《第16話》キョウジ。
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翌日――。
クロスの社長室。
コンコン。
「失礼します。」
薫と神田が入室する。
「講習、お疲れ」
クロスはにやにやしている。
「報告書です」
神田が資料を差し出す。
クロスは受け取るより先に言った。
「いや、それより」
「?」
「向こうの社長から全部聞いた」
薫は嫌な予感がする。
「全部……ですか?」
「ああ」
クロスは真顔で言う。
「『食事行ってもいい? ユウ。』」
「…………」
薫が固まる。
「『ユウ?』」
「…………」
「『えぇぇぇぇぇ!?』」
クロスはそこで堪えきれなくなった。
「ぶっ……!」
肩が震える。
「はっ……!」
ついに大爆笑。
「はっはっはっはっはっ!!」
机を叩いて笑っている。
「社長!」
薫は真っ赤。
「笑いすぎです!」
「無理だ!」
クロスは涙を拭う。
「親父さんが実況みたいに話してきてな!」
また笑い出す。
「『息子が口をパクパクさせてました』って!」
「もうやめてください!」
薫は両手で顔を覆う。
神田は腕を組んだまま。
「……」
口元だけ少し緩んでいる。
「お前も笑ってるだろ!」
薫が神田を見る。
「少し」
「裏切り者!」
クロスはようやく笑いを落ち着かせると、机の引き出しから封筒を二つ取り出した。
「ほら」
ふたりへ差し出す。
「向こうからの報酬だ」
「ありがとうございます」
薫が受け取り、中を見る。
「……え?」
神田も封筒を開く。
「……。」
二人が顔を見合わせる。
「……多くない?」
薫が小声で言う。
神田も頷く。
「多い」
クロスは肩をすくめた。
「迷惑料も込みだそうだ。」
「迷惑料?」
「息子が散々困らせたってな」
薫は慌てて首を振る。
「困ったと言えば困りましたけど、そこまででは……」
神田が明細を見る。
「それにしても多い」
「営業3日分どころじゃない」
クロスは笑う。
「向こうの社長が言ってた」
『息子が初めて素直に頭を下げた』
『初めて女性を口説くより話を聞く方が大事だと言った』
『営業とは売ることじゃないと言い始めた』
クロスは二人を見る。
「それだけ変わった」
「……」
「それだけの価値があったんだろ」
薫は明細を見つめる。
「そんなふうに言っていただけると、嬉しいですね」
神田も静かに頷く。
「ああ」
クロスは満足そうに笑った。
「お前ら、いい仕事した」
薫は照れくさそうに笑う。
「ありがとうございます」
クロスは最後に悪戯っぽく付け加えた。
「まあ」
「?」
「次に他所のバカ息子の教育依頼が来ても、お前らに任せる」
「ええっ!?」
薫が思わず声を上げる。
神田は即答した。
「断ります」
「即答か」
「今回は特例です」
クロスは声を上げて笑った。
「そう言うと思った」
そして社長室にまた笑い声が響いた。
クロスの社長室。
コンコン。
「失礼します。」
薫と神田が入室する。
「講習、お疲れ」
クロスはにやにやしている。
「報告書です」
神田が資料を差し出す。
クロスは受け取るより先に言った。
「いや、それより」
「?」
「向こうの社長から全部聞いた」
薫は嫌な予感がする。
「全部……ですか?」
「ああ」
クロスは真顔で言う。
「『食事行ってもいい? ユウ。』」
「…………」
薫が固まる。
「『ユウ?』」
「…………」
「『えぇぇぇぇぇ!?』」
クロスはそこで堪えきれなくなった。
「ぶっ……!」
肩が震える。
「はっ……!」
ついに大爆笑。
「はっはっはっはっはっ!!」
机を叩いて笑っている。
「社長!」
薫は真っ赤。
「笑いすぎです!」
「無理だ!」
クロスは涙を拭う。
「親父さんが実況みたいに話してきてな!」
また笑い出す。
「『息子が口をパクパクさせてました』って!」
「もうやめてください!」
薫は両手で顔を覆う。
神田は腕を組んだまま。
「……」
口元だけ少し緩んでいる。
「お前も笑ってるだろ!」
薫が神田を見る。
「少し」
「裏切り者!」
クロスはようやく笑いを落ち着かせると、机の引き出しから封筒を二つ取り出した。
「ほら」
ふたりへ差し出す。
「向こうからの報酬だ」
「ありがとうございます」
薫が受け取り、中を見る。
「……え?」
神田も封筒を開く。
「……。」
二人が顔を見合わせる。
「……多くない?」
薫が小声で言う。
神田も頷く。
「多い」
クロスは肩をすくめた。
「迷惑料も込みだそうだ。」
「迷惑料?」
「息子が散々困らせたってな」
薫は慌てて首を振る。
「困ったと言えば困りましたけど、そこまででは……」
神田が明細を見る。
「それにしても多い」
「営業3日分どころじゃない」
クロスは笑う。
「向こうの社長が言ってた」
『息子が初めて素直に頭を下げた』
『初めて女性を口説くより話を聞く方が大事だと言った』
『営業とは売ることじゃないと言い始めた』
クロスは二人を見る。
「それだけ変わった」
「……」
「それだけの価値があったんだろ」
薫は明細を見つめる。
「そんなふうに言っていただけると、嬉しいですね」
神田も静かに頷く。
「ああ」
クロスは満足そうに笑った。
「お前ら、いい仕事した」
薫は照れくさそうに笑う。
「ありがとうございます」
クロスは最後に悪戯っぽく付け加えた。
「まあ」
「?」
「次に他所のバカ息子の教育依頼が来ても、お前らに任せる」
「ええっ!?」
薫が思わず声を上げる。
神田は即答した。
「断ります」
「即答か」
「今回は特例です」
クロスは声を上げて笑った。
「そう言うと思った」
そして社長室にまた笑い声が響いた。