《第15話》デート。
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映画館を出ると、薫はふとスマホを確認する。
「あ」
「ん?」
神田が見る。
「近くにロリータショップある」
神田は少しだけ察した顔になる。
「……」
「なに」
「いや。見るだけ、だろ」
薫は一瞬目を逸らす。
「……見るだけ」
「今の間はなんだ」
「見るだけだもん!」
神田は小さく笑った。
「分かった。行くか」
「いいの?」
「デートだろ」
その一言で薫の顔がぱっと明るくなる。
「やった!」
ショップに入ると、薫の目が一気に輝く。
「かわいい……!」
レースのワンピース。
リボンのついたブラウス。
繊細な小物。
さっきまで映画の感想を話していた顔とは全然違う。
神田は少し離れたところから、その様子を見る。
「……」
店員が微笑む。
「お似合いですね」
「ありがとうございます」
薫は嬉しそうに服を手に取る。
「ユウ」
「ん?」
「これどう思う?」
神田は服を見る。
「似合う」
「即答」
「本当だ」
「こっちは?」
「それも」
薫が笑う。
「ちゃんと見てる?」
「見てる」
「違い分かる?」
神田は少し黙る。
「……」
「分かってないじゃん!」
薫が笑う。
「色が違う」
「そこだけ!?」
「でも」
神田は服を見る。
「お前が着て笑ってる方がいい」
薫の動きが止まる。
「……またそういうこと言う」
「事実だ」
店員がくすっと笑う。
「仲がよろしいですね」
薫は照れながら服を戻す。
「まだ付き合ってちょっとしか経ってないのに」
神田を見る。
「こういうの付き合ってくれると思わなかった」
「なんで」
「興味なさそうだから」
神田は少し考える。
「服自体には詳しくない。でも」
薫を見る。
「お前が楽しそうならいい」
その言葉に、薫は少しだけ嬉しそうに笑う。
「……じゃあ」
「ん?」
「次、試着してもいい?」
神田は頷く。
「ああ。待ってる。」
試着室から出てきた薫は、少し照れながら尋ねる。
「どう?」
神田はいつものように落ち着いた顔で見て。
「似合う」
「それだけ?」
「かわいい」
薫は一気に赤くなる。
「……外でそういうの言うの反則」
神田は首を傾ける。
「本当のことだ」
薫は笑って、でも嬉しそうに服を見る。
その姿を見ながら神田は思う。
仕事でも家でも見ているはずなのに。
こうして「好きなものを前にして楽しそうにしている姿」を見る時間は、また別のものだった。
ロリータショップを出る頃には、外はすっかり夕暮れ。
薫が買った袋を嬉しそうに持って歩く。
「楽しかった……」
「そうか」
「ユウ、付き合ってくれてありがとう」
神田は隣を歩きながら、いつもの調子で返す。
「付き合うって言っただろ」
「でもさ」
薫は笑う。
「普通、興味ないお店って疲れるじゃん」
「別に」
「疲れなかった?」
神田は少し考える。
「お前が楽しそうだったから」
「……」
「それで十分だ。」
薫は少し照れながら、神田の腕に寄り添う。
「今日、何回それ言うの」
「事実だから」
「ずるい」
夜。
神田が予約していたレストランへ向かう。
薫が店の前で足を止める。
「え。ここ?」
落ち着いた雰囲気の店。
「すご……」
神田を見る。
「予約してたの?」
「ああ。」
「いつの間に」
「さっき」
「さっき!?」
神田は席へ案内されながら答える。
「お前が試着中にな」
薫は少し驚く。
「ちゃんと考えてくれてたんだ」
「当たり前だ」
その一言に、薫は嬉しそうに笑う。
席につき、料理を選ぶ。
「何食べる?」
「お前が好きなもの」
「またそれ」
「何が」
「私ばっかりじゃん」
神田はメニューを見る。
「じゃあ、今日は俺が選ぶ」
「珍しい」
神田が選んだ料理を見て、薫が笑う。
「覚えてたんだ」
「何を」
「私、辛いもの好きって」
「前に言ってた」
「そんな前のこと」
「覚えてる」
薫は少し黙る。
「……ユウってさ」
「ん?」
「そういうところなんだよね」
「何が」
「興味なさそうなのに、ちゃんと見てる」
神田は少し視線を逸らす。
「見てる。好きな相手なら」
薫の顔が赤くなる。
「……付き合って一ヶ月でそういう破壊力出す?」
「何の話だ」
「なんでもない」
料理が運ばれてくる。
ふたりで食べながら、今日一日の話をする。
「映画の主人公さ、判断甘かったよね」
「まだ言うか?」
「でも面白かった」
「泣いてたけどな」
「泣いてない」
「目赤かった」
「……」
薫が笑う。
「今日さ」
「ん?」
「恋人っぽかったね」
神田が見る。
「今まで違ったか」
「違うわけじゃないよ。一緒に暮らしてるし。毎日会ってるし」
少し照れながら。
「でも、ちゃんとデートしたって感じ」
神田は静かに頷く。
「またするか」
薫の顔が明るくなる。
「いいの?」
「ああ」
「次はどこ行く?」
「考えろ」
「私が?」
「行きたい場所あるだろ」
薫は嬉しそうに笑う。
「いっぱいある。覚悟してね」
神田は小さく笑った。
「ああ。付き合う。」
その返事が嬉しくて。
薫はテーブルの下で、そっと神田の手に触れる。
神田は自然にその手を握り返した。
付き合って一ヶ月。
同棲しているふたりにとって、家で過ごす時間とはまた違う。
