《第15話》デート。
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駅前。
いつもなら車で通り過ぎるだけの場所。
今日はふたりでゆっくり歩いて、目的のカフェへ向かう。
「ここ!」
薫が嬉しそうに指差す。
新しくオープンしたカフェ。
大きな窓から店内が見えて、休日らしく若い人やカップルで賑わっている。
神田が看板を見る。
「……混んでるな」
「人気なんだね」
「並ぶか?」
「うん」
即答する薫。
神田が少し意外そうに見る。
「待つの嫌いじゃなかったか」
「嫌い」
「じゃあなんで」
薫は笑う。
「今日はデートだから。待つ時間もデートじゃん」
神田は少し黙って、それから小さく頷いた。
「……なるほど」
列に並ぶ。
薫はメニューを見ながら楽しそうに話す。
「ねぇ、これ美味しそう!パンケーキ」
「こっちは?」
「ラテアート」
「ユウは?」
「コーヒー」
「また?」
「いつも飲んでる」
「せっかくカフェなのに」
「コーヒーはコーヒーだ」
薫が笑う。
「ユウらしい」
しばらくして席へ案内される。
窓際の二人席。
薫は座るなり店内を見回す。
「いいね。落ち着く」
神田は向かいの薫を見る。
「そんなに嬉しいか」
「うん!なんかさ、いつも一緒にいるけど。こういう場所で向かい合って座ると…」
少し照れながら笑う。
「ちゃんとデートしてる感じする」
神田はコーヒーを一口飲む。
「同棲してるとそういう感覚なくなるな」
「ね」
注文したパンケーキが届く。
薫の目が輝く。
「かわいい!」
神田がその反応を見る。
「子どもみたいだな」
「だって可愛いじゃん」
「食べる前から嬉しそうだ」
「ユウも食べる?」
「甘いのはいい」
「一口だけ。はい」
薫がフォークで一口分取って差し出す。
神田は少しだけ躊躇する。
「……」
「なに」
「人前で」
「恋人なんだからいいじゃん」
神田は小さくため息をついて、素直に食べる。
「どう?」
「……うまい」
薫が満足そうに笑う。
「でしょ?」
その様子を見ていた隣の席の人が、微笑ましそうにちらっと見る。
神田は気付いていない。
でも薫は気付いて、少し照れた。
「ねぇ」
「ん?」
「ユウ」
「なんだ」
「こういう休日、またしようね。」
神田は迷わず答える。
「ああ」
窓の外を眺めながら、ふたりはゆっくりカフェの時間を楽しんだ。
コーヒーを楽しみ、カフェを出る。
「次、映画!」
薫はスマホで上映時間を確認しながら歩く。
神田は隣で画面を見る。
「何見る」
「これ!」
薫が指差す。
「恋愛映画」
神田が一瞬止まる。
「……」
「なに」
「いや」
「お前、こういうの好きだったか?」
「好きだよ?」
「意外」
「えー?」
薫が笑う。
「ユウ、絶対アクションとか選ぶと思ってた」
「間違ってない」
「でも今日はデートだから、恋愛映画」
神田は小さく息を吐く。
「なるほど」
映画館に着くと、チケットを買って、ポップコーンを選ぶ。
「いる?」
「いらない」
「でも映画館といえば!」
「……」
「半分こしよ」
神田は少し考えてから頷く。
「塩」
「私はキャラメル」
「……」
「半分こじゃないな。」
「味が違うだけ!」
神田は呆れながらも、2つ買う。
上映開始。
暗くなった館内。
薫は最初は映画に集中していたが、途中から感情移入して目を潤ませる。
神田が横を見る。
「……」
「泣いてるのか」
薫は小声で返す。
「泣いてない」
「泣いてる」
「感動してるだけ」
神田は少し笑う。
「同じだろ」
「違うもん」
しばらくして、悲しい場面。
薫は無意識に神田の手を探す。
指先が触れる。
神田は何も言わず、その手を握った。
薫が少し驚いて見る。
「……」
神田は前を向いたまま。
「映画見ろ」
「うん」
でも、握られた手はそのまま。
映画が終わり、明るくなった館内。
薫は伸びをする。
「よかった……」
「泣いてたな」
「だから泣いてないって」
「目赤い」
「……」
薫はむっとする。
「ユウ」
「なんだ」
「感想は?」
神田は少し考える。
「……」
「主人公の判断が甘い」
「そこ!?」
薫が笑う。
「恋愛映画だよ?」
「分かってる」
「でも?」
「仕事なら失敗する」
「もう仕事脳出てるじゃん」
ふたりで笑う。
映画館を出ると、夕方の街。
薫がふと立ち止まる。
「楽しい」
神田が見る。
「何が」
「今日。カフェ行って。映画見て。歩いて。普通のデート」
神田は少し黙ってから答える。
「普通って、案外いいな」
薫は嬉しそうに笑う。
「でしょ?」
「またしようね」
「ああ」
神田は自然に手を差し出す。
薫がその手を握る。
付き合ってまだ一ヶ月ちょっと。
同棲しているからこそ忘れがちな「恋人の時間」を、ふたりはゆっくりと楽しんでいた。
いつもなら車で通り過ぎるだけの場所。
今日はふたりでゆっくり歩いて、目的のカフェへ向かう。
「ここ!」
薫が嬉しそうに指差す。
新しくオープンしたカフェ。
大きな窓から店内が見えて、休日らしく若い人やカップルで賑わっている。
神田が看板を見る。
「……混んでるな」
「人気なんだね」
「並ぶか?」
「うん」
即答する薫。
神田が少し意外そうに見る。
「待つの嫌いじゃなかったか」
「嫌い」
「じゃあなんで」
薫は笑う。
「今日はデートだから。待つ時間もデートじゃん」
神田は少し黙って、それから小さく頷いた。
「……なるほど」
列に並ぶ。
薫はメニューを見ながら楽しそうに話す。
「ねぇ、これ美味しそう!パンケーキ」
「こっちは?」
「ラテアート」
「ユウは?」
「コーヒー」
「また?」
「いつも飲んでる」
「せっかくカフェなのに」
「コーヒーはコーヒーだ」
薫が笑う。
「ユウらしい」
しばらくして席へ案内される。
窓際の二人席。
薫は座るなり店内を見回す。
「いいね。落ち着く」
神田は向かいの薫を見る。
「そんなに嬉しいか」
「うん!なんかさ、いつも一緒にいるけど。こういう場所で向かい合って座ると…」
少し照れながら笑う。
「ちゃんとデートしてる感じする」
神田はコーヒーを一口飲む。
「同棲してるとそういう感覚なくなるな」
「ね」
注文したパンケーキが届く。
薫の目が輝く。
「かわいい!」
神田がその反応を見る。
「子どもみたいだな」
「だって可愛いじゃん」
「食べる前から嬉しそうだ」
「ユウも食べる?」
「甘いのはいい」
「一口だけ。はい」
薫がフォークで一口分取って差し出す。
神田は少しだけ躊躇する。
「……」
「なに」
「人前で」
「恋人なんだからいいじゃん」
神田は小さくため息をついて、素直に食べる。
「どう?」
「……うまい」
薫が満足そうに笑う。
「でしょ?」
その様子を見ていた隣の席の人が、微笑ましそうにちらっと見る。
神田は気付いていない。
でも薫は気付いて、少し照れた。
「ねぇ」
「ん?」
「ユウ」
「なんだ」
「こういう休日、またしようね。」
神田は迷わず答える。
「ああ」
窓の外を眺めながら、ふたりはゆっくりカフェの時間を楽しんだ。
コーヒーを楽しみ、カフェを出る。
「次、映画!」
薫はスマホで上映時間を確認しながら歩く。
神田は隣で画面を見る。
「何見る」
「これ!」
薫が指差す。
「恋愛映画」
神田が一瞬止まる。
「……」
「なに」
「いや」
「お前、こういうの好きだったか?」
「好きだよ?」
「意外」
「えー?」
薫が笑う。
「ユウ、絶対アクションとか選ぶと思ってた」
「間違ってない」
「でも今日はデートだから、恋愛映画」
神田は小さく息を吐く。
「なるほど」
映画館に着くと、チケットを買って、ポップコーンを選ぶ。
「いる?」
「いらない」
「でも映画館といえば!」
「……」
「半分こしよ」
神田は少し考えてから頷く。
「塩」
「私はキャラメル」
「……」
「半分こじゃないな。」
「味が違うだけ!」
神田は呆れながらも、2つ買う。
上映開始。
暗くなった館内。
薫は最初は映画に集中していたが、途中から感情移入して目を潤ませる。
神田が横を見る。
「……」
「泣いてるのか」
薫は小声で返す。
「泣いてない」
「泣いてる」
「感動してるだけ」
神田は少し笑う。
「同じだろ」
「違うもん」
しばらくして、悲しい場面。
薫は無意識に神田の手を探す。
指先が触れる。
神田は何も言わず、その手を握った。
薫が少し驚いて見る。
「……」
神田は前を向いたまま。
「映画見ろ」
「うん」
でも、握られた手はそのまま。
映画が終わり、明るくなった館内。
薫は伸びをする。
「よかった……」
「泣いてたな」
「だから泣いてないって」
「目赤い」
「……」
薫はむっとする。
「ユウ」
「なんだ」
「感想は?」
神田は少し考える。
「……」
「主人公の判断が甘い」
「そこ!?」
薫が笑う。
「恋愛映画だよ?」
「分かってる」
「でも?」
「仕事なら失敗する」
「もう仕事脳出てるじゃん」
ふたりで笑う。
映画館を出ると、夕方の街。
薫がふと立ち止まる。
「楽しい」
神田が見る。
「何が」
「今日。カフェ行って。映画見て。歩いて。普通のデート」
神田は少し黙ってから答える。
「普通って、案外いいな」
薫は嬉しそうに笑う。
「でしょ?」
「またしようね」
「ああ」
神田は自然に手を差し出す。
薫がその手を握る。
付き合ってまだ一ヶ月ちょっと。
同棲しているからこそ忘れがちな「恋人の時間」を、ふたりはゆっくりと楽しんでいた。