《第18話》ショウダン。
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応接室。
今日はノア組合との商談の日。
薫がお茶を運んでくる。
「失礼します。本日はよろしくお願いいたします」
カップを一つずつ置いていく。
その姿を見たティキ・ミック社長は、ぱっと表情を明るくした。
「やあ! また会えたね、お嬢さん!」
「ティキ社長。いつもお世話になっております」
「相変わらず綺麗だなぁ」
「ありがとうございます」
営業スマイルで微笑む薫。
ティキは嬉しそうに頬杖をついた。
「ねぇ、今日は社長来るまで少し時間あるんだろ?」
「はい」
「じゃあ雑談しようよ」
「構いませんよ」
薫は秘書らしく姿勢よく立っている。
「座りなよ」
「ありがとうございます」
向かいに腰掛ける。
ティキはじっと見つめた。
「君さぁ…恋人とかいるの?」
突然の質問。
「……」
仕事中なので少し困った顔になる。
「秘密ですか?」
「仕事と私生活は分けておりますので」
「そっかぁ」
ニコニコ笑うティキ。
「じゃあ俺、立候補していい?」
「……はい?」
「食事でも」
「お気持ちだけいただきます」
にこっと笑って、きっぱり断る。
「即答かぁ」
「社外の方と個人的にお会いすることはございません」
「じゃあ仕事抜きで偶然会ったら?」
「その時も同じです」
「強いなぁ」
ティキは笑いながらも諦めない。
「君、モテるでしょ?」
「さぁ、どうでしょう」
「絶対モテる」
「ありがとうございます」
「俺、本気なんだけど。」
「光栄です」
営業スマイル。
全く崩れない。
ティキは肩をすくめる。
「ガード硬いなぁ」
「秘書ですので」
「いや、女性としてもだよ」
「そうですか?」
「うん」
ティキは身を乗り出した。
「今度さ、うちの会社にも遊びに…」
コンコン。
ドアが開く。
「待たせたな」
クロス・マリアンが入ってくる。
「おう、クロス!」
「始めるか」
クロスは席につこうとして、ふと二人を見る。
ティキが名残惜しそうに薫を見上げている。
「……また口説いてたのか」
「だって可愛いじゃん」
「はは」
クロスは呆れたように笑う。
「残念だったな」
「ん?」
「そいつ、もう売約済みだ」
ティキが固まる。
「……え?」
薫も「社長?」という顔。
クロスはさらっと続ける。
「うちの営業に取られた」
「…………は?」
ティキの笑顔が完全に止まる。
「彼氏いるの?」
薫は少し照れながら小さく頷いた。
「はい」
「ええええええ!?」
思わず立ち上がるティキ。
「聞いてない!」
「聞かれませんでしたので」
「さっき聞いたじゃん!」
「仕事と私生活は分けておりますので」
同じ返答。
クロスは吹き出した。
「綺麗にかわされたな」
ティキは頭を抱えた。
「どこの誰!?」
クロスはニヤリと笑う。
「そのうち紹介する」
「今!」
「無理だ」
「なんで!」
「商談が先だ」
薫はくすっと笑いながら一礼する。
「それでは、お飲み物のおかわりをご用意いたします」
そう言って何事もなかったように応接室を出ていく。
残されたティキは天井を見上げた。
「失恋した気分なんだけど……。」
クロスは書類を開きながら笑う。
「諦めろ。あいつは一途だ。」
ティキはソワソワして資料を開く。
「……」
「……」
クロスがじろっと見る。
「どうした」
「いや、気になる」
「何がだ。」
「薫ちゃんの彼氏」
「仕事しろ」
「いやでも!」
「商談だ」
「気が気じゃないんだけど!」
クロスはため息をつく。
「まずは商談だ。薫の話はその後」
「約束?」
「仕事をちゃんとやればな」
「よし!」
さっきまでの落ち込みはどこへやら。
「じゃあ始めよう!」
「切り替え早いなお前」
「気になることは早く解決したいタイプなんだ」
「その前に契約まとめろ」
「はいはい」