「恋人」の顔で過ごす一日は、ふたりの大切な思い出になった。
「あ」
「ん?」
神田が見る。
「近くにロリータショップある」
神田は少しだけ察した顔になる。
「……」
「なに」
「いや。見るだけ、だろ」
薫は一瞬目を逸らす。
「……見るだけ」
「今の間はなんだ」
「見るだけだもん!」
神田は小さく笑った。
「分かった。行くか」
「いいの?」
「デートだろ」
その一言で薫の顔がぱっと明るくなる。
「やった!」
ショップに入ると、薫の目が一気に輝く。
「かわいい……!」
レースのワンピース。
リボンのついたブラウス。
繊細な小物。
さっきまで映画の感想を話していた顔とは全然違う。
神田は少し離れたところから、その様子を見る。
「……」
店員が微笑む。
「お似合いですね」
「ありがとうございます」
薫は嬉しそうに服を手に取る。
「ユウ」
「ん?」
「これどう思う?」
神田は服を見る。
「似合う」
「即答」
「本当だ」
「こっちは?」
「それも」
薫が笑う。
「ちゃんと見てる?」
「見てる」
「違い分かる?」
神田は少し黙る。
「……」
「分かってないじゃん!」
薫が笑う。
「色が違う」
「そこだけ!?」
「でも」
神田は服を見る。
「お前が着て笑ってる方がいい」
薫の動きが止まる。
「……またそういうこと言う」
「事実だ」
店員がくすっと笑う。
「仲がよろしいですね」
薫は照れながら服を戻す。
「まだ付き合ってちょっとしか経ってないのに」
神田を見る。
「こういうの付き合ってくれると思わなかった」
「なんで」
「興味なさそうだから」
神田は少し考える。
「服自体には詳しくない。でも」
薫を見る。
「お前が楽しそうならいい」
その言葉に、薫は少しだけ嬉しそうに笑う。
「……じゃあ」
「ん?」
「次、試着してもいい?」
神田は頷く。
「ああ。待ってる。」
試着室から出てきた薫は、少し照れながら尋ねる。
「どう?」
神田はいつものように落ち着いた顔で見て。
「似合う」
「それだけ?」
「かわいい」
薫は一気に赤くなる。
「……外でそういうの言うの反則」
神田は首を傾ける。
「本当のことだ」
薫は笑って、でも嬉しそうに服を見る。
その姿を見ながら神田は思う。
仕事でも家でも見ているはずなのに。
こうして「好きなものを前にして楽しそうにしている姿」を見る時間は、また別のものだった。
ロリータショップを出る頃には、外はすっかり夕暮れ。
薫が買った袋を嬉しそうに持って歩く。
「楽しかった……」
「そうか」
「ユウ、付き合ってくれてありがとう」
神田は隣を歩きながら、いつもの調子で返す。
「付き合うって言っただろ」
「でもさ」
薫は笑う。
「普通、興味ないお店って疲れるじゃん」
「別に」
「疲れなかった?」
神田は少し考える。
「お前が楽しそうだったから」
「……」
「それで十分だ。」
薫は少し照れながら、神田の腕に寄り添う。
「今日、何回それ言うの」
「事実だから」
「ずるい」
夜。
神田が予約していたレストランへ向かう。
薫が店の前で足を止める。
「え。ここ?」
落ち着いた雰囲気の店。
「すご……」
神田を見る。
「予約してたの?」
「ああ。」
「いつの間に」
「さっき」
「さっき!?」
神田は席へ案内されながら答える。
「お前が試着中にな」
薫は少し驚く。
「ちゃんと考えてくれてたんだ」
「当たり前だ」
その一言に、薫は嬉しそうに笑う。
席につき、料理を選ぶ。
「何食べる?」
「お前が好きなもの」
「またそれ」
「何が」
「私ばっかりじゃん」
神田はメニューを見る。
「じゃあ、今日は俺が選ぶ」
「珍しい」
神田が選んだ料理を見て、薫が笑う。
「覚えてたんだ」
「何を」
「私、辛いもの好きって」
「前に言ってた」
「そんな前のこと」
「覚えてる」
薫は少し黙る。
「……ユウってさ」
「ん?」
「そういうところなんだよね」
「何が」
「興味なさそうなのに、ちゃんと見てる」
神田は少し視線を逸らす。
「見てる。好きな相手なら」
薫の顔が赤くなる。
「……付き合って一ヶ月でそういう破壊力出す?」
「何の話だ」
「なんでもない」
料理が運ばれてくる。
ふたりで食べながら、今日一日の話をする。
「映画の主人公さ、判断甘かったよね」
「まだ言うか?」
「でも面白かった」
「泣いてたけどな」
「泣いてない」
「目赤かった」
「……」
薫が笑う。
「今日さ」
「ん?」
「恋人っぽかったね」
神田が見る。
「今まで違ったか」
「違うわけじゃないよ。一緒に暮らしてるし。毎日会ってるし」
少し照れながら。
「でも、ちゃんとデートしたって感じ」
神田は静かに頷く。
「またするか」
薫の顔が明るくなる。
「いいの?」
「ああ」
「次はどこ行く?」
「考えろ」
「私が?」
「行きたい場所あるだろ」
薫は嬉しそうに笑う。
「いっぱいある。覚悟してね」
神田は小さく笑った。
「ああ。付き合う。」
その返事が嬉しくて。
薫はテーブルの下で、そっと神田の手に触れる。
神田は自然にその手を握り返した。
付き合って一ヶ月。
同棲しているふたりにとって、家で過ごす時間とはまた違う。
「恋人」の顔で過ごす一日は、ふたりの大切な思い出になった。