《第16話》キョウジ。
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社長室。
「失礼します」
薫が入ると、クロスが書類から顔を上げた。
「ちょうどいい。仕事だ」
「はい」
「他所の会社の社長から相談が来た」
「相談ですか?」
「ああ。専務……息子なんだが出来が悪いらしい」
薫が首を傾ける。
「出来が悪い?」
「人との距離感が取れん。マナーもなってない。女を見るなり口説く」
「……それは」
「親父も頭を抱えてる」
「でも社長もすぐ女性口説きますよね」
「美人だけだ」
「一緒じゃないですか」
「………」
少し沈黙。
クロスがさらっと言う。
「というわけで、お前。」
「はい?」
「ビジネスマナーと社交マナーの講師をしてこい」
「…………え?」
薫は目を丸くした。
「私ですか?」
「そうだ」
「いやいやいや!」
ぶんぶん首を振る。
「私、23歳ですよ!?社会人2年目です!」
「だから?」
「教えられることなんてありません!」
クロスは平然としている。
「ある」
「ありません」
「ある」
「ありませんって!」
クロスは椅子にもたれた。
「仕事ぶりもそうだが、お前はパーティでの動きが完璧だ」
「そんなこと…」
「挨拶、紹介、立ち位置、会話、食事、断り方」
一つずつ指を折る。
「全部自然にできてる」
「秘書課で教わっただけです」
「教わって全員できるなら苦労せん」
薫は額を押さえた。
「でも相手、専務ですよ?」
「ああ」
「次期社長ですよ?」
「ああ」
「無理です!」
クロスは口角を上げる。
「面白いから行ってこい」
薫はクロスのことをじーっと見る。
「……それが本音ですね」
「否定はせん」
「やっぱり!」
クロスは笑いながら続けた。
「もっとも、営業についても聞きたいらしい」
「営業?」
「営業の立ち回り、交渉、人との関係づくりも学びたいそうだ」
薫は少し安心したように頷く。
「それなら営業部の方が……」
「だから3日目には神田を送り込む」
薫の表情が少し明るくなる。
「神田さんが?」
「ああ」
「営業はあいつの専門だ」
薫は少し考えてから、小さく笑った。
「……それなら」
「引き受けるか?」
「はい」
ほっと息をつく。
「3日目に神田さんが来てくれるなら、そこまで私が繋ぎます」
「よし」
ちょうどその時。
コンコン。
「失礼します」
資料を届けに神田が入ってくる。
「社長、資料を──」
「神田、ちょうどいい」
クロスが悪そうな笑みを浮かべる。
「3日後、お前を他社へ貸す」
「……営業か」
「ああ」
「その前2日間は、お前の彼女が講師だ」
神田の視線が薫へ向く。
「そうか」
薫は苦笑い。
「社長に押し切られた」
「断れなかったか」
「うん……」
神田は小さく頷いた。
「お前ならできる」
その一言で、少しだけ肩の力が抜ける。
「ありがとう」
クロスは二人を見比べて笑う。
「安心しろ。3日目は営業最強を送り込む。」
神田は淡々と答える。
「お前が作った土台の上なら、話は早い」
「お」
「役割分担です」
薫も頷く。
「私は人との接し方を教えて、神田さんが営業を教える」
「おう」
クロスは満足そうに腕を組んだ。
「秘書課と営業部の最強コンビだな」
薫は照れ笑いを浮かべる。
「……プレッシャーしかないです」
「やれるだけやってこい」
そう言ってクロスは薫と神田を送り出した。
「失礼します」
薫が入ると、クロスが書類から顔を上げた。
「ちょうどいい。仕事だ」
「はい」
「他所の会社の社長から相談が来た」
「相談ですか?」
「ああ。専務……息子なんだが出来が悪いらしい」
薫が首を傾ける。
「出来が悪い?」
「人との距離感が取れん。マナーもなってない。女を見るなり口説く」
「……それは」
「親父も頭を抱えてる」
「でも社長もすぐ女性口説きますよね」
「美人だけだ」
「一緒じゃないですか」
「………」
少し沈黙。
クロスがさらっと言う。
「というわけで、お前。」
「はい?」
「ビジネスマナーと社交マナーの講師をしてこい」
「…………え?」
薫は目を丸くした。
「私ですか?」
「そうだ」
「いやいやいや!」
ぶんぶん首を振る。
「私、23歳ですよ!?社会人2年目です!」
「だから?」
「教えられることなんてありません!」
クロスは平然としている。
「ある」
「ありません」
「ある」
「ありませんって!」
クロスは椅子にもたれた。
「仕事ぶりもそうだが、お前はパーティでの動きが完璧だ」
「そんなこと…」
「挨拶、紹介、立ち位置、会話、食事、断り方」
一つずつ指を折る。
「全部自然にできてる」
「秘書課で教わっただけです」
「教わって全員できるなら苦労せん」
薫は額を押さえた。
「でも相手、専務ですよ?」
「ああ」
「次期社長ですよ?」
「ああ」
「無理です!」
クロスは口角を上げる。
「面白いから行ってこい」
薫はクロスのことをじーっと見る。
「……それが本音ですね」
「否定はせん」
「やっぱり!」
クロスは笑いながら続けた。
「もっとも、営業についても聞きたいらしい」
「営業?」
「営業の立ち回り、交渉、人との関係づくりも学びたいそうだ」
薫は少し安心したように頷く。
「それなら営業部の方が……」
「だから3日目には神田を送り込む」
薫の表情が少し明るくなる。
「神田さんが?」
「ああ」
「営業はあいつの専門だ」
薫は少し考えてから、小さく笑った。
「……それなら」
「引き受けるか?」
「はい」
ほっと息をつく。
「3日目に神田さんが来てくれるなら、そこまで私が繋ぎます」
「よし」
ちょうどその時。
コンコン。
「失礼します」
資料を届けに神田が入ってくる。
「社長、資料を──」
「神田、ちょうどいい」
クロスが悪そうな笑みを浮かべる。
「3日後、お前を他社へ貸す」
「……営業か」
「ああ」
「その前2日間は、お前の彼女が講師だ」
神田の視線が薫へ向く。
「そうか」
薫は苦笑い。
「社長に押し切られた」
「断れなかったか」
「うん……」
神田は小さく頷いた。
「お前ならできる」
その一言で、少しだけ肩の力が抜ける。
「ありがとう」
クロスは二人を見比べて笑う。
「安心しろ。3日目は営業最強を送り込む。」
神田は淡々と答える。
「お前が作った土台の上なら、話は早い」
「お」
「役割分担です」
薫も頷く。
「私は人との接し方を教えて、神田さんが営業を教える」
「おう」
クロスは満足そうに腕を組んだ。
「秘書課と営業部の最強コンビだな」
薫は照れ笑いを浮かべる。
「……プレッシャーしかないです」
「やれるだけやってこい」
そう言ってクロスは薫と神田を送り出した。