その日の商談はすぐにまとまった。
薫の彼氏について話を聞きたいからという理由だけで。
今日はノア組合との商談の日。
薫がお茶を運んでくる。
「失礼します。本日はよろしくお願いいたします」
カップを一つずつ置いていく。
その姿を見たティキ・ミック社長は、ぱっと表情を明るくした。
「やあ! また会えたね、お嬢さん!」
「ティキ社長。いつもお世話になっております」
「相変わらず綺麗だなぁ」
「ありがとうございます」
営業スマイルで微笑む薫。
ティキは嬉しそうに頬杖をついた。
「ねぇ、今日は社長来るまで少し時間あるんだろ?」
「はい」
「じゃあ雑談しようよ」
「構いませんよ」
薫は秘書らしく姿勢よく立っている。
「座りなよ」
「ありがとうございます」
向かいに腰掛ける。
ティキはじっと見つめた。
「君さぁ…恋人とかいるの?」
突然の質問。
「……」
仕事中なので少し困った顔になる。
「秘密ですか?」
「仕事と私生活は分けておりますので」
「そっかぁ」
ニコニコ笑うティキ。
「じゃあ俺、立候補していい?」
「……はい?」
「食事でも」
「お気持ちだけいただきます」
にこっと笑って、きっぱり断る。
「即答かぁ」
「社外の方と個人的にお会いすることはございません」
「じゃあ仕事抜きで偶然会ったら?」
「その時も同じです」
「強いなぁ」
ティキは笑いながらも諦めない。
「君、モテるでしょ?」
「さぁ、どうでしょう」
「絶対モテる」
「ありがとうございます」
「俺、本気なんだけど。」
「光栄です」
営業スマイル。
全く崩れない。
ティキは肩をすくめる。
「ガード硬いなぁ」
「秘書ですので」
「いや、女性としてもだよ」
「そうですか?」
「うん」
ティキは身を乗り出した。
「今度さ、うちの会社にも遊びに…」
コンコン。
ドアが開く。
「待たせたな」
クロス・マリアンが入ってくる。
「おう、クロス!」
「始めるか」
クロスは席につこうとして、ふと二人を見る。
ティキが名残惜しそうに薫を見上げている。
「……また口説いてたのか」
「だって可愛いじゃん」
「はは」
クロスは呆れたように笑う。
「残念だったな」
「ん?」
「そいつ、もう売約済みだ」
ティキが固まる。
「……え?」
薫も「社長?」という顔。
クロスはさらっと続ける。
「うちの営業に取られた」
「…………は?」
ティキの笑顔が完全に止まる。
「彼氏いるの?」
薫は少し照れながら小さく頷いた。
「はい」
「ええええええ!?」
思わず立ち上がるティキ。
「聞いてない!」
「聞かれませんでしたので」
「さっき聞いたじゃん!」
「仕事と私生活は分けておりますので」
同じ返答。
クロスは吹き出した。
「綺麗にかわされたな」
ティキは頭を抱えた。
「どこの誰!?」
クロスはニヤリと笑う。
「そのうち紹介する」
「今!」
「無理だ」
「なんで!」
「商談が先だ」
薫はくすっと笑いながら一礼する。
「それでは、お飲み物のおかわりをご用意いたします」
そう言って何事もなかったように応接室を出ていく。
残されたティキは天井を見上げた。
「失恋した気分なんだけど……。」
クロスは書類を開きながら笑う。
「諦めろ。あいつは一途だ。」
ティキはソワソワして資料を開く。
「……」
「……」
クロスがじろっと見る。
「どうした」
「いや、気になる」
「何がだ。」
「薫ちゃんの彼氏」
「仕事しろ」
「いやでも!」
「商談だ」
「気が気じゃないんだけど!」
クロスはため息をつく。
「まずは商談だ。薫の話はその後」
「約束?」
「仕事をちゃんとやればな」
「よし!」
さっきまでの落ち込みはどこへやら。
「じゃあ始めよう!」
「切り替え早いなお前」
「気になることは早く解決したいタイプなんだ」
「その前に契約まとめろ」
「はいはい」
その日の商談はすぐにまとまった。
薫の彼氏について話を聞きたいからという理由だけで。