたしな、外でもぶらついて来るか。