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1. 前途多難

 かけた目覚ましが鳴る前に目を覚ましたオレは、勢いよくカーテンを開けて朝の光を浴びる。気持ちの良い青空が広がる洗濯日和だ。今日は一限からあるレオナさんを送り出したら、多少手を付けたキッチンと風呂場以外の掃除や洗濯をしてしまおうと思っていた。
 大学のことはよく分かんねーけど、まだ学校始まってないのに一限から呼び出されてるレオナさんの単位ってどうなってんだろう。なかなかないのではと思ったけど言わないでおこう。高校が始まるまでまずは平穏無事に過ごしたい。
 ベッドの上で軽く体を伸ばすストレッチをしてから、音を立てないように自分の部屋を抜け出しキッチンへと向かう。
 自分の部屋でも思ったけど、広すぎる部屋や豪華な家具にはまだ慣れない。ここで過ごしているうちに慣れるんだろうかと考えつつ、冷蔵庫を開けて材料を取り出した。
 がっつり食べたいというリクエストをもらったから、朝からがっつり肉にしよう。弁当用のコロッケも揚げるけど、それとは別に買ってきてた豚こま肉をステーキ状にして焼いてやるッス。安い肉だって工夫すれば美味く食えるんスよ。
 そんなことを考えながら黙々と手を動かし、朝食と弁当を作っていく。手際よく料理をするのは、ばあちゃんを見て覚えた。次に何をしたら良いかを頭の中で組み立てながら進めていく。
 弁当を詰め終わったところで、オレはレオナさんを起こしに向かった。時間的にはゆっくり朝食をとっても間に合うはずだ。すんなり起きてくれればの話だけど。
 一応先にノックはしてみるが、起きる気配はない。昨日の床で寝落ちしていた時のことを思い出してオレは乾いた笑いを浮かべる。寝汚いのにこれだけの音で起きるわけがない。

「レオナさーん、入りますよー……うっわ、汚いな!」

 扉を開けてオレは思わず声を上げた。昨日はここを見ていなかった。今日はここを一番に掃除しようと思いながら辺りを見渡す。
 オレの部屋よりも広い部屋には家具も電化製品も山ほど置かれているが、それは別にいい。オレがドン引きしたのは足の踏み場がないほどに散らかされた服だ。その間に散らばってるのはゴミか。部屋の隅に申し訳程度に置かれたゴミ箱らしきものには何も入っていない。ゴミはそこにいれろよとツッコミを入れながら、ベッドまでできた獣道のようなところを歩いてレオナさんの元へと向かう。
 顔の良い男は当たり前だが寝顔も良いらしい。

「レオナさーん。朝ですよ、起きてくださいって」

 耳元で声をかけても起きない。息がかかったからか耳は小さく動いたけど、これは絶対起きてない。レオナさんってば、と肩を揺すってみたけど威嚇の音を出されオレは一瞬硬直する。いや、ダメだ。ここで諦めたらこの人は絶対昼過ぎまで起きないに違いない。
 尻尾で腕を払われても諦めずにオレは揺さぶり続けた。
 しかし起きない。まったく起きない。
 何か良い方法はないかと考えたオレは、部屋の扉を全開にした。そしてキッチンに戻ると皿に肉を一切れ乗せてレオナさんに近付いた。
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