《第16話》キョウジ。
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3日目・午前 会議室
専務が席に着く。
「今日は営業の先生が来るんだよな」
「はい」
薫が時計を見る。
「そろそろです」
コンコン。
「失礼します」
ドアが開く。
黒のスーツ姿の神田が入室した。
無駄のない所作で一礼する。
「営業部の神田です。本日はよろしくお願いいたします」
専務は思わず見入る。
(……空気が違う)
静かなのに、自然と目が行く。
社長が紹介する。
「株式会社クロスの営業エースだ」
神田は軽く頭を下げるだけだった。
席に着くと、神田は資料を開く。
「営業で一番大切なのは何だと思いますか」
専務が答える。
「話が上手いこと」
神田は首を横に振る。
「違います」
「じゃあ根性?」
「違います」
「商品知識?」
「それも必要です」
一拍置く。
「一番は、信頼です」
神田は続ける。
「商品は誰でも説明できます」
「はい」
「ですが、『この人から買いたい』と思っていただくことは簡単ではありません」
専務は真剣に聞く。
「そのためには」
神田が薫を見る。
「2日間で何を学びましたか。」
専務は少し考えた。
「……距離感」
「そうです」
「相手の話を聞く」
「そうです」
「安心してもらう」
神田は頷く。
「営業も同じです」
ロールプレイ。
相手役は社長。
専務が営業。
5分間。
商品説明を始める。
神田は黙って見ている。
終わる。
「どうでした?」
神田は資料を閉じた。
「商品の話を6割しました」
「はい」
「社長が話した時間」
「……」
「1割です」
専務はハッとする。
「営業ではありません」
「え?」
「プレゼンです」
神田は椅子を引く。
「見ていてください」
今度は神田が営業役。
「本日はありがとうございます」
名刺交換。
雑談。
会社の話。
困り事を聞く。
社長が自然と話し始める。
神田は相づちを打つ。
質問する。
また聞く。
10分後。
社長が笑う。
「実は困ってましてね。」
専務は驚いた。
(商品説明してない)
それでも社長がどんどん話す。
最後に神田が一言。
「でしたら弊社がお力になれるかもしれません」
それだけ。
社長は笑顔。
「ぜひお願いしたい」
ロールプレイ終了。
専務が呆然。
「え、今ので契約?」
神田は静かに答える。
「営業は売る仕事ではありません」
「?」
「相手の問題を一緒に解決する仕事です」
午後。
パーティー形式の実践。
役員役、社長役、女性社員役が入り混じる。
専務は教わった通りに動く。
まず相手の話を聞く。
話題を広げる。
紹介を繋ぐ。
女性社員とも自然に会話する。
食事にも誘わない。
離れた場所で薫が微笑む。
「2日前とは別人ですね。」
神田も頷く。
「ああ」
社長がふたりのところへ来た。
「どうだ?」
薫が答える。
「社交は問題ありません」
神田が続ける。
「営業も素質はあります」
専務が近付いてきた。
「先生!」
薫が振り向く。
「はい」
「神田さん!」
「なんだ」
専務は頭を下げた。
「ありがとうございました」
神田も軽く頭を下げる。
「忘れるな」
「はい」
「営業も社交も」
一拍置いて。
「相手を尊重することから始まる」
専務は力強く頷いた。
「はい!」
社長はその姿を見て笑う。
「たった3日でここまで変わるとはな」
薫は首を横に振る。
「いいえ」
「?」
「専務ご自身が素直に学んでくださったからです」
神田も短く続けた。
「変わる気があった」
専務は少し照れながら笑った。
「……最初に先生を飯に誘ったの、今思うと恥ずかしい」
薫も笑う。
「そう思えたなら、この3日間は大成功ですね。」
神田はそのやり取りを見て、小さく口元を緩めた。
薫が、堂々と講師を務める姿を見て、内心では誰よりも誇らしく思っていた。
専務が席に着く。
「今日は営業の先生が来るんだよな」
「はい」
薫が時計を見る。
「そろそろです」
コンコン。
「失礼します」
ドアが開く。
黒のスーツ姿の神田が入室した。
無駄のない所作で一礼する。
「営業部の神田です。本日はよろしくお願いいたします」
専務は思わず見入る。
(……空気が違う)
静かなのに、自然と目が行く。
社長が紹介する。
「株式会社クロスの営業エースだ」
神田は軽く頭を下げるだけだった。
席に着くと、神田は資料を開く。
「営業で一番大切なのは何だと思いますか」
専務が答える。
「話が上手いこと」
神田は首を横に振る。
「違います」
「じゃあ根性?」
「違います」
「商品知識?」
「それも必要です」
一拍置く。
「一番は、信頼です」
神田は続ける。
「商品は誰でも説明できます」
「はい」
「ですが、『この人から買いたい』と思っていただくことは簡単ではありません」
専務は真剣に聞く。
「そのためには」
神田が薫を見る。
「2日間で何を学びましたか。」
専務は少し考えた。
「……距離感」
「そうです」
「相手の話を聞く」
「そうです」
「安心してもらう」
神田は頷く。
「営業も同じです」
ロールプレイ。
相手役は社長。
専務が営業。
5分間。
商品説明を始める。
神田は黙って見ている。
終わる。
「どうでした?」
神田は資料を閉じた。
「商品の話を6割しました」
「はい」
「社長が話した時間」
「……」
「1割です」
専務はハッとする。
「営業ではありません」
「え?」
「プレゼンです」
神田は椅子を引く。
「見ていてください」
今度は神田が営業役。
「本日はありがとうございます」
名刺交換。
雑談。
会社の話。
困り事を聞く。
社長が自然と話し始める。
神田は相づちを打つ。
質問する。
また聞く。
10分後。
社長が笑う。
「実は困ってましてね。」
専務は驚いた。
(商品説明してない)
それでも社長がどんどん話す。
最後に神田が一言。
「でしたら弊社がお力になれるかもしれません」
それだけ。
社長は笑顔。
「ぜひお願いしたい」
ロールプレイ終了。
専務が呆然。
「え、今ので契約?」
神田は静かに答える。
「営業は売る仕事ではありません」
「?」
「相手の問題を一緒に解決する仕事です」
午後。
パーティー形式の実践。
役員役、社長役、女性社員役が入り混じる。
専務は教わった通りに動く。
まず相手の話を聞く。
話題を広げる。
紹介を繋ぐ。
女性社員とも自然に会話する。
食事にも誘わない。
離れた場所で薫が微笑む。
「2日前とは別人ですね。」
神田も頷く。
「ああ」
社長がふたりのところへ来た。
「どうだ?」
薫が答える。
「社交は問題ありません」
神田が続ける。
「営業も素質はあります」
専務が近付いてきた。
「先生!」
薫が振り向く。
「はい」
「神田さん!」
「なんだ」
専務は頭を下げた。
「ありがとうございました」
神田も軽く頭を下げる。
「忘れるな」
「はい」
「営業も社交も」
一拍置いて。
「相手を尊重することから始まる」
専務は力強く頷いた。
「はい!」
社長はその姿を見て笑う。
「たった3日でここまで変わるとはな」
薫は首を横に振る。
「いいえ」
「?」
「専務ご自身が素直に学んでくださったからです」
神田も短く続けた。
「変わる気があった」
専務は少し照れながら笑った。
「……最初に先生を飯に誘ったの、今思うと恥ずかしい」
薫も笑う。
「そう思えたなら、この3日間は大成功ですね。」
神田はそのやり取りを見て、小さく口元を緩めた。
薫が、堂々と講師を務める姿を見て、内心では誰よりも誇らしく思っていた